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Trademark Appeal Case

老人図形の識別力と公益性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−7434(T2002−7434/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲(1)に表示したとおりの構成からなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成12年12月28日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由

原査定において、「本願商標は、『つえをついている人物』であることを容易に看取させる図形を四角形の中に配置した構成よりなるものであるところ、これを本願指定商品に使用しても、人物の動作・状態の一類型をデザイン化したものと認識させるにすぎず、これに接する需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において、平成19年1月25日付けで審尋を発し、期間を指定して、請求人に意見を述べる機会を与えたところ、該審尋の要旨は、以下のとおりである(なお、該審尋において示した別掲については、一部を除き省略した。)。

(1)本願商標

本願商標は、四隅を丸くした正方形(色彩を施してなる)内に、白抜きで杖をついた人物の像を配してなるものである。

しかして、上記白抜きの人物の像は、頭部を円形とし、胴体部をやや屈折させ、手に杖の如き棒をもって身体を支えている図形からなることから、該図形は、老人を表す典型的な図形を表示したものと理解、認識させるものとみるのが相当である。

(2)図記号、絵文字等について

近年、人、モノ等の国際交流が増大するなかで、文字・言語の壁をこえて情報伝達を図る手段として、案内図用記号の果たす役割が一層重要となっている。

かかる観点から、不特定多数の人々が利用する場所、建物、印刷物などに言葉によらない表現による「案内」に用いる図記号や絵文字が多く用いられている実情にあり、既に日本工業規格(JIS)においても「案内用図記号」(JISZ8210)として、様々な案内用図記号が定められているところである。

そして、上記JISにおいて、本願商標と同一の図記号は見当たらないものの、本願商標と同様の構成からなる老人の図記号は、公共・一般施設、交通施設、特定の場所・建物等において、多数使用されているのが実情である。

このことは、たとえば、営団地下鉄のいわゆる優先席(シルバーシート)の老人を表す図形(座席に座った図形を含む)、JR西日本の優先座席の老人の図形、大阪市交通局の優先座席の老人の図形等、随所に見ることができ、何れも、頭部を円形とし、胴体部を屈折させ、杖で身体を支えた図形である点において共通性を有するものである(別掲(2))。

そうすると、本願商標と同様の図形が公共・一般施設、交通施設、特定の場所・建物等において、多数使用されている実情にあることからすれば、このような図形は、何人もその使用を望むものであるといえるから、本願商標を特定の者に登録をし、独占させることは、社会公共の利益にも反するものと言わなければならない。

(3)本願商標の指定商品と老人の図形との関係

本願商標は、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品とするものである。

しかして、近年、人口の高齢化が進むにつれて、老人用の各種商品が開発、販売されており、たとえば、「老人用おむつ」、「同失禁用おしめ」等は、その典型例ということができる。

このような状況のなか、たとえば、指定商品中「老人用おむつ」の分野では、(ア)一人で歩ける(イ)杖をついてなら歩ける(ウ)介助を受けて歩ける等、その介護度に応じて商品の差別化が図られている実情にあり、それぞれの介護度にあった着用対象者を表すために上記老人等を表す図形が用いられている事実がある。

そして、上記事実については、特許の分野ではあるが、以下の審判事件(同審決に対する審決取消訴訟事件)においても窺い知ることができる。(請求人・原告は本件審判の請求人「ユニ・チャーム株式会社」。)

「査定不服審判2002−21829号」(平成17年(行ケ)第10761号)

「引用例1において、引用例2に記載された『一覧表示』を用いて、その着用対象者を表示するようにすることは、当業者であれば容易に想到することができるというべきである。」と判示した例。引用例1及び2は、何れも大人用紙おむつの着用対象者を本願商標と同様の図形をもって表してなるものである(上記引用例2の紙おむつのメーカーは大王製紙株式会社)。

(4)まとめ

以上のことから、老人を表す典型的な図形を表したものと容易に理解、認識させる本願商標を、その指定商品中、特に「老人用おむつ」、「同失禁用おしめ」等に使用した場合は、当該商品の用途、品質等を表すにすぎないものというべきであり、特に、当該図形が公共・一般施設、交通施設、特定の場所・建物等において、老人用を表すものとして多数使用されている実情にかんがみれば、本願商標は、自他商品の識別力を有しない図形といわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。

なお、原査定は、本願商標が同法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶したものであるが、同法第3条第1項は、自己の業務に係る商品又は役務についての識別力を欠く商標を列挙するものであって、同第1号から第5号までは、同第6号でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できない商標」を例示的に列挙するものと認められるから、原審で開示した同第6号と当審において適用する同第3号とは、実質的に同趣旨の内容とみて差し支えないものというべきである。

上記の審尋の内容について、意見等あれば提出されたい。

(5)上記審尋に対し、請求人は何ら意見を述べるところがない。

4 当審の判断

前記3の審尋において述べたとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと言わざるを得ないから、実質的にこれと同趣旨の内容により、本願を拒絶した原査定は妥当であり、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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