結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31325(T2000−31325/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1692633号商標(以下「本件商標」という。)は、「OXYBEN」の欧文字と「オキシベン」の片仮名文字を上下二段に書してなり、昭和53年1月18日登録出願、第1類「化学品,薬剤,医療補助品」を指定商品として、同59年6月21日に設定登録され、その後、平成6年10月28日及び同16年6月29日の二回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、該登録に係る権利は現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」については、その登録は、取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第2号証を提出している。
(1)被請求人は、本件商標を、その指定商品中、「薬剤」については継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中の上記商品につき使用されていないものである。
(2)答弁書に対する弁駁
(ア)被請求人は、平成13年1月22日付提出の答弁書において、登録商標の使用説明書とともに、「CHEMICALS 2000」のカタログを添付している。
このカタログを見れば、確かに、本件商標「OXYBEN」が使用されていることは認識できる。しかしながら、本件カタログの表題は、「CHEMICALS 2000」と表示されており、また、証拠として添付されたこのカタログの2140ページには、「品名」として、「OXYBEN」の商標に下に記載されているのは、「Ethyl p−Hydroxybenzoate/p−ヒドロキシ安息香酸エチル」、「Methyl p‐Hydroxybenzoate/p−ヒドロキシ安息香酸メチル」及び「Propyl p‐Hydroxybenzoate/p−ヒドロキシ安息香酸プロピル」である。また、同ページの左上部には、これらの商品の総称として、「化成品」と表示されている。
これらの商品の用途としては、「化粧品の防腐剤」、「医薬品の防腐剤」と示されているが、これらの表示から、本件カタログが示しているのは、本件商標の使用された商品が化学品(有機工業薬品)として販売されていることを示していることは明らかである。
(イ)なお、商品・役務名リストによれば、「化粧品製造用防腐剤」は第1類の「化学品」に分類されており、また、「食品の製造に用いる防腐剤・乳化剤・安定化剤その他の食品添加物(化学品に属するものに限る。)その他の化学品」の表示の登録が認められている(甲第2号証)。
(ウ)さらに、「商品及び役務区分解説」によれば、「第1類に属する化学品、(中略)と同じものであっても、薬事法の規定に基づく日本薬局方の規格に適合し、かつ医薬品として取引される場合はこの概念(薬剤)に属する」との説明がある。
(エ)上記カタログには、「日本薬局方」の表示があり、本件商品がこの規格に適合しているものであることは否定しないが、上記のとおり、「医薬品」として取り引きされている事実は全く明らかではない。
よって、上記答弁書に添付された証拠は、本件商標が商標法上の「化学品」として販売されていることを示しているものであり、その指定商品中、「薬剤」について使用されている事実を立証するものではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として使用説明書及び添付書類(1)ないし同(3)(以下「証拠等」という。)を提出している。
(1)本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人である商標権者により使用されている。
(2)請求人は、平成13年5月16日付提出の弁駁書(以下、単に「弁駁書」と記載する場合がある。)により縷縷述べているが,その要旨は、「(被請求人提出の)答弁書に添付された証拠からは、『OXYBEN』と言う商標が付された商品が『医薬品」として取引されている事実が明らかではなく、本件商標がその指定商品中『薬剤」について使用されている事実を立証するものではないから、取り消されるべきものである。」というものである。しかしながら、被請求人は、請求人の上記主張は誤りであると確信する。 先ず、請求人は、被請求人提出のカタログに「OXYBEN」が使用されていること、並びに当該カタログに「OXYBEN」が付された商品の用途として「医薬品の防腐剤」と示されていることを認めている。
一方、請求人はこのような表示からでは「OXYBEN」がその指定商品中の「薬剤」について使用されている事実を証明するものではないと主張し、その理由として、「化粧品製造用防腐剤」が第1類の「化学品」に分類されていること、また、「食品の製造に用いる防腐剤・乳化剤・安定化剤その他の食品添加物(化学品に属するものに限る)その他の化学品」の表示の登録が認められていることを挙げている。
しかしながら、「医薬品の防腐剤」が「化学品」に属するのか否かに関してはなんら言及していない。
したがって、これら請求人の主張から、本件「OXYBEN」がその指定商品中の「薬剤」について使用されていないことは証明できていないのである。
(3)ここで、本件「OXYBEN」が付されている商品が「医薬品」、即ち「薬剤」であることを以下に説明する。
「OXYBEN」なる商標が付された商品の一般名称(化合物名)は、被請求人提出のカタログの「品名」の項の「OXYBEN」なる表示の下に記載されている如く、「Ethy1 p‐Hydroxybenzoate/p‐ヒドロキシ安息香酸エチル」 、「Methy1 p‐Hydroxybenzoate/p−ヒドロキシ安息香酸メチル」、「Propy1 p‐Hydroxybenzoate/p‐ヒドロキシ安息香酸プロピル」である。これらは一般に「バラベン:パラオキシ安息香酸エステル」と呼ばれるものであり、殺菌剤、防カビ剤、保存剤として用いられているものであって、日本薬局方に収載されている(添付資料(1))。
薬事法上、「医薬品」の定義が定められており、その1つに「日本薬局方に収められているもの」という定義がある(添付資料(2))。従って、これら「OXYBEN」が付された商品が「医薬品」であることは明らかである。尚、念のために付記すれば、これら「OXYBEN」が付された商品は、医薬品の分野では、例えば「目薬」等によく用いられている。「目薬」が眼球周辺を清浄に保つことをその目的の一つとしていることは周知の事実であるから、これら「OXYBEN」にかかる化合物の「目薬」への添加目的は、上述した如く殺菌剤、防カビ剤、保存剤として作用させるためのものであることは明らかである。
(4)してみれば、「OXYBEN」が「商品及び役務区分解説」による「薬剤」に属するものであることは明らかである。
尚、念のために付記すれば、本件請求人は、被請求人提出のカタログの表題が「CHEMICALS2000」であって、その左上部に「化成品」と表示されていることを、「OXYBEN」が付された商品が「化学品」として取引されていることの証左の一つと考えているようであるが、この考えも誤りである。
すなわち、この「化成品」とは、被請求人の主たる事業内容、即ち「試薬」、「臨床試薬」及び「化成品」に基づく表示であって(添付資料(3))、この表示は、「OXYBEN」が付された商品が弊社の「化成品」事業で取り扱われていることを示しているに過ぎず、当該商品が「化学品」であることを示すものではない。本件審判に係る請求人の弁駁書における主張は何れも根拠があるものとはいえないものである。
本件商標が、平成3年改正前の旧政令別表及び旧規則別表による商品区分第1類の「化学品、薬剤、医療補助品」を指定品として登録されており、被請求人は本件審判請求の登録の日から遡って3年の間に本件商標を「化粧品の防腐剤,医薬品の防腐剤」(以下「本件使用商品」という。)に使用しているところ、請求人は、本件使用商品が「化学品」に属するものであると主張するのに対し、被請求人は、本件使用商品は「薬剤」に属するものであると主張するので、以下、この点について判断する。
(1)基本的な考え方
(ア)政令別表で定める商品区分の基準は必ずしも明確ではないが、大正10年商標法の商品分類においては、主として、材料主義、生産者主義によっていたが、その後、用途主義、販売店主義を大幅に考慮した改正がされて、旧商標法施行令(昭和35年政令第19号)第1条の別表の分類がされたものと解される。
そして、旧規則別表は、各商品の区分に属すべき商品を具体的に多数表示しており、各区分に属する具体的商品を、大概念(大分類)、中概念(中分類)、個々の商品(単品)等と階層的に表わしている。
したがって、不使用取消審判の対象となっている登録商標を現実に使用している商品が指定商品のいずれに属するかについては、その商品と旧規則別表に例示された個々の商品とを対比することによって比較的容易に判断し得る場合が多い。
しかしながら、市場に存在する現実の商品は多種多様であり、日々新しい商品が開発されて出現していることは周知のことであって、登録商標を使用している商品が、そもそも当該商標の指定商品に該当するのか、あるいは指定商品のうちのいずれに属するのかなどの判断が困難な場合も生じ得るのである。また、極めて希有の例ではあっても、商品区分の大分類又は中分類の二つの商品に該当する二面性を有する複合的な商品が生ずる事も否定し難いところであると認められる(東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)第67号 昭和60年5月14日判決)。
(イ)そうすると、ある商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は難しい場合があり、二つの指定商品に属する二面性を有することすらあり得るのであるから、仮に本件使用商品が「化学品」に属すると認められる場合であっても、そのことから「薬剤」に属しないとの結論に当然導かれるとは限らないというべきである。
とりわけ、審判手続きにおいて、本件使用商品が「薬剤」に属するものと認められるべきであるとする理由を被請求人が具体的に主張している本件のような場合には、これらの理由をも含めて総合的な検討をし、まず取消請求に係る指定商品「薬剤」に属するか否かを判断すべきであり、その判断に当たっては、本件使用商品の名称、表示、形状・形態、原材料、性質、機能、用途、使用実態等のほか、取引者・需要者の認識や薬事法等の取扱いを含む取引の実情を考慮するのが相当というべきである。
(2)本件使用商品について
以上を前提として、本件使用商品が取消請求に係る「薬剤」に属するか否かを検討する。
(ア)被請求人の提出した証拠等によれば、本件使用商品について、次の事実が認められる。
商標の使用の事実を示す書類として提出されたカタログ(以下「本件カタログ」という。)によれば、被請求人は、本件使用商品を「化粧品の防腐剤,医薬品の防腐剤」と表示して販売しており、本件カタログには、本件使用商品の品名、包装、用途等に関して次のように記載されていることが認められる。
(品名)「OXYBEN E Ethyl p−Hydroxbenzoate p−ヒドロキシ安息香酸エチル 日本薬局方 食品添加物」(包装)「5kg,10kg」(用途)「化粧品の防腐剤,医薬品の防腐剤」、(品名)「OXYBEN M Methyl p−Hydroxbenzoate p−ヒドロキシ安息香酸メチル 日本薬局方」(包装)「5kg,10kg」(用途)「化粧品の防腐剤,医薬品の防腐剤」、「OXYBEN P Propyl p−Hydroxbenzoate p−ヒドロキシ安息香酸プロピル 日本薬局方 食品添加物」(包装)「5kg」(用途)「化粧品の防腐剤,医薬品の防腐剤」
(イ)以上の記載に照らすと、本件使用商品は、「p−ヒドロキシ安息香酸エチル」「p−ヒドロキシ安息香酸メチル」「p−ヒドロキシ安息香酸プロピル」を原材料とした日本薬局方に納められている防腐剤であると認められる。
(3)薬事法の位置づけ
本件使用商品は、薬事法上、「日本薬局方(日本薬局方とは、「薬事法第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書」をいう。厚生労働省のホームページ参照)」の中の「医薬品」と位置づけられており、薬事法上の日本薬局方第二部医薬品各条において、一般名称は「パラオキシ安息香酸エチル」「パラオキシ安息香酸メチル」「パラオキシ安息香酸プロピル」とする「医薬品」としての指定を受けているものであるから、本件使用商品は、薬事法上の「医薬品」として捉えられているものと認められる。
(4)旧政令別表に基づく商品区分について解説した特許庁商標課編「商品区分解説(昭和55年四月7日改訂版)」は、商品区分第1類の「薬剤」の項に「この概念には次のものが含まれる。/(1)薬事法(昭和35年法律第145条)の規定に基づく“医薬品”の大部分/“医薬品”とは次に掲げるものをいう。/(i)日本薬局方に収められている物、(ii)人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされる物であって、器具機械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ)でないもの(医薬部外品を除く。)、(iii)人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具機械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)と記載されている
(5)そこで、商標法上の商品分類における「薬剤」にどのような商品が該当するかを検討するに、旧規則別表には、商品分類第1類「薬剤」に属する商品として、中分類の「農業用または公衆衛生用薬剤」中に、「殺菌剤」、「防臭剤」、と並んで「防腐剤」が挙げられている。
また、同別表中に「薬剤」に属するものとして記載された商品の中には、液状のもの、粉末状のもの(薬用ベビーパウダーなど)、軟膏状のもの、固形のもの(日本薬局方の薬用石けん)など、商品の形態(外形)としてみると種々のものが含まれており、それらに共通するのは、何らかの薬理学的作用を有する物質(あるいはその調剤に使用される物質)であるという点であると認められる。
(6)以上の事実を総合勘案すると、本件使用商品は、上記で認定したとおり、その薬理学的作用による防腐効果を目的として使用されるという点において「薬剤」的な性質の強い製品であって、商品の性質、用途、使用の実態及びこれらから推認される取引者・需要者の認識に照らすと、「薬剤」に属する商品と認めることが相当である。
本件使用商品は、請求人が主張するような「化学品」としての性質を認め得るとした場合でも、これを敢えて「化学品」と解して「薬剤」から排除すべき積極的かつ合理的な理由は見いだせない。
(7)請求人の主張について
請求人は、本件カタログの表題は「CHEMICALS 2000」であり、商品の総称として「化成品」と表示されているから、本件使用商品は「化学品」であることをも理由としている。
しかしながら、前記(6)で判断したとおり、本件カタログにその旨の記載があったとしても、本件使用商品の取り扱いが「薬剤」であって「化学品」でないことは、本件の事実関係の下では、本件使用商品が「薬剤」に属する商品であることの妨げとなるものでなく、本件使用商品を商標法上の「薬剤」と扱っても差し支えないというべきであり、本件使用商品が「薬剤」に属するか否かの判断を左右するものではない。
(8)結論
してみれば、本件商標は、これと社会通念上同一と認められる態様で、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人である商標権者によって本件取消請求に係る商品「薬剤」に含まれる本件使用商品である「防腐剤」について使用されていたといい得るものである。
したがって、本件商標は、取消請求に係る指定商品については、商標法第50条の規定によっては取り消すことができないものである。
よって、結論のとおり、審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。