結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2006−30957(T2006−30957/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3131635号商標(以下「本件商標」という。)は、「出前」の文字を横書きしてなり、平成5年4月1日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テ―ブルクロス,紙製ブラインド,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,事務用又は家庭用ののり及び接着剤」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録され、その後、同17年11月1日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1及び第3号証を提出した。
被請求人は、本件商標を継続して3年以上日本国内において、第16類の指定商品中「印刷物」について使用していない。
また、本件商標には、商標登録原簿に示すとおり、専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
商標権者は、本件商標「出前」を新聞、カレンダーの題号の要部として使用していると主張し、その証拠として物件(乙第1及び第2号証)を提出しているが、これらの物件は、以下の(1)及び(2)のとおり、登録商標を指定商品に使用していたことを証するものではない。
(1)乙第1号証について
ア.乙第1号証における「出前新聞」の表示は、本件商標を使用するものではない。
すなわち、乙第1号証に表示されている「出前新聞」の文字は、角ゴシック体で密接して一連に書されており、その文字全体を、文字とほぼ同じ太さの線で囲んでなるものである。
このように枠に囲まれてなる表示について、看者は、該枠中に書された一連の文字を、全体として一体の表示と認識するのであって、「出前」の文字のみに着目して認識することはない。
そして、「出前新聞」の文字全体から生ずる称呼「デマエシンブン」は、冗長でなく、流暢に一気一連に称呼し得るものであって、前半部分の「デマエ」の称呼のみをもって簡略して称呼されるおそれはない。
また、乙第1号証として提出された物件は、下記で述べるごとく、商標法上の「新聞」ではないことから、「出前新聞」の表示は、全体として一の商標であって、新聞について商標「出前」が使用されているものではない。
イ.乙第1号証は、「出前一丁」を商標とする商品「中華そば」の宣伝文書であって、商標法上の商品としての「新聞」ではない。
すなわち、商標法上の新聞は、「社会の出来事の報道・批判を、すばやく、かつ広く伝えるための定期刊行物」(甲第1号証)をいう。
しかるに、乙第1号証として提出された印刷物に記載されている事項は、「出前一丁」及び「出前一丁どんぶり」の商標の商品である即席めんを改良して発売したことを取扱店に知らせるための宣伝印刷物にすぎない。
このことは、乙第1号証において、その第1頁の上部に「リニューアル新発売のご案内」と記載されており、その下段の前部に「ごあいさつ 平素は弊社製品に格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。さて、このたび弊社では、昭和43年の発売以来、時代とともに味を深めてきた『出前一丁』と『出前一丁どんぶり』をリニューアル新発売いたします。」と記載されており、その後部に「貴店におかれましても、新しくなった『出前一丁』、『出前一丁どんぶり』をご拡販賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」と記載されているところから明らかである。
さらに、乙第1号証の第2及び第3頁には、新製品の改良点をあげて、おいしさが増した旨の宣伝文書であり、同第4頁は、販売促進展開期間の通知と製品の価格表です(乙第1号証の第5頁は、同第2頁と同一の物である。)。
このような記載内容から、乙第1号証に係る印刷物は、「出前一丁」を商標とする即席ラーメンの取引者に対して配布する宣伝物であって、独立して商取引の目的となるべき物ではない。
また、当該物件には価格が表示されておらず、商取引された証拠もないことから、乙第1号証として提出された物件は、商標法上の商品としての「新聞」ではない。
ウ.上記のように、乙第1号証の「出前新聞」の表示は、構成が全体として統一されていること、全体としての称呼が冗長でなく流暢に一連に称呼され得ること、及び当該印刷物が商標法上の新聞でないことから、全体として一体の商標であって、本件商標「出前」が使用されているものではない。
また、乙第1号証として提出された印刷物は、即席ラーメンの取引者に対する新製品の宣伝物であって、独立して取引される物ではないから、商標法上の商品ではない。
したがって、乙第1号証は、本件商標を新聞について使用していることを証明するものではない。
(2)乙第2号証について
ア.乙第2号証における「5年先まで出前カレンダー」の表示は、本件商標を使用するものではない。
すなわち、乙第2号証に表示されている「5年先まで出前カレンダー」の文字は、赤みがかった横長の長方形内に、角ゴシック体で密接して一連に白抜きで書されている。このように他の部分とは区分した場所における表示について、看者は、全体として一体不可分のもとと認識するものである。
まして、「出前」の文字は、「5年先まで出前カレンダー」という多くの文字の中程に含まれているにすぎない表示について、「出前」の文字のみに着目して認識し、取引上称呼されることはない。
したがって、本件商標「出前」を使用しているものではない。
仮に、この表示にかかるカレンダーが5年間にわたるものであることから、前半部の「5年先まで」を捨象して「出前カレンダー」の文字部分をもって認識される場合があるとしても、この「出前カレンダー」の文字部分は、同書、同大の文字が密着して表示されており、そこから生ずる「デマエカレンダー」の称呼は、冗長でなく流暢に、一気に一連に称呼し得るものであるから、後半部の「出前カレンダー」の部分のみに着目した場合においても、この部分は一体不可分の表示であって、本件商標「出前」を使用しているものではない。
イ.乙第2号証として提出された物件は、商標法上の商品ではない。
当該物件には、左上隅に丼の器風の断面図を薄い赤色で画き、その中に「NISSIN」の欧文字を白抜きで書し、その下に「日清食品」の漢字が書されており、この表示は、商品の代表的出所である営業主体を表示するものである。
また、その右に「出前一丁」の漢字が唐風隷書体様に書されており、この表示は、商品に使用されている商標を表示するものである。
そして、上部に画かれた絵においては、鉢巻きを締め下駄履きで、ラーメンを前に捧げて走っている4人の人物が人形風に画かれているところ、左端の人物が来ている羽織の紋を表示する場所に、丼の器風の断面図を薄い赤色で画き、その中に「NISSIN」の欧文字を白抜きで書された図形が画かれている。
更に、その左から第3番目の人物が着ている半天の左右の前衿には、「出前一丁」の漢字が唐風隷書体様に縦に書され、かつ、カレンダーの2月の下の箇所の吹き出しの中に「2月12日は出前一丁の誕生日だじょ。」と書し、カレンダー中の2月12日の箇所に、「12」の数字に変えて図形が表示されている。
また、当該物件には価格が表示されておらず、商取引された証拠もない。
このような物件は、商標権者である日清食品株式会社の製造販売に係る「出前一丁」を商標とするラーメンの宣伝物であって、当該商品の取引者に販売促進のために無償で配布する物であることが明らかである。
商標法上の商品とは、独立して商取引の目的となるべき物であるから、乙第2号証として提出された物件は、商標法上の商品ではなく、当該物件上の表示は、指定商品について使用されているものではない。
ウ.上記のごとく、乙第2号証として提出された物件は、表示されている文字の商標の構成からみて、登録商標の使用ではなく、また、指定商品について使用されているものでもない。
よって、乙第2号証は、本件商標を指定商品について使用していることを証明するものではない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出した。
商標権者は、本件商標を新聞、カレンダーの題号を商標の要部とし、本件商標「出前」を使用している。
(1)2004年7月発行「出前新聞」(乙第1号証)にて使用
(2)2005年度〜2009年度「出前カレンダー」(乙第2号証)にて使用
即ち、乙第1号証の上部には題号として「出前新聞」の記載、及びその下部には2004年の記載があり、その下部には記事の記載がある。
他方、乙第2号証には、「5年先まで出前カレンダー」の題号の記載があり、カレンダーの年度は2005年〜2009年と記載がある。
いずれも、新聞、カレンダーは共に本件商標の指定商品であり、審判請求登録前3年以内に日本国内において、第16類中の「印刷物」を指定商品とした商標の使用実績を有する。
(3) よって、本件審判請求は成り立たない。
(1)乙第1号証に示された印刷物(以下「本件新聞」という。)は計4葉からなり、その第1葉には、最上段に「2004年号」の記載があり、右側に、横長楕円内に「出前新聞」の文字を書した標章が横向きで表され、その下に「出前一丁に3つの新事実!!」と縦に記している。
そして、上段に、「日清食品」の文字及び赤色の下半円内に「NISSIN」の文字を白抜きに表した被請求人の代表的出所標識を配し、その横に「出前一丁/出前一丁どんぶり リニューアル新発売のご案内」と横書きし、その下に「ふたたび出前ブーム 到来か!?」と縦に大書するとともに、「出前坊や」と称されるキャラクターが描かれている。
さらに、下段には、「平素は弊社製品に格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。」で始まる「ごあいさつ」が掲載されている。
(2)本件新聞の第2葉には、横長楕円内に「出前新聞」の文字を書した標章が最上段に表示され、「新パッケージで“おいしさ”を前面訴求! 出前坊やも新ポーズで登場!!」と銘打ち、上段からほぼ全面にわたり、商品「出前一丁」及び同商品のパッケージの変遷を掲載し、下段には、同商品に関するキャンペーンについて記載している。
また、第3葉には、横長楕円内に「出前新聞」の文字を書した標章が最上段に表示され、「秘伝を受け継いだカップには、さらに焼豚が入った!」と銘打ち、全面にわたり商品「出前一丁」を掲載している。
(3)本件新聞の第4葉には、「TVCM&キャンペーンを、清水圭・香坂みゆき夫妻が強力バックアップ!」との表示があり、「販促展開」として、「TVCM」が9月末から12月末、「キャンペーン」が10月当初から12月末までである旨の図解グラフが掲載され、「出前一丁」に係る商品パッケージや商品概要等が掲載されている。
そして、最下段に、被請求人の名称がその代表的出所標識とともに表示されている。
(4)乙第2号証に示された印刷物(以下「本件カレンダー」という。)には、左上段に「日清食品」の文字及び赤色の下半円内に「NISSIN」の文字を白抜きに表した被請求人の代表的出所標識を配し、出前坊やがラーメンの出前をする四季に応じた4様の図が配されたすぐ下のほぼ中央に、箸袋に表した「5年先まで出前カレンダー」の表示があり、中段以降には、2005年から2009年の暦が年毎に順次行替えで掲載されている。
そして、最下段右に「このカレンダーは2004年11月に制作したものです。」との記載がある。
併せて、本件新聞には価格の表示が見いだせず、これが現に譲渡等取引に供されたことを推認させ得る証拠はない。
してみると、本件新聞は、一般市場において独立して取引の対象となっていたものとはいい難く、商標法上の商品とは認められないから、これに表示された「出前新聞」をもって、商品「新聞」に本件商標が使用をされたとすることはできないというべきである。
しかしながら、本件カレンダーには価格の表示が見いだせないし、これが現に取引に供されたものであることを推認させ得る証拠もない。
そして、本件カレンダーには、被請求人の代表的出所表示及び「出前一丁」の表示があること、「2月12日は出前一丁の誕生日だじょ」の吹き出しとともに、各年の2月12日の箇所には、前記出前坊やの頭部と思しき図柄が充てられていることが認められる。
しかして、これらを総合してみると、本件カレンダーは、一般市場において独立して取引の対象となっていたものとは認め難く、被請求人の業務に係る商品「出前一丁」の宣伝のための印刷物とみるのが相当である。
してみると、本件カレンダーに表示された「5年先まで出前カレンダー」の文字中に「出前」の表記があるとしても、これをもって、商品「カレンダー」に本件商標が使用をされたとすることはできないというべきである。
したがって、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が印刷物について使用をされていたとは認められず、また、請求人の弁駁に対する被請求人の答弁がないところ、他に本件商標の使用を認め得る証拠はなく、加えて、不使用の正当理由についての主張及び立証はない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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