Trademark Appeal Case
称呼類似性と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90535(T2006−90535/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4975950号商標(以下「本件商標」という。)は、「JPOP」の欧文字を横書きしてなり、平成16年12月28日に登録出願、第9類、第16類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年8月4日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人ムンディファルマ アクチエンゲゼルシャフト(以下「申立人」という。)が本件商標についての取消理由に引用する登録第4809837号商標(以下「引用商標」という。)は、「JPAP」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年10月9日に登録出願、第5類、第9類、第16類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同16年10月15日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ジェイピーオーピー」、「ジェイポップ」、「ジェイポプ」の称呼を生じ、また、引用商標は、「ジェイピーエーピー」、「ジェイパップ」、「ジェイパプ」の称呼を生じるものであるところ、これらの各称呼は、「オー」と「エー」、「ポッ」と「パッ」、「ポ」と「パ」の差異のみであり、いずれも近似する音である上に、聴者の印象に残りにくい中央語尾寄りに位置するものであるから称呼上類似するものである。
よって、本件商標の指定商品・指定役務中、「健康・医療関係の情報の録画済みビデオディスク・ビデオテープ及び電子出版物,健康・医療関係に関する新聞・雑誌その他の印刷物,健康・医療関係の情報に関する電子出版物の提供,医療情報の提供」については、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第15号について
申立人の企業グループは、全世界的に「Partners Against Pain」プロジェクトを推し進めている。このプロジェクトは、疼痛に関心を持つ人々(医師や薬剤師のみならず疼痛に苦しむ患者や病人を含む)に対して、疼痛の取扱・治療等に関連する情報を交換する場を提供することにより、疼痛に苦しむ患者や病人を救うための治療技術の進歩を促し、広く社会に貢献することを目的としている。
わが国においては、申立人の企業グループのうちの日本法人である「ムンディファーマ株式会社」の協賛のもとで医師を中心とするメンバーによる「Japan Partners Against Pain」が結成されており、広く活動をしている(甲第12号証ないし甲第25号証)。「JPAP」は、商標として、また、当該団体の略称として、当該団体により使用されているものである。
上記のような状況下において、「JPAP」と極めて紛らわしい本件商標がその指定商品・指定役務について使用されるときは、当該団体の業務に係る商品・役務であるかの如く混同を生ずるおそれのあることは必至である。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、前記のとおりの構成からなるところ、その構成文字に相応して、本件商標からは「ジェイピーオーピー」あるいは「ジェイポップ」の称呼を、引用商標からは「ジェイピーエーピー」あるいは「ジェイパップ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、これらの各称呼を比較するに、本件商標から生ずる「ジェイピーオーピー」の称呼と引用商標から生ずる「ジェイピーエーピー」の称呼とは、いずれも成語を形成するものではなく、アルファベット4文字の読みを羅列してなるものであって、このような場合、発音に際しては一気一連というよりも一文字一文字を区切って明確に発音されるのが常といえる。そして、両称呼の差異音である「オ」と「エ」の音は、共に開放音にして明瞭に発音され、かつ、聴取されるものであるから、発音上のかかる事情と両音の差異とを併せ考慮すれば、両称呼は称呼上相紛れることなく十分区別し得るものというべきである。
次に、本件商標から生ずる「ジェイポップ」の称呼と引用商標から生ずる「ジェイパップ」の称呼とを比較するに、この両称呼の差異は中間における「ポ」と「パ」の音の差異とはいえ、「ポ」の音も「パ」の音も澄んだ音として聴取される破裂音であるうえ、いずれも促音を伴うことから、「ポ」及び「パ」の音は一層強調された発音となることから、この音の差異が5音という比較的短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、称呼上十分区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼において類似するものとはいえない。
また、本件商標と引用商標の外観を比較してみても、3文字目における「O」と「A」の文字に差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、両者の外観を見誤ることはないものということができ、さらに、両商標は、いずれも造語と認められるものであるから、観念については、比較すべくもない。
その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は、見出せない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれも相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
なお、申立人は、審決例等を挙げているが、それらの審決例で争われている商標は、本件とは商標の構成を異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
さらに、申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標は、申立人の日本法人の協賛のもとに結成された団体の名称である「Japan Partners Against Pain(疼痛に苦しむ看者や病人を救うための治療技術の進歩を促し、広く社会に貢献することを目的として設立された団体)」の略称を表す商標であり、一方、本件商標は、審査段階において提出された意見書によれば、商標権者の業務の一環として結成された団体の名称である「Japan Public Outreach Program(生活習慣病の治療と予防に関連した臨床試験や研究の推進を側面から支援するために、医療関係者及び一般市民の双方に対し、科学的根拠のある情報を発信することを目的に設立された団体)」の略称を表す商標であることが認められるが、このような特定の医療目的のもとに設立された団体が提供する商品や役務に接する需要者等は、明確な目的意識を持って商品や役務を選択するものということができるから、日常の生活用品等を購入する場合とは異なり、商標のみならず、団体名をはじめ、商品や役務の具体的な内容等にも充分な注意を払って取引に当たるものとみるのが相当である。
そうとすれば、前記した商標における差異と上記事情を併せみれば、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者等をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品・役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかの如く、その商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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