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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の適格性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18148号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第1618878号商標の指定商品中「被服」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1618878号商標(以下「本件商標」という。)は、「HAMMOND」の文字よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として昭和50年6月23日に登録出願、昭和58年9月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。

(1)本件商標は、審判請求前3年間に指定商品のうちの「被服」について使用された事実を発見できず、また、不使用について正当な理由があったとも認め難いものである。

(2)被請求人は、通常使用権者が、本件商標を審判請求前3年以内に日本国内において、「タイツ」について使用していたと主張しているが、本件商標の商標権者は、法人であるところ、契約書(乙第1号証)には、当事者として実際に契約した者の氏名の記載もなく、単に「ナイロン・テビロン販売部長」という肩書きが記載されているだけであることから、法人を代表する権限を有する者によって有効に契約がなされたものなのか全く不明である。また、契約相手の神戸生絲株式会社側も、大阪支店長篠原雄二との記載はあるが、代表権限についてははっきりしていない。さらに、契約書の使用許諾商標目録中、権利状況の欄において本件商標の記載が見られるが、商標の欄には「HAMOND」と記載されており、本件商標の態様とは異なっている。そればかりではなく、平成4年12月7日に締結されたこの契約の有効期間として、契約有効期間の欄には、契約日より8ヶ月も前の「平成4年4月1日から」有効と記載してあり、この契約自体が有効なものであるのか大いに疑問がある。

(3)仮に、契約による通常使用権者が存在したとしても、そのこと自体が、即本件商標の使用を立証するものではなく、被請求人は、実際の取引市場における取引状況を具体的に立証する必要がある。

ところが、被請求人から提出されたのは、通常使用権者とされる神戸生絲株式会社が商品「タイツ」について使用したとされるラベルの写真の写しだけである。このような写真は、いつでも誰でも作成できるものであり、実際にある商標が使用されていたことを証明する資料、あるいは、そのような商標を附したものが、商品として存在していたことを証明する資料にはならない。しかも、乙第3号証は、写真そのものではなく写しであるから、どのような態様の商標が、どのような商品に使用されているのか明瞭に示されているとは云えない。

(4)通常使用権者とされる神戸生絲株式会社が、実際に、商品「タイツ」について、本件商標を使用したというのであれば、具体的な取引の日付や商品番号等を附した製造を示す帳票や仕入れ帳票・発送帳票等があるのが当然であるにもかかわらず、このような取引書類は一切提出されていない。また、一般大衆を最終顧客とする商品「タイツ」について使用していたのであれば、相当量の取引があったものと思われ、一般大衆向けの広告・ポスター・ちらし等が存在するのが普通であると思われるが、そのような資料も全く欠如している。したがって、このような証拠資料の提出のない乙各号証は本件商標の使用したことを示す証拠とはなり得ない。

(5)乙第3号証には、撮影年月日として、平成5年9月20日という日付が記載されているが、この日付は審判請求の4年程前になるので、これをもって、「審判請求前3年以内の」商標の使用を立証していることにはならない。

(6)被請求人は、出所不明な商品企画書とか商品単価表やラベルを提出して本件商標が被服に該当する「レオタード」に使用されたと主張するが、企画に従い予定どうり取り引きしたことの具体的立証は何もない。阪神淡路大震災での消失は合理的な理由にはなり得ない。蓋し、取引には必ず相手方があり、取引相手も全て阪神淡路大震災に被災したとは到底考えられないからである。

ところで、被請求人は、商品「レオタード」が被服に該当すると主張しているが、これは、ダンスや体操を行う際に着用する体躯に密着した伸縮性のある特殊な衣服で、フランス国の曲芸師レオタールが着用を始めたことから「レオタード」と称される(甲第3号証)。つまり、「レオタード」は被服の範疇に属するものではなく、運動用特殊衣服に該当する。そして、運動用特殊衣服は、被服とは非類似の商品である(甲第4号証)。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように主張し、証拠方法として乙第1号証乃至乙第6号証(枝番を含む)を提出した。

(1)被請求人は、本件商標の通常使用権を神戸生絲株式会社に平成4年4月1日から平成7年3月31日まで許諾する契約を平成4年12月7日付けで締結し(乙第1号証)、本件商標の使用許諾の最終年度分(平成6年4月1日から平成7年3月31日まで)の対価として15万円を平成6年3月16日に請求した(乙第2号証)。

更に、被請求人は、本件登録商標の通常使用権者である神戸生絲株式会社が被服に含まれる「タイツ」に本件商標を使用していたラベルの写真の写しを提出する。なお、当該ラベルの写真は「HAMMOND」の更新の使用証明として提出したものである(乙第3号証)。

ラベルにはその中央に大きく「hammond」と表示されており本件商標が被服に使用されていたことは明らかである。

(2)請求人は、平成4年12月7日付けで締結した契約が果たして法人を代表する権限を有する者によって有効になされたものであるか全く不明であると述べている。

しかし、「ナイロン・テビロン販売部長」の横に印影(当時の部長、中谷禎の印)がある。

当該契約書(乙第1号証)ではたまたま記名されていなかったに過ぎない。同人が記名捺印している商標使用許諾番号92127の契約書の使用許諾商標目録のページを証拠として提出するが、どちらの契約書も印影が同じである(乙第4号証)。

権限については被請求人の社内規定の問題であり、この種の契約書は各事業部長の責任と権限で行われている。また同様に、契約相手の神戸生絲株式会社側について確認するとその営業担当者の所属する大阪支店における契約はその職位最高位の支店長がその権限を有するという。よってこの契約書は十分に効力を有するものである。

(3)また、契約書における使用許諾商標目録の商標の欄の態様についての「HAMOND」の記載が本件商標の態様と異なっていると述べている。

これは、作成者の単純な誤記である。

(4)更に、契約の有効期間と締結日の関係について8ヶ月前から有効とあることについて、この契約自体の有効性に疑問があるとも述べている。

これは、単なる手続上の問題で、前契約(承認番号90120・平成1年4月1日から平成4年3月31日まで)の継続として許諾番号92175の契約書を作成したものであり、有効期間と契約締結日が異なっても何ら有効性に影響を与えるものではない。更にその前の契約により継続使用されていた(乙第5号証−1乃至乙第5号証−3)。

(5)請求人は、被請求人が提出した平成10年3月11日付答弁書の乙第1号証から3号証は本件商標の使用したことを示す証拠とはなり得ないと主張しているが、被請求人は、今回本件商標が被服について使用された証拠資料として93年秋冬から95年秋冬物の商品企画書表紙を提出する(乙第6号証−1)。企画書は、当然企画書に記載された商品を販売するに当たり作成されたものであり、本件商標が被服に該当する「レオタード」の商標として表示されている。

本件商標がレオタード、レッグウォーマー、ウェストベルトなど複数商品展開された商品単価表も提出する(乙第6号証−2)。そこには各商品の品番、品名、カラー、サイズ標準小売価格等が記載されている。実際の商品に付されたラベルも提出する(乙第6号証−3)。同ラベルに表示されている品番「7324」が乙第6号証−2の商品単価表の「レオタード」の品番に一致している。

これらの証拠より、長年にわたり本件商標が被服に使用されていたにもかかわらず、取引きの実態の証明である納品書等は本社(神戸市中央区小野柄通7−1−18三宮ビル)で保管していたが、平成7年1月17日の阪神淡路大震災にて本社建物全壊により消滅してしまい、これらの証拠資料が提出不可能となってしまった。

上述の如く、本件商標(または連合商標)は通常使用権者によって被服に使用されていたのは明らかであり、商標法第50条第1項に該当しないものである。

4 当審の判断

(1)被請求人提出に係る各証拠について検討する。

▲1▼「商標使用についての契約書」(乙第1号証)によれば、被請求人は、通常使用権者との間で、本件商標及び登録第1456309号商標(「ハモンド」の文字よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とするもの。)の使用許諾に関し、使用対象商品を「靴下、タイツ、レオタード」とし、契約有効期間を平成4年4月1日から平成7年3月31日までとして、平成4年12月7日に契約したことが認められる。なお、使用許諾商標目録中の「HAMOND」の記載は、本件登録番号との関係からすれば、単なる誤記と認められる。

▲2▼「請求書」(乙第2号証)によれば、被請求人は、当該通常使用権者に1995年(平成7年)3月31日までの3年度分の商標使用料を1994年3月16日付で請求していることが認められる。

▲3▼「商標が付された商品を撮影した写真」(乙第3号証)によれば、商品の包装に「hammond」の文字とともに「サポートタイツ」、「KOBE KIITO CO.LTD」の文字が記載されており、その撮影年月日は、平成5年9月20日であることが認められる。

▲4▼使用許諾商標目録(乙第5号証)によれば、少なくとも昭和61年から上記▲1▼と同様の契約を継続していることが認められる。

▲5▼1995(平成7)年の「商品企画書の表紙」(乙第6号証の1)には「LEOTARD」の項目中に「hammond」の文字の記載があり、「95年秋冬の商品価格表」(乙第6号証の2)中の「4分丈スパッツ」の品番とラベル(乙第6号証の3)に付された番号とが同一であることが認められる。

以上のほか、本件商標の使用を明らかにする証拠の提出はない。

(2)以上の事実関係よりみると、本件請求登録前3年の期間内にあたる平成7年3月31日まで、被請求人と通常使用権者との間に本件商標ほか1件の使用許諾に関する契約が存在し、被請求人は、通常使用権者に対し、その契約期間に相当する期間の商標使用料を請求したことが認められる。しかしながら、現実の使用及びその形態を示す上記▲3▼の写真によれば、通常使用権者は、商品「タイツ」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付していたことは認められるが、その写真の撮影日は本件審判予告登録前3年より前の平成5年9月20日であり、予告登録前3年以内における本件商標の使用を証するものではない。

また、上記▲5▼の企画書からは、本件商標の使用を含む商品の企画がされたことは認められる(「レオタード」はスポーツをする際に限らず広く着用されるものと認められるから、「被服」の概念に含まれないものということはできない。)が、商品の企画段階における企画書の商標表示をもって商標を使用したものとはいえず、企画どおりの商品が実際に取り引きされた証左もない。なお、商品価格表は、それ自体作成日の記載はなく、そのページ表示(48乃至50)からすると企画書の一部と認められ、ラベルも同価格表との関係において提出されたものであるから、現実に商品に付されたものとすべき理由は見あたらない。

被請求人は、納品書等は、阪神淡路大震災により通常使用権者の本社(神戸)建物全壊により消滅した旨主張するが、上記▲1▼の契約には、通常使用権者側は、大阪支店長があたっていることからすれば、神戸の本社においてはともかく、大阪支店においても当該取引に関する書類、広告等現実の取引を裏付けるものが全て消滅しているとは俄に信じがたい。

したがって、被請求人の提出に係る証拠をもっては、本願商標が本件審判の請求登録前3年以内に取消請求に係る商品に使用されたことを認めることはできないから、本願商標の指定商品中「被服」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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