結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89132(T2006−89132/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4879636号商標(以下「本件商標」という。)は、「OLYMPIANGAMES」の文字を標準文字で表してなり、平成16年8月25日に登録出願、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警報用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,パチンコ式スロットマシンを内容とする業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,パーソナルコンピュータ用のプログラム,パーソナルコンピュータ用のプログラムを記憶させたROMカートリッジ・ICメモリーカード・磁気テープ・磁気円盤・CD−ROM,その他の電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防火被服,眼鏡,パチンコ式スロットマシンを内容とする家庭用テレビゲームおもちゃ,パチンコ式スロットマシン,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,計算尺,スライドフィルム用マウント」を指定商品として、同17年7月15日に設定登録されたものである。
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)請求の理由の要点
本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同第7号及び同第15号に違反して登録された違法なものである。
(2)申立ての根拠
本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第6号、同第7号及び同第15号に違反して登録された違法なものであるから、同法第46条によって無効とされるべきである。
(3)具体的理由
ア 本件商標について
本件商標の後半部分「GAMES」は、「GAME(ゲーム)」の語の我が国の需要者の間に高い認知度があること及び需要者の英語水準に鑑みれば、同語の複数形であると、需要者は直ちに理解できることは明らかである。その結果、本件商標は、需要者に「OLYMPIAN」と「GAMES」からなると容易に理解される。
イ 「OLYMPIAN」の意味及び認知度
「OLYMPIAN」とは、「オリンピック選手」ないしは「オリンピック競技大会における日本代表選手」を意味する(甲第2号証ないし甲第4号証)。本件商標が登録された三カ月後の2005年(平成17年)10月29日に、「OLYMPIAN」の片仮名表記「オリンピアン」をキーワードにインターネットのサーチエンジンの一つであるGoogleでホームページを検索したところ、約23400件ものホームページが検索された(甲第10号証)。経験則上、これらのホームページ全てが、本件商標が登録された2005年(平成17年)7月15日以後のものであるとは考えがたい。むしろ、一昨年アテネにおいてオリンピックが開催されたことに鑑みれば、多くが2005年(平成17年)7月15日以前のものであると解するのが自然である。これは、後述する2005年(平成17年)7月15日以前と全期間の新聞・雑誌記事の数の割合に鑑みても明らかである。
また、新聞・雑誌記事の国内最大級のデータベースであるG−Searchにおいて「オリンピアン」をキーワードに検索したところ、全部で567件の記事があることが判った(甲第11号証)。そして、本件商標が登録された2005年(平成17年)7月15日までの記事に限った場合では、512件あることが判った(甲第12号証)。512件のこれら新聞・雑誌は、朝日新聞(31件)、読売新聞(101件)、毎日新聞(49件)、産経新聞(63件)、日刊スポーツ(23件)、スポーツニッポン(15件)、スポーツ報知(6件)と全国紙を中心に掲載されていた(甲第12号証)。ここで「オリンピアン」が掲載された記事全てを提出するのはその量が膨大となるので、見出しに「オリンピアン」を含んだ全国紙の一般紙である朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞の記事の打出しを提出する(甲第13号証)。
以上述べたこと、並びに、提出された証拠方法からして、需要者は、日常生活において、「オリンピアン」「OLYMPIAN」なる語を目にしたことがあると言える。
また、日本オリンピック委員会の下部組織として、「オリンピック競技大会において日本代表であった全ての選手を会員とし、日本のオリンピアン相互の理解と親睦を図り、世界オリンピアンズ協会の一員として、オリンピックムーブメントを推進し、スポーツを通じた世界平和と国際的友好親善に貢献すると共に日本におけるスポーツの振興に寄与することを目的とする日本オリンピアンズ協会(英文名称 Olympians Association of Japan)」があり(甲第4号証ないし甲第6号証)、国際オリンピック委員会の下部組織として世界オリンピアンズ協会(甲第5号証)が存在し、日本オリンピック協会のオフィシャル広報誌として「OLYMPIAN/オリンピアン」なる題号の雑誌は、平成16年3月まで月刊で、それ以降は季刊で発行され、全国の高校、図書館、スポーツ関連のある大学等に配付されてきた(甲第14号証及び甲第15号証)。そして、この広報誌のために日本オリンピック委員会は、登録第2665960号商標「OLYMPIAN」を取得している(甲第16号証)。
さらに、日本オリンピアンズ協会は、上記目的を達成するため「中越大震災復興応援イベント」「オリンピアン巡回指導」「東京オリンピック40周年記念イベント」「各種講演」等の数多くの活動を全国で行ってきた(甲第7号証ないし甲第9号証)。また、甲第13号証として提出した新聞記事も、オリンピアンと呼ばれる人々は日本各地で講演を行ったり、研修会での講師を努めたり、運動に関しての巡回指導をしたり、スポーツイベントへ参加する等様々な活動を行っていることを述べている。このような様々な活動を通じても「オリンピアン」「OLYMPIAN」は、需要者の間に浸透してきたと言える。そして、これらの活動の多くは、本件商標の指定商品の需要者を含む一般人をも対象にしている。
以上述べたことから、需要者は、本件商標が登録された時点では既に、当該商標の「OLYMPIAN」が、全体として「オリンピック選手」ないしは「オリンピック競技大会における日本代表選手」を意味するものであることを理解できたと言える。
ウ 本件商標の意味合い及び法令違背
以上述べた事情に鑑みれば、需要者は本件商標全体から「オリンピック選手が行うゲーム(競技、試合)」ないしは「オリンピック競技大会における日本代表選手が行うゲーム(競技、試合)」なる意味合いを感得するは必定である。
「オリンピック」は時として「オリンピックゲーム」と呼ばれている(甲第17号証)。この語は、日本オリンピック委員会の公式サイトやVISAのプレスセンター、アテネオリンピックの電光掲示板、新聞記事等で用いられる公式的なものである。
本件商標が意味する「オリンピック選手が行うゲーム(競技、試合)」は「オリンピックゲーム」そのものである。したがって、本件商標は、観念上「オリンピックゲーム」ひいては「オリンピック」そのものと相紛らわしい類似するものと言える。それ故、本件商標は、世界最大のスポーツの祭典であるオリンピックの尊厳を害し、国際信義に反するものであって、商標法第4条第1項第6号に該当する。
仮に、「オリンピアン」「OLYMPIAN」の意味合いを理解できない需要者であっても、本件商標から「オリンピックに関するゲーム」の意味合いは認識できるものと言える。このことは、本件商標に対する異議決定においても庁自身も認めている(甲第18号証)。本件商標が意味する「オリンピックに関するゲーム」と「オリンピックゲーム」とは相紛らわしいものと言える。少なくとも「オリンピックに関するゲーム」から需要者には「オリンピック」に関係するものと誤認するは必定である。「オリンピックゲーム」とは相紛らわしいもの、ないしは「オリンピック」と関係を疑わせるような本件商標は、オリンピックの尊厳を害し、国際信義に反するものであると言わざるを得ない。このように、たとえ、「オリンピアン」「OLYMPIAN」の意味合いを理解できない場合であっても、商標法第4条第1項第6号に該当する。
また、「スポーツを通じて相互理解と友好の精神を養い、平和でより良い世界の建設に貢献する」というオリンピックムーブメントの頂点に立つ世界最大のスポーツの祭典であるオリンピック(オリンピックゲーム)と相紛らわしい本件商標を一私人が独占することは国際信義に反するものである。この点で、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。本件商標が「オリンピックに関するゲーム」を意味するものとされた場合にも、オリンピック(オリンピックゲーム)と相紛らわしいものなので、商標法第4条第1項第7号に該当する。
今日、オリンピックの開催には巨額の費用がかかり、この費用を賄うため公式スポンサーを募り、これらの者に見返りにオリンピックに関する標章の使用のライセンスを与えることが一般に行われ、このことは需要者の知るところとなっている。上記事実は、登録第3182907号商標に対する無効審判の審決(平成9年審判第15155号審決)において「請求人である国際オリンピック委員会は、五輪マークを多くの企業に使用許諾を行い、五輪マークを含む標章が被服等の商品に使用されている事実が認められる。」(甲第19号証)と述べていることから、庁においても顕著な事実であると思われる。そうであるとすれば、本件商標が使用されて、商品が請求人ないしは各国のオリンピック委員会からライセンスを受けた者の業務に係るものであるとその出所について混同を生じるは必定である。この点で本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
仮に、本件商標が「オリンピックに関するゲーム」を意味するものとされた場合にも、「オリンピック」に関する標章は、今日では請求人ないしは各国のオリンピック委員会からライセンスを受けた者のみが使用できるような状況下にあっては、当該商標は請求人ないしは各国のオリンピック委員会からライセンスを受けた者の業務に係るものであるとその出所について混同を生じるは必定である。すなわち、本件商標が「オリンピックに関するゲーム」を意味するものとされた場合にも、商標法第4条1項第15号に該当する。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)オリンピックに関しては、オリンピック憲章があり、その中で、オリンピック競技大会を、「The Olympic Games」あるいは「Olympic Games」と表記することは、当庁において顕著な事柄に属するものである。
そして、「Olympic Games」は、国際オリンピック委員会(IOC)が行う公益に関する事業であって営利を目的としない活動の中心ともいうべきオリンピック競技大会を表示する著名な標章に該当するものである。
(2)本件商標は、「OLYMPIANGAMES」の文字からなるものであるところ、構成中後半部の「GAMES」は、「game」が「競技」等を意味する英語として我が国において極めて親しまれたものであることから、その複数形で「競技大会」を表すものとして、容易に理解され得るものである。
また、前半部の「OLYMPIAN」についてみると、証拠(甲第2号証及び甲第3号証)によれば、同語(Olympian)が「オリンピック選手」を意味する英語であることが認められる。そして、Olympic、Olympia、Olympiad等、「Olympi・・」で綴られる語がオリンピックに深く関係したものとして一般に良く知られていることを勘案すれば、「OLYMPIAN」の上記意味を正確に知らない者であっても、同語をオリンピックと関わりのある語と理解し、これと「競技大会」を意味する「GAMES」とが結合された「OLYMPIANGAMES」の全体をして、「オリンピックに関する競技大会」程の意味合いをもって受け留めるものというのが相当である。
してみると、本件商標は、その構成文字に相応して「オリンピアンゲームス」と称呼され、「オリンピックに関する競技大会」の意味合いをもって看取されるものというべきである。
(3)本件商標と前記著名な標章を比較すると、その外観構成において、語頭から「O」「L」「Y」「M」「P」「I」、語尾に至る「G」「A」「M」「E」「S」の欧文字綴りを共通にし、中間で「A」「N」と「C」との差異を有するに過ぎないものであり、全体としては極めて近似した綴りの欧文字からなると印象されるものである。また、本件商標の称呼「オリンピアンゲームス」と前記標章の称呼「オリンピックゲームス」においては、中間で「アン」と「ック」との音の差異を有するけれども、語頭部「オリンピ」及び語尾部「ゲームス」の各音の圧倒的な比率において共通するものであるから、全体として互いに近似した音感を有するものといえる。
そして、観念においては、ほぼ同義の語と受け留められる程に相紛らわしいものというべきである。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念を総合勘案してみれば、標章「Olympic Games」と類似の商標と判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、国際オリンピック委員会が行う公益に関する事業であって営利を目的としない活動の中心ともいうべきオリンピック競技大会を表示する著名な標章「Olympic Games」と類似する商標であると判断されるものである。
しかして、斯かる本件商標について一私人に商標登録を認めることは、オリンピックに係る権威の尊重、国際信義の上からも好ましくないといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものというべきである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、その余の請求理由について判断を示すことなく、同法第46条第1項に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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