Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−19071(T2005−19071/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「清涼洗浄成分」の文字を標準文字で書してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成16年10月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『清涼洗浄成分』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、株式会社廣川書店発行の『薬学用語辞典』によれば、『清涼』の文字は、『さわやかですがすがしいこと』の意味を有し、『洗浄』の文字は、『洗ってきれいにすること。薬剤の容器器具を洗うことのほか薬剤学的には薬品の結晶、沈殿の洗浄、さらには洗眼、傷口の洗浄などいろいろな場合がある。』の意味を有し、『成分』の文字は、『物質の組成』の意味を有するから、全体として、『さわやかで、すがすがしい使用感を得られる成分と洗ってきれいにするための成分が配合された商品であること』程の意味合いを理解させるものと認められる。よって、本願商標をその指定商品中『前記文字(意味合い)に照応する商品(例えば、薬剤等)』について使用するときは、単に前記商品がさわやかで、すがすがしい使用感を得られる成分と洗ってきれいにするための成分が配合された商品であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「清涼洗浄成分」の文字からなるものであるところ、これは、「清涼」、「洗浄」及び「成分」の各文字を一連に書したものと容易に認識され得るものである。
そして、本願商標を構成する「清涼」、「洗浄」及び「成分」の各文字は、それぞれ、「さわやかに涼しいこと。すがすがしいこと。」、「あらいきよめること。」及び「一つのものを構成する部分となる要素。」(広辞苑第5版)を意味する平易な日常語と認められ、かつ、一体の語として特定の意味合いを有する成語ということもできないものである。
そうすると、請求人が主張するように、本願商標の構成全体より「さわやかに洗浄する成分」程の意味合いを認識させることがあるとしても、そうであるからといって、「清涼洗浄成分」の文字が常にそのような意味合いでしか認識されないということはできない。
一方、本願商標の指定商品である「薬剤」を取り扱う業界では、例えば、殺菌作用と消毒作用の2つの作用がある成分のことを「殺菌消毒成分」、同様に、解熱作用と鎮痛作用の2つの作用がある成分のことを「解熱鎮痛成分」のように表示していることは、いずれも周知の事実である。
そして、洗眼薬、口中清涼剤、うがい薬等の商品においては、その効能・効果や成分内容等を説明する際に、「清涼」や「洗浄」の語が使用されていることも、広く一般に知られているものと認められるところである。
そうすると、本願商標の「清涼洗浄成分」という語に接した取引者・需要者が、その「成分」の語の前にある「清涼」と「洗浄」の2つの語に着目し、これより、「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分」という意味合いを理解、認識することも十分にあり得るといわなければならない。
(2)ところで、「薬剤」を取り扱う業界において、商品の効能・効果や成分内容等を説明する際に、「清涼」及び「洗浄」の語が多数使用されていることは、以下の新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられる。
ア 1997年10月25日付け日経流通新聞には、「洗眼薬――衛生的に眼病予防、清涼感得られ気分転換にも(売れ筋)」の見出しの下に、「花粉、ほこり、ごみなど目に付着した汚れを洗い流す洗眼薬の売れ行きが好調だ。使用方法は、付属の洗眼カップに液を注ぎ、目にカップを押し当てたまま数回まばたきをするだけ。手で目をこすらず衛生的に洗浄でき、すっきりとした清涼感が得られる。...」との記載がある。
イ 2000年3月24日付け日刊薬業には、「小林製薬」の見出しの下に、「...(3)洗眼薬『アイボンクールa』。270mlを4月上旬、400mlを25日発売する。l-メントールの含有量を増やし、さらに新清涼剤を配合した。...」との記載がある。
ウ 2001年3月27日付け日本工業新聞には、「新商品コーナー:小林製薬の口中清涼剤」の見出しの下に、「『噛むブレスケア』はニンニク料理を食べた後や飲酒後などに適した新食感の口中清涼剤。【特徴】噛んだ瞬間、ミントの強烈な清涼成分が口のなかに広がる。...」との記載がある。
エ 2001年5月21日付けPharmaweekには、「<新製品>【OTC】」の見出しの下に、「...◆佐藤製薬は、コンタクトレンズを外した後や、花粉・ほこりの除去など目の洗浄に使用する洗眼剤『ノアールアイウォッシュS』を発売した。...使用感は刺激のない、心地よい清涼感。...◆ロート製薬は、洗眼薬『フラッシュ』シリーズから、清涼感を強化したクールな洗眼薬『ロートジーフラッシュクール』を発売した。主力品『ロートジーフラッシュ』の約2倍の清涼化剤を配合。クール感をアップ、心地よい爽快感が持続する。目の洗浄と眼病予防に効果的。...」との記載がある。
オ 2002年1月15日付け日経産業新聞には、「第一製薬、鼻炎の内服薬とスプレーを発売。」の見出しの下に、「第一製薬は鼻炎用内服薬『ペラック鼻炎カプセルA』=写真=とスプレー『ペラック鼻スッキリ洗浄スプレー』の二品を発売した。...スプレー(百五十ミリリットル入り九百円)は洗浄液を鼻の穴に噴霧して使い、花粉やほこり、雑菌などを洗い流す。配合したハッカ水などが鼻の中に清涼感を与えるという。...」との記載がある。
カ 2004年10月6日付け日刊薬業には、「〔新発売〕三共 『ルルうがい薬』」の見出しの下に、「三共は4日、新範囲医薬部外品として含嗽薬『ルルうがい薬』を薬局・薬店や、コンビニエンスストアなどで発売した。『ルル』シリーズの新製品で、口腔内やのどの殺菌・洗浄効果があるほか、口中に清涼感を与え、口臭も除去する。...」との記載がある。
キ 2004年10月21日付けFujiSankei Business i.には、「【ニュースリリース】口腔(こうこう)内やのどを殺菌・消毒する『パブロンうがい』」の見出しの下に、「...殺菌作用のある塩化セチルピリジニウムとチョウジ油、抗炎症作用のあるグリチルリチン酸二カリウム、清涼感を与える1−メントールを配合。口腔内やのどの殺菌、消毒、洗浄、口臭除去に効果を発揮する。清涼感のあるユーカリミント風味。...」との記載がある。
ク 「新コルゲンコーワうがいぐすり 60ml〈商品詳細〉」と題するウェブページ(http://www.seijonet.com/shop/commodity_param/ctc/010003/shc/0/cmc/4987067200801/backURL/http(++www.seijonet.com+shop+main)には、商品「新コルゲンコーワうがいぐすり 60ml」について、「のどやお口の具合が気になるときにこのうがいぐすりでうがいをしますとそれぞれの成分がのどの不快症状を改善してくれます。
(1)殺菌消毒成分・・・のどに炎症を起こすバイ菌を退治してくれます。
(2)消炎成分・・・のどの炎症をおさえます。
(3)清涼成分・・・のどとお口がスーっとします。
また、清涼成分のはたらきで口臭予防も出来ます。」との記載がある。
(3)そうすると、「清涼洗浄成分」の文字からなる本願商標を、例えば、指定商品中の「薬剤」に属する商品「洗眼薬、口中清涼剤、うがい薬」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品が「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分を配合した商品」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。また、本願商標を「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分を配合した商品」以外の商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(4)請求人は、本願商標が登録されるべき理由を要旨、次の(ア)ないし(エ)に記載のとおり述べているが、かかる請求人の主張については、以下のとおり、いずれも採用することができない。
ア 請求人は、本願商標よりは、単に「さわやかに洗浄する成分」程度の意味合いしか生じ得ず、これ以上の意味合いは、更に想像を含め、補って解釈しなければ出てこないところであるから、「『清涼成分』と『洗浄成分』という2つの成分が配合されたこと」を意味するかの如く認定するのは甚だ疑問である旨主張する。
しかし、「薬剤」を取り扱う業界では、前記(1)に示すとおり、「殺菌消毒成分」や「解熱鎮痛成分」のような用例があること、また、前記(2)のように、「清涼」や「洗浄」の語が、商品の効能・効果や成分内容等を説明する際に頻繁に使用されていることにかんがみると、「清涼洗浄成分」という語からは、「さわやかに洗浄する成分」程の意味合いだけでなく、「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分」という意味合いも容易に認識させるものというべきである。
イ 請求人は、本願商標から生ずる「さわやかに洗浄する成分」なる意味合いは、極めて「抽象的な表現」にすぎず、一見してその商品の品質等を認識し得るものではない、特に、本願商標を構成する「清涼」の語は、極めて主観的・感覚的な用語であるため、ある者が感じて指摘した内容が直接相手にそのまま伝達されるものではなく、商品の品質等を直接表示する言葉としてはなじまないものである旨主張する。
しかし、本願商標からは、「さわやかに洗浄する成分」程の意味合いだけでなく、「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分」という意味合いも容易に認識させるものというべきであり、また、本願商標を構成する「清涼」の語も、前記(2)のとおり、「薬剤」を取り扱う業界では、商品の効能・効果や成分内容等を説明する際に頻繁に使用されているところであるから、その主張は妥当でない。
ウ 請求人は、商標の構成中に「清涼」の語を含む過去の登録例を挙げているが、それら過去の登録例は、商標の具体的構成等において本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げる登録例があるからといって、本願商標が登録されるものであるということにはならない。
エ 請求人は、「清涼洗浄成分」の語は、同業他社により使用されている例がなく、また、今後においても、商品の品質表示語として使用される事態を想定することができないものであるから、それを一般に開放しておく必要性は乏しい旨主張する。
しかし、現時点において、「清涼洗浄成分」の語が同業他社により使用されている例が仮に見当たらないとしても、将来において、該語が商品の品質等を表示するものとして使用される可能性がないと断定できるものではない。前記(2)のように、「薬剤」を取り扱う業界では、「清涼」や「洗浄」の語が、商品の効能・効果や成分内容等を説明する際に頻繁に使用されていることから、将来、「清涼作用と洗浄作用の2つの作用がある成分」であることを簡潔に表示するに際し、「清涼洗浄成分」という表示が使用される可能性も十分にあるといえるのであって、そうである以上、該語もまた、取引に際し必要適切な表示として何人にもその使用を開放しておくことが適当であり、その中の特定の者のみに当該商標の使用を独占させるのは公益上望ましくないというべきである。
したがって、請求人の上記各主張は、いずれも採用することができない。
(5)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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