Trademark Appeal Case
効能表示の識別力と使用による識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−13364(T2004−13364/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「すはだ美」の文字を標準文字で表してなり、第29類「コラーゲン・動植物抽出物・ビタミン・ミネラルを主成分とする粉状・顆粒状・錠剤状・固形状・液体状又はカプセル入りの加工食品,冷凍果実,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと」を指定商品として、平成14年12月20日に登録出願され、その後、指定商品については、同16年9月13日付け手続補正書により、第29類「コラーゲン・動植物抽出物・ビタミン・ミネラルを主成分とする粉状・顆粒状・錠剤状・固形状・液体状又はカプセル入りの加工食品」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『すはだ美』の文字を書してなるところ、本願指定商品との関係においては、『肌を美しくする食品』等と謳った商品が多数取り引きされているので、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、全体として『素肌を美しくする食品』程度の意味合いの宣伝文句、惹句として認識・理解するに止まり、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋及び審尋に対する請求人の回答の要点
1.平成18年1月19日付けで審判請求人に対して審尋を要旨下記のとおり通知した。
請求人は、審判請求書の請求理由において「本願商標は、使用された結果需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができる商標に該当するから、商標法第3条第2項の規定によって登録を受けることができるものであるが、出願人は、目下、しかるべき客観的な証拠を以って主張・立証する準備をしている状況にあるので、準備ができるまで、今しばらく猶予を願う次第である。」旨述べているが、その後、相当の期間が経過した現在に至るも、何らの釈明も証拠の提出もなされていない。よって、請求人は、上記について釈明し、本願商標について、商標法第3条第2項の要件を充たすものとしての理由及び客観的な証拠を提出されたい。なお、本書に対し指定した期間内に前記書面の提出がなされない場合には、直ちに本件審理を終了することとする。(左記の通知中「商標法第3条第2項の要件を充たすもの」の記載は、「商標法第3条第2項にいう使用による識別性を獲得したもの」にあたる。)
2.請求人の回答
請求人は、上記審尋に対して平成18年3月8日付け回答書において、証拠方法として甲第7号証ないし第15号証を提出し、本願商標が、使用による自他商品の識別力を有すると主張する。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
「すはだ美」の語に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1.本願商標を構成する「すはだ」及び「美」の各文字に関して、「広辞苑第五版」(株式会社岩波書店)には次の記載が認められる。
(1)「すはだ【素肌】」:「衣服、特に、下着や、おしろい等をつけていないはだ。」の記載。
(2)「び【美】」:「うつくしいこと。うつくしさ。」の記載。
2.近年のいわゆる健康食品等を取り扱う業界の実情並びに「素肌美」の文字が化粧品・エステ業界及びいわゆる健康食品等を取り扱う業界において使用されている実情について
(1)「脚光あびる『栄養補助食品』 スーパーやコンビニへ広がる流通ルート」(1996.03.12 産経新聞 東京朝刊)の見出しのもと「・・・不足がちな栄養素を手軽に摂取でき、医薬品に比べ価格も安いサプリメントが、健康や美容を気にする女性から人気を集めている・・・・」の記載がある。
(2)株式会社ヤクルト本社のホームページにおいて「化粧品事業」の頁に「乳酸菌のチカラで素肌美を追求する『ヤクルト ビューティエンス』・・・本質的な肌の美しさ『素肌美』を追求していくという基本姿勢をより鮮明に打ち出しました。」(http://www.yakult.co.jp/saiyou/newgraduate/008keshou/index.html)の記載がある。
(3)クレオパトラ東北販売株式会社のホームページにおいて「・・・。より多くの女性の素肌美づくりを追求し、満足して頂く結果として社会に貢献していきたいと考えます。・・・」(http://www.cleopatra-tohoku.co.jp/company/index.html)の記載がある。
(4)「ブライダルエステナビ」のウェブサイトにおいて、「芦屋セレブ御用達、日本唯一の美白&素肌美専門サロン!・・・・お得意の美白&美肌はもとより、究極の若返りデトックス痩身術・・・」(http://www.bridal-esthe.com/salon/reineblanche/reineblanche.html)の記載がある。
(5)「FANCL GINZA SQUARE」のウェブサイトにおいて「無添加エステで、極上の素肌美を。 素肌を美しく磨き上げるエステティック・・・」(http://www.fancl.co.jp/fh/shopinfo/square_7f.html)の記載がある。
(6)「【イブニングマガジン】食生活を見直そう 美肌効果 薬学博士高橋周七さん」(1999.09.08 産経新聞 東京夕刊)の見出しのもと「老化を防ぎ、肌のみずみずしさを保つには、疲れたタンパク質を分解して新しく合成する新陳代謝能力を維持することが重要なポイント。新陳代謝を促すために大きな役割を果たしているのがコラーゲンタンパク質です。・・・・また、ビタミンCが足りないと合成能力が低下してしまうので、・・・ビタミンCの補給も忘れてはいけません。・・・」の記載がある。
(7)「【乙女心データバンク】食生活からアンチエイジング」(2006.05.22 FujiSankei Business i.)の見出しのもと「美容や健康に気遣う女性たちは、普段の食事からドリンクやサプリメント(栄養補助食品)まで、総合的なアプローチで「美」を目指し、老化と向き合っています。・・・その方法は、サプリメントでの栄養補助が最も多く、成分としては、美肌によいビタミン(例えばCやB群)をはじめ、コラーゲンやコエンザイムQ10などが人気です。・・・【写真説明】・・・漢方レストランも併設され、内面からの美容を心がける20代−30代の女性の顧客が増えている」の記載がある。
(8)「<エコノみっくす 催し>「素肌美フォーラム」(化粧品・健康食品メーカーのファンケル)」(2004.10.05 北海道新聞朝刊全道)の見出しのもと「素肌の美と健康がテーマ。創業25周年を記念したイベントで、・・・同社研究員らによる『素肌美づくりのためのセミナー』のほか、化粧品やサプリメントの体験コーナーも設ける。」の記載がある。
(9)「サプリンクス・ビタミン・ストア」のウェブサイトに「フィッシュコラーゲン+ヒアルロン酸(海洋性コラーゲン配合)120粒 2大美容成分コラーゲンとヒアルロン酸で、年齢に負けない素肌美を!」(http://www.suplinx.com/shop/goods/goods.aspx?goods=168-12900)の記載がある。
(10)「Shopping Way」のウェブサイトに「美容サプリメントの人気商品を徹底比較!・・・大人気のコエンザイムQ10や、保湿効果や肌の衰えを防ぐことで有名なコラーゲン、・・・編集後記・・・効果的に摂り入れて、化粧品いらずの素肌美を手に入れたいですね。」(http://shoppingway.jp/0_biyousapuri.htm)の記載がある。
(11)「【やせるらいふ】コラーゲンのご紹介」のウェブサイトに「ピュアマリンコラーゲン もっとスベスベ!もっとハッラツ!あなたの素肌美と健康のお手伝い!」(http://starletlife.com/yaseru/eiyou1/da10kora-gen11-2.htm)の記載がある。
(12)「ロゼット株式会社」のホームページにおいて「素肌美は健康から〜ロゼットおすすめ健康補助食品!」(http://rosette.jp/topics/vitalpower.php)の記載がある。
(13)「いいもの健康有限会社」のホームページにおいて「素肌美を求める女性の味方、ローズヒップ。・・・肌のうるおいに重要な役割を持つビタミンCとビタミンEを豊富に含みます。・・・飲みやすいカプセルに仕上げました。・・・ 素肌美を追求する女性に。」(http://www.iimonokenko.com/kenkoshokuhin/product/pb200030.html)の記載がある。
(14)「CAN−PASひろしまモール」のウェブサイトに「健康な素肌美はからだの中から・・・いつでも、どこでも手軽にアロエが飲めます。」(http://www.can-pas.co.jp/cgi-bin/webpcgi.exe?SHOPID=aroeTEMPLATE=prod_index_picture.html)の記載がある。
第5 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
いわゆる健康食品との関係において、キャッチコピーや惹句として使用しているのは、単なる漢字「素肌美」の3文字であって、これに対して、平仮名をもって、まろやかに表現された本願商標の態様「すはだ美」とは明らかな差異がある。
そして、出願人が、独自の名称「すはだ美」を用いて、高品質の商品を販売し、その信用取引を通じて、これまで企業努力を重ねてきた事実は明らかであって、独創性の高い本願商標「すはだ美」は、商標全体が自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得る一種の造語を、一連一体に表示した商標であり、独占適応性を有し、使用により周知性を獲得した商標でもある。併せて、その事実を通信販売の大手2社による証明書により証明する。
第6 当審の判断
1.商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、上記第1のとおり、「すはだ美」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字中「すはだ」の文字部分は、「衣服、特に、下着や、おしろい等をつけていないはだ。」の意味を有する「素肌」の語に通ずるものであり、また、同構成中「美」の文字は、「うつくしいこと。うつくしさ。」の意味を有する語として普通に使用されているものであるから、これらの文字を結合した「すはだ(素肌)美」の文字全体からは、「衣服、特に、下着や、おしろい等をつけていないはだの美しさ」程の意味合いを容易に認識させるとみるのが自然である。
ところで、「すはだ美」の語に関して通知した、上記第4の事実によれば、化粧品、エステ業界、例えば、コラーゲン等を主原料とする美肌効果に着目したいわゆる健康食品等、美容に関する商品及びサービスにおいて、「素肌美」の文字は、「美肌(肌の美しさ)」、「素肌を美しく」、「美肌に効果がある」程の意味合いをもって、企業の商品開発及び提供する役務のコンセプト、商品の用途、効果等を表すものとして使用されている商取引の実情が認められる。
そうすると、美肌効果を謳った商品が各種、販売されていることが認められるいわゆる健康食品を取り扱う業界において、「素肌美」の文字は、「素肌の美しさ」、「美肌に効果がある」程の意味合いを理解させるものとして普通に使用されているところであるから、これに接する取引者、需要者は、該文字より「美肌(素肌の美しさ)に有用である」程の商品の用途、効果等を表したものとして認識、理解するといい得るものである。
そして、本願の補正後の指定商品は、美肌、美容に効果的であるとされるコラーゲン等の動植物抽出物・ビタミン・ミネラルを主成分とするいわゆる健康食品であることからすると、その需要者等は、本願商標「すはだ美」の文字より「素肌美」の文字を容易に想起し、これより、肌が美しくなる程の意味合いを認識、理解するものであるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、これに接する需要者等が、商品の用途、効果等を表示したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるというべきである。
なお、請求人(出願人)は、本願商標は造語であり、過去の他人の登録例を挙げて、本願の指定商品に係る業界において、惹句として認識されるものではない旨主張している。
しかしながら、本願商標「すはだ美」は、いわゆる健康食品等の宣伝広告等における「素肌美」の文字の使用の実情から、自他商品の識別力を有するものとは認められないこと、上述のとおりである。
また、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するかどうかは、個別具体的に判断すべきであると解されるところ、請求人が主張する過去の登録例に係る商標は、本願商標と構成文字、審査又は審理における判断時等が異なり、本件とは、事案を異にするものであるから、上記、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。
2.使用による識別力の獲得について
請求人(出願人)は、本願商標について使用による識別力を獲得するに至った商標であると主張し、当審における審尋に対する平成18年3月8日付け手続補正書において、証拠方法として、甲第7号証ないし甲第15号証、及び、証拠調べ通知に対する同19年1月16日付け意見書において、通信販売の大手である「株式会社ベルーナ」と「株式会社ヘルスビジネスマガジン社」の証明書を提出している。
そこで、請求人(出願人)の提出にかかる甲各号証等について検討するに、菱形の図形と共に、ややレタリングされ縦書きした「すはだ美」の文字が、請求人(出願人)の業務に係る液状のいわゆる健康食品に使用されていることは認め得るところである(【参考資料】会報誌「サニーデイス」掲載の商品「すはだ美」の広告)が、当該商品の販売開始時期については、その時期を書面で述べるにとどまるものである。
さらに、販売数量、広告配布量等について、「すはだ美 売上金額 第26期」等の一覧表(甲第8号証ないし甲第11号証、甲第14号証及び甲第15号証)及び「株式会社ディー・エミ・アイ」等のちらしの同送実施部数の一覧表に記名、捺印された書面(甲第12号証及び甲第13号証)等の提出が認められるところであるが、上記、請求人(出願人)の提出にかかる資料を総合的にみるに、本願商標並びにその指定商品についての使用期間、使用地域、営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実及び商標の周知性を客観的に示すものとして十分なものと認めるに足りるものではなく、本願商標は、その指定商品について使用された結果、請求人の業務に係る商品であることが、取引者、需要者間に広く認識されるに至ったものであるとは認めることはできないものであるから、本願商標が使用により識別力を獲得したものであるとする請求人の主張は採用することができない。
3.結論
したがって、本願商標は、上記認定のとおり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ないから、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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