Trademark Appeal Case
ORSの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90475(T2006−90475/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4963081号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORS」の欧文字を横書きしてなり、平成17年8月1日に登録出願され、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料」を指定商品として、同18年5月23日に登録査定、同年6月23日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、「oral rehydration salts」の略であって、少量の糖分、塩分、重曹、塩化カリウムなどを調合した粉末を水に溶き、脱水症の抑制などに用いる「経口補水塩」のことをいうものであるとともに、「oral rehydration solution」の略であって「経口補水液」又は「経口補液」のことをもいうものと認められる。そうすると、本件商標は、本件申立てに係る指定商品中のORS飲料との関係上、当該商品がORS飲料であることを理解させるにすぎないから、これをORS飲料に使用するときは、需要者、取引者をして当該商品の品質を表示したものと認識されるにとどまり、これを前記商品以外の第5類「乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」に使用した場合は、当該飲料がORS飲料であるかのように、その品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであり、本件商標の指定商品中第5類「乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」についての登録は取り消されるべきであると申し立て、その証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出した。
3 本件商標に対する取消理由の要旨
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第1号証ないし甲第3号証によれば、「ORS」の文字は、「oral rehydration salts」の略であって、少量の糖分、塩分、重曹、塩化カリウムなどを調合したもので、その粉末を水に溶き、脱水症の抑制などに用いる「経口補水塩」をさすものであること、そして、これは、WHO(世界保健機関)の提唱する経口補水療法に用いられるもので、ユニセフが途上国の子どもたちに使い広まったものであることが認められる。
また、甲第3号証ないし甲第5号証によれば、「ORS」は、「oral rehydration solution」の略であって、経口補水液(又は経口補液)をもさすものであることが認められ、そして、この経口補水液も、甲第7号証によれば、経口補水塩と同様に、WHO(世界保健機関)の提唱する経口補水療法の考えに基づいた脱水症状の抑制に用いる飲料をさすものであることが認められる。
(イ)「ORS」(経口補水液(又は経口補液))であるためには、電解質、糖質の濃度が調整され、かつ浸透圧が低く抑えられている必要があるとされるところ、甲第3号証ないし甲第5号証によれば、これらを満たす「ORS」(経口補水液(又は経口補液))製品が、被請求人を含む数社から飲料として販売されていること(「OS−1オーエスワン(大塚製薬)」、「アクアソリタ(味の素)」、「アクアライトORS(和光堂)」及び「アクアサーナORS(森永乳業)」)、そして、そのうちの二つの製品には、商品名の一部に「ORS」の文字が使用されていることが認められる。
(ウ)甲第6号証ないし甲第11号証によれば、前記(イ)に例示した商品について、その商品又は商品の説明書等に「ORS」、「oral rehydration solution」、「経口補水液」及び「経口補液」の文字やそれらの説明等が記載されていることが認められる。
(エ)甲第12号証によれば、医師が開設するインターネットサイトにおいて、前記(イ)に例示した商品のうちの「アクアサーナORS」と「アクアライトORS」について、商品名中の「ORS」が「oral rehydration solution」の略であることの説明がある。
(3)上記の認定事実によれば、本件商標は、申立てに係る指定商品である第5類「乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」との関係においては、これに接する需要者は、それが「ORS」であること、すなわち、「経口補水液(又は経口補液)」を内容とする飲料であることを容易に理解、認識するものとみるのが相当である。
そうとすると、本件商標は、これをその指定商品中の「ORS(経口補水液(又は経口補液))」を内容とする飲料に使用するときには、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、かつ、「ORS(経口補水液(又は経口補液))」を内容とする飲料以外の前記の申立てに係る商品(飲料)に使用するときには、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
(4)したがって、本件商標は、その指定商品中の第5類「乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、同法第15条の1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録を取り消すべきである。
4 商標権者の意見
商標権者は、3の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。
5 当審の判断
平成19年2月9日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標登録は、その指定商品中の第5類「乳幼児の離乳育児用飲料,食餌療法用飲料」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」については、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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