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Trademark Appeal Case

略称と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−3597(T2006−3597/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「IPパラリーガル」及び「アイピーパラリーガル」の文字を二段に書してなり(下段の「アイピーパラリーガル」の文字は小さく書してなる。)、第9類「電子出版物」、第16類「出版物」及び第41類「知識の教授,コンピューター・通信回線・通信ネットワーク・インターネットを利用した知識の教授,知識の教授のためのセミナーの企画・運営,教育に関する研究・教育に関する交流・教育に関する理論と実践方法についての知識の教授に関する助言・指導及び情報の提供」を指定商品及び指定役務として、平成17年6月21日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、本願商標は、以下の拒絶の理由1及び2に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号

本願商標は、「IPパラリーガル」の文字を書してなるところ、「IP」の文字は、商品・役務の規格、品番等を表す符号(審決注:「記号」の誤記と認める。)・符号の一類型であること又は指定役務との関係から「Intellectual Property:知的所有権」の略称と認められることから、自他商品・役務の識別標識を有しないものと認められる。そして、「パラリーガル」の文字は「弁護士の指示・監督の下、法律業務を補佐する者。」の意味合いを有し、「パラリーガル」になるための養成講座・スクール及び検定試験等が普通に行われている実情にある。

そうとすれば、これを本願指定商品に使用するときは「パラリーガルを内容とした出版物」と理解し、これを本願指定役務に使用するときは「パラリーガルに関する知識の教授及びこれらに関する助言・指導・情報の提供」であると理解するに止まるものであるから、単に商品・役務の質・内容を表示するにすぎない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

2 商標法第4条第1項第11号

本願商標は、以下の(1)及び(2)に示す登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(1)登録第4366055号商標は、「パラリーガル専門学院」の文字を書してなり、平成10年9月30日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同12年3月10日に設定登録されたものである。

(2)登録第4665630号商標は、標準文字で「日本パラリーガル協会」の文字を書してなり、平成14年3月20日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,通訳,翻訳」を指定役務として、同15年4月25日に設定登録されたものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを行ったところ、その要旨は以下のとおりである(平成19年1月26日付け証拠調べ通知書)。

当審で行った文献、インターネット等の調査によれば(インターネット検索は平成19年1月17日及び24日に実施。)、以下のような事実が発見される。そして、これら事実を考慮すれば、「IPパラリーガル」の文字は、本願指定役務に係る業界においては、単に「知的財産権に関する法律家補助員」の意味合いを表示するにすぎないものと認められる。

証拠資料(ア)〜(チ)

1.「パラリーガル」の意味について

(ア)「imidas2007」1271頁

「パラリーガル[paralegal] アメリカの法律家補助員。法律文書の作成や調査などを行う。」との記載がある。

(イ)「現代用語の基礎知識2007」1427頁

「パラリーガル(paralegal) 米国のリーガル・サスペンス(法廷ミステリ)などに登場する弁護士補助員。」との記載がある。

(ウ)http://www.lifr21.com/paralegal/01_whats/

「パラリーガルとは−リーガルフロンティア21」のタイトルの下、

「パラリーガルとは 弁護士の有能なアシスタント、それがパラリーガル パラリーガルは、今もっとも注目を集めている『法律事務専門職』です。 具体的には『弁護士の指示・監督のもと法律業務を行う法律事務専門職』をいいます。パラリーガルの存在意義は、弁護士の業務をサポートすることにあります。」との記載がある。

(エ)http://www.lec-jp.com/paralegal/guide/index.html

「パラリーガルって何?−パラリーガル−LEC東京リーガルマインド」のタイトルの下、

「パラリーガルって何? パラリーガルは『可能性』と『仕事のもつ魅力』に満ちあふれています 法律事務職(パラリーガル)とは? 法律事務職(パラリーガル)とは、法律事務所で弁護士の業務を支えるアシスタントを指すのが一般的です。しかし、広い意味では企業の法務部で働く人や司法書士などの事務所の職員(補助者)も含みます。」との記載がある。

2.知的財産権分野においても、「パラリーガル」が「法律家補助員」の意味合いで普通に使用されている事実

(オ)日本弁理士会「パテント」Vol.59 No.1 136頁の広告記事

「特許法務日英翻訳技能養成通信教育講座 *法務Cコース 特許法律事務所勤務のパラリーガルに人気の講座です。冠詞と数の考え方から、条件文+法律効果+法律効果の発生に制限を付す表現など英文法律文章の基本要素別に多様なバリエーション表現を学びます。」との記載がある。

(カ)http://www.uslf.jp/index.html

「内田・鮫島法律事務所」のタイトルの下、

「コーポレート一般、知財経営実現のための戦略的マネジメント支援、ソフトウェア法務・ブランド法務 採用情報・・・パラリーガル 数ヶ月先まで募集はございません。 A)法務営業職 募集内容 ●法務的なマーケティングと営業力、判例調査結果をまとめる能力がある方を随時募集しています。 ●職種は当事務所サービスのPRと法的資料の作成です。 ●当初は非常勤。能力に応じて正規雇用します。 応募方法 − B)特許業務アシスタント 募集内容 ●特許渉外業務経験のある方を随時募集しています。 ●当初は非常勤。能力に応じて正規雇用します。 応募方法 −」との記載がある。

(キ)

http://www.careercity.net/ks_search2.asp?free=%83p%83%89%83%8A%81%5B%83K%83%8B

「転職:求人情報 フリーワード(パラリーガル)[転職サイトCCN]」のタイトルの下、

「法務(パラリーガル)・・・[業務内容]外国特許事務 日本から外国に向けての特許出願に関わる業務(法定期限管理、所内技術者との調整、外国代理人とのコレポン、国内顧客とのコレポン、請求事務など) [求める人物像]短大・専門卒以上。社会人経験。」との記載がある。

(ク)http://www.alo.jp/recruit/recruit04_int2_2.html

「あさひ・狛法律事務所」のタイトルの下、

「今日は弁理士の皆様に、商標パラリーガルがどのような仕事をし、どのような資質が要求されるかについてお伺いしたいと思います。今は、どのような体制で仕事をされていますか。 弁理士A:現在商標グループは、弁理士4人と商標パラリーガル6人の10人でやっています。4人の弁理士が、それぞれ国内、内外、外内の仕事を分担していますので、今のところ商標パラリーガルの方も、概ねその区分で仕事を担当しています。 弁理士B:まあ、この点は、固定的なものではありませんし、必要に応じてローテーションしてゆけばそれぞれのスキルもあがって、いろいろな仕事が体験できていいと思いますね。」との記載がある。

3.「パラリーガル」に業種・専門分野名を冠した表示が一般的に使用されている事実

(ケ)http://www.rikunabi2007.com/RN/07/KDBG/R/0439012001.htm

「リクナビ:長島・大野・常松法律事務所」のタイトルの下、

「”みなさんにはこんな仕事をしていただきます” □セクレタリー(弁護士秘書) セクレタリーは書類作成やスケジュール管理等弁護士のサポートを行います。 □パラリーガル(コーポレートパラリーガル、ファイナンスパラリーガル) パラリーガルは法律の知識あるいは英語力を使いながら各種法的書類の作成を行います。」との記載がある。

(コ)http://www.babelstf.co.jp/job_para.html

「BABELSTAFFのパラリーガル求人募集情報−転職・紹介予定派遣・正社員−パラリーガルというキャリア」のタイトルの下、

「法律事務所の求人 −大手渉外事務所のパラリーガル 渉外事務所のパラリーガルは、その専門性により下記のようなグループに大別されます。 ・コーポレート パラリーガル ・ファイナンス パラリーガル・・・市場の動向 パラリーガルの仕事は勤務先の法律事務所によりことなりますが、秘書、翻訳などのスタッフ部門、金融・証券、訴訟、知的財産、破産などのスペシャリスト部門などのように、一般企業に類似する組織化が進み、パラリーガルもそ各分野のプロとして個々のスキルを最大限に活かせる環境ができつつあります。 例)ファイナンスパラリーガル、コーポレートパラリーガル、証券パラリーガル、税務パラリーガル、バンキングパラリーガル、アセットマネージメントパラリーガル、訴訟担当パラリーガル、不動産部門パラリーガル、etc.」との記載がある。

(サ)

http://www.lec-jp.com/procareer/prdb/prdb.cgi/job/job_index.html?page=2&koyo_status=&job_type=&search=1&syokusyu_cate1=1

「法律関連の求人情報[プロキャリア]法務部員(未経験応募可能!)・司法書士業務など」のタイトルの下、

「法律事務所 コーポレートパラリーガル 会社設立、各種商業登記、議事録作成(日・英)、外為法関係届出書・報告書作成、リサーチ等を行います。また、不動産の証券化案件も多く扱っており、役所への提出書類の作成・準備、会社の設立・清算手続等、多岐に渡る事務手続を行っています。弁護士からの指示で動くだけではなく、案件別のスケジュールを作成し、直接クライアントの担当者と連絡を取りながら、そのスケジュールに沿って必要となる事務を担当していただきます。」との記載がある。

(シ)http://www.lec-jp.com/procareer/prdb/prdb.cgi/job/job_details.html?id=2236

「パラリーガルの正社員[プロキャリア]法律事務所:東京」のタイトルの下、

「業務内容 雇用形態:正社員 職種名:パラリーガル ファイナンスパラリーガル(関東税務局に提出するための書類の収集及び作成)マニュアルレポートの翻訳業務(英語→日本語)企業データ及び資料のファイリング及び当局への提出。 必須経験 資格: スキル:実務経験者尚可。法律知識・法務書類の作成経験、金融機関での経験があれば尚可。TOEIC800以上。社会経験3年以上。」との記載がある。

(ス)http://www.yuneed-ipr.com/jp/staff/index.html

「ユニード国際特許事務所」のタイトルの下、

「特許パラリーガルとして、特許方式事務担当。」との記載がある。

(セ)「商標パラリーガル」の表示について、上記(ク)資料参照。

4.「IPパラリーガル」の文字が、「知的財産権に関する法律家補助員」の意味合いで使用されている事実

(ソ)http://www.babelstf.co.jp/kyubo_pl.html

「法律事務所求人−BABELSTAFF−法律事務所のパラリーガル求人転職情報」のタイトルの下、

「求人情報・・・国内大手法律事務所IPパラリーガル」との記載がある。

同じく、http://www.babelstf.co.jp/job12114.htmlに、

「職種 IPパラリーガル(知財担当パラリーガル) 勤務形態 派遣または紹介予定派遣 勤務先 国内大手法律事務所 勤務地 東京都港区 業務内容 知財担当パラリーガル」との記載がある。

(タ)平成17年12月21日「第3回知的創造サイクル専門調査会」資料3(妹尾委員配布資料」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/dai3/3siryou3.pdf)

「知財人財育成総合戦略 政策(私案) 2005年12月21日 妹尾堅一郎」のタイトルの下、

「3.新資格・検定等の研究・実践機能 IP業務管理司(IPパラリーガル)、IP情報検索司(IPサーチャー)、IP翻訳通訳司(IPトランスレータ・インタープリター)等の新しい知財人財の育成、ならびにその学習目標となる資格・検定が必要(詳細後述)。」との記載がある。

同じく、同会議議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/dai3/3gijiroku.

html)において、

「妹尾委員・・・それ以外に、IPパラリーガル等の関連機能を整備することが、ここに優秀な人材を招き入れる要因になればと思っております。」との記載がある。

同じく、平成18年1月30日「第4回知的創造サイクル専門調査会」議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/dai4/4gijiroku.html)において、

「妹尾委員・・・ですから、その一例として知財翻訳者が書かれているわけで、それ以上に例えばIPサーチャーだとか、IPパラリーガルだとか、それからこのIPトランスレーター・インタープリターみたいな人たちが必要なのです。そういうふうに読むべきかと思います。」との記載がある。

(チ)http://www.intergroup.co.jp/haken/system_j_a.php

「人材紹介求人情報」のタイトルの下、

「事務・企画・経営・・・t−051122IP 商標スタッフ(IPパラリーガル)」との記載がある。

同じく、http://www.intergroup.co.jp/haken/system_j_b.php?shokai=0&number2=177に、

「必要スキル・経験 ●ビジネス英文読解力 ●パソコンスキル(Word、Excel、Outlook)基本操作以上 ○商標スタッフ・IPパラリーガル経験者、優遇 仕事内容 ○商標スタッフ(IPパラリーガル) ・商標業務全般の保護 ・特許庁への移転登録申請に関する書類作成補助 ・現地代理人とのコレポン作成補助 ・弁理士のアシスタント業務 ・報告書の作成補助」との記載がある。

第4 当審の判断

まず、上記第2の原査定における拒絶の理由1について検討する。

(1)本願商標は、上記第1のとおりの構成よりなるところ、構成文字中、上段、下段の各後半部の「パラリーガル」の文字は、「法律家補助員」の意味合いを有する語として、一般に理解、認識されているものである(上記第3の1.及び2.参照)。そして、これについては、請求人も認めているところである。

そして、近年は、「パラリーガル」の語に、その専門とする業種や法律分野を指称する語を冠し、例えば、「コーポレートパラリーガル」、「ファイナンスパラリーガル」、「税務パラリーガル」、「特許パラリーガル」、「商標パラリーガル」等のように、当該分野を専門とする法律家補助員であることを示した表示が使用されている事実が認められるところである(上記第3の3.参照)。

一方、本願商標の構成文字中、上段前半部の「IP」の文字とその音表記と認められる下段前半部の「アイピー」の文字は、後半部の「パラリーガル」の文字が、前記のとおりの意味合いを有し、かつ、専門法律分野を指称する語と結合して使用されている事実が存在することを考慮すれば、「知的財産権(Intellectual Property)」の略称である「IP」とその音表記を示すものと、理解、認識されることが多いというのが相当である。

これについて、請求人は、上記証拠調べ通知書に対する意見書(平成19年4月11日付け)において、「用語辞典」によれば、「IP」の文字は「Information Provider」及び「Internet Protocol」の語の略語であること、また、「IP」の語をインターネット検索すると、上位134件までは「Intellectual Property」の意味合いで使用されているものはないこと等をもって、本願商標中の「IP」の文字部分については、現在の取引社会において最も一般的に広く使用されている意味である「Information Provider」及び「Internet Protocol」の語の略として認識されるものである旨主張している。

しかしながら、上記第1のとおりの構成よりなる本願商標にあっては、構成中の「IP」の文字について、当該文字部分のみを抽出してその意味合いを断定することは適当ではなく、構成文字全体の中で、これに接する取引者、需要者がどのような意味合いを認識するか判断すべきである。

そうすると、「パラリーガル」の文字が、(i)上記のとおり、「法律家補助員」の意味合いを有する語として、一般に理解、認識されているものであること、及び(ii)パラリーガルの専門分野を表示する語を冠して使用されている事実があること、(iii)一方、「IP」は「Intellectual Property(知的財産権)」の略語としても一般に理解、認識されていること(「イミダス2007」1319頁参照。)、(iv)知的財産権に関する役務の分野においては、弁護士、弁理士を補助する法律事務を職業とする者(すなわちパラリーガル)が多数存在すること、並びに、(v)本願指定商品、指定役務は、出版物や知識の教授、セミナーの企画・運営等に係るものであり、これらの取引者、需要者は、相当程度の文化・知的レベルを有した者が多いものと認められることなどを考慮すれば、本願商標構成中の「IP」の文字は、「Intellectual Property」の略語であると理解、認識されるとみるのが自然というべきである。

したがって、本願商標に接する取引者、需要者の多くは、これより、「知的財産権に関する法律家補助員」の意味合いを表示するものと理解、認識するというべきである。

(2)してみれば、「IPパラリーガル」及び「アイピーパラリーガル」の文字を二段に書してなる本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中「知的財産権に係る法律家補助員に関する電子出版物、同出版物」や「知的財産権に係る法律家補助員に関する知識の教授、当該知識の教授のためのセミナーの企画・運営、知的財産権に係る教育に関する研究・交流・知識の教授に関する助言・指導及び情報の提供」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質(内容)や役務の質(内容)を表示したものと理解するにとどまるものであり、よって本願商標は、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ない。

そして、このような標章は、指定商品及び指定役務との関係において、当該商品の品質、役務の質等を表示するために、取引において必要適切な標章として何人もその使用を欲するものであるから(上記第3の4.及び請求人の提出に係る平成19年3月13日付け手続補足書の証拠6参照。)、特定人によるその独占使用を認めるのは適当ではないというべきである。

また、これを上記に照応する商品、役務以外の商品、役務に使用するときは、商品の品質、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

以上によれば、上記第2の拒絶の理由2について判断するまでもなく、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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