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Trademark Appeal Case

代理人の冒認出願

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30905号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第53条の2の規定により、登録第3226262号商標の登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3226262号商標(以下、「本件商標」という。)は、「QUICK MASTER」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年2月24日登録出願、第10類「歯科用咬合器およびその他の医療用機械器具」を指定商品として、同8年11月29日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由をつぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。

請求人は、「QUICKMASTER」の欧文字よりなる商標(以下、「使用商標」という。)を、本件商標の登録出願前の1992年以来自己の業務に係る商品「咬合器」について使用しているものであって、請求人が当該商標についての正当な権利を有する者である。請求人は、この間、該商標を付した商品「咬合器」を代理店を通じて多くの国の顧客に販売しているところ、咬合器は、当該商品の特殊性(専門性)の故に、通常、大学や研究所といった専門家向けに販売されるもので、ベルギー、モロッコ、スイスを除いては1カ国1代理店に厳選している。フランスでは、請求人のみが咬合器を製造しており、フランス、イタリア、スペインにおいて大学に販売される咬合器の大半は請求人の製造したものである。

また、被請求人は、請求人の日本における総代理店あるいは代理人として、日本において前記商品を輸入販売していたものである(甲第1号証)。即ち、被請求人会社の中島社長は、本件商標の登録出願前である1993年5月13日に請求人に対して使用商標についての輸入ライセンスを求めてきたものであり、その際、使用商標が付された商品「咬合器」を12個注文している。(甲第2号証)。

そして、請求人のスイスにおける卸業者である「GENEDENT S.A」は、請求人に対して使用商標が付された商品「咬合器」を被請求人に送るよう指示し、その代金の請求は該卸業者本人に直接するように指示したものである(甲第3号証)。加えて、甲第4号証から甲第9号証に示した経緯に照らせば、被請求人は、日本における請求人の輸入代理店であったことは明らかであると確信する。

なお、本件商標の登録出願以後の経緯について説明すると、甲第10号証から甲第20号証に示すように、1994年から1997年にかけて被請求人より請求人に対して5回にわたって商品「咬合器」の注文がなされ、該商品が納品されていることを付言する。

それにも拘らず、被請求人は、正当な理由もないのに、請求人の承諾を得ないで、前記のとおり本件商標の登録出願を無断でなして登録を得たものである。

してみれば、本件商標は、パリ条約の同盟国において商標に関する権利を有する者(請求人)の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって、当該権利に係る商品又はこれに類似する商品であり、かつ、その商標登録出願が正当な理由がないのにその商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで、その代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってなされたものであるから、商標法第53条の2の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁

本件審判の請求に対し、被請求人は、答弁書を提出せず、答弁理由を述べていない。

4 当審の判断

本件商標は、「QUICK MASTER」の文字よりなるのに対し、請求人が仏国において正当な権限に基づき使用しているとする商標(以下、「使用商標」という。)は、「QUICK MASTER」の欧文字よりなるものであるから、両商標は、その外観及び称呼(「クイックマスター」)を同じくする類似の商標であり、また、本件商標に係る指定商品と請求人に係る「咬合器」は、同一または類似の商品と認められる。

しかして、請求人の提出に係る甲各号証を総合勘案するに、請求人と被請求人(本件商標権者)とは、本件商標の登録出願日(平成6年2月24日)前である1993年5月に請求人の取り扱いに係る「咬合器」の日本国内への輸入・販売の契約を交わし、以降、該「咬合器」は、請求人または同人のスイス国における卸業者と認められる件外「GENEDENT S.A」より被請求人に対し販売されてきたものであって、該「咬合器」には、一貫して請求人に係る使用商標が付されて取引指標とされていたことが認められるから、被請求人は実質的に請求人の日本国内における代理店を任ずる者であったことを十分推認させるものである。

しかしながら、被請求人による本件商標の商標登録に関し、その権利行使が請求人の了解の下であったとする事情は明らかでなく、被請求人は、何ら答弁するところがない。

そうすると、本件商標は、パリ条約の同盟国において、商標に関する権利を有する使用商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品またはそれと類似する商品を指定商品とし、かつ、その商標登録出願が正当な理由に基づくことなく、請求人の代理人の地位にあった者により不当にされたものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第53条の2の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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