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Trademark Appeal Case

品質表示図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−11138(T2006−11138/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成17年3月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、青色長方形内に脊柱のレントゲン写真の椎骨及び関節部分をありふれた赤色円輪郭で囲み、それを四等分するかのように赤色の直線を円からはみ出すほどに描き、その直線の交点付近を赤くぼやかし、そこに向けて左下方向から赤色三角矢印様の図形を描いてなるものであるから、これに接する取引者・需要者は、椎骨の治療用の商品であると認識するにとどまり、これをその指定商品中、椎骨の炎症である脊椎炎治療用薬剤等に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲のとおり、青色長方形内の脊柱を中心とするレントゲン写真に椎骨及び関節部分を赤くぼかし、それを囲む赤色円輪郭、その輪郭外にまで及ぶ赤色十字線、及び、頂点を円中心に向けた赤色三角形様を描いた構成からなると理解されるものである。

ところで、本願指定商品に限らず、各種商品を取り扱う業界においては、商品のパッケージ、説明書及び宣伝広告等において、商品の品質、形状、原材料又は使用方法等を、デザインや構図を工夫した図説や図解を用いて端的に表示することが、一般に広く行われているところである。

そして、これらに接する需要者等は、当該図説や図解から、商品の品質、形状、原材料又は使用方法等を認識、理解するといい得るものである。

これを、本願指定商品中の「薬剤」についてみると、インターネットのホームページの情報から、以下に示す実情を窺い知ることができる。

(1)目の筋肉に作用する目薬について、眼球断面図の毛様体に向けて連続した矢印を表示したパッケージの記載。(http://www.rclub2.rohto.co.jp/eye/index.htm)

(2)成人・老人の乾皮症用薬剤について、人体に赤くぼかした部分と体の部位を意味する文字が引出線で結ばれている構図のパッケージの記載。(http://www.seijonet.com/shop/image/cmdty/0/4987067222407_2.jpg)

(3)のどの炎症用薬剤において咽頭部を赤色で円輪郭と輪郭外にまで及ぶ十字線で示した構成図を表示されたパッケージの記載。(http://www.taisho.co.jp/pabron/365/spray/index.html)

(4)関節痛・腰痛用薬剤について、格子状の背景に人体の一部の関節を表し、色彩と鍵型矢印及び丸印で特定の部位を表示したパッケージの記載。(http://www.kobayashi.co.jp/Seihin/ans_y/index.html)

(5)筋肉・関節の鎮痛、消炎用薬剤のテレビコマーシャル情報において、人体骨格の特定の部分を赤くばかした構図の画面が記載。(http://www.hisamitsu.co.jp/healthcare/cm10.html)

(6)筋肉・関節の鎮痛、消炎用薬剤において、格子状の背景に関節のレントゲン写真を表示したパッケージの記載。(http://www.hisamitsu.info/feitas/)

(7)筋肉・関節の鎮痛、消炎用貼付薬剤について人体の写真にピンクの丸印で特定の部位を指し示した構図のパッケージの記載。(http://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/search/dispproduct.php?productid=749&ref=Command%3Dlistup%26SubCommand%3Dcategory%26page%3D0%26categoryid%3D21)

(8)関節痛・神経痛用薬剤について、格子状の背景にレントゲン写真を表示し、部位とその症状を三角形で結んだ表示のラベルの記載。(http://www.kenko.com/product/item/itm_6524392072.html)

(9)コンドロイチンを含有する薬剤について、中心を赤と黄色に印された骨と関節を表す図を中心とする円から、四方に直線が描かれ、また、骨格が描かれた手と腰部を部分的に赤く着色した人体図形等の記載。(http://www.kobayashi.co.jp/seihin/ans_k/index.html)

以上、これらの実情からすると、薬剤のパッケージや宣伝広告等において、商品の効能、適応箇所を表示するために、人体及びその一部の図形、骨格の図形、骨格のレントゲン写真等を使用し、色彩や矢印、引き出し線等で患部を特定させて表示することが、当業者間において普通に行われていることが認められ、これらの表示に接する需要者等は、当該図形全体から、商品の用途、適応箇所等を容易に認識し、把握するとみるのが相当である。

そうとすれば、本願商標の構成中、レントゲン写真を表示したと認められる図形は、前記のとおり、脊柱を中心とする椎骨及び関節部分と認められるものであり、その構成中の赤色円輪郭とその輪郭外にまで及ぶ赤色十字線及び赤色三角矢印様の組合せからなる図形は、請求人のみが使用している図形であるとしても、該レントゲン写真の特定の箇所(関節部分)を指し示したものと理解されるしるしとみるのが自然であって、指定商品中の「薬剤」との関係からみれば、商品の効能が発揮される患部を表したものと理解されるものである。

また、本願商標におけるレントゲン写真及び赤色の図形は、薬剤の使用箇所や患部を特定するために使用される方法の一つとして理解されるというべきであるから、本願商標は、全体として、商品の効能・効果が発揮される患部を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、椎骨の関節炎治療用の商品に使用しても、これに接する需要者等が、商品の出所表示標識として認識するものではなく、単に商品の品質等を表示するものとして、把握・理解するに止まるものであり、また、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

なお、請求人は、過去の登録例を挙げるとともに「本願商標は、素早く、確実に薬効を実現させることを間接的ないし暗示的に表現しているものであって、かつ、特に患部付近に配された図形は、他に例がなく、そもそも、本願商標は、顕著である。本願商標のような表現方法は『広く行き渡って用いられている方法』ではないから、これは『普通に用いられる方法』に該当せず、従って、本願商標は法第3条第1項第3号には該当しない。」旨主張しているが、本願については、前記認定のとおり判断するのが相当である。

さらに、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではないから、これらの点についての請求人の主張は、採用することはできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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