Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2006−60054(T2006−60054/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
登録第4983085号(以下「本件商標」という。)は、標準文字で「東京医専」の文字を書してなり、平成16年12月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同18年9月1日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
第2 イ号標章
本件判定請求人(以下、「請求人」という。)が、役務「救急救命の知識の教授,臨床工学の知識の教授,医療コンピュータの知識の教授,看護の知識の教授,保健の知識の教授,診療情報管理の知識の教授,医療秘書の知識の教授,医療事務の知識の教授,言語聴覚の知識の教授,視能訓練の知識の教授,理学療法の知識の教授,作業療法の知識の教授,運動療法の知識の教授,介護福祉の知識の教授,精神保健福祉の知識の教授,訪問介護の知識の教授,養護の知識の教授,エアロビックダンス・エクササイズの教授,トレーナーの知識の教授,人命救助の知識の教授,医療の知識の教授,メイクの教授,手話の教授,針灸の知識の教授,柔道整復の知識の教授,あんま・マッサージ・指圧の知識の教授,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断」に使用するものと示す標章は、標準文字で「メディカル総合学園東京医専」の文字を書してなるものである。
なお、上記役務中「トレーナーの知識の教授」の役務は、その内容が必ずしも明確ではないが、請求人が平成18年9月19日に登録出願した商願2006−87115号に係る同19年4月17日付け手続補正書にかんがみ、「スポーツトレーナーの養成教育,アスレティックトレーナーの養成教育」を示すものとして、本件判定では取り扱うものとする。
第3 請求人の主張の要旨
請求人は、請求人が開校及び運営を予定する医療系の専門学校の名称に使用するイ号標章が、本件商標「登録第4983085号」の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
1.判定請求の必要性
請求人は、本件登録商標と同名の「東京医専」という名称の医療専門学校を設立予定であり、平成18年5月2日新宿区に設置許可申請、同年7月26日新宿区より設置計画承認がなされた(甲第3号証ないし甲第6号証)。請求人は、既に、パンフレットや授業で使用する教材等の作成も行っている。
他方で、被請求人は、本件商標の出願段階において、平成17年12月21日付けの意見書の中で、請求人による「東京医専」の名称による医療専門学校の開校準備の動きから母校の略称を守るために本件商標に係る出願をした旨説明している。
したがって、請求人が、このまま、イ号標章の名称で、専門学校の開設、運営をすることとなると、被請求人から、本件登録商標の商標権の侵害として、請求人に対して警告、差止請求等がなされる可能性も否定できない。また、商標権の侵害はすべきではなく、請求人の専門学校の開校、運営にあたっては、商標権を尊重しつつ、慎重な対応を行いたいと考えている。よって、本件商標の商標権の効力の範囲について、判定を求める次第である。
2.本件商標について
本件商標は、「東京医専」の標準文字からなる商標であり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務としている。平成16年12月10日に、医療法人社団岡田会を出願人として出願をし、同17年5月25日に商標法第4条第1項第7号を理由に拒絶理由通知が発せられた。同年6月22日に出願人を学校法人青丹学園へ名義変更し、更に同年12月12日に学校法人東京医科大学へ名義変更して、同18年9月1日に登録査定となったものである(甲第1号証)。
本件商標に係る上記出願過程において、被請求人は、平成17年12月21日付け意見書のなかで、「東京医専」は、被請求人の前身「東京医学専門学校」の略称であり、「未だに出願人の前名称に由来する出願人の周知ないし著名な別称として通用しているものであります。」と説明している。
3.イ号標章が本件登録商標の商標権の効力の範囲に属しないとの説明
(1)請求人が開校、運営する姉妹校「メディカル総合学園大阪医専」の関係性の観点について
本件商標は、「学校法人東京医科大学」との関連性が評価されたことから、登録査定を受けたものと考える。仮に、学校法人東京医科大学と明確に区別でき得る態様で表示する標章であれば、たとえ「東京医専」の文字が形式的にあったとしても、直ちにこれに類似するものと判断されることは妥当ではない。
ここで、イ号標章は、「メディカル総合学園東京医専」であり、本件商標は、「東京医専」であり、「メディカル総合学園」の文字が異なる。「メディカル総合学園」の名称は、請求人が開設、運営を実施している姉妹校「メディカル総合学園大阪医専」の名称を構成する重要な部分である。また、後述するように、「メディカル総合学園大阪医専」の名称は、医療系の専門学校として著名となっている。これを併せて判断をすると、イ号標章は、請求人が既に開設、運営を実施している「メディカル総合学園大阪医専」との関係性が認識されることはあっても、被請求人との関係性を有するとの誤認を生じることはないものと思われる。
他方で、後述するように、「メディカル総合学園大阪医専」「大阪医専」の名称は、請求人が相当程度に使用をして著名性を獲得しているにも関わらず、本件商標が、商標法第4条第1項第10号及び第15号の規定により拒絶査定とならなかったことに鑑みると、「大阪医専」と「東京医専」は非類似の関係にあり、また、請求人の業務と混同を生じるおそれがない商標であると判断されたものと思料する。
したがって、請求人との関連性を示す「メディカル総合学園」との指標性を有する文字と、「東京医専」を結合させ、一体とすることで、被請求人の「東京医専」とは、類似関係にはないものと考える。これらを総合的に判断をして、イ号標章と本件商標は、類似の関係にはなく、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
(2)「大阪医専」の使用実績等について
請求人は、被請求人の本件商標の出願日である平成16年12月10日前の同12年4月に、大阪府大阪市において「大阪医専」の名称の専門学校を開校している(甲第7号証ないし甲第14号証)。同校は、これまで、平成13年度に44名、14年度に127名、15年度に356名と、本件登録商標の出願日までに計527名の卒業生を輩出し、その後には、16年度に640名、17年度に689名と、合計1856名の卒業生を輩出している。また、同校は、学科毎に年に1回、公開講座を実施し、延べ1356名が参加をしている。
また、大阪医専への学生募集等の活動については、関西地区の交通広告、テレビCM、高校生向けの進学情報誌、新聞広告等、数多くの広告活動を実施している(甲第3号証、甲第15号証ないし甲第20号証)。
上記のように、「大阪医専」及び「メディカル総合学園大阪医専」の標章は、被請求人の本件登録標章の出願日の時点においても、また現在に至るまで、在校生や卒業生の数、また、公開講座、広告実績などから関西地方を中心として需要者の間に広く知られた商標であるといえる。
(3)請求人の「東京医専」の名称による学校設置に関する許認可の観点について
請求人は、本件商標と同名の「東京医専」という名称の医療専門学校を設立予定であり、平成18年5月2日新宿区に設置許可申請、同年7月26日に設置計画承認がなされた(甲第3号証ないし甲第6号証)。請求人は、既に、パンフレットや授業で使用する教材の作成準備等も行っている。仮に、イ号標章について、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものとすると、請求人が「東京医専」の名称で、専門学校の設置計画承認を得て、開校の準備を進めているにも関わらず、同名称を使用できない事態を生じさせる。また、請求人は、「東京医専」の名称の専門学校を開校する旨を本件商標の出願日前に発表をしている(甲第3号証、甲第20号証ないし甲第24号証)ことから、同名称を使用できないことは、その期待権を奪うものとなる。
したがって、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないとの判断をしないと、産業の発展を目的とした商標法第1条に規定する法目的に反することになる。
(4)商標法第3条第1項第3号及び同4号の規定の観点について
本件商標は、行政区画名であると同時にありふれた名称である「東京」と、「医療に関する知識を主として教える専門学校」の略称と認められる「医専」の文字を結合して「東京医専」と標準文字で表しているものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同項第4号に違反するものと考える(甲第25号証ないし第30号証)。
これを考慮すると、本件商標が登録査定を受けているのは、その周知性が認められ、特別顕著性を獲得したものと思料する。また、複数の専門学校の略称になり得るにも関わらず、登録が認められた点については、特に、学校法人東京医科大学との関係性が評価されたものと考える。
すなわち、本件商標は、一体のものとして認知されているので、これと同一性の範囲のあるものを除き、形式的に類似する商標があったとしても、直ちに、出所混同を生じさせるものとはならない。ここで、イ号標章は、「メディカル総合学園東京医専」であり、本件商標「東京医専」とは、同一性の範囲にあるとは評価できない。また、請求人の関係性を示す「メディカル総合学園」の名称を結合させていることから、学校法人東京医科大学との関係性を排除する態様としている。
したがって、これらを総合的に判断をして、イ号標章と本件商標は、類似の関係にはなく、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
(5)商標法第26条第1項第1号の規定の観点について
請求人は、「東京医専」の名称により、医療系の専門学校として、認可を受け、該名称により、医療系の専門学校を開設することは、広く公開している(甲第3号証ないし甲第6号証、甲第21号証ないし甲第24号証)。このようなことから、「東京医専」「メディカル総合学園東京医専」は、請求人が運営する医療系専門学校の名称として、既に確立している。
したがって、請求人が、自身が運営する医療系専門学校に、「メディカル総合学園東京医専」の名称を使用すること、すなわち、「救急救命の知識の教授,臨床工学の知識の教授,医療コンピュータの知識の教授,看護の知識の教授,保健の知識の教授,診療情報管理の知識の教授,医療秘書の知識の教授,医療事務の知識の教授,言語聴覚の知識の教授,視能訓練の知識の教授,理学療法の知識の教授,作業療法の知識の教授,運動療法の知識の教授,介護福祉の知識の教授,精神保健福祉の知識の教授,訪問介護の知識の教授,養護の知識の教授,エアロビックダンス・エクササイズの教授,トレーナーの知識の教授,人命救助の知識の教授,医療の知識の教授,メイクの教授,手話の教授,針灸の知識の教授,柔道整復の知識の教授,あんま・マッサージ・指圧の知識の教授,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断」を役務としてその商標を使用することは、商標法第26条第1項第1号に規定する「自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当し、本件商標の効力は及ばないものである。
(6)商標法第32条第1項の観点について
請求人は、上述のとおり、本件商標の登録出願日前から日本国内において、「東京医専」の名称の専門学校を開校する旨を各種媒体やフォーラム等で発表をしている(甲第3号証、甲第21号証ないし甲第24号証)。
また、「メディカル総合学園」を表す標章は、上述のとおり、請求人の運営する医療系専門学校の「大阪医専」の名称に付随して使用されているものである(甲第15号証ないし甲第17号証)。
したがって、イ号標章は、本件商標に係る登録出願の際に、現に、請求人の専門学校を表示するものとして、需要者に広く認識されていることは明白である。また、請求人は、上述したように「東京医専」との名称で専門学校を開校する予定であり、自治体等から認可等を請け、開校のための準備のために「東京医専」の名称を継続して使用している。
よって、請求人が「メディカル総合学園東京医専」を表す商標について、「救急救命の知識の教授,臨床工学の知識の教授,医療コンピュータの知識の教授,看護の知識の教授,保健の知識の教授,診療情報管理の知識の教授,医療秘書の知識の教授,医療事務の知識の教授,言語聴覚の知識の教授,視能訓練の知識の教授,理学療法の知識の教授,作業療法の知識の教授,運動療法の知識の教授,介護福祉の知識の教授,精神保健福祉の知識の教授,訪問介護の知識の教授,養護の知識の教授,エアロビックダンス・エクササイズの教授,トレーナーの知識の教授,人命救助の知識の教授,医療の知識の教授,メイクの教授,手話の教授,針灸の知識の教授,柔道整復の知識の教授,あんま・マッサージ・指圧の知識の教授,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断」を役務としてその商標を使用することは、商標法第32条第1項の規定により、請求人は、イ号標章を使用する権利を有するものである。
なお、請求人は、本件商標の出願日前に「大阪医専」の名称で医療系専門学校を開校して、既に相当程度の活動をしており、その事業の一環として、姉妹校である「東京医専」等の名称の医療系専門学校を開校、運営する予定であること、それにあたって、本件商標の出願日前からその旨を公表していること等から、請求人が不正競争の目的で、イ号標章を使用しているものではないことは明白である。
4.結び
よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。
第4 被請求人の主張の要旨
被請求人は、イ号標章(商願2006−087115)は、商標登録第4983085号の商標権の効力の範囲に属す、との判定を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1.イ号標章と本件登録商標との類似性
イ号標章中の「メディカル総合学園」の文字は「業態・提供するサービスの内容」を表すものであって、それが自他役務標識を表すとは認識されないものであるから、「東京医専」の部分に自他役務標識力があるものである。
一方、本件商標は、「東京医専」の文字を標準文字をもって左横書きしてなるものであり、「トウキョウイセン」の称呼および甲第1号証中の「意見書」【意見の内容】[2]及び[3]に記載のとおり、被請求人の「周知ないし著名な別称」の観念を認識させるものである。
そこで、イ号標章と本件商標とを比較検討するに、イ号標章は、左横書きした標準文字「メディカル総合学園東京医専」を外観とし、「メディカルソウゴウガクエントウキョウイセン」、「トウキョウイセン」の称呼を生じるが、「メディカル総合学園」の部分が「業態・提供するサービスの内容」を認識させるものであり、簡易・迅速を旨とする取引界の実情からして単に「トウキョウイセン」の称呼を生じ、上記のとおり被請求人の「周知ないし著名な別称」の観念を認識させるものと思料されるものであるのに対し、本件商標は、上記のとおり、左横書きした標準文字「東京医専」を外観とし、「トウキョウイセン」の称呼、被請求人の「周知ないし著名な別称」の観念を認識させるものであるから、イ号標章と本件商標とは、外観を類似にし、称呼および観念を同一にする類似する商標であると言わざるを得ない。
2.その他判定請求の理由に対する答弁
(1)請求人は、本件登録商標は、商標法第3条第1項第3号、同4号に違反すると主張するが、上記1.のとおり、被請求人の「周知ないし著名な別称」であることで登録が認められたものであるから、これらの主張には理由がない。
(2)請求人は、イ号標章は、商標法第26条第1項第1号に規定する「自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当し、本件商標の効力は及ばないと主張するが、上記1.のとおり、イ号標章内の「東京医専」の文字は、自他役務区別標識を認識させる方法で表示され、請求人の名称「学校法人モード学園」と「東京医専」の文字とは全く別異のものであるから、請求人のかかる主張には理由がない。
(3)請求人は、イ号標章は、商標法第32条第1項の規定に該当すると主張するが、未だに請求人はイ号標章をその役務に使用していないのであるから、イ号標章が請求人の役務に係る商標として周知・著名になっていることなど有り得ないので、この点の主張についても理由がない。
3.結論
したがって、イ号標章は、本件登録商標に係る商標権の効力の範囲に属するものである。
第5 当審の判断
1 本件商標とイ号標章の類否について
本件商標は、前記第1のとおり、「東京医専」の標準文字よりなり、イ号標章は、前記第2のとおり、「メディカル総合学園東京医専」の標準文字よりなるものである。
そして、イ号標章は、常に一体不可分の商標として捉えるべき格別の理由も認められず、かつ、これを一連に「メディカルソウゴウガクエントウキョウイセン」と称呼するには冗長にすぎるものであり、加えて、商標を構成する前半部の「メディカル総合学園」の文字は、「医療に関する総合的な学校」の意味合いを容易に想起させるものであって、使用役務との関係では、自他役務の識別力を有しないか、あるいは、極めて弱いものというべきであるから、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、イ号標章に接する取引者、需要者は、構成後半部の「東京医専」の文字部分を識別標識として抽出し、単に「トウキョウイセン」の称呼をもって、取引に当たることも少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、商標の要部たる「東京医専」の文字と「トウキョウイセン」の称呼を共通にするものであり、外観及び称呼において互いに紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。
そして、イ号標章の使用役務中「救急救命の知識の教授,臨床工学の知識の教授,医療コンピュータの知識の教授,看護の知識の教授,保健の知識の教授,診療情報管理の知識の教授,医療秘書の知識の教授,医療事務の知識の教授,言語聴覚の知識の教授,視能訓練の知識の教授,理学療法の知識の教授,作業療法の知識の教授,運動療法の知識の教授,介護福祉の知識の教授,精神保健福祉の知識の教授,訪問介護の知識の教授,養護の知識の教授,エアロビックダンス・エクササイズの教授,トレーナーの知識の教授,人命救助の知識の教授,医療の知識の教授,メイクの教授,手話の教授,針灸の知識の教授,柔道整復の知識の教授,あんま・マッサージ・指圧の知識の教授」は、本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」に包含されるものである。
一方、同役務中残余の「あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断」と「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは、場合により、役務を提供する事業者や場所を共通にすることもあるとはいえ、その需要者や規制法等を異にするものであり、一般的には、非類似の役務というのが相当である。
請求人は、趣旨として、イ号標章は、請求人との関連性を示す「メディカル総合学園」の指標性を有する文字と「東京医専」の文字とを結合させ一体とすることで、本件商標とは、類似する関係にないと主張する(前記第3 3.(1))が、イ号標章において「東京医専」の文字部分が自他役務識別標識として独立して機能するとみるべきこと上記のとおりであり、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、請求人の「東京医専」の名称による学校設置に関しては、関係当局の設置計画承認がなされ、既に開校の準備を進めているにも関わらず、同名称の使用をできないことは、その期待権を奪うものであるから、イ号標章は本件商標の効力の範囲内に属しないとの判断をしないと、産業の発展を目的として商標法第1条に規定する法目的に反することになる旨主張する。
しかしながら、私立学校設置の認可と商標法における名称の使用の規制とは、その法目的等を全く異にするものであるから、学校設置認可の如何に関わらず、他人の登録商標と同一又は類似の商標(学校名称等)を同一又は類似の役務に使用することが商標法上認められないことは自明である。
2 商標法第26条第1項第1号について
イ号標章は、前記第2のとおり、「メディカル総合学園東京医専」の文字からなるものであるが、請求人が広く公開しているとする学校名称は、いずれも「東京医専(仮称)」と表示されており(甲第3号証ないし甲第6号証、甲第21号証ないし甲第24号証)、そもそも、イ号標章と相違するものである上に、請求人の名称「学校法人モード学園」とも相違するものであるから、商標法第26条第1項第1号の「自己の氏名若しくは名称」に該当せず、請求人の主張は採用できない。
3 商標法第32条について
イ号標章は、前記第2のとおり、「メディカル総合学園東京医専」の文字からなるものであるが、請求人が、本件商標の登録出願日前から国内において使用しているとする名称は、「東京医専(仮称)」(甲第3号証、甲第21号証ないし甲第24号証)又は「メディカル総合学園大阪医専」(甲第15号証ないし甲第17号証)であり、イ号標章とは相違するものであるから、請求人の主張は、その前提を欠くと言わざるを得ない。
4 まとめ
したがって、上記1に記載のとおり、請求に係る役務中「救急救命の知識の教授,臨床工学の知識の教授,医療コンピュータの知識の教授,看護の知識の教授,保健の知識の教授,診療情報管理の知識の教授,医療秘書の知 識の教授,医療事務の知識の教授,言語聴覚の知識の教授,視能訓練の知識の教授,理学療法の知識の教授,作業療法の知識の教授,運動療法の知識の教授,介護福祉の知識の教授,精神保健福祉の知識の教授,訪問介護の知識の教授,養護の知識の教授,エアロビックダンス・エクササイズの教授,トレーナーの知識の教授,人命救助の知識の教授,医療の知識の教授,メイクの教授,手話の教授,針灸の知識の教授,柔道整復の知識の教授,あんま・マッサージ・指圧の知識の教授」に使用するイ号標章は、登録第4983085号商標の商標権の効力の範囲に属する。また、同役務中「あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断」に使用するイ号標章は、登録第4983085号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
よって、結論のとおり、判定する。
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