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Trademark Appeal Case

著名図形商標の外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35667号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4139783号商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4139783号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に示したとおりの構成よりなり、平成9年1月10日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同10年4月24日に設定登録されたものである。

2.請求人が引用する商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、いずれも別紙に示したとおりの構成よりなり、現に有効に存続している次の▲1▼〜▲5▼の登録商標である。

▲1▼登録第1370246号商標

昭和47年9月1日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同54年1月30日に設定登録。

▲2▼登録第1193250号商標

昭和47年9月1日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同51年4月5日に設定登録。

▲3▼登録第1413487号商標

昭和50年6月9日登録出願、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同55年4月30日に設定登録。

▲4▼登録第1225622号商標

昭和47年9月1日登録出願、第24類「野球用具、野球おもちや」を指定商品として、同51年10月12日に設定登録。

▲5▼登録第1653389号商標

昭和53年9月27日登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同59年1月26日に設定登録。

3.請求人の主張

請求人は、登録商標第4139783号の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至申第18号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、本件商標登録出願の日より前に出願され本件商標の指定商品と重複する商品を指定商品とする請求人所有の登録商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するため、同法第46条第1項の規定により、その商標登録が無効とされるべきである。

(2)本件商標と引用の各商標について

▲1▼本件商標は、つばのある帽子様のものを着用し、白煙を立ち上らせている拳銃様の物を肩越しに構え持ち、向かって左下側に描かれた白板の円部を凝視する男性の上半身を描いた図形から成っている。長方形の黒地の背景に、左下部分に小さな白い円形の図形、同白円を凝視しつつ行動を起こそうとする白地で抜き出されて描かれた上述の男性が、見方によって前向きとも背部から見ているとも見えるのが特徴的である。

▲2▼引用の各商標は、いずれも野球選手を描いた図形部分と、その下に一段に欧文字の大文字で「MAJOR LEAGUE BASEBALL」と書された文字部分から構成されている。各々に色の濃淡や活字体に僅少の違いが存するものの、いずれも全てほぼ同一の構成を示している。印象的な図形部分について詳述すれば、ヘルメットを着用しバットを手にして構えた野球選手の打者が、向かって左側から飛来する白球を打とうと待ち構えている場面を図示したものである。長方形の黒地の背景に、左下部分に小さな白球の形状、同白球を凝視しつつこれを打とうとする動きが白く抜き出されて描かれている男性が、見方によって前向きとも背部から見ているとも見えるのが特徴的である。

▲3▼以上のように、本件商標と引用の各商標は、いずれも長方形の黒地の背景に、左下部分に小さな白丸の図形、右寄中央に縦長の物体を構え持ち、つばのある帽子様のものを着用し、向かって左側の白い円を見据えた男性の姿が白抜きに描かれていながら、前向きか後ろ向きか解らないという細工が施されているのが印象的であり、その外観上極めて酷似している。

(3)引用の各商標の著名性

本件審判請求において、本件商標と引用の各商標との類似性及び混同の可能性を検討するにあたり、引用の各商標及びそれに象徴される米メージャー・リーグ・ベースボールの有する極めて高い著名性及び周知性は、重要な論点である。

引用の各商標は、ナショナル・リーグ及びアメリカン・リーグから成るアメリカ合衆国のメージャー・リーグ、つまりプロ野球の最上位のリーグ団体及びその名称を表している。

請求人であるメジャー・リーグ・ベースボール・プロパテイーズ・インコーポレイテッドは、1966年(昭和41年)にメジャーリーグ・べ一スボール・プロモーション・コーポレーションの法人名の下に設立され(1987年に現法人名に改称)、その業務は主にメージャー・リーグに属する28球団のために知的所有権を取得し、それらの管理及びライセンシングを統括的に行うこととしている(甲第18号証)。したがって、請求人は、引用の各商標が象徴するメージャー・リーグ・ベースボールについて、その団体名称、マーク、エンブレム等からなる商標を世界各国で請求人の名において取得・管理するものである。

そこで、以下の引用の各商標の著名性の検討は、メージャー・リーグ・ベースボールの関連団体及び請求人を通じて使用を許諾されたものに基づいて行う。

▲1▼米国における著名性

メージャー・リーグ・ベースボールの米国内での人気は、非常に高いものである。所属全球団の試合の観客数は年間延べ約4,500万人から5,000万人を超え、テレビの放映により全米地域の野球ファンが観戦している。メージャー・リーグ・ベースボールを題材とした映画「メージャー・リーグ」及び「メージャー・リーグ2」が、日米両国で大ヒットしたことにも現れている。加えて、多くの印刷物やインターネットのホームページなどで、その歴史や試合の結果・記録などが事細かに紹介され、引用の各商標が使用された様々な種類の被服製品等が販売されている(甲第10、11、15乃至17号証)。

▲2▼日本における著名性

日本においても、メージャー・リーグ・ベースボールは野球ファンのみならず多くの一般のファンを獲得している。メージャー・リーグに関するニュースは、長年にわたり新聞・雑誌等により、スポーツ欄のみに限らず様々な側面において報じられてきている。とりわけ、野茂英雄や長谷川滋利、柏田貴史、伊良部秀樹といった日本人選手及び日本人コーチが様々なチームで活躍するようになり、これを発端に、これらの選手のみならず、チーム及びその所属選手の知名度も極めて高くなり、メージャー・リーグの動向は、新聞記事、雑誌及びテレビ番組等で極めて頻繁にその動向が伝えられるようになってきている。マグワイや選手のホームラン記録更新について連日のように毎日の試合結果が日本の新聞を賑わせていたのは記憶に新しいところである。

甲第9号証に示す書籍「メジャーリーグの陰謀」において、プロ野球界では国境がもはや失われた現象が生じていることが指摘されている。上述のように、近年、台湾や韓国から日本のプロ野球界に移籍する者、日本から韓国やアメリカに移籍する者など、選手の移籍が目立っている。

このような状況下、日本においても盛んに新聞、テレビ及び雑誌に世界のプロ野球に関する記事が掲載されており、テレビでは海外の、とりわけメジャーリーグの試合が放映されるに至っている。

現在、請求人と日本の各テレビ局の放映権を有する電通との契約を通じ、日本におけるメジャーリーグの試合の放映状況を見ると、シーズン中に160の通常のゲームの他、オールスターゲーム、DIVISIONシリーズ、リーグ・チャンピオンシリーズ、ワールドシリーズ等が放映されている。契約テレビ局としては、NHK、フジテレビ、TBSの三者が挙げられる。また、かかる契約とは別に、テレビ朝日、日本テレビも独自の放映を行っている。

また、地上波以外でもパーフェクTVは、レギュラーシーズン、毎週2試合の放映を行っている。さらに請求人は、毎日、メジャーリーグハイライト(30分)を各テレビ局のニュース用に配布している。

以上のように、メジャーリーグは、日本プロ野球界におけるセ・パ両リーグと同様に、日本においてポピュラーな存在となっているものである。

▲3▼日米両国における商品化

さらに請求人は、世界において著名となっている「メジャーリーグ」の名称を商品化する事業も営んできた。これらの商品は、世界各国において次の売上を示している。

年 売上高(USドル)

l992 2,286,510,000(約2,286億円)

l993 2,247,150,000(約2,247億円)

l994 1,866,480,000(約1,866億円)

l995 l,069,700,000(約1,069億円)

1996 1,209,300,000(約1,209億円)

「メジャーリーグ」に関する商品化事業は、日本においても展開されており、以下の数字を示している。

1997年10月 414,869,123円

11月 260,435,157円

12月 222,352,155円

1998年 1月 132,588,230円

2月 138,793,669円

3月 303,525,017円

4月 241,719,879円

5月 191,350,040円

6月 180,622,000円

7月 112,792,862円

8月 115,967,943円

9月 183,311,959円

日本における上記の販売は、請求人がその子会社を通じ以下の直営店舗を通す形でもなされている。渋谷、静岡及び福瞬に所在する「CLUB HOUSE」、渋谷ワールボスポーツプラザ、新宿スタジオアルタ、池袋パルコ、札幌パルコ、名古屋パルコ、心斎橋パルコ及び広島に所在する「MLB Japan Shop(メジャーリーグベースボール・ジャパン・ショップ」並びに大阪ドームが、かかる店舗である。

上記商品事業には引用の各商標が用いられており、かかる商標は日本においても既にメジャーリーグを表すものとして認識され、使用されているものである。

▲4▼世界における著名性及び商品化

さらに、MAJOR LEAGUE BASEBALL及びそれを指し示す引用の各商標の図形の世界的な著名性については、各国特許庁の商標登録証(甲第18号証の1乃至43)からも窺い知ることができる。記述のアメリカの他にも、カナダ、ヨーロッパ各国、台湾等多数の国で、登録商標の使用された被服関連商品や玩具、食料品等多種の商品が販売されている(甲第13、14号証)。

(4)商標法第4条第1項第11号の該当性

引用の各商標は、その図形部分が印象的であって、米国野球連盟であるメジャー・リーグ・ベースボールを表すものとして日本及び世界各国において極めて著名かつ周知となっている。

加えて、前述のように、かかる引用の各商標に外観上極めて酷似し、引用の各商標ひいてはメジャー・リーグを彷佛とさせる本件商標は、外観を同一とする引用の各商標の類似商標であるといわざるを得ない。

そして、本件商標と引用の各商標の混同の可能性について検討すれば、本件商標と引用の各商標は外観を同一とするだけでなく、被服関係商品、履き物、身回品等、指定商品が重複する類似の商標といわざるを得ない。とりわけ、本件商標は、運動用特殊衣服、運動用特殊靴、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類等、野球関連商品とも解しうる商品をその指定商品としているものである。日本及び世界各国におけるメジャー・リーグの人気及び認知度を考慮に入れれば、本件商標が指定商品に使用された場合、引用の各商標と混同されるおそれが極めて高いものといえる。

このような状況下において、本件商標がその指定商品について使用された場合には、あたかも、メジャー・リーグ・ベースボールが直接または間接的に関与した、請求人の業務に関連する商品であるとの混同を生じるおそれがあり、商品の出所の混同を生じさせるおそれが極めて強いことは明白である。

(5)以上により、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4.被請求人の答弁

被請求人は何等答弁していない。

5.当審の判断

(1)本件商標の指定商品は上述のとおり洋服、コート等であり、請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1653389号商標の指定商品は上述のとおり「菓子、パン」であって、両指定商品が類似しないこと明らかであるから、本件商標は、登録第1653389号商標との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)本件商標は、別紙に示したとおり、黒地の横長の隅丸四角形の中央につばのある帽子を後ろ前に着用し白煙を立ち上らせている拳銃を右側に持って左側を向いている人物の上半身、左下部に「C」状のものを有する小さな円をそれぞれ白抜きで表した図形と、その外側を囲むように描いた横長の隅丸四角形の輪郭よりなるものである。

(3)請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1370246号商標、登録第1193250号商標、登録第1413487号商標及び登録第1225622号商標、(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、いずれも別紙に示したとおり、左側が黒地、右側が灰色地の横長の隅丸四角形の中央につばのある帽子を着用しバットを右側に持って左側を向いている人物の上半身、左下部に小さな円をそれぞれ白抜きで表した図形と、その下に書した「MAJOR LEAGUE BASEBALL」の欧文字よりなるものである。

そして、引用商標は、その構成態様よりして、その構成中、図形部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものと認められる。

(4)そこで、本件商標と引用商標の図形部分とを比較すると、両者は、隅丸の横長四角形の輪郭の有無、横長の隅丸四角形の右側の色、着用した帽子の向き、手に持ったもの、円形内の「C」状のものの有無に差異を有するが、両者の基本的な構成、すなわち、横長の隅丸四角形の中央につばのある帽子を着用し右側にものを持ち左側を向いている人物の上半身、左下部に小さな円をそれぞれ白抜きで表わしている点を共通にするものと認められる。

(5)そうとすれば、本件商標と引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、両商標が基本的な構成を共通にするものであることに惹き付けられ、それらの商品が同一の者又は何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると認識することが少なくないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標と引用商標は、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある類似の商標と言わなければならない。

(6)次に、本件商標と引用商標の指定商品をみると、本件商標の指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」は引用の登録第1370246号商標の指定商品中「被服」と、「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は登録第1193250号商標の指定商品中「装身具」と、「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」は登録第1413487号商標の指定商品中「はき物」と、「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」は登録第1225622号商標の指定商品中「野球用具」と、それぞれ同一又は類似するものである。

しかしながら、本件指定商品中の「仮装用衣服,乗馬靴」については、請求人が引用する各登録商標のいずれの指定商品とも類似しないものである。

(7)したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

しかしながら、本件商標の指定商品中「仮装用衣服,乗馬靴」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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