sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

敗訴(請求棄却)

商標「水性ウッドプライマー」の記述的商標の使用による識別力獲得(第4条第1項第16号・第3条第1項第3号|審判不服2005−15068(T2005−15068/J1))

審判番号
不服2005−15068(T2005−15068/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「水性ウッドプライマー」
争点(論点)
記述的商標の使用による識別力獲得
適用条文
第4条第1項第16号・第3条第1項第3号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判不服2005−15068(T2005−15068/J1)・不服)は、本件商標「水性ウッドプライマー」について、商標法第4条第1項第16号・第3条第1項第3号への該当性が争われた事例です。主な争点は「記述的商標の使用による識別力獲得」です。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「水性ウッドプライマー」の文字を標準文字で書してなり、第2類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年8月5日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同17年4月7日付けの手続補正書により、第2類「塗料」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、『水性ウッドプライマー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、その構成中、『水性』の文字は、商品の品質を認識させ、『木材』の意味を有する『ウッド』の文字は、商品の用途を表示したものと認識され、『プライマー』の文字は、例えば、技報堂出版株式会社発行『塗料用語辞典』によれば、『プライマー(primer)』は『下塗りの意味で、鉄等の金属を塗装する時、あらかじめさび止め用として塗る塗料』と記載されているから、本願商標全体からは、『水性の木材用下塗り塗料』の如き意味合いを容易に看取させるものである。そうとすれば、本願商標をその指定商品中の、例えば、上記に照応する事項を特徴とする商品について使用するときは、単に商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、意見書において、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により、商標登録されるべきものである旨主張するが、同法第3条第2項にいう、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品又は役務と同一の商品又は役務に関する場合のみであるところ、出願人は、『塗料銘柄便覧』と『塗料商品名集』中の記載の証拠、及び、カタログの写しを提出しているのみで、実際に使用している商標及び商品(塗料)についての証拠や、使用開始時期や地域、生産数量又は営業の規模等についての証拠等の提出もなく、本願商標を出願人が使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標に至っているものと認めることはできないから、その主張は採用できない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

請求人は、平成17年4月7日付けの意見書並びに本件審判請求書の請求の理由において、本願商標が登録されるべき理由を要旨以下のように述べ、証拠書類として添付資料1ないし5(ただし、添付資料1ないし3については、同意見書に添付のものを援用。)を提出した。

(1)本願商標「水性ウッドプライマー」は、審査官指摘のとおり、「木材」を対象とする下塗り塗料であって、最近の環境負荷の少ない塗料を提供するために、従来は有機溶剤を使用していたものを「水性」塗料としたものである。

(2)しかし、本願商標の構成のうち、「ウッドプライマー」の部分については、出願人(請求人)が従来(昭和60年4月)から販売している「溶剤型の木材用下塗り塗料」であって、当業界において広く知られた「SPウッドプライマー」と同じく、本願商標の根幹部分をなすものであり、広く当業界にあっては「ウッドプライマー」とは出願人(請求人)の商品であることが容易に認識されるものである。

(3)したがって、本願商標は、出願人(請求人)が20年間使用してきた商標「SPウッドプライマー」と同一の商品又は役務に関するものであり、広く日本国内において出願人(請求人)の商品又は役務であることを認識できるものであるから、審査官指摘の商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により、商標登録されるべきものである。

(4)また、商標法第4条第1項第16号については、本願商標の指定商品を「塗料」に補正したので、該当しないものとなった。

4 当審の判断

(1)本願商標は、前記1のとおり、「水性ウッドプライマー」の文字よりなり、補正後の指定商品を第2類「塗料」とするものである。

そして、当該指定商品との関係においては、本願商標の構成全体からは、原審説示のとおり、「水性の木材用下塗り塗料」程の意味合いを容易に認識させるものであると認められ、このことは、前記3(1)のとおり、請求人自身も認めるところである。

また、「ウッドプライマー」の文字についても、インターネット情報によれば、例えば、「KAWACHI Net Shop」のウェブページ(http://www.kawachigazai.co.jp/item/E610_83.htm)には、商品「ターナー ウッドプライマー60ml」について、「被覆力と接着力に優れた木部用の下塗り剤で、定着を良くします。約30%の水で薄めて使用します。」との記載が、「東洋産業株式会社」のウェブページ(http://www.toyo-sangyo.com/21product.htm)には、商品「マキシマム ウッドプライマー」について、「特長 無垢木床用の下塗り剤。水溶性のウレタン樹脂が主原料の水溶性クリアー樹脂塗料です。」との記載があるなど、他人による使用の事実も認めることができる。

(2)そうすると、かかる意味合いを有する本願商標を、その補正後の指定商品である「塗料」のうち、「水性の木材用下塗り塗料」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品の品質、用途を表示したものであると理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。また、本願商標を前記商品以外の指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

(3)請求人は、前記3のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるが、同法第3条第2項の規定により、商標登録されるべきものである旨主張する。

しかし、商標法第3条第2項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないから、出願に係る商標が、同条項の要件を具備し、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、出願に係る商標と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている場合に限られると解される(参考:知財高裁平成18年(行ケ)第10054号、平成18年6月12日判決)ところ、請求人の提出に係る証拠(添付資料1ないし5)は、いずれも商品「SPウッドプライマー」に関するもの(塗料銘柄便覧、塗料商品名集、カタログ及び商品の包装容器の写真等の写し)であって、本願商標「水性ウッドプライマー」と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている事実を示すものではない。そして、他に請求人が本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が本願商標を何人かの業務に係る商品であると認識するに至ったと認めるに足りる証拠はない。

してみれば、本願商標「水性ウッドプライマー」がその指定商品「塗料」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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