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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−26582(T2004−26582/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「ハム,ソーセージ,その他の肉製品,フィッシュソーセージ,その他の加工水産物」を指定商品として、平成15年3月28日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、同15年11月17日付け及び同16年12月28日付け手続補正書において、最終的に、第29類「ハム,ベーコン,ウインナーソーセージ」に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、黄色の太文字に黒色で縁取りをした字形にて『うす塩』と書してなるところ、『うす塩』とは塩加減の薄いこと、少量の塩をふりかけ薄く下味をつけること、あるいはそのように調理されたものを意味するものと解される。ところで昨今の健康ブームや生活習慣病への関心の高さを受ける食品業界において、塩分を控えめに加工、調理された食品が多数販売、流通している事実が認められ、かかる商品には『うす塩+商品名』との記載や『うす塩味』などの表示が多々用いられている事も認められる。したがって、『うす塩』の文字よりは『健康志向の塩分控えめの食品』的意味合いを直ちに認識するにすぎず、本願商標を指定商品中『塩分控えめの商品』に使用するときは単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「うす塩」の文字は黄色で表され、各文字を黒色の縁取りで囲んでなり、ややデザイン化されてはいるが、容易に「うす塩」の文字を表したものと看取し得るものである。

そして、本願商標の「うす塩」の文字は、「塩加減の薄いこと。また、薄い塩加減に調理してあること。甘塩。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)の意味を有する「薄塩」の語を「うす塩」の文字を用いて表したものと直ちに理解されるものであり、過剰な塩分の摂取が高血圧等の生活習慣病の要因となること等を憂慮する消費者のニーズに対応し、「減塩」、「うす塩」の調理・加工がされた食品が、各種、製造販売されているところである。

これらのことは、新聞記事、インターネットにおける商品の宣伝広告等において、「うす塩」の文字が、加工野菜、加工水産物、菓子等に使用されていることが認められ、かつ、ベーコン(http://www.rakuten.co.jp/lecker/612222/612398/)、ハム(http://www.bidders.co.jp/item/84217151、http://www.rakuten.co.jp/shima/434774/426535/#362588)、ランチョンミート(http://www.powerfood.co.jp/01shop/21catalog.html)においても使用されている実情が窺える。

また、厚生労働省のホームぺージにおいて、「栄養表示基準等の取扱について」の見出しのもと「適用の範囲について」の項に「『うす塩味』、『甘さひかえめ』など味覚に関する表示は、栄養表示ではないので栄養表示基準の適用対象にはならないものであること。 なお、『あま塩』、『うす塩』、『あさ塩』などの表示は、栄養表示として適用対象となるものであること。」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/13.pdf)との記載が認められる。

そうすると、食品を取り扱う業界において、「うす塩」の文字は、一般に商品の品質を表すものであるといい得るものであり、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「塩加減の薄く調理・加工された商品」であることを理解するに止まるものであって、単に商品の品質を表示するにすぎないものであり、また、その指定商品中「塩加減の薄く調理・加工された商品」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。

ところで、請求人(出願人)は、「補正後の指定商品を取り扱う業界において、本願商標は、独自の表現態様であり、需要者に強い印象を与え、自他商品識別力が認められる。」旨主張している。

しかしながら、食品を取り扱う業界に限らず、各種商品のラベルやパッケージ、包装等及び商品の広告宣伝等において、需要者に対する視覚的効果を考えて、商品の普通名称や原材料名等をハウスマーク等に比して大きく顕著に表示すること、文字のデザイン化、着色等の表現手法が広く採用されているところである。

そして、本願商標より生ずる称呼は「ウスジオ」であり、これによって印象、記憶、連想される観念は、「塩加減の薄いこと(商品)」に他ならず、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。また、字体そのものについて見ても、前記のとおりやや図案化されているとはいえ、本願商標の指定商品を包含する食品業界においては、この程度の図案化された文字は、未だ必ずしも特異な自体とは認められないものであるから、自他商品の識別力があるものということはできない。

このことは、図案化された文字商標について「商標は、字体等外観により目に訴えて、商品を区別させる作用を営むだけでなく、一般口頭の注文の場合を考えて明らかなように、音によってその商品を指示し、他の商品とを区別するに使われ、また観念によって記憶されるものであるから、ひとり字体等の外観ばかりではなく、称呼、観念において、指定商品をそのままに表しているような商標は、やはりこれに特別顕著性ありとして、これを登録して排他的使用権を与えるに適さないものと解さなければならない。」(東京高裁昭和29年(行ナ)第35号判決参照)の判例においても支持されているところである。

また、請求人は、ハム、ベーコン、ウインナーソーセージについて『うす塩』の語が単独で品質表示として一般的であるとはいえないものであるから、商品の品質等を普通に使用されているとはいえない。さらに、本願商標の使用態様をみても、出願人の商号商標と本願商標とが共に使用され、あるいは、常に近接した態様で表示されているものではなく、取引者、需要者は取引の場において本願商標『うす塩』を単独で認識しているものであり、かつ、本願商標は、商品の品質を表示したものであると理解されることのない商標であって、特定の意味合いを理解させないことから、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもない。」旨主張している。

しかしながら、健康志向を背景とする食品を取り扱う業界にあって、本願商標を、補正後の指定商品に使用しても、これに接する需要者等が、商品の出所表示機能を有するものとして認識、把握するとみるよりは、商品の品質を、看者の注意を惹くようにデザイン、着色して表したものとして理解すると判断するのが相当であること、上述のとおりであるから、請求人(出願人)の上記いずれの主張も採用することはできない。

(2)商標法第3条第2項について

請求人(出願人)は、「本願商標『うす塩』は、出願人の長年による使用の結果によっても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標となっている。」旨主張し、原審における平成15年11月18付け手続補足書において甲第1号ないし甲第29号及び当審における同17年3月4日付け手続補足書中、甲第6号ないし甲第22号において、請求人(出願人)の商品「うす塩」の商品パッケージ見本及び1996年から2003年までのカタログ、販売状態を撮影した写真、業界紙「セルフサービス」1999年10月号記事、1999年度から2003年度うす塩シリーズ生産実績表、1997年から2001年までの各年7月におけるベーコンに関するU−net POS分析データ、新聞・雑誌等における報道・宣伝広告記事等を提出している。

これらの事実によれば、請求人(出願人)が、本願商標と同一の標章を付した使用商品を1996年から販売し、テレビや雑誌、新聞等で宣伝して、「うす塩シリーズ」が請求人(出願人)の主な取扱商品の一つとなったことが認められる。

しかしながら、本願商標は、実際の当該商標の使用商品において、「素材が生きる」、「塩分30%カット」、「・・・おいしくヘルシーに!うす味志向の日本人が『おいしいと感じる塩分濃度・・・。』」「沖縄の塩使用・・・ナトリウム84mgカット・・・」等の文字とともに使用されているものであって、本願商標とそれらの表示は互いに近接して表示され、新聞・雑誌等における記事においても、「塩分を30%カット」等の記述とともに掲載されていることが認められる。

そうすると、これらに接する取引者、需要者は、本願商標からは商品の品質を表示したものとして把握するとみるのが自然であり、また、生産実績表、POS分析データ一覧表において、商品の販売量、市場占有率を示しているが、これらの証書によって、本願商標それ自体が、自他商品の識別標識として認識されたとするには十分とはいえないものである。

したがって、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなったと認定することはできないというべきである。

(3)結び

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、また、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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