Trademark Appeal Case
称呼類似と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90432(T2006−90432/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4965568号商標(以下「本件商標」という。)は、「パシフィックマネージメント」の片仮名文字と「Pacific Management」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成17年11月30日に登録出願、第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同18年5月18日に登録査定、同年6月30日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録を取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第8号
本件商標中の和文(片仮名)表記が「パシフィックマネージメント」であるのに対し、申立人の名称の略称は、「パシフィックマネジメント」であり、本件商標との相違は、「ネ」と「ジ」の間に長音「ー」が入っているか否かの違いにすぎず、両者は実質的に同一のものである。
また、本件商標中の英文字表記が「Pacific Management」であるのに対し、申立人の英文名称の略称は「PACIFIC MANAGEMENT」であり、明らかに類似する。
申立人は、不動産投資ファンド事業を中核に、不動産の投資、取得、運用、売買等を業とする会社であり、不動産投資業界の最大手である(甲第1号証ないし甲第5号証)。
また、「経営委託及び管理」、「市場調査」、「事業運営に関するマネジメント」、「コンサルティング業務」など、新規な事業領域への拡大を視野に入れている。
そして、申立人の名称の略称は、本件商標の登録出願時には既に著名となっており、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標であって、申立人の了承を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号
申立人の商標「パシフィックマネジメント」、「PACIFIC MANAGEMENT」(以下、まとめて「引用商標」という。)は、不動産関連業務をはじめ、資産活用や事業再生の助言・指導・コンサルティング、ゴルフ場や遊技場施設・リゾートなどの取得・活用・再生・価値向上・ファンド組成などの業務に使用され、また、マスメディアを通じて広く報道され、その役務を表示するものとして、本件商標の登録出願前から需要者の間に広く知られているものである。
そして、本件商標の指定役務と申立人が引用商標を使用している役務とは同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
また、申立人は、不動産投資・ファンド・事業再生業界において、業界一番の資産運用残高、売上高を有していること、申立人及び関連業務グループが設立当初より広範囲な事業への進出を考え、実際に準備を行ってきたこと等から、申立人の業務と本件商標権者の業務とは、その出所の混同を生ずるおそれがあること明らかであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている申立人の商標と類似するものである。
また、本件商標権者は、申立人と直接接触した経緯があるとともに(甲第6号証)、その指定役務について申立人が現実に商標の使用をし、広く報道された後に申立人の商標と同一・類似の構成で、あえて、出願をしたものであり、不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当する旨主張しているので、以下、これらについて判断する。
(1)商標法第4条第1項第8号
申立人は、申立人名称の略称である「パシフィックマネジメント」及び英文名称の略称である「PACIFIC MANAGEMENT」が、本件商標の登録出願時に既に著名となっており、本件商標は、上記略称を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する旨主張し、証拠方法として甲各号証を提出している。
しかしながら、申立人提出の甲第1号証(現在事項全部説明書)は、申立人会社の商号、本店、設立年月日、事業目的、発行済み株式、資本金の額等々が記載されているに止まるものである。
また、甲第2号証は、申立人が第36類、第42類に属する役務について登録第4869565号ほか商標登録を得ていることを示すにすぎないし、甲第3号証は、会社案内のパンフレットと思われ、単に申立人会社の事業紹介、売上高、経常利益、沿革等が示されているものである。
さらに、甲第5号証は、不動産投資ファンドを主たる業務とする申立人会社の新聞広告又は同社が取り上げられた新聞記事・雑誌記事等の紹介であるところ、そのほとんどが日本経済新聞、日刊工業新聞等において、ごく小さな記事として掲載されているに止まるものである。
してみれば、上記甲各号証によっては、申立人の名称の略称が広く需要者間に知られていたということはできないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称又はこれを含む商標ということはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号
前記(1)のとおり、申立人の略称及び引用商標が不動産関連業務をはじめ、資産活用や事業再生の助言・指導・コンサルティングなどの業務において使用されていることは認め得るものである。
しかしながら、申立人の提出に係る甲各号証によっては、これが本件商標の指定役務の取引者、需要者に広く認識されているとまではいうことができないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するものということはできない。
また、引用商標は、取引者、需要者に広く認識されているということができないから、本件商標をその指定役務について使用しても、これが申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ず、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号
申立人は、本件商標が不正の目的をもって使用をするものである旨主張し、証拠方法として甲第6号証を提出している。
しかしながら、甲第6号証は、本件商標権者から申立人宛に送付された「照会状」であり、その内容は、本件商標権者の経営するゴルフ場の数が全国一位であり、同社の「パシフィックゴルフマネージメント」の名称は著名であることから、申立人がこれと類似する「パシフィックマネージメント」を使用した場合、誤認・混同が生じ、不正競争防止法に該当する可能性があるとして、この点について申立人に回答を求めた照会状と認められる。
そうすると、上記照会状が存在するからといって、本件商標権者が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的等)をもって本件商標を使用するものであるとまでは言い切れないというべきであり、加えて、前述の(2)のとおり、引用商標は、需要者の間に広く認識されているとはいえないものであるから、結局、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するということはできない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当しないから、同法第43条の2第4項にもとづき、その登録は維持するものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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