Trademark Appeal Case
「うるおう」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−19873(T2005−19873/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「うるおう」の平仮名文字を標準文字で表してなり、平成16年8月18日に登録出願された商願2004−76352に係る商標法第10条第1項の規定に基づく分割出願として、同17年4月11日に登録出願、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とするものであるが、その後、指定商品については、当審における同年10月13日付け手続補正書により、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」と補正されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『潤う』に通じる『うるおう』の文字を書してなるところ、化粧品等を取り扱う業界において、肌や髪に潤いを与えたり保湿効果を有する各種商品が製造・販売されていることは、広く一般に知られているところであるから、これに接する取引者、需要者は、その指定商品との関係において『該商品を使用することにより(肌や髪が)潤う』ことを認識するにとどまるものと認める。そうとすると、本願商標は、その指定商品中『潤いを与える効果あるいは保湿効果を有する商品』について使用するときは、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、所定の期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した証拠調べ通知の内容は、以下のとおりである。
1.本願商標「うるおう」または本願商標「うるおう」に通じる「潤う」の文字が、「(商品を使用することにより肌や髪が)潤う」の意味合いで潤いを与える効果あるいは保湿効果を有する商品に使用されていることが、インターネットのホームページに掲載されていることが認められ、例えば次に示すようなものがある。
(1)「セブンドリーム・ドットコム」「石澤研究所 尿素とヒアルロン酸の美肌せっけん 」の見出しの下、「保湿成分尿素ヒアルロン酸が洗うほどに潤うせっけん。」の記載。(http://www.7dream.com/product/p/0446902)
(2)「楽天」「人気の無添加シリーズ 『炭シャンプー&リンス』」「炭で頭皮の汚れもすっきり、うるおう!炭シャンプー・炭リンスセット」の見出しの下、「保湿成分が入ってもっと髪に優しくなりました! 竹酢液、ヒアルロン酸Na、スクワラン配合で髪にツヤとうるおい。・・・」の記載。(http://www.rakuten.co.jp/takesuminosato/354872/)
(3)「『Con−ton House』の手作りせっけん」「しるく&こんぶせっけん」の見出しの下、「『北海道産の真昆布とがごめ昆布』の粉末とシルク(セリシン)パウダーを生地に練りこみました。繭から生まれた天然の保湿成分セリシンペプチドには保湿作用があり、メラニンの発生を抑え、活性酸素から皮膚を守る働きがあるそうです。海草のミネラル分をプラスした、角質層が潤うせっけんです。」の記載。(http://www.h3.dion.ne.jp/~con-ton/shop%20Con-ton%20House%20SOAP%20Line%20Up.htm)
(4)「株式会社アイカ」「〜弾力のあるしっとり肌に生まれ変わる〜 BB三感 スキンケアシリーズ」の見出しの下、「洗いながらうるおう洗顔料『BB三感せっけん』“熟成し続ける古代酵素”が本来持っている肌のチカラを復活。潤いをあたえます。」の記載。(http://www.aika.ne.jp/new/bb_series/)
(5)「薬屋インターネット通販」「プライマリーベビーマイルド モイスチャーソープ 株式会社キスミーコスメチックス」の見出しの下、「やさしくうるおうこだわりの低刺激・・・」の記載。(http://www.kusuriya.co.jp/dm/Kusuriya78.html)
(6)「QVC 24−hour Global Shopping Channel」「バーバラ海藻桃シャンプーセット」の見出しの下、「海藻・桃の葉エキスでうるおう ・・・頭髪と頭皮にやさしい、低刺激性のシャンプーです。すっきりと洗い上げ、洗い上がりの髪には自然な輝きとうるおいが。・・・」の記載。(http://qvc.jp/cont/detail/ShohinDetail-cgry_25-hinban_406987.html?serverId=1)
(7)「Drugle Drug Search Engine」「ヒアルロン酸エッセンスソープ 100g」の見出しの下、「お肌がうるおう保湿力」「【特徴】●乾燥・肌荒れ・ハリ不足の肌にバリア機能を高めながらたっぷりのうるおいを与えます。」の記載。(http://www.drugle.net/ITEM8018582.html)
(8)「NAYAMIX」「モイスチュアソープ リガフィーユゥ化粧品」の見出しの下、「石鹸なのにしっとり&さっぱりの使い心地!石鹸で肌がうるおうなんて不思議です。化粧も落とせます。リガフィーユゥのモイスチュアソープは、他の石鹸と異なり、刺激となる『ラウリン酸』をカットし、保湿成分や肌サビを防ぐ抗酸化成分を多く含んでいます。・・・」の記載。(http://www3.alpha-net.ne.jp/users/yoshi046/sekken.html)
(9)「カレッツァ・ゆ〜とぴあ楽天市場店」「ペティオ・泡タイプスプレー【ペッツ・スマイルド】350ml全猫種用 」の見出しの下、「【全猫種用】やさしくうるおう オリーブエキス配合 (被毛をやさしく包み込む)」の記載。(http://www.rakuten.co.jp/carezza/659076/660904/1765052/)
(10)「ネットで買える良質石鹸を選び放題! 石鹸だけを売っています!」「棕櫚・しゅろ 洗顔石鹸」の見出しの下、「しわ、たるみ、くすみから肌を守るスキンケア。洗いながら肌がうるおう、新発想の保湿洗顔石鹸です。」の記載。(http://www.paw.hi-ho.ne.jp/hotagira/shopping/10_kao.html)
2.本願商標「うるおう」または本願商標「うるおう」に通じる「潤う」の文字が、「(商品を使用することにより肌や髪が)潤う」の意味合いで潤いを与える効果あるいは保湿効果を有する商品に使用されていることが、新聞記事情報に掲載されていることが認められ、例えば次に示すようなものがある。
(1)2006年5月14日付け読売新聞、東京朝刊「[消費事情フロント]『食べ物』から『化粧品』 企業参入合戦 安心感受け」の見出しの下、「・・・■乳酸菌エキスで保湿 化粧品が本業ではない食品関連企業も、様々な商品を出している。ヤクルトは5月、高い保湿性能があると言われる乳酸菌発酵エキスや高分子ヒアルロン酸を配合した洗顔料『乳酸菌生まれのはっ酵液でうるおう洗顔』を発売した。明治乳業が3月に発売したベビーローション『すべすべみるる エクストラローション』は、ミルクから抽出した潤い成分『乳清ミネラル』を配合。もちろん大人の肌にも使える。・・・」の記載。
(2)2005年8月30日付け化学工業日報社「三共、セラミド配合の薬用石鹸を発売」の見出しの下、「三共は、うるおう洗浄をコンセプトにした薬用ソープ『クリアレックスモイスチャー』を全国の薬局、薬店、ドラッグストアを通じ九月一日から発売する。主力商品の『クリアレックスW』の弱酸性、低刺激、殺菌・消炎成分配合の特徴はそのままに、皮膚の健康維持に欠かせないうるおい成分のセラミドを配合した。・・・」の記載。
(3)2004年12月26日付け(FujiSankei Business i.)日本工業新聞社「洗顔せっけん特集 純植物性で手作り」の見出しの下、「純植物性で手作りの「AAC100 ナチュラルピュアソープ」 約120日の手間ひまをかけて作り上げた。牛脂などの動物性脂を一切使わず、厳選された植物油脂を使用。植物特有のきめ細かい泡立ちで汚れだけを落とし、つっぱらない。せっけんに含まれる果糖分や植物性保湿成分が肌に水分を呼び込み、しっとりと潤う。・・・」の記載。
(4)2004年11月9日付け読売新聞、東京朝刊「洗い上げしっとり 『ホホバ油』配合の高級透明せっけん発売/ノエビア」の見出しの下、「ノエビアは、高級透明せっけん『クリア』を発売した。枠練り製法という約60日間かけ熟成させる伝統的な製法で作り上げた。メキシコ北西部などに自生の植物から採れる保湿成分『ホホバ油』を配合し、洗い上がりがしっとりとうるおうという。・・・」の記載。
第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点)
本願商標は、「うるおう」の語のみよりなる商標であるところ、「うるおう」の語は自動詞であって、「うるおう」の主語、即ち「何が」という語がなければ何を意味するかを知ることは出来ず、単独では特定の意味合いを知ることの出来ない語であるから、観者は、本願商標のみからでは、特定の意味合いを感得することは出来ないものであり、同様に、本願商標は観者に何らかの意味合いを示唆することもない。
また、本願商標を構成している「うるおう」の語が、「石鹸などについて、商品を使用することにより肌や髪が潤うの意味合いで潤いを与える効果あるいは保湿効果」などを意味して用いられているとするインターネットのホームページに掲載されている記載例、新聞記事の記載例からは、「うるおう」の語が「せっけん」等の品質、効能などに関して使用されていると言うことは出来ないものと考える。
したがって、証拠調べにおいて検討された資料には、「うるおう」の語が「せっけん」等の業界においても商品の品質、効能などを直接、かつ、具体的に記載する語としては使用されていると言う事実は見あたらず、本願商標「うるおう」は商標としての識別性を有しており、その指定商品に使用されても商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものであるから、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものである。
第5 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、上記第1のとおり、「うるおう」の文字よりなるところ、該文字は、「(1)水気を含む。しめる。みずみずしくなる。(2)ゆとりが出る。ゆたかになる。(3)めぐみを受ける。」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]の意味を有する「潤う」の語に通ずるものであって、その指定商品中の「せっけん類」との関係においては、該商品に潤いを与える効果あるいは保湿効果を有する商品が存することからすると、該文字は、「(保湿効果を有する商品を使用することにより肌や髪が)潤う」ほどの意味合いを容易に認識させるとみるのが自然である。
そして、例えば、上記第3の証拠調べ通知に示したインターネットのホームページ掲載情報及び新聞記事情報に、「うるおう(潤う)」の文字が「保湿成分尿素ヒアルロン酸が洗うほどに潤うせっけん」、「繭から生まれた天然の保湿成分セリシンペプチドには保湿作用があり、・・・角質層が潤うせっけんです。」、「石鹸なのにしっとり&さっぱりの使い心地!石鹸で肌がうるおう・・・保湿成分や肌サビを防ぐ抗酸化成分を多く含んでいます。・・・」、「・・・洗いながら肌がうるおう、新発想の保湿洗顔石鹸です。」、「・・・うるおう洗浄をコンセプトにした薬用ソープ『クリアレックスモイスチャー』を全国の薬局、薬店、ドラッグストアを通じ九月一日から発売する。・・・皮膚の健康維持に欠かせないうるおい成分のセラミドを配合した。」、「せっけんに含まれる果糖分や植物性保湿成分が肌に水分を呼び込み、しっとりと潤う。」のように使用されているものであるから、せっけん類を取り扱うこの種業界においては、「うるおう(潤う)」の文字が「(保湿効果等により)潤う」ほどの意味合いで商品の品質、効能等を表すものとして認識、理解されているとみるのが相当である。
そうとすると、「うるおう」の文字は、当該業界が取り扱うせっけん類等との関係において、「(保湿効果を有する商品を使用することにより肌や髪が)潤う」ほどの意味合いを把握し、理解するということができる。
したがって、本願商標は、これを、例えば、「保湿効果を有するせっけん」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「保湿効果により潤うもの」であることを認識、理解するに止まるものであり、単に商品の品質、効能等を表示するにすぎないというのが相当であり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあると判断するのが相当である。
2 請求人の主張について
請求人は、平成19年1月19日付の意見書において、「証拠調べにおいて検討された資料からは、本願商標『うるおう』の語が『せっけん』等の業界においても、商品の品質、効能などを直接、かつ、具体的に記載する語としては使用されているという事実は見当たらず、本願商標は、商標としての識別性を有しているものである。」旨主張するとともに、請求書において審決例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨述べている。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、取引者、需要者が品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必ずしも必要としないと判示されている(平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)。
そうすると、たとえ、「うるおう」の文字が商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質等を表示するものとして認識し得るものであること上記1のとおりであり、また、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかは個別具体的に判断すべきであると解されるところ、請求人が主張する過去の審決例に係る商標は、本願商標と構成文字、審査又は審理における判断時等を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであるから、上記、請求人の主張は採用することができない。
3 結び
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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