Trademark Appeal Case
立体商標の形状識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−18265(T2004−18265/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第28類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成15年8月21日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原審の拒絶の理由
原査定は、以下のように認定、判断し、本願を拒絶した。
(1)本願商標は、キューピーを模して作られた人形又はおもちゃを立体的形状で表してなるから、本願の指定商品中の「おもちゃ,人形」との関係においては、「キューピー人形を模して作られた人形型の商品」という商品の品質・立体的形状を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、前記商品以外の「おもちゃ・人形・愛玩動物用おもちゃ」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、以下の登録商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品(役務)について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
登録第184080号、登録第184081号、登録第186297号、登録第1055795号、登録第1544380号、登録第1592154号、登録第1653908号、登録第2136056号、登録第2643399号、登録第2658391号、登録第4230810号、登録第4272954号、登録第4272956号、登録第4275749号、登録第4278358号、登録第4278359号、登録第4312606号、登録第4343450号、登録第4343451号、登録第4367653号、登録第4367654号、登録第4367655号、登録第4372111号、登録第4372209号、登録第4372210号、登録第4435103号、登録第4443689号、登録第4443690号、登録第4443692号、登録第4443693号、登録第4455273号、登録第4525994号、登録第4525995号、登録第4525996号、登録第4564585号、登録第4575560号、登録第4600278号、登録第4600280号、登録第4608815号、登録第4621651号、登録第4621653号、登録第4621654号、登録第4621659号、登録第4635211号、登録第4635212号、登録第4635213号、登録第4635214号、登録第4641503号、登録第4642165号、登録第4673441号、登録第4673442号、登録第4673443号、登録第4697645号、登録第4697646号、登録第4697647号、登録第4726488号、登録第4841547号
3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、その立体商標が指定商品との関係において、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの立体形状よりなるところ、これは、裸の乳幼児を表現した人形であって、頭が丸く、髪は中央が突出した形であること、ふっくらとした頬や丸く大きな目、その表情等がわが国においてよく知られている「キューピー人形」の特徴を備えているものといえる。
そして、これらの特徴は、いずれも商品(人形)の機能、美感を発揮させるために必要な形状といえるものであって、いまだ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないものと解するのが相当である。
ところで、辞書類やインターネット情報等によれば、「キューピー人形、キューピー人形を模した形状をした人形型のおもちゃ」等について、以下の事実が認められる。
(A)「キューピー人形」が一般的な人形として知られていること
a)「広辞苑(第五版)」(岩波書店発行)には、「キューピー(Kewpie)」の項が設けられていて、「オニール(Rose O'Neill 1874-1944)のキューピッドの絵を模したセルロイド製のおもちゃ。頭の先がとがり、目の大きい裸体の人形。1910年代にアメリカで発売。」と記載されている。
b)「国語辞典」(三省堂発行)には、「キューピー(名)〔kewpie〕の項が設けられていて、「はだかで目の大きい、おもちゃの人形」と記載されている。
d)コンサイス外来語辞典(三省堂発行)には、「キューピー」の項が設けられていて、「キューピッドをかたどった人形。目は丸く大きく、頭はとがっている。」と記載されている。
(B)「キューピー人形、キューピー人形を模した形状をした人形型のおもちゃ」等が多数製造・販売されていること(平成19年3月7日インターネット検索)。
a)「キューピー人形格安販売」の標題のもと、「出生時体重キューピー、 キューピー人形、5cmから64cmまで大小様々のキューピー勢揃い、キューピー人形格安販売中」の記載と共に、商品を写真を用いて紹介している(http://www.parabox.jp/qpi3.html)。
b)「オビツ製作所」のホームページ「ホビー(手芸)」の項において、サイズ、色彩、形態等が異なる商品(キューピー人形)を紹介している(http://www.obitsu.co.jp/shoukai/hobby/fr_hobby.html)
c)「【楽天市場】限定キューピーストラップ:携帯グッツ専門店のストラップヤ!」の標題のもと、「ストラップヤ楽天市場店は携帯ストラップ・携帯グッズの専門店です。ちまたでは扱っていないような携帯ストラップから、マスコミで話題の携帯・・」の記載ともに、各種の形態の商品(キューピー人形を模したストラップ)を紹介している。
(http://www.rakuten.co.jp/keitai/387921/705623/705737/)
d)「【キ】キューピー人形携帯ストラップ-yahoo!ショッピング」の標題のもと、「駄菓子の王道☆うまい棒キューピーストラップ(とんかつソース味) ・ 駄菓子の王道☆うまい棒キューピーストラップ(コーンポタージュ味) ・ 駄菓子の王道☆うまい棒キューピーストラップ(たこやき味) pad. 98-026390 525円(税込)」等の記載ととに、各種の形態の商品(キューピー人形を模したストラップ)を紹介している。
( http://store.yahoo.co.jp/keitai/bfcdb5a4a5ada5e3a5e9b7cf-a1daa5ada1dba5ada5e5a1bca5d4a1bcbfcdb7c1b7c8c2d3a5b9a5c8a5e9a5c3a5d7.html)
以上のとおり、「キューピー人形」は、わが国の取引者、需要者に、一般的な人形として親しまれ、認識されているものであり、また、キューピー人形、あるいは、キューピー人形を模したとみられる人形型のおもちゃ等が、請求人以外の者によって、製造・販売されている事実が認められる。
そうとすると、「キューピー人形」の特徴を持つ本願商標は、取引者、需要者に「キューピー人形」の特徴をもつ人形の一形状を表してなるものと認識されるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標を、その指定商品中の「おもちゃ、人形、愛玩動物用おもちゃ」について使用するときには、これに接する取引者、需要者は、これを「キューピー人形、あるいは、キューピー人形を模して作られた商品」であること、すなわち、「キューピー人形、あるいは、キューピー人形を模した形状をした人形型のおもちゃ・人形・愛玩動物用おもちゃ」であると認識し、単に商品の形状を表示するにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であり、かつ、これを「キューピー人形、あるいは、キューピー人形を模した形状をした人形型のおもちゃ・人形・愛玩動物用おもちゃ」以外の「おもちゃ、人形、愛玩動物用おもちゃ」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人は、「キューピーを模して作られた人形型おもちゃ」について、キューピー人形の創作者、ローズ・オニール(Rose O’Neill)氏から、わが国において持つ当該人形の著作権を譲渡され、当該人形を製造できるのは請求人のみである旨、主張している。
しかしながら、前記のとおり、様々な形状のキューピー人形、キューピー人形を模した人形型のおもちゃ等が製造・販売されていること、そして、本願の指定商品の需要者層は、子供から中高年層までと幅広いことから、当該著作権を有する形状の商品と第三者の製造にかかる商品を必ずしも明確に識別できるとは限らないこと等の実情を考慮すれば、本願商標が、仮に当該著作権を有する形状を表示しているとしても、本願商標をキューピー人形、あるいは、キューピー人形を模した形状をした人形型のおもちゃ・人形・愛玩動物用おもちゃの一形状を表したものと認識されるにすぎないとした前記認定を覆すことはできない。
(4)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
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