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Trademark Appeal Case

ユビキタスハードディスクの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−9828(T2005−9828/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ユビキタスハードディスク」の文字を標準文字により表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年5月25日に登録出願、その後、指定商品については、同17年1月19日付けの手続補正書により、「電子応用機械器具及びその部品(ただし、電子管,半導体素子,電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)を除く。)」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『ユビキタスハードディスク』の文字を書してなるところ、該構成中の『ユビキタス』の文字は、本来『同時にあらゆるところに存在する』という意味のラテン語であったものが、近時のコンピュータの小型化、インターネットの普及に伴い、『あらゆる機器にコンピューター、もしくはその操作が可能な装置が組み込まれ、相互にデータを交換し合い、情報を利用できるネットワーク環境』のことを『ユビキタス・コンピューティング』、『ユビキタス・ネットワーク社会』等と称されている実情がある。そうすると、該文字は、その指定商品との関係からすると『あらゆる機器と情報を利用できるネットワーク環境』の如き意味合いを容易に看取させる語と認められる。してみれば、本願商標は、全体として『あらゆる機器と情報を利用できるネットワーク環境に対応したハードディスク』の如き意味合いを認識させるから、これをその指定商品中、前記文字に照応する商品に使用したときは、単に商品の品質を表すものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、本願商標は、全体として先の拒絶理由で述べた如き意味合いを容易に認識させるものであり、これを本願指定商品中、例えば『ハードディスクドライブ』等に使用しても、これに接する需要者は『ユビキタス環境に対応したハードディスク(ドライブ)』程度の意味合いを把握・認識するに止まり、単に商品の品質を表示してなるにすぎないので、先の認定を覆すことはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記のとおり「ユビキタスハードディスク」の片仮名文字よりなるところ、「ユビキタス」の文字と「コンピューターの外部記憶装置の一。磁性体を塗ったアルミニウムの円盤。記憶媒体として、大量のデータを高速で読み書きできる。固定ディスク。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有するものとして知られている「ハードディスク」の文字を結合したものと容易に認識されるものである。

そして、その構成中、「ユビキタス」の文字は、例えば、「現代用語の基礎知識1999」(1999年1月1日 自由国民社発行)の1383頁の「ユビキタス」の項には「遍在する。あちこちにある。」との記載、「現代用語の基礎知識2007」(2007年1月1日 自由国民社発行)の732頁には「わかる/進むユビキタス化とデジタル・デバイド」として「ユビキタス/『いつでも、どこでも、何でも、誰でも』ネットワークにつながり、情報の自在なやりとりを行うことができる」との記載、「2005−’06年版 最新パソコン用語事典」(平成16年11月1日 株式会社技術評論社発行)の「ユビキタス」の項には「語源/どこにでもある、遍在する(ラテン語)。」、「いつでもどこでも情報にアクセスできること。」との記載、「imidas2007」(2007年1月1日 株式会社集英社発行)の1298頁の「ユビキタス インターネット」の項には「いつでもどこでもインターネットを利用できる環境.」との記載がある。

ところで、最近の情報化社会において、ノートパソコンや携帯電話端末、携帯情報端末から携帯電話サービスや無線LANでインターネットに接続し、インターネット上のコンテンツを利用したり、自宅の家電製品を制御したり、また、総務省は、少子化・高齢化社会の進展や生活の安心・安全レベルの低下などに対する解決手段として情報通信技術を位置づけ、2010年にユビキタスネット・ジャパンの実現をめざしており、このような状況においてパソコンの記録媒体として、データ量の増加、大容量プログラムの登場などで容量の大きいハードディスクに関心が高まっている中、本願指定商品を取り扱う業界においては、ハードディスクに関して各種の開発がなされ、また、ユビキタス対応の各種の機器が開発されている実情があるといえる。

そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事情報、インターネットの情報及び雑誌の記事等から裏付けられるものである。

(1)2002.12.04 日刊工業新聞 6頁には、「デジタルデザイン、ユビキタス対応の高速データ通信ミドルウエア発売」の見だしのもと「・・・高速データ通信ミドルウエア『ファスト・コネクターV3』を発売した。ユビキタスコンピューティング市場の拡大に対応する。」との記載

(2)2003.01.19 毎日新聞大阪朝刊 7頁には「外出先からパソコンで録画番組の視聴可能 家庭用サーバーで家電各社が競争」の見だしのもと「シャープは、外出先からパソコンを使って自宅で録画したテレビを見ることが出来るなど『ユビキタスネットワーク』に対応したパーソナルサーバー・・・発売する・・・最大115時間録画できる容量120ギガバイトのハードディスクレコーダーに無線LAN機能付き。DSLや光ファイバーなどの高速通信と接続すると、ハードディスク内に記録したテレビ番組やデータを、外出先のパソコンで見ることができる。」との記載

(3)2004.01.27 日刊工業新聞 15頁には「富士通、ユビキタス対応の『インターステージ』を追加」の見だしのもと「富士通はIT基盤『トリオーレ』の中核を担うミドルウエア『インターステージ』の新機能として、ユビキタス(いつでもどこからでもネットに接続できる)環境に本格対応する『リアルタイムコミュニケータ』を追加したと発表した。」との記載

(4)2004.02.26 読売新聞大阪朝刊 32頁には「大学院生らベンチャー企業 高機能端末など開発へ 社会人学生を採用=高知」の見だしのもと「・・・個人認証方式を組み合わせたユビキタス対応の高機能小型端末などの開発を手がけ、システムや知的財産権ライセンス販売などを行う。」との記載

(5)2004.03.03 毎日新聞地方版/高知 20頁には「[ひと]『ネックスカードシステムジャパン』発起人、加納剛太・高知工科大教授/高知」の見だしのもと「ベンチャー企業はユビキタス対応の高機能端末・情報セキュリティーシステムの販売などが主な内容。」との記載

(6)2004.05.28 日刊工業新聞 1頁には「NEC、年内にもサーバ不要のパソコン間通信ソフトを開発」の見だしのもと「NECは27日、ブロードバンド(高速・大容量通信)環境で多数のコンピューターを接続して相互に情報をやりとりする『ピア・ツー・ピア(サーバを介さないパソコン間の通信)』ソフトを年内にも開発し、企業情報ポータル(EIP)『スターオフィス21』のメニューに加えることを明らかにした・・・ピア・ツー・ピアへの対応に先立ち、スターオフィス21を3年半ぶりに抜本改良し、ユビキタス対応機能なども追加して7月に出荷する。」との記載

(7)2005.06.16 日刊工業新聞 3頁には「視点/ユビキタス時代の安全対策は−官民で早急に検討を」の見だしのもと「日本は2010年にユビキタスネットワーク社会の実現を目指す。あらゆるモノがネットワークに接続され、誰もが『いつでも、どこでも』簡単にアクセスできる。パソコンや携帯電話だけでなく、テレビ、ビデオ、冷蔵庫、クーラーなどの家電製品にまでネットワークが張られ、家の外からでも管理可能。・・・ネットワークに接続された家電や家具は、ユビキタス機器となる。このユビキタス機器が身の回りに氾濫(はんらん)することによりセキュリティー上の新たな問題が発生する可能性が出てきたのだ。」との記載

(8)2006.02.09 日刊工業新聞 8頁には「タンバーグ、3Gゲートウエーなどビデオ会議の製品群を発表」の見だしのもと「持ち運び可能な専用のテレビ会議端末(写真)などユビキタス対応のビデオ会議ソリューション群が登場−。」との記載

(9)「日経トレンディ」(1999年5月1日発行)の184頁には「●超小型ハードディスクドライブ/低価格大容量が売りのマイクロドライブ/HDDからのデータ転送はCFの約3倍」の見だしのもと「さまざまな規格が乱立し、どれが業界標準になるのか先が見えないのが小型メモリーカードだ。そんな市場に今年、日本アイ・ビー・エムが超小型のハードディスクドライブ(HDD)で殴り込みをかける。・・・使い勝手で、CFと大きく違うのはデジタルカメラやパソコン本体のHDDからのデータ転送が速いところ。」との記載

(10)「サライ」(2003年4月3日号)の「50歳から始める デジタル道楽 ◎第12回 HDD内蔵/ラジオ録音機」の見だしのもと「実はこれ、内蔵のハード・ディスク(HDD)にラジオ番組を録音する製品なのだ。ハード・ディスクというのは、パソコンに使われている記憶装置で、この製品の場合、約350時間分の放送を、録音することができる。」との記載

(11)ユビキタス機器にも搭載される小型磁気ディスク装置(http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2005/07/60_07pdf/a0203.pdf)のホームページには「近年、磁気ディスク装置(HDD)の高密度・大容量化の技術革新により、各種ユビキタス機器に搭載できる超小型HDDが続々と登場してきている。」との記載

(12)SHARP(http://www.sharp.co.jp/products/hg02s/text/p1.html)のホームページには、「これ一台で4役をこなす、充実のユビキタス機能。」の見だしのもと「■テレビ&ビデオサーバーになる。/テレビチューナーとHDDレコーダー機能を内蔵。」との記載

以上よりすると、あらゆるものにネットワークが接続され、いつでも、どこでも簡単にアクセスできるパソコンや携帯電話を始め、家電等をユビキタス機器と称し、また、ユビキタス機器に搭載されるハードディスクが各種開発されていることも認められる。

そうとすれば、本願商標の「ユビキタスハードディスク」の文字からは、「ユビキタス機器対応のハードディスク」の意味合いを容易に理解するものといえるから、本願商標は、これをその指定商品中「ユビキタス機器対応のハードディスク」について使用した場合、商品の品質、機能を表示するものと認められ、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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