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Trademark Appeal Case

ING商標の類否と商品役務

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90307(T2005−90307/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4847899号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4847899号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成16年8月17日に登録出願、第4類「燃料」を指定商品として、同17年3月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標を引用する。

ア 国際登録第729149号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ING」の欧文字を横書きしてなり、2000年(平成12年)3月14日を事後指定の日とし、第35類及び第36類に属する国際登録簿に記録されたとおりの役務を指定役務として、我が国において、平成15年3月28日に登録されたものである。

イ 登録第3331047号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年8月6日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

ウ 登録第3331048号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成4年8月6日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

エ 登録第3064807号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成4年6月18日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年7月31日に設定登録されたものである。

オ 登録第3086722号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年10月31日に設定登録されたものである。

カ 登録第3086723号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ING BANK」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年10月31日に設定登録されたものである。

キ 登録第4118556号商標(以下「引用商標7」という。)は、「ING BARINGS」の欧文字を横書きしてなり、平成8年5月17日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同10年2月27日に設定登録されたものである。

ク 登録第4198146号商標(以下「引用商標8」という。)は、「ING BARINGS」の欧文字を横書きしてなり、平成8年5月17日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同10年10月16日に設定登録されたものである。

ケ 登録第4310853号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲6のとおりの構成からなり、平成9年10月9日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同11年9月3日に設定登録されたものである。

コ 登録第4310854号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲7のとおりの構成からなり、平成9年10月9日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同11年9月3日に設定登録されたものである。

サ 登録第4558360号商標(以下「引用商標11」という。)は、別掲8のとおりの構成からなり、平成12年3月29日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同14年4月5日に設定登録されたものである。

シ 登録第4558361号商標(以下「引用商標12」という。)は、別掲9のとおりの構成からなり、平成12年3月29日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同14年4月5日に設定登録されたものである。

ス 登録第4115610号商標(以下「引用商標13」という。)は、「ING Bank N.V.」の欧文字を横書きしてなり、平成7年11月8日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同10年2月20日に設定登録されたものである。

セ 登録第4115611号商標(以下「引用商標14」という。)は、「アイエヌジーバンク エヌ・ヴイ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成7年11月8日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同10年2月20日に設定登録されたものである。

ソ 登録第4181820号商標(以下「引用商標15」という。)は、「アイエヌジー生命保険株式会社」の文字を横書きしてなり、平成8年12月6日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同10年8月28日に設定登録されたものである。

以下、まとめていう場合、「引用商標」という。

(2)理由の要点

本件商標は、以下アないしウに該当するものであるから、その登録を取り消されるべきである。

ア 商標法第4条第1項第15号該当

申立人は、銀行、保険、資産運用の業務に従事する者(1991年3月に保険業と銀行業が融合された世界初本格的複合金融コングロマリット)であり、世界50カ国以上でその業務を展開する法人(グローバル企業)である。また、引用商標4と本件商標は、「ING(ing)GROUP」 の文字部分は多少デザインの差はあるが同一の文字からなるものである。また、「ingGROUP」の「GROUP」については「株式会社」「Co.,LTD.」と同じく、事業者が組織の形態(株式会社など)を表示するものであり、識別力が低い一方、要部は「ing」にあると考えられる。そうすると、「ING」を要部とする各引用商標と「本件商標」とは、「ING(ing)」 の部分で共通するため、本件商標と各引用商標は類似していることは明らかである。

他方、引用商標の指定役務は、第36類の役務を主とするものである一方、本件商標の指定商品は、第4類の商品を主とするものであり、両商標に指定商品又は役務は非類似と考えうる。しかし、申立人は上記のように、世界初の本格的複合金融コングロマリットであり、長年にわたり大型の企業買収等を行いその事業規模を拡大させてきた。したがって、金融・保険業以外の業務に拡張する可能性は、一般の需要者、取引者において大いに予想できるところであり、「ING」又は「ING(ing)GROUP」 の商標を第4類に使用すると、申立人と本件商標の権利者とが「経済的又は組織的に何等かの関係」があると需要者、取引者に看取され、具体的な出所の混同が生ずるおそれが高いことは明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第19号該当

申立人の引用する周知・著名商標は、世界50力国以上で、本件商標の出願日のかなり以前より使用されており、申立人と何ら関係のない本件商標権者が、これに類似する本件商標を同一役務に出願及び登録しようとするのは、申立人の商標の信用をフリーライドしようとするものに他ならず、「不正の目的」によって出願・登録されたものであることは明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

ウ 商標法第4条第1項第8号該当

申立人の名称は「アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴィ(ING GROEP N.V.)」(GROEPは英語のGROUPと同義)であり、日本を含んで世界的に周知・著名な名称である。これに対し、本件商標は「ingGROUP」である。よって、本件商標は「他人の著名な略称(「ING」又は「ING GROEP」)を含む商標」に該当し、かつ、本件商標登録出願時に他人(申立人)の承諾を得たと認められるものでもないので、商標法第4条第1項第8号に該当する。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号該当について

同法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性、その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(参照:平成12年7月11日最高裁判所判決、平成10年(行ヒ)第85号)。

ア 引用商標の周知、著名性について

申立人提出の甲各号証によれば、申立人である「アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴイ」は、オランダのアムステルダムに本社を持つ、銀行、保険、資産運用を業務とする法人(1991年3月に保険業と銀行業が融合された世界初の本格的総合金融機関)であり、世界50ヶ国でその業務を展開し、その規模は、2005(平成17)年フォーブス誌における時価総額の世界ランキングの第9位の評価を受け、その際、「INGグループ」「ING Group」とも表示されて紹介されている(甲第17号証)。

そして、申立人の我が国での活動は、アイエヌジー生命保険株式会社(1985年10月にナショナーレ・ネーデルランデン生命保険会社N.V.日本支社を設立し、その後1997年1月に商号変更)が中心的役割を担っており、ほかに、資産運用業務を目的とする「アイエヌジー投信株式会社」(設立1999年9月8日 )、確定拠出年金にかかわる業務を目的とする「アイエヌジー・プリンシパル・ペンションズ株式会社」(設立2000年5月)、銀行業務を目的とする「アイエヌジーバンクN.V.東京支社」、リース業務を目的とする「アイエヌジーリース東京支社」がある(甲第17号証、甲第19号証、甲第20号証、甲第21号証)。

つぎに、引用商標の我が国における新聞、雑誌等での宣伝、広告状況は、新聞においては、2003年2月20日日経金融新聞(甲第28号証)において、アイエヌジー生命保険を紹介している記事中で、「INGグループのアイエヌジー生命保険・・・」と掲載されている以外に、他の新聞には「INGグループ」「ING Group」が紹介されていない(甲第27号証ないし甲第30号証)。また、雑誌においても「生命保険ダイナミクス」(久保英也著:甲第23号証)及び「エコノミスト」(2002年9月16日発行:甲第27号証)の記事中に「INGグループ」の表示が出てくるものの、その他の雑誌には「INGグループ」「ING Group」の表示を見いだすことができない。他の新聞、雑誌とも、「アイエヌジー生命」「アイエヌジー生命保険会社」「ING LIFE(ライオンの図形入り)」の表示が掲載されているだけである。

なお、申立人あるいはその一員の作成に係るアニュアルレポート、ビジネスレポート(いずれも「アイエヌジー生命の現状」と題する文書)には、「INGグループ」の表示がある(甲第24号証ないし甲第26号証)。

さらに、申立人の中心的役割を担っているアイエヌジー生命保険株式会社の保険料収入が急激に伸びたのは2004年である(甲第24号証)。

一方、申立人及びその一員は、前述のとおり、銀行、保険、資産運用を中心とする業務を行っているものの、他の役務の提供や商品の製造、販売の分野に進出、拡大していることは見いだすことができない。

以上の事実によれば、本件商標の出願時である平成16(2004)年8月17日頃において、申立人のグループの一員であり、その中心的役割を担っているアイエヌジー生命保険株式会社の保険料収入が同年に急激に伸びたことを考慮すると、「アイエヌジー生命」「アイエヌジー生命保険会社」「ING LIFE(ライオンの図形入り)」の表示は、我が国の金融、保険、資産運用を業務とする分野においては相当程度知られるようになっていたといえるとともに、それに伴い、「INGグループ」及び「ING GROUP(ライオンの図形入り)」(引用商標4)とも、同分野において相当程度知られるようになったものと認められるものの、それを越えた広い分野までの役務、商品まではその周知性が及んでいるとは認めることができない。

イ 商品、役務の関連性、需要者の共通性について

つぎに、本件商標の指定商品と引用商標の指定役務との関連性をみるに、本件商標の指定商品である燃料は、固体燃料や液体燃料が含まれ、主に燃料店、ガソリンスタンド等で販売されるのに対して、引用商標の指定役務は、生命保険の引受け、預金の受入れ等を含むものであり、主に、保険、銀行で提供されるものであることは明らかであり、両者の事業者、用途、販売、提供場所などが著しく異なるものであり、また、両者の需要者も異なるものである。

ウ 本件商標と引用商標4との商標の類似性について

本件商標は、前記1のとおり、彩色や一部を図案化した「ingGROUP」の文字からなるところ、これより、「インググループ」及び「アイエヌジーグループ」の称呼をも生ずるものと認められる。他方、引用商標4は、「ING GROUP」の文字とライオンの図形よりなるところ、当該商標の指定役務の分野における周知性に鑑みれば、文字部分より「アイエヌジーグループ」の称呼を生ずるものである。そうすると、両商標は「アイエヌジーグループ」の称呼を共通にするものである。

また、両商標は、特定の観念を生ずるものとは認められないから観念において比較すべくもないし、外観においては、互いに区別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標4とは、称呼においては類似するといえるものの、観念、外観においては類似するものとはいえない。

エ 出所の混同のおそれについて

前記ウのとおり、本件商標と引用商標4とは、称呼において類似するものの、本件商標の出願時において、「アイエヌジー生命保険会社」(引用商標15)「ING LIFE(ライオンの図形入り)」(引用商標11、12)及び「ING GROUP(ライオンの図形入り)」(引用商標4)の周知性が、金融、保険、資産運用を越えた広い分野までの役務、商品までは及んでいるとは認めることができないこと、本件商標及び引用商標における商品、役務の関連性が著しく異なること、また、両者の需要者も異なることを総合すると、本件商標の出願時において、本件商標を指定商品に使用しても、需要者が引用商標4及びその他の引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第19号該当について

商標権者の提出した取消通知に対する意見書及びその証拠によれば、商標権者は、1948年に現在のグループの前身である竹沢興産が家庭用燃料を製造、販売して以来、その後、事業拡大し、商標権者が中心となって、企業をグループ化し、2001年10月に、竹沢興産を「イングコーポレーション」と改称し、グループ名を「インググループ」に変更し、グループに属する会社は、LPG、LPG容器の保安・メンテナンス、住宅関連、IT関連などの事業毎に合計7社に及んでいる(乙第2号証、乙第5号証ないし乙第7号証)ことが認められる。

そして、商標権者は、改称し、グループ名を「インググループ」に変更したことについて業界紙に発表し(乙第5号証ないし乙第7号証)、本件商標をその後の事業にも使用している(乙第2号証ないし乙第4号証、乙第9号証、乙第10号証等)ことが認められ、このことから、本件商標は商標権者の事業範囲(埼玉県内)内においては相当程度知られていると推認することができる。

一方、商標権者が「イングコーポレーション」と改称し、グループ名を「インググループ」として採択、使用を始めたのは2001年10月であるところ、その時期は、申立人の中心的役割を担っていた会社を「アイエヌジー生命保険株式会社」に商号変更したのが1997年1月であって商号変更して間もないことや、そのアイエヌジー生命保険株式会社の保険料収入が急激に伸びたのが2004年であることから、当該2001年10月当時においては、引用商標、とりわけ引用商標4(「ING GROUP(ライオンの図形入り)」は、我が国において、銀行、保険、資産運用の分野においても、それ程周知、著名であったとは俄に認めがたいばかりでなく、その周知性も金融、保険、資産運用を越えた広い分野までの役務、商品までは及んでいるとは到底認めることができない。

加えて、商標権者は、本件商標中、「ing」の文字を小文字で表し、当該文字を一文字ずつ「アイエヌジー」と称するのではなく、一語として「イング」と称し、全体として「インググループ」と称していることや、そのロゴも「i」の上部に赤の楕円形を配し、ingとGROUPの文字も前者が青色を、後者は空色で彩色してなる特徴のある商標と認められる。

それらを総合すると、商標権者が2001年10月より本件商標を採択、使用する際、申立人の引用する引用商標、とりわけ引用商標4(「ING GROUP(ライオンの図形入り)」を真似した、あるいは、フリーライドしようしたとは到底言い難いものであり、その後、自己の業務のために本件商標を登録出願し、登録を得ようとしたことに不正の目的があったとは認め難いところである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第8号該当について

同法第4条第1項第8号にいう「著名な略称」に該当するか否かを判断するについては、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものである(参照:平成17年7月22日最高裁判所判決、平成16年(行ヒ)第343号)。

これを本件についてみるに、申立人の名称は、申立人の主張、委任状によれば、「ING Groep N.V.(アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴィ)」であり、「Groep」の部分が英語の「GROUP」と同義であることから、引用商標4(「ING GROUP」と図形からなる商標)における文字部分「ING GROUP」が申立人の略称「ING Groep」と同一視できるとしても、(1)で認定したとおり、本件商標の出願時において、当該「ING GROUP」の文字を含む引用商標4が、我が国の金融、保険、資産運用を業務とする分野においては相当程度知られるようになっていたといえるものの、それを越えた広い分野まで及んでいるとは認めることができないことに照らせば、当該「ING GROUP」が申立人の略称として世間一般に受け入れられているほど著名であったとも認めることができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第8号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。

よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。

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