sokuhyo

Trademark Appeal Case

伝統的名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−90244(T2006−90244/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4931919号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4931919号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「ルーシーダットン」と欧文字「Rusie Dutton」を二段に書してなり、第16類「新聞,雑誌」を指定商品として、平成17年3月23日に出願、同18年2月24日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人タイ王国政府商務省知的財産局(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第128号証を提出している。

第3 取消理由の通知の概要

当審は、平成18年11月2日付けで、商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものと認める旨通知した。その取消理由の要旨は次のとおりである。

1.申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、以下の事実及び事情が認められる。

(1)「ルーシーダットン」とは、タイ王国において古くから伝わる、呼吸法・瞑想法を用いた自己整体法の名称であって、元来、巡礼を行う僧侶や修行僧が自己癒合の方法として考案したのが始まりであるといわれており、その由来に基づいて「Rusie(ルーシー)」=「仙人」、「Dutton(ダットン)」=「自己ストレッチ」と名づけられた。

(2)「ルーシーダットン」の歴史的背景

チャクリー王朝(現在のタイ王朝)の創始者であるラーマ1世の治世の折、タイ国内に点在していたタイの医学知識が収集され、「ルーシーダットン」も収集対象とされた医学知識の一つであった。ラーマ1世は、収集された資料をもとに「ルーシーダットン」のポーズを模した像を作成し、1788年ワットプラチェトゥポン(現在のワットポー:寺院の名称)を建立した際に設置した。これは国民の健康促進に役立つ方法として公衆に広く普及させようという意図による慈善事業として行われたものである(甲第28号証)。その後、ラーマ3世(1788〜1851)は、破損の激しかったラーマ1世時代のルーシーダットン像に替わる像を新たに制作するとともに、「ルーシーダットン」の効能、用法に関する解説を表した詩を刻んだ石碑をワットポーに設置したほか、「ルーシーダットン」に関する絵巻等を著述し、タイ国民への「ルーシーダットン」の普及に貢献した(甲第29号証)。その後、ルーシーダットンの教本の出版は脈々と続けられた(甲第30号証)。

(3)タイ王国政府による「ルーシーダットン」の普及プロジェクト「ルーシーダットン」は、ラーマ1世およびラーマ3世によって体系づけられ、タイ国民に周知されたが、後世、設置された像や石碑の多くが破損、盗難に遭うなどといった事情によって、資料が散逸し、本来の型や、効能等が不明になるという事態に陥った。しかし、タイ王国政府は、1993年から2004年までにわたる「タイ伝統医学知識の復興プロジェクト」という長期プロジェクトを起ち上げ、保健省を中心に同プロジェクトを遂行させることを決定し、政府機関・教育機関・研究所により、「ルーシーダットン」に関する散逸した知識を収集し体系づけるとともに、トレーニングコースの開催、書籍の出版、博物館における模型の設置、イベントの開催、普及促進グッズの販売等の活動が積極的に行われ、トレーニングコースでは、延べ268にもわたるコースが設置されて、コースの修了生はトレーナーとして各地方に出向き、学習したタイ伝統知識を教授する役目を担った。タイ王国政府がこのコースの設置に投じた予算は52、000、000バーツにものぼる。

上記トレーニングコースで用いられるテキストを含め、保健省およびその下部機関では「ル一シーダットン」に関する以下の書籍を出版している。 テキスト「Luk pra Kob」(甲第31号証)

テキスト「タイ式整体 ルーシーダットン」(甲第34号証)

テキスト「タイ式整体 ルーシーダットン108ポーズ」(甲第35号証) テキスト「タイ式医療に関する知識の記録と伝承」(甲第36号証)

テキスト「タイ式体操によるルーシーダットンの基礎ポーズ 15種」28,500部発行(甲第37号証)

テキスト「タイ式体操 ルーシーダットンの基礎ポーズ 15種の手引き」5,000部発行(甲第38号証)

テキスト「政府系の公共衛星施設でのタイ伝統医学サービスを行う際の基準」12,000部(甲第39号証)

テキスト「タイ式医療に関する研修の手引き」1,100部発行(甲第40号証)

テキスト「保健省によるタイ式医療のカリキュラム」(甲第41号証)

書籍「庶民のためのタイマッサージ 自分自身を扶助する学問と技能」(甲第42号証)

書籍「健康のためのタイマッサージ」(甲第43号証)

書籍「タイ式医療による健康管理に関する国民のマニュアル」(甲第44号証)

書籍「タイ式医療の基礎 研修開催資料」(甲第45号証)

書籍「タイマッサージの手引き」(甲第46号証)

このほか、1999年8月22日〜9月2日までの期間、保健省は「Thai Massage,Local P1ant and TraditionaI Food」というイベントを開催し、専門家を招いて「ルーシーダットン」のデモンストレーションおよび指導を行った。

また、タイ政府は、「ルーシーダットン」を含む伝統的タイ医学知識をタイ国内の貴重な知的財産として位置付け、これらの保護・普及を目的とした法律「タイの伝統的医学知識の保護及び促進に関する法律」を1999年11月に公布した(甲第52号証)。

(4)「ル一シーダットン」の帰属

ラーマ3世は、「ルーシーダットン」に関する解説を詩の形式で著し、石碑に刻んでワットポーに設置したが、その詩の冒頭において、「ラーマ3世は、国民のために役立つように知識を刻んだ」と明言し、「ルーシーダットン像および石碑は、タイ王国の国王がタイ国民に与えた知識であって、タイ国民の公共の財産とすべき」としている(甲第28号証)。

当時の国王の意思を忠実に守り、タイ国内では、「ル一シーダットン」は「タイ国民が国王より賜った歴史的遺産であり、決して特定の者に独占されるべきものではない。」と考えられている。

(5)「ルーシーダットン」は、例えば2004年1月にTBSより放映された人気番組「世界ふしぎ発見 ! 第854回 強く! 美しく! 健やかに ! タイで健康体」(甲第10号証)、2005年9月にテレビ西日本より放映された番組「Qでん百科」(甲第11号証)、2005年9月にJ-WAVEより放送された番組(甲第12号証)などたびたび取り上げられている。

(6)2005年以前に掲載された「ルーシーダットン」に関する雑誌記事の一例として、季刊誌「Holistichealing Guide Book/気の森2003年冬号」(甲第13号証)、定期刊行誌「セラピスト」(甲第14号証及び甲第15号証)等、数々の雑誌においても「ルーシーダットン」の用法、効能、講座の紹介などがたびたび掲載されている。

(7)「ビューティーワールド2005」(甲第16号証及び甲第17号証)や、2006年2月に開催されたタイ王国商務省主催のイベント「2006Thainess to the World」(甲第18号証ないし甲第20号証)等において、参加者に対する実演紹介が行われている。とりわけ、前者の「ビューティーワールド」は、毎年ビューティー業界の企業が一堂に集う大規模なイベントであり、「ルーシーダットン」のデモンストレーションが行われた2005年の来場者は46,535名にのぼる。

(8)2005年11月4日発売の「imidas/イミダス2006」(甲第21号証)、2005年9月5日にYahoo!辞書(甲第22号証)に「ルーシーダットン」の用語解説が掲載されたのをはじめ、多くのウェブページにて「ルーシーダットン」の説明、「ル一シーダットン」の方法が紹介されるに至っている(甲第23号証ないし甲第25号証)。

(9)「ルーシーダットン」は、日本人観光客がよく訪れるワットポーでも、頻繁にエクササイズが行われている。

また、タイ式マッサージの学校として伝統があり、日本からの学生を数多く受けいれることで、日本国内でもその名がよく知られているワットポー・トラディショナルメディカルスクールは、2004年から2006年6月までの間に約2000人にものぼる日本人を受け入れている(甲第27号証)。同校では、毎朝のエクササイズとして「ルーシーダットン」を取り入れており、学生、観光客、一般の人々の自由参加を認めている。

(10)さらに、本件商標の権利者は、同校の出身であり、日本において「ルーシーダットン」講座を開催している。

2.以上のとおり、「ルーシーダットン」、「Rusie Dutton」は、タイ王国、タイ王国国民の間で大切に守られてきた伝統的医学知識の一つであって、タイ国国王、タイ王国政府がその復興、普及に永年尽力し、タイ王国国民にとって文化的遺産ともいうべきものであると認められる。

そして、商標権者自らもワットポー・トラディショナルメディカルスクールの卒業生であることからすれば、「ルーシーダットン」、「Rusie Dutton」がタイ王国及びタイ王国国民にとって上記のような価値を有するものであることについて十分に理解していたものと推認出来る。

3.してみれば、商標権者は、「ルーシーダットン」、「Rusie Dutton」よりなる本件商標を、我が国において商標登録されていないことを奇貨とし、出願し、登録を得たものであり、かかる経緯は、タイ王国並びに同国国民の尊厳、国民感情からみて国際信義にも違背するおそれがあり穏当でないものであるばかりでなく、このような行為に基づいて登録された本件商標を、商標権者がその指定役務について独占して採択、使用することは、公正な取引秩序を阻害するおそれがあるものと認められる。

4.したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見の概要

商標権者は、第3取り消し理由について、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第101号証ないし乙第163号証(乙第1号証ないし乙第100号証)及び乙第201号証ないし乙第211号証(乙第164号証ないし乙第200号証は欠号)を提出している。

(1)「ルーシーダットン」は、タイ国でも古代のもので、ある地域の限られた者が知っている程度で、決してタイ全国的に周知の語ではない。まして、日本では「自己整体法」(伝統的医学的知識)を意味することなど知られていない。

(2)商標権者(古谷暢基)は、2003年ころから現在まで100以上の講座を設置、数百人のインストラクターを養成してきた。2005年4月から日本初の「日本ルーシーダットン普及連盟」(NPO法人)を主催し、「ルーシーダットン」の普及に努めてきた。2005年夏頃からはむしろ「日本ルーシーダットン普及連盟」の「タイ式ヨガ」として周知著名になっていたというべきである。

(3)商標権者は、タイで修得した自己整体法=「ルーシーダットン」をほとんど知られていない日本で普及してゆき、その業務進展のなかで、使用して、そのポーズの独特な名称や体系的な教授方法などで「日本ルーシーダットン普及連盟」の「ルーシーダットン」として多くの信用を獲得し、周知著名化して慣れ親しんだ語句の保護を求めて出願したものであって、出願されていないことを奇貨として出願したものではなく、むしろ、自己の開設する多数の講座に必要な定期刊行物の出版のために選択し登録を受けたものである。

したがって、商標権者が、日本国において周知著名にした「ルーシーダットン」商標を出願し、使用する行為は、遵法行為であり、正当かつ穏当なことである。

(4)商標権には、由来のある語句でも、その使用の形態が雑誌の題号で、社会的に容認される形態であれば、その商標で営業する自由はむしろ保証されている。

(5)定期刊行物について、本件商標「ルーシーダットン/Rusie Dutton」が登録性を有することは、以下の先登録例から推測でき、裏付けることができる。

私人や私企業が権利者である商標登録例であり、明らかに世界の某国の国技等であっても、法の領域が異なり、国際信義違背を主張されることはなく登録されているものである。

登録例1「相撲」登録第1797208号 第16類(乙第201号証) 同2「歌舞伎」登録第1333851号 第26類(乙第202号証)

同3「武道」登録第2179791号 第26類(乙第203号証)

同4「ラジオ体操」登録第4550800号 第16類(乙第204号証)同5「マラソン」登録第2553327号 第26類(乙第205号証)

同6「サーフィン」登録第4720305号 第16類(乙第206号証)同7「ペタンク」登録第2130336号 第26類(乙第207号証)

同8「スキー」登録第1973903号 第26類(乙第208号証)

同9「フットボール」登録第4813386号 第26類(乙第209号証)

同10「フラダンス」登録第4940772号 第30類(乙第210号証)

同11「くらし」登録第2391710号 第16類(乙第211号証) 以上は、国技や有名なパフォーマンス等と同じ語句の商標登録の一例であり、その国の伝統文化とか国民感情に関連付けて理解される場合がある国技スポーツの登録である。

国際信義に関して、商標法第4条第1項第7号に該当しないとされた審決例(商標「エリザベス」の審決例審決昭35.4.7・昭29抗2449・公226-65)では「エリザベス」はイギリス女王を連想させるとしても、一般的に営利を目的とする事業の商品に使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものと認めるに足る何らの根拠も見出すことができないとされ、登録されている。

(6)以上のとおり、本件商標は、その役務「タイ式ヨガの教授」について、商標権者の正当な使用により周知著名化されたものであり、保護されるべき信用を確保している。これに伴う定期刊行物「新聞、雑誌」の題号として採択しようした場合でも、直ちに商標権者の業務を連想させるものである。 したがって、商標権者が登録出願し、登録を受けたことは、社会公共の利益や公序、社会通念の一般的道徳観念及び国際信義にも反するおそれもなく、商標法第4条第1項第7号に該当しないものであり、本件商標の登録は維持されるべきである。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第7号の意義

商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とは、(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合をいうが、商標登録が特定の国との国際信義に反するかどうかは、当該商標の文字・図形等の構成、指定商品又は役務の内容、当該商標の対象とされたものがその国において有する意義や重要性、我が国とその国の関係、当該商標の登録を認めた場合にその国に及ぶ影響、当該商標登録を認めることについての我が国の公益、国際的に認められた一般原則や商慣習等を考慮して判断すべきである。その上で、当該商標が商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に当たるかどうかは、上記(1)〜(5)の具体的な事情を総合的に考慮して決することになる。(平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決言渡)

2 「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)等について

前記第3取消理由の通知において認定のとおり、「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)は、タイ王国において古くから伝わる、呼吸法・瞑想法を用いた自己整体法の名称である。

ところで、前記第3取消理由の通知の「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)の歴史的背景によれば、チャクリー王朝(現在のタイ王朝)の創始者であるラーマ1世は、タイ国内に点在していたタイの医学知識を収集し、その一である「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)を、国民の健康促進に役立つ方法として公衆に広く普及させようという意図でルーシーダットンのポーズをあらわした像(「ルーシーダットン像」)を製作、1788年ワットプラチェトゥポン(現在のワットポー:寺院の名称)を建立した際にこれを設置した。その後、ラーマ3世(1788〜1851)は、「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)の効能、用法に関する解説を表した詩を刻んだ石碑をワットポーに設置したほか、「ルーシーダットン」に関する絵巻等を著述し(甲第29号証)、「ルーシーダットン像および石碑は、タイ王国の国王がタイ国民に与えた歴史的遺産であって、決して特定の者のみに与えたれるものではない」とあらわしている(甲第28号証)。

さらに、タイ王国政府は、「ルーシーダットン」を含む伝統的タイ医学知識をタイ国内の貴重な知的財産として位置付け、これらの保護・普及を目的とした「タイの伝統的医学知識の保護及び促進に関する法律」を1999年11月に公布した(甲第52号証)。

また、タイ王国政府は、1993年から2004年にわたって「タイ伝統医学知識の復興プロジェクト」という長期プロジェクトを起ち上げ、保健省を中心に政府機関・教育機関・研究所により、「ルーシーダットン」に関する散逸した知識を収集し体系づけるとともに、トレーニングコースの開催(甲第33号証)、テキスト等書籍の出版(甲第34号証、甲第35号証)、博物館における模型の設置、イベントの開催、普及促進グッズの販売等の活動を積極的に行った。

加えて、ラーマ1世が建立したワットポーに併設されているワットポー・トラディショナルメディカルスクールは、「ルーシーダットン」も含むタイ式マッサージの学校として伝統があり、各国からの研修生を積極的に受け入れており、2004年から2006年6月までの間に、約2000人にものぼる日本人を受け入れている(甲第27号証)。

以上のとおり、「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)は、タイ国国王が、国民の健康維持のために、伝統的タイ医学的知識の一つとして体系化し、その普及に尽力し、その後、タイ王国政府が、長期プロジェクトを起ち上げ、法律までも制定して、保健省を中心にその復興、普及のために積極的に活動を行ってきたものである。

そして、立憲君主制であるタイ王国の国民は伝統的に国王又は王室への信頼や敬意が非常に高い国民性を有することも考慮すれば、「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)は、タイ王国又はタイ王国国民にとって公共の文化的な財産ともいうべきものである。

3 商標権者について

商標権者は、前記ワットポー・トラディショナルメディカルスクールに2002年に在籍しており、その後、日本において「ルーシーダットン」講座を開催し、「ルーシーダットン普及連盟」の代表者として、テレビや雑紙等においてしばしば取り上げられ、平成17年(2005年)3月23日に「ルーシーダットン」、「Rusie Dutton」よりなる本件商標を登録出願し、同18年(2006年)3月17日に設定登録を受けたものである。

4 判断

本件商標は、前記のとおり「ルーシーダットン」及び「Rusie Dutton」の文字よりなるものであり、該「ルーシーダットン」及び「Rusie Dutton」はタイ王国又はタイ王国国民にとって公共の文化的な財産ともいうべきものであるから、これを、タイ王国と関係を有しない又はタイ王国国民でもない商標権者が、タイ王国及び商標権者が在籍していた「ワットポー・トラディショナルメディカルスクール」に無断で登録出願し、登録を得た行為は、仮に商標権者に不正の目的の意思があったとはいえないとしても、これを客観的にみれば、「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)の普及活動等のために、海外からの研修生を多数受け入れ「ルーシーダットン」(Rusie Dutton)の普及活動を行っている「ワットポー・トラディショナルメディカルスクール」及びタイ王国又はタイ王国政府関係者等との信義誠実の原則に反し、穏当を欠くものというべきであり、かつ、本件商標を日本国において商標として登録することは、我が国とタイ王国との間の国際信義に反するものといわなければならない。

なお、商標権者は登録例を挙げ、本件商標についても同様に登録されるべきである旨主張しているが、他の登録例と本件商標とは、それぞれの商標の取引事情等において事案を異にするものである。

5 以上のとおり、本件商標は、国際信義に反し、かつ公正な取引秩序を阻害するものといわなければならないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。