sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89122(T2006−89122/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4836233号の指定商品中「第30類 お好み焼き,焼きそば」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4836233号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年6月15日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,お好み焼き用ソース,たこ焼き用ソース,焼きそば用ソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,お好み焼き,たこ焼き,焼きそば,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,お好み焼き用の粉,たこ焼き用の粉,その他の食用粉類,食用グルテン」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成17年1月28日に設定登録されたものであるが、指定商品及び指定役務については、平成18年4月11日付け異議の決定により、「第30類 ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」及び「第43類 飲食物の提供」についての登録が取り消され、その確定の登録が平成18年6月23日にされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)請求の利益について

請求人は、別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標1」という。)及び別掲(3)のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標2」という。)を使用してたこ焼き専門店の運営を行っている会社であり、後記のように、引用商標1及び2は、少なくとも九州・四国・中国地方を中心とした西日本地域において、本件商標の出願日までに周知となっていた。

したがって、引用商標1及び2に類似する本件商標がその指定商品中の「お好み焼き,焼きそば」に使用されれば、請求人の業務と混同を生ずるおそれがあるから、請求人は、本件商標の存在によって直接不利益を被る関係にあり、本件商標の登録を無効にする審判を請求することにつき、利害関係を有する者である。

(2)引用商標1及び2の周知性について

(ア)請求人は、1996年9月に設立され、たこ焼き屋の運営を中心に、ドーナツ、アイスクリーム、和食、イタリアン、ファーストフードなど多角的な飲食物の提供を業務とする企業である(甲第3号証)。

請求人は、同人が展開する飲食事業の一つとして、1998年に、武雄(佐賀県)、中津(大分県)、浜田(島根県)、祇園(広島県)、高松(香川県)において、たこ焼き専門店を開店した。1999年からは、店名を「たこ一番」に変更して宗像店(福岡県)を開店、2000年には、東広島店4F(広島県)、夢彩都店(長崎県)、博多店(福島県)、2001年には、安古市店、松永店、五日市店(広島県)、山口店、新南陽店、長府店、宇部店(山口県)、益田店(島根県)、筑紫野店、八女店、大牟田店(福岡県)、2002年には、蔵王店、学園店、東広島店1F、黒瀬店、吉田店(広島県)、南岩国店、柳井店、防府店(山口県)、斐川店(島根県)、行橋市店(福岡県)、はません店(熊本県)、2003年には、久世店、美作店(岡山県)、久留米店(福岡県)、荒尾店(熊本県)、鳥栖店(佐賀県)、2004年には、遠賀店(福岡県)、岩国店(山口店)、光の森店(熊本県)を開店し、本件商標の登録出願日までには、営業地域の範囲を10県に拡大し、総店舗数は39店に達していた(現在では2004年9月に開店した呉店を加えて41店舗である。以下「請求人店舗」という。)。請求人店舗では、1999年から現在まで一貫して「たこ一番」の名称を使用しており、特に、引用商標1を大書した看板、のれん、のぼり等を人目につく場所に設置し、スタッフのエプロン、Tシャツにも、引用商標1を顧客の目に付きやすい正面部分にプリントしている(甲第4号証)。また、請求人店舗で使用する看板、メニュー表、箸袋、商品包装紙、スタンプカード及びスタンプカードに押されたスタンプにも、引用商標1又は2が表示されている(甲第5号証ないし甲第9号証)。

(イ)請求人店舗の1999年度から2004年度までの店舗数((a)で表す。)及び売上高((b)で表す。)の推移は、以下のとおりである(甲第10号証)。

1999年→(a)6、(b)約1億1千万円、2000年→(a)7、(b)約1億9千万円、2001年→(a)18、(b)約4億8千万円、2002年→(a)30、(b)約8億円、2003年→(a)36、(b)約8億7千万円、2004年→(a)41、(b)約11億5千万円。

たこ焼きの販売単価が300円前後と安価であることを考慮すると、極めて多数の客が請求人店舗を利用したことがわかる。

(ウ)請求人店舗は、インターネットを介し、人気のあるたこ焼き店として多数紹介されてきた(甲第11号証ないし甲第14号証)。

また、請求人は、請求人店舗のちらしを多数配布してきた(甲第15号証の1ないし4)。これらのちらしは、新規オープンにあたってのスタッフ募集広告であるが、その紙面には、引用商標1が使用され、この膨大な量の求人広告によっても請求人店舗の周知性が高まる一助になったといえる。

(エ)以上のように、引用商標1及び2は、少なくとも九州・四国・中国地方を中心とした西日本地域において、本件商標の登録出願日までに周知となっていた(甲第16号証ないし甲第18号証参照。)。

(3)商標法第4条第1項第10号について

本件商標中の「たこ一番」の文字部分は、やや丸みを帯びた大文字で表記されており、引用商標1及び2の文字部分と完全に同一である。そして、本件商標より生ずる「タコイチバン」の称呼は、引用商標1及び2より生ずる称呼と同一であり、また、観念も引用商標1と及び2と同一又は類似するものである。

さらに、本件請求に係る指定商品「お好み焼き,焼きそば」と請求人店舗で販売する「たこ焼き」とは、いずれも持ち帰り用の飲食物として、同一の店舗で調理・販売されているから、生産部門及び販売部門が一致するものであり、また、いずれも小麦粉等を主原材料とすること及び需要者の範囲も一致するものである。したがって、両者は、類似する商品である。

よって、本件商標は、請求人の業務に係る商品「たこ焼き」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標1及び2と類似する商標であって、その指定商品中の「お好み焼き、焼きそば」は、請求人の上記商品と類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号について

引用商標1又は2は、本件商標の登録出願前には、請求人の業務に係る商品「たこ焼き」を表すものとして、日本国内において周知著名となっていたところ、本件商標は、引用商標1又は2と類似するものであるから、これをその指定商品中「お好み焼き、焼きそば」について使用した場合には、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号について

商標権者は、請求人店舗を開店した当初から、請求人店舗にたこ焼きの材料・備品などを納入していた業者であり、引用商標1が請求人店舗の名称として使用されていたこと及びその周知性を知っていたにもかかわらず、引用商標1及び2に類似する本件商標を、請求人の許諾を得ることなく登録出願したことを奇貨として、請求人に対し、「たこ一番フランチャイズ契約書」(甲第21号証)を締結させ、その契約の履行を要求している。該契約書には、「甲(商標権者)はたこ一番に係わる各商標、ロゴマーク、著作物(以下商標と称す)の権利保有者(商標登録申請手続き中)であり、乙(請求人)に対して前記商標使用を許諾すると同時に、乙は後記店舗(「たこ一番」直営店全店)において本契約にて特定された商品の宣伝並びに販売することに対して以下の通り甲と合意する。」とした上、「乙は甲に対して本契約店舗における全商品の総売上高の1%をロイヤリティーとして支払うものとする」(第3条1項)、「乙は甲の指定する原材料及び制服・備品を甲又は、甲の指定する業者あるいは甲の承認を得た業者より購入することに同意する」(第4条1項)等極めて不当な条件を提示している。さらに、商標権者は、本件商標の登録出願以降に請求人が開店した呉店に対して、商標の使用権取得として契約加盟金200万円を支払うこと及び総売上高の3%をロイヤリティーとして支払うことを定めた「フランチャイズ契約書たこ一番呉店」(甲第22号証)を締結させ、契約を履行することを要求している。

したがって、本件商標は、請求人に損害を加えるとともに不正な利益を得るために使用することを目的として出願・登録されたものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「お好み焼き、焼きそば」について、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、前記2の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断

(1)引用商標1の周知性について

甲第2号証ないし甲第15号証(枝番を含む。)を総合すれば、請求人は、1996年に設立された飲食業を営む企業であり、申立人の営む飲食業の一つに商品「たこ焼き」の販売及び役務「たこ焼きの提供」があること、該たこ焼きの販売及びたこ焼きの提供に係る店舗は、1998年4月に開店した佐賀県武雄市に所在の武雄店に始まり、その後、本件商標の登録出願日(平成16年6月15日)までには、中国・九州地方を中心に39店舗を展開したこと、申立人の取り扱う上記たこ焼きの販売及びたこ焼きの提供には、別掲(2)のとおりの構成よりなる引用商標1が主として使用されてきたこと、そして、引用商標1を表示した商品「たこ焼き」及び役務「たこ焼きの提供」は、インターネット記事にも、しばしば取り上げられたことなどが認められる。

そうすると、引用商標1は、申立人の業務に係る商品「たこ焼き」及び役務「たこ焼きの提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、少なくとも中国・九州地方において、需要者の間で広く認識されていたというのが相当である。

(2)本件商標は、別掲(1)のとおり、図案化された蛸の図形と「たこ一番」の文字を組み合わせてなるものであるところ、その構成中の蛸の図形部分と「たこ一番」の文字部分は、常に一体のものとしてのみ把握、認識しなければならない格別の事情は見出せないから、これに接する需要者は、読みやすい文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成中の「たこ一番」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有するものであるから、これより「タコイチバン」の称呼を生ずるものといわなければならない。

一方、引用商標1は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものであるから、これより「タコイチバン」の称呼を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標1は、「タコイチバン」の称呼を同じくするばかりでなく、本件商標中の「たこ一番」の文字部分は、引用商標1と同一の態様(書体)よりなるものであるから、外観上も近似した印象を与えるものである。

したがって、本件商標と引用商標1は、称呼及び外観において類似する商標といわなければならない。

さらに、本件請求に係る指定商品である「お好み焼き,焼きそば」と引用商標1が使用される商品「たこ焼き」は、いずれもファストフードと称され、持ち帰り可能な調理済み食品であって、同一店舗で調理され、販売されることの多い商品である(甲第4号証の高松店のメニュー、甲第14号証の1/7頁「ひょうたん家」、同3/7頁「たこ健」、同6/7頁「大阪屋」、「三三九」参照。)。また、いずれの商品も一般の消費者を需要者とする商品であるから、需要者においても共通する商品である。したがって、本件請求に係る指定商品である「お好み焼き,焼きそば」と引用商標1が使用される商品「たこ焼き」は、商標法上類似する商品といわなければならない。

(3)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「お好み焼き,焼きそば」について、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものというべきであるから、同法第46条第1項の規定により無効とする。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。