Trademark Appeal Case
有声無声子音の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−9785(T2006−9785/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「APERA」の欧文字を標準文字で書してなり、第9類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成17年5月27日に登録出願され、その後、指定商品については、同18年1月26日付けの手続補正書により、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),コンピュータ,コンピュータ周辺機器,電子計算機用プログラムを記憶させた記録媒体,光学式記録媒体,磁気記録媒体,その他の電子応用機械器具及びその部品,画像・映像・文字情報を記憶させた記録媒体,電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),電子手帳」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第4832923号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、平成15年3月25日登録出願、第9類「ノートブック型コンピュータ,携帯型パーソナルコンピュータ,デスクトップコンピュータ,コンピュータ用プリンター,コンピュータ用モニター,電子計算機用プログラムを記憶させたフロッピーディスク,未記録のフロッピーディスク,フロッピーディスクドライブ,コンピュータ用マウス,コンピュータ用キーボード,コンピュータ周辺機器,パーソナルコンピュータ用カード状のフラッシュメモリー,コンピュータメモリ装置,無線通信ネットワークを実行・管理するためのコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体,コンピュータシステム回復用の記録済みコンピュータプログラム,ノートブック型コンピュータ用キャリングケース,コンピュータ用バッテリー」を指定商品として、平成17年1月14日設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1に表示するとおり、「APERA」の文字を書してなるから、その構成文字に相応して、「アペラ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲のとおり、やや図案化した「V」(「▼」のマークを「V」の文字の上部に配置してなる。)の文字を含んでなるところ、構成文字全体として「AVERA」の文字を書してなるものと理解できるから、その構成文字に相応して、「アベラ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標より生ずる「アペラ」と、引用商標より生ずる「アベラ」の両称呼を比較すると、両称呼は、共に3音構成からなるところ、第1音の「ア」及び第3音の「ラ」の各音を同じくし、異なるところは第2音の「ペ」と「ベ」の差異にすぎない。
しかして、該差異音についてみても「ペ」が両唇を合わせて破裂させる無声子音「p」と母音「e」の結合した音節であり、「べ」が両唇を合わせて破裂させる有声子音「b」と母音「e」の結合した音節とというように、その長音の位置及び方法において極めて近い関係にあるものであるから、それぞれを一連に称呼するときには、語感、語調が近似し、通常の日本人にとって、両者は相紛らわしい近似した音として聴取されやすいものということができ、かつ、上記差異音は、比較的聴取し難い中間に位置する音である。
また、本願商標と引用商標のそれぞれから生ずることが明らかな「アペラ」と「アベラ」の称呼も、語呂よくスムーズ、かつ、平坦に称呼し得るものであって、アルファベットから生ずる音であることを考慮したとしても、殊更これを区切って発音しなければならないというほどのものではなく、上記のとおり、第1音の「ア」及び第3音の「ラ」の各音を同じくし、第3音の「ペ」と「ベ」が相紛らわしい以上、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は少ないものというべきであって、その称呼において酷似しているものであり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相似たものとなって彼此聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。また、本願商標及び引用商標のいずれも、直ちに特定の意味合いを生ずることのない造語からなるものと認められる。
更に、本願商標は「APERA」の文字をもって取引にあたる場合のあると認められ、引用商標も「AVERA」の文字をもって取引に資されるものといえるから、取引者、需要者が時と処を異にしてこれらに接する場合には、当該構成文字が「P」と「V」の大文字の違いはあるとしても外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることも否定できない。
(2)請求人は、引用商標は、「▼」のマークを「V」の文字の上部に配置し、「V」が強調されるから外観上は非類似であること、称呼において「ペ」と「ベ」の発音は「無声音」と「有声音」であるから聴別可能であるとして音声学の観点から非類似ある旨主張している。
しかしながら、商標の類否判断における基準の一つとして用いられる商標の称呼は当該商標が付された商品の取引において、取引者、需要者が当該商標をどのように称呼するのが通常であるかという観点から決せられるべきである。
そして、この観点からみた場合、本願商標の「アペラ」と引用商標の「アベラ」は、いずれもわずか3音からなる短い造語であり、それ自体で何らかの意味を有するというものではなく、格別の観念を生じさせるものともいえないから、これらに接した取引者、需要者は、通常、本願商標及び引用商標をそれぞれ「アペラ」及び「アベラ」と一体不可分に把握し、一連のものとして発音するのが通常であるというのが相当である。そうすると、請求人の音声学の観点から称呼すべきであるとする主張は前提において誤っているものというべきであるから、その主張は採用することができない。
また、請求人が主張するように、引用商標は、「▼」のマークを「V」の文字の上部に配置してなるものであるが、それ自体を強調されているとしても、引用商標全体としてみれば、容易に「AVERA」の文字であることが把握でき、かつ、それ自体で何らかの意味を有するというものではないから、一般の取引者、需要者が自他識別のために無意識的に「V」が強調され認識されるとは考え難いものである。したがって、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
(3)してみれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較すべきところがないとしても、その称呼において類似する商標というべきであり、外観上もある程度近似した印象を与えるものであって、全体として類似する商標というべきであり、かつ、その指定商品も同一または類似するものであるから、結局、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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