Trademark Appeal Case
著名商標の混同・希釈化
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−2304(T2005−2304/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第30類の願書記載の商品を指定商品として、平成15年9月9日に登録出願され、その後、指定商品については、平成16年8月18日受付の手続補正書により、「アイスクリーム用凝固剤,茶,代用コーヒー,その他のコーヒー及びココア,アイスクリーム,ビスケット,チョコレート,チョコレート菓子,砂糖菓子,キャンディー,その他の菓子及びパン,ケチャップソース,食酢,ドレッシング,マヨネーズソース,ソース(調味料),砂糖,食塩,その他の調味料,マスタード,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,パスタ,マカロニ,めん類,スパゲッティのめん,バーミセリのめん,ペストリー(生地),穀物調整品,チップス(穀物製品),その他の穀物の加工品,アーモンドペースト,イーストパウダー,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,米,サゴ,タピオカ,その他の食用粉類,食用グルテン」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『Tiffany』の文字を含んでなるが、該文字部分は、米国ニューヨーク5番街にある米国一の高級アクセサリー店である『Tiffany & Co.』(ティファニー社)がアクセサリー等に使用して世界的に著名となっている『Tiffany』『TIFFANY』又は『ティファニー』の文字よりなる商標と類似するものであるから、これを、その指定商品に使用したときは、同社の商標の高級品としての著名性を希釈化するおそれがあり、恰も、同社と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、出所の混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した証拠調通知及び審尋
(1)当審において、本願商標について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお、商標法第4条第1項第15号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した証拠調通知の要旨は、以下のとおりである。
(ア)「ホットドッグ・ブックス FASHION SHOPPING BIBLE'85 流行ブランド図鑑」(昭和60年5月25日、株式会社講談社発行)において、「TIFFANY & Co.」が、「VIP用豪華宝石類にもシンプルな銀製品にも同じ心血を注ぐ老舗。」との見出しのもと、その設立からのポリシーについて紹介されていること。
(イ)「The一流品」(1986年4月17日、読売新聞社発行)において、「TIFFANY」が、「映画『ティファニーで朝食を』の舞台ともなったニューヨーク五番街で最も有名なこの店は、...」、「その後も、王侯貴族相手に世界でもトップクラスの宝飾店として君臨し続けた。」、「アメリカ大統領ギフトアイテム」等と記載されていること。
(ウ)「ライフカタログVOL.25 ’86世界の一流品大図鑑」(昭和61年5月15日、株式会社講談社発行)において、「TIFFANY」が、「映画『ティファニーで朝食を』で描かれたように、アメリカ上流社会の象徴とまでいわれたティファニー。しかし、伝統と名声に甘んじることなく、時代に呼応した作品を発表し、幅広いファンをつかんでいます。」と記載されていること。
(エ)「’86〜’87 ザ・ブラント(海外ブランド・ライブラリー)」(1986年10月30日、サンケイマーケティング発行)の「TIFFANY」の項において、「オードリー・ヘップバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』で一気にその名を世界に広めたアメリカの最高級宝石店の商標。」との記載のもと、マークの由来、沿革等について紹介されていること。
(カ)「英和商品名辞典」(1990年、株式会社研究社発行)の「Tiffany」の項において、「New York5番街にある米国一の高級アクセサリー店(Tiffany & Co.),そのブランド.貴金属アクセサリーの他に,ボールペン・万年筆・カッター・ブックマーカー・鉛筆削り・裁縫セット(以上いずれも素材はスターリングシルバー)・トランプ・レターセット・システム手帳・ガラス製品・銀食器・時計・革小物なども手がけている.」と記載されていること。
(キ)「東京企画の年鑑MOOK No.20 世界のブランド大全集 ’98」(1997年12月10日、株式会社東京企画発行)において、「TIFFANY」が、「生き生きとした女性に贈る 世にも美しいジュエリー」、「ティファニーのジュエリーはビーンズなどの若々しいデザインの商品から、『ティファニーセッティング』に代表されるクラシカルなデザインまで人気が高い。」等と記載されていること。
(ク)「nonno MORE BOOKS パーフェクトブランドBOOK」(1998年2月15日、株式会社集英社発行)において、「TIFFANY」が、「『妥協しない美と気品への追求』で本物の創造と華麗さに出会う」との見出しのもと、複数の写真とその説明に加え、「ささやかなスタートから、世界の宝飾店になったアメリカンドリーム」等と記載されていること。
(ケ)「広辞苑第5版」(1998年11月11日、株式会社岩波書店発行)の「ティファニー[Tiffany]」の項において、「ニュー・ヨークにある貴金属・宝石店」と記載されていること。
(コ)「ライフカタログVOL.53 世界の一流品大図鑑2000年板」(2000年5月10日、株式会社講談社発行)の「BRAND CLOSEーUP」の項において、「ティファニー TIFFANY & Co.」が大きく取り上げられ、その創始者である「チャールズ・L・ティファニー」について、「1837年、NYにファンシーショップを開店。その後世界的な宝飾店としての地位を築け上げました。」と紹介する記事が掲載され、同社の代表的な作品が紹介されていること。
(サ)「ライフカタログVOL.57 世界の一流品大図鑑2002年板」(2002年5月20日、株式会社講談社発行)において、「ティファニー TIFFANY & Co.」が大きく取り上げられ、「いつか恋人と このドアをくぐりたいという夢」の見出しのもと、「世界の婚約者の神殿になっているこの店のシンボルは、1877年に作られた128カラットのイエローダイヤモンド。栄光に輝くこの店の創業初日の売上げが、4ドル98セントだったとは...」と紹介する記事が掲載され、同社の代表的な作品が紹介されていること。
(2)当審において、請求人が、平成16年10月7日特許庁受付けの上申書において、我が国において、本願商標をその指定商品に使用したとしても、米国ティファニー社との間で出所の混同を引き起こさない旨述べていることを明確に立証するため、請求人に対し、期間を指定して追加の資料の提出を求めた審尋の要旨は、以下のとおりである。
請求人(出願人)は、平成16年10月7日特許庁受付けの上申書において、本願商標の使用実績に関する調査結果を示しつつ、「これらの事実は、本願商標が世界中で広く使用されているのも拘わらず、いずれの国でも、米国ティファニー社と紛争が生じたり、米国ティファニー社の製品と出所の混同が生じていないことを示すとともに、我が国においても、本願商標をその指定商品に使用したとしても、出所の混同を引き起こさないとする出願人の主張を裏付けるものである。」旨主張し、資料1ないし4を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る資料3(2000年から2004年までの5年間における、本願商標を付した製品の日本国内での売上高を示した書面)によっては、請求人の前記主張に関しての平成17年5月12日特許庁受付けの手続補正書(方式)で述べる「沖縄の会社を通じて本願商標を附した商品を販売しているが、販売以来今日まで、請求人の業務に係る商品が、米国ティファニー社の業務に係る商品と混同を生じたと認められる事実はない。」旨を明確に立証しているものとは認められないことから、請求人の「我が国において、本願商標をその指定商品に使用したとしても、米国ティファニー社との間で出所の混同を引き起こさない」とする主張を、客観的に明らかにする証拠等を提出されたい。
なお、前記資料3によっては、本願商標を付した製品の、2000年から2004年までの5年間にわたる売上高を推認し得るものの、書面の作成日、作成者(請求人との関係)を明確に把握しできないものであることから、前記手続補正書において述べる請求人の説明と該資料との記載内容の妥当性を、直ちに判断することはできないものである。
したがって、請求人の「我が国において、本願商標をその指定商品に使用したとしても、米国ティファニー社との間で出所の混同を引き起こさない」との主張を裏付ける(立証する)ためには、本願商標が、その登録出願時に、我が国の需要者にどの程度認識されていたかを判断し得るに足りる書証、例えば、各種伝票・領収書・請求書・帳簿類、広告宣伝等が掲載された印刷物(新聞・雑誌・カタログ等)などの証左を提示することにより、使用している商標並びに商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、譲渡の数量又は営業の規模(店舗数・営業地域・売上高等)、広告宣伝の方法・回数及び内容等に関する事実を明らかにするものでなければならない。
4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、平成18年10月20日付け回答書をもって、当審が示した前記3の審尋に対し、要旨次のように回答している。
(1)請求人は、沖縄の会社(Renho Trading Co.,Ltd/聯豊貿易株式会社;以下「聯豊貿易」という。)を通じて本願商標を附した商品を販売しているが、請求人の属するIFFCOグループのグループ会社であるSEVILLE PRODUCTS LTD社(以下「SEVILLE PRODUCTS」という。)、及びUNIPEX DAIRY PRODUCTS CO.LTD社(以下「UNIPEX DAIRY PRODUCTS」という。)を介して、商品を日本に輸出しており、この商品は沖縄所在の聯豊貿易によって、主に沖縄地方で販売されている。
請求人、SEVILLE PRODUCTS、及びUNIPEX DAIRY PRODUCTSがIFFCOグループに属する会社であることを示す証拠資料として、IFFCOグループのホームページの写しを提出致する(第1号証)。
(2)請求人が、上記グループ会社2社を介して、聯豊貿易に販売した商品の売上高は、2000年〜2006年の5年半で、約6,500万円(545,603米ドル)に及び、数量にして約7万5千カートンに達する(第2号証)。
年別売上(第2号証)の詳細を示す証拠資料として、2社のインボイス及び船荷証券の写しを提出致する(第3号証ないし第5号証)。
(3)沖縄所在の聯豊貿易は、那覇,うるま,浦添,宜野湾,南城,名護,豊見城,沖縄(コザ),糸満,石垣,平良等の地域において、アルテック(プリマ),かねひで,ジミー(Jimmy),丸大,ユニオン,リウボウ,Aコープ,ビッグワン 等のスーパーマーケットやディスカウントストアを中心に、本願商標を附した商品を販売している。
この事実を示す証拠資料として、ジミー(Jimmy)、丸大及びアルテック(プリマ)の各店舗における商品の販売状況を撮影した写真を提出致する(第6号証ないし第8号証)。
(4)通常、菓子等の日用食料品は廉価で販売されるものであり、本願商標を附した商品(菓子)も、標準小売価格は150円〜300円と非常に低額であり(第9号証)、昨今の価格競争の中、更なる低価格で販売されることも少なくない(第8号証)。
請求人は、このような低価格の商品を販売して、約6,500万円もの売上をあげており、これは、少なくとも20数万個の商品が市場に出ていること、すでに日本国内において、本願商標を附した商品が相当数販売されていることを示すものである。
(5)これらの事実は、需要者が、本願商標は低価格の輸入菓子に係るものであると認識していることを示すとともに、我が国において、本件商標をその指定商品に使用したとしても、出所の混同を引き起こさないとする請求人の主張を裏付けるものであると思料する。
(6)資料3は、表上部に記載のSEVILLE PRODUCUTSによって作成されたものであり、上記(1)の通り、同社は請求人のグループ会社である旨申し添える。
また、本件商標を附した製品の日本国内での売上高は、2000年〜2004年の5年間で3,500,000米ドル以上に及ぶ旨記載しているが、同売上高については、約11,500万円(3,576,141ディナール)に訂正する。
5 当審の判断
(1)「TIFFANY」又は「Tiffany」商標(以下「引用商標」という。)の著名性について
引用商標は、前記3(1)の当審における証拠調べの結果よりすると、我が国において、遅くとも本願商標の登録出願の時には、アメリカの宝飾店「Tiffany & Co.」(以下「ティファニー社」という。)の業務に係る商品「宝石、アクセサリー、時計等」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているものと推認される。
なお、前記3(1)のとおり「TIFFANY」又は「Tiffany」の文字よりなる引用商標の著名性に関して職権による証拠調べを行った結果を、平成18年6月14日付けをもって請求人に対し通知し、期間を指定して意見を述べる機会を与えたが、指定した期間内に意見書の提出がなかったものである。
(2) 商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲に示すとおり、線書きの楕円内に黒塗りの楕円を配し、その内部に「Tiffany」の欧文字を上部に、波線をそのアンダーライン様に白抜きで書してなるものである。そして、線書きの楕円内に黒塗りの楕円の図形は、図形構成の商標において採択・使用されることの多いありふれた形状の幾何図形と看取されるものであり、また、「Tiffany」の文字の下部に付されている波線は、取り立てて看者の注意を引くとも認められない付飾的なものであるといえるから、本願商標において自他商品の識別機能を果たす部分は、「Tiffany」の文字部分であるというのが相当である。さらに、該文字部分は、引用商標とその綴りを同じくし、共通の称呼「ティファニー」を生じるものであるから、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であるといわなければならない。
そして、本願商標の指定商品である「菓子及びパン」等は、子供を含む一般消費者を対象として廉価で販売されることが多い商品特性もあって、その顧客獲得のための一環として、販売促進あるいは販売展示のために用いる商品が多種・多様化している現状が、請求人の提出する資料4(商品カタログの写し)の通し番号7ないし10において認められるものであり、それらの中には、「Tiffany」の標章を要部とする本願商標を付した「WALL CLOCK」、「PEN」、「KEY CHAIN」が含まれていることが確認できるところである。一方、引用に係るティファニー社は、前記3(1)の証拠(カ)において、「貴金属アクセサリーの他に,ボールペン・万年筆・カッター・ブックマーカー・鉛筆削り・裁縫セット・トランプ・レターセット・システム手帳・ガラス製品・銀食器・時計・革小物なども手がけている」の記載と共に、同社のインターネットのウェブサイト(http://www.tiffany.co.jp/)に見られるように、業務に係る商品の多種・多様化の傾向が認められており、それらの中には、「キーチェーン(アクセサリー)・ボールペン・万年筆・時計」が含まれていることが認められるものであって、この点において、本願商標の指定商品である「菓子及びパン」等と引用商標に係る商品「キーチェーン(アクセサリー)・ボールペン・万年筆・時計」とは、販売される商品とその販売促進あるいは販売展示のため用いられる商品であるという商品の用途、用法において関連性を有しているといい得るものである。
そうとすれば、その構成中にあって唯一、自他商品の識別機能を果たす部分に、アメリカの宝飾店ティファニー社が、その業務に係る商品「宝石、アクセサリー、時計等」を表示するものとして、我が国において、遅くとも本願商標の登録出願の時には、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているものと推認される引用商標と同一の「Tiffany」の文字を有してなる本願商標を、上記のとおり、商品の用途、用法において関連性を有しているといい得る、本願商標の指定商品である「菓子及びパン」等に使用するときは、あたかも該商品がティファニー社又はその者と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本願商標の使用実績に関する調査結果を示しつつ、「これらの事実は、本願商標が世界中で広く使用されているのも拘わらず、いずれの国でも、米国ティファニー社と紛争が生じたり、米国ティファニー社の製品と出所の混同が生じていないことを示すとともに、我が国においても、本願商標をその指定商品に使用したとしても、出所の混同を引き起こさないとする出願人の主張を裏付けるものである。」旨主張し、また、「沖縄の会社を通じて本願商標を附した商品を販売しているが、販売以来今日まで、請求人の業務に係る商品が、米国ティファニー社の業務に係る商品と混同を生じたと認められる事実はない。」旨主張して、資料1ないし4、及び第1号証ないし第9号証を提出している。
しかしながら、これら各資料及び各号証を総合しても、請求人(出願人)は食品の製造販売を基盤として各種事業活動していること、本願商標を付した製品が、100種類以上で、その全世界での総売上が、2003年には、46,970,572米ドルあったこと、日本国内での売上は、2000年〜2004年間の5年間で、約11,500万円であったこと、日本国内では、沖縄所在の聯豊貿易を通じて、主に沖縄地方で販売されていること、聯豊貿易は、那覇,うるま,浦添,宜野湾等の地域において、スーパーマーケットやディスカウントストアを中心に、本願商標を附した商品を販売していること、本願商標を付した商品(菓子)は、標準小売価格は150円〜300円と非常に低額であること等の事実が覗えるものの、上記の請求人(出願人)の事業活動、本願商標を付した製品の種類数、全世界での総売上金額等のみの提示をもって、直ちに、本願商標が、外国において著名な標章であることが登録出願時に、我が国の需要者に認識されていたものとは認め難いものである。また、同じく、日本国内の売上金額、販売地域、販売場所、商品の価格の特性等の提示をもっては、日本国内の沖縄地域における販売活動を裏付けたにすぎないものであり、直ちに、我が国において、本願商標をその指定商品中「菓子」等に使用したとしても、ティファニー社の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を引き起こさないということもできないものであるし、さらに、請求の理由の全趣旨をも合わせ考慮しても、上記請求人(出願人)の主張を採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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