Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−17624(T2005−17624/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「ナットウプロテアーゼ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「植物性多糖類を主成分とするカプセル状・錠剤状・粉末状・顆粒状或いは液状の加工食品,ビタミンを主成分とするカプセル状・錠剤状・粉末状・顆粒状或いは液状の加工食品,納豆菌を主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品,米ぬかを主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品,難消化性デキストリンを主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品,月見草油を主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品,大麦の若葉を主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として平成16年10月26日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ナットウプロテアーゼ』の文字を表してなるが、その構成中の『ナットウ』の文字部分は『納豆』を認識させ、また、『プロテアーゼ』の文字部分は『たんぱく質分解酵素』の意味を有する語であり、納豆の製造に用いる『納豆菌』に含まれているものであることから、全体として、『納豆に含まれているたんぱく質分解酵素』の意味合いを認識させる語といえる、また、いわゆる健康食品の分野において、納豆菌を配合した錠剤等の各種商品が生産・販売されている事実が認められることから、本願商標をその指定商品中、『納豆に含まれているたんぱく質分解酵素を配合した商品』に使用したときは、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標は、「ナットウプロテアーゼ」の文字よりなるところ、その構成中前半の「ナットウ」の文字は、「よく煮た大豆を藁づとなどに入れて適温中に置き、納豆菌を繁殖させて作った食品。粘り気が強いので糸引き納豆と呼ばれ、今日普通に納豆というのは、この種のものを指す。現在は、蒸し大豆に直接納豆菌を散布して発酵させたものが多い。」(式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)を表し、一般に親しまれた食品である「納豆」の文字を片仮名文字で表したと理解されるものである。
また、同後半の「プロテアーゼ」の文字は、「蛋白質のペプチド結合を加水分解する酵素の総称。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)を意味する語であることが認められるものである。
そして、本願商標を構成する「ナットウプロテアーゼ」の文字が、一体として特定の熟語的意味合いをもつ成語とも認められないものであることからすれば、本願商標は、「ナットウ」と「プロテアーゼ」の二つの語を結合してなるものとして把握されるものといえる。
ところで、「化学大事典 縮刷版」(発行所 共立出版株式会社 2001年9月20日 縮刷版第37刷発行)において、「プロテアーゼ:タンパク質分解酵素 タンパク質やペプチドなどのペプチド結合を加水分解する酵素の総称で動植物、微生物の体外酵素、体内酵素として広く存在する。・・・」の記述とともに、「プロテアーゼの例」として、表中に(1)動物を起源とするもの、(2)パパイヤ、パイナップル、イチジクに存在する植物を起源とするものおよび(3)カビのプロテアーゼ、酵母のプロテアーゼ、細菌のプロテアーゼと称される微生物を起源とするものがあることを示す記載が認められる。
さらに、納豆の健康効果を報じる新聞記事或いは商品の宣伝広告等において、納豆にはタンパク質分解酵素である「プロテアーゼ」が含まれていることが記載されている。
また、いわゆる健康食品には、納豆菌を主原料とする商品、プロテアーゼ・アミラーゼ・リパーゼ等の酵素を摂取するための商品が販売されており、当該業界において、「プロテアーゼ」の文字は「たんぱく質分解酵素」を表す語として商品の宣伝広告等において使用されている。
そして、植物又は微生物等に起源するプロテアーゼを、当該酵素が由来するものの名称等を表す文字と「プロテアーゼ」の文字を一連に表示することにより、「プロテアーゼ」の種類を特定して使用していることが認められる。
これらのことは、以下の新聞記事、インターネットのホームページ等の記載からも窺えるものである。
1.納豆に「プロテアーゼ」が含まれていることについて。
(1)「[くらしノート]納豆を食卓に」(1999.10.27 毎日新聞 東京朝刊)の見出しのもと「納豆には心臓病や脳卒中、痴ほうなどの予防効果があると言われるナットウキナーゼが含まれると注目されていますが、忘れてならないのが発酵食品であること。納豆菌は大豆のたんぱく質を利用して繁殖する過程で、消化吸収、老化・便秘の予防、美肌効果などがあるプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼなどたくさんの酵素を作ります。」の記載。
(2)「財団法人東京都医学研究機構 東京都臨床医学研究所」のホームページにおいて「納豆キナーゼ*(英語の名前もそのままnattokinaseです)は、1987年に倉敷芸術科学大学の須見洋行博士らが発見したもので、『ズブチリシン(subtilisin、英語ではサティライシン)』と呼ばれるプロテアーゼの仲間です(そのためsubtilisin NATとも呼ばれます)。その名が示すように、納豆を造る枯草菌(Bacillus subtilis、ズブチリシンの名の由来にもなっています)の一種、『納豆菌』が造っています。」の記載。(http://www.rinshoken.or.jp/benefit/20050128.htm)
(3)「株式会社ミツカングループ本社」のホームページにおける「金のつぶ『まぜうま』」の商品概要において「納豆では、納豆菌の発酵中にできる『プロテアーゼ』という酵素が、大豆たんぱく質を分解して旨みの基となる『アミノ酸』が作られます。」の記載。(http://www.mizkan.co.jp/company/newsrelease/2002news/020819_02.html)
(4)「東京ガス株式会社」のホームページにおいて「納豆の効能 1. 血栓を溶かす 納豆のネバネバに含まれるナットウキナーゼという酵素は、血栓を溶かす働きがあり、脳梗塞、心筋梗塞などの血栓症を予防する。2. ・・・・3. 消化酵素が豊富にある 納豆に含まれる主な消化酵素は、たん白質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、澱粉を分解するアミラーゼ、繊維質を分解するセルラーゼなどで、ほとんどすべてのものの分解をすすめ、消化を助ける。4. ・・・・」の記載。(http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/note/032.html)
2.いわゆる健康食品を取り扱う業界において、納豆菌及び酵素を含有してなる各種の商品が流通している実情及びその商品の宣伝広告等における「プロテアーゼ」の表示について。
(1)「ケンコーコム株式会社」のホームページにおける「ビージーンズ(納豆菌培養エキス)450粒」の商品説明において「納豆菌をはじめ、アガリクス、ヤマブシタケ、マイタケ、霊芝、椎茸などを贅沢に配合した健康補助食品です。納豆菌はナットウキナーゼや、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼという酵素を作り出します。でん粉、タンパク質、脂質、繊維質などを分解します。」の記載。(http://www.kenko.com/product/item/itm_6622055072.html)
(2)「株式会社ナトキンフーズ」のホームページにおいて「日本の伝統食品“納豆”から生み出された納豆菌、ナットウキナーゼを含む『栄養補助食品ナトキンパワー』など信頼のナトキンシリーズを皆様に通販でご提供いたします。」の記載。(http://www.nattokinfoods.com/)
(3)「楽天市場」の見出しのもと「美酵素」の広告において「1粒中にプロテアーゼ・アミラーゼ・リパーゼ・セルラーゼ・スクラーゼマルターゼ・ラクターゼ食物酵素が健康ダイエットを更に応援します!」の記載。(http://www.rakuten.co.jp/danke-de-kirei/103398/206935/)
(4)「ボディ・エンザイム 体内酵素」の見出しのもと「トランスフォーメンション社の商品のご紹介 人体への負担を軽減する優れた食物消化酵素。 消化を助ける各種の酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼなど)のコンビネーションです。これにより新陳代謝を促進するための酵素を消化酵素に作り替える作業を軽減させ、体の負担を減らします。・・・配合されているプロテアーゼはタンパク質分解酵素。・・・トランスフォーメーション補助食品の Purezymeは、純度の高い多くのプロテアーゼが含まれ、血液の浄化を助ける為のものです。」の記載。(http://www.nyoutlet.com/transformation.html)
3.ある種のプロテアーゼを指称する場合、例えば、「イチジク果実プロテアーゼ」(岡山大学農学部学術報告(http://www.lib.okayama-u.ac.jp/www/aggaku2/PDF/92_053_056.pdf))、「生姜プロテアーゼ」(「浦上食品・食文化振興財団、06年度研究助成14件を決定」(2006.09.15 日本食糧新聞)の見出し記事)、「葉緑体プロテアーゼ」(農業生物資源研究所 平成12年度研究成果情報(http://www.affrc.go.jp/seika/data_niar/h12/abr00013.html))、「土壌プロテアーゼ」(九州農業試験場ニュース(http://www.knaes.affrc.go.jp/jnews/59/59p04.html))、他に「キーウィフルーツプロテアーゼ」、「ショウガプロテアーゼ」、「植物プロテアーゼ」、「小麦胚芽プロテアーゼ」のように表して報告書等に使用されている実情にある。
そこで、上記の事情を総合的に勘案すると、本願商標は、一般に親しまれた食品を表す「納豆」の語を片仮名文字で表した「ナットウ」の文字と酵素の一種である「プロテアーゼ」の文字を結合した「ナットウプロテアーゼ」の文字よりなるものと把握、理解されるものであって、その構成文字全体から、「納豆に起源(由来)するプロテアーゼ」程の意味合いを認識、理解するというのが相当である。
してみれば、これをその指定商品中、例えば、「納豆菌を主成分とする粒状・粉状・顆粒状・錠剤状又は液状の加工食品」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「納豆に起源(由来)するプロテアーゼを含有した商品」であることを理解するものであって、単に商品の品質、原材料を表示するものと認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないといわざるを得ないものである。また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人は、本願商標は造語であり、構成中の「プロテアーゼ」が「たんぱく質分解酵素」の意味を有することを、需要者はごく平均的な日本人であるから理解できないと考えるのが自然である。また、過去の他人の登録例を挙げて、本願指定商品に係る業界において商品の品質を直ちに表示するものとして使用されているものではない旨主張している。
しかしながら、「プロテアーゼ」の語は一般的に広く親しまれているものとまではいえないにしても、これを含有するいわゆる健康食品が販売されていることは前記のとおりであり、そして、指定商品に係る原材料名が、仮に、現実に使用されておらず、或いは、一般には知られていない場合であっても、将来原材料名として使用されて、取引者・需要者間において商品の原材料名であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、その原材料名は商標法第3条第1項第3号に該当すると解される(東京高裁平成11年(行ケ)第410号判決参照)から、この点からも、請求人(出願人)の上記主張は採用することができない。
また、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するかどうかは個別具体的に判断すべきであると解されるところ、請求人が主張する過去の登録例に係る商標は、本願商標と構成文字、審査又は審理における判断時等を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであるから、上記、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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