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Trademark Appeal Case

商標の同一性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31121号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2237796号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和63年2月24日に登録出願され、「Cutie」の文字を左横書きしてなり、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は、指定商品中の商品「光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、写真材料」についてこれを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)請求人の調査によると、本件商標は商標権者である竹井機器工業株式会社によって請求に係る指定商品について日本国内で継続して三年以上使用されていない。

また、本件商標権には専用使用権は設定されていない。加えて、通常使用権も登録されていないことから、本件商標権には通常使用権者も存在しないことが推認し得る。したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取消を免れないと確信する。

(2)平成11年2月12日付けの審判事件答弁書に対して次のとおり弁駁する。

以下に述べる如く、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標をその指定商品に含まれる商品「三脚」について使用していたとは認められない。

被請求人は、乙検第2号証として商品「三脚」の現物を提出している。しかしながら、三脚自体は第三者の製品であり、外箱には製造者の商標が大きく記載されており、その上から単に「Cutie」と書かれた小さなシールを貼っただけのものである。製品自体には、本件商標は全く付されておらず、製造者の商標が付されているのみである。常識的にみて、自己の商品として販売するのであれば、製造者に自己の商標を付したラベルを付けさせることはもとより、製造者に本件商標を使用した外箱を作らせるなり、みずから外箱を用意するなりするのが常識であろう。わざわざ製造者の商標が大きく記載された外箱に、小さなシールを貼らなければならない必然性は全くない。被請求人の提出に係る乙検第2号証に示された使用態様は、常識を外れたものと言わざるを得ず、到底本件商標の使用を示したものとは評価し得ない。乙検第2号証のシールは、使用の事実を示す目的のためだけに作られたものであると言わざるを得ない。また、被請求人は、本件商標を使用していることを示すものとして、被請求人から竹井機器工業東日本販売株式会社関東支店あての納品書(乙第3号証)を提出している。竹井機器工業東日本販売株式会社は、その社名から容易に推測されるように、被請求人と役員を共通にする関連会社である。すなわち、被請求人の東京支店の所在地は、東京都品川区旗の台1丁目6番18号で(甲第1号証)、竹井機器工業東日本販売株式会社の本店所在地と同一である(甲第2号証)。また、被請求人の代表取締役の竹井昭雄氏は、竹井機器工業東日本販売株式会社の代表取締役を務めている。このような、実質的に被請求人の販売部門に過ぎない会社への納品書しか示し得ないこと、しかも、乙第4号証に示す仕入れ金額と納品金額が全く同一であることから、使用による業務上の信用が化体した商標を保護し、もって競争秩序の維持を図るという我が国の商標法の法目的を鑑みると、上記乙各号証をもって商標の使用とは到底評価し得ないと言わなければならない。

更に、本件商標は、ローマ字で「Cutie」と横書きしてなる構成である。一方、被請求人の提出に係る乙第3号証の納品書に表示されてなる使用に係る商標は、カタカナ文字の「キューティ」を横書きしてなる構成からなるものである。してみると、本件商標「Cutie」の構成と使用に係る商標「キューティ」の構成は明らかに相違している。したがって、乙第3号証に表示されてなる使用に係る商標では、「本件商標」の使用とは到底認められないと言わなければならない。

また、乙検第2号証として提出した商品「三脚」の現物が、本件審判の請求の登録日である平成10年11月25日前3年以内のものとは言い得ないこと明らかであり、乙検第2号証では、同商品が本件審判の請求の登録前3年以内において販売されていた事実を証明していないと言わなければならない。

ちなみに、被請求人は、請求人の子会社であるコダック株式会社に対して、本件商標に基づいて、現在、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟(平成10年(ワ)26638号)を提起している。当該訴訟の口頭弁論中においても、本審判において提出したものと全く同じ乙号証を提出し、他に使用を示す証拠はないことも口頭弁論において明らかとなっている。また、当該訴訟前にも両者間で話し合いがなされている。したがって、被請求人において、本件取消審判の請求の可能性は十分予見できており、乙第3号証は、実質上被請求人の販売部門にすぎない会社への納品書を、かかる場合の対策として用意したものであると言わなければならない。

以上の如く、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標の使用を十分証明していないこと明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証、乙検第2号証、乙第3号証及び乙第4号証を提出した。

(1)本件商標については、商標権者である被請求人によって指定商品(「三脚」)に使用されているものである。

そこで、その使用について以下のとおり各証拠に基づき主張、立証を行う。

被請求人は平成8年6月5日に、その子会社であり販売会社である竹井機器工業東日本販売株式会社に対し、被請求人が所有する本件商標を含む全ての商標の包括的使用を許諾しており、このことは、乙第1号証(契約書)により明らかである。

被請求人は、本件商標「cutie」を下記に述べる商品「三脚」の包装箱に貼付して使用しているものである。このことは、乙検第2号証を検分すれば明らかである。これは商標が商品に使用されており、商標ないし商品が特定されていることが認識できるものである。

上記商品「三脚」は、東急カメラ株式会社から仕入れているものであり、その一例を示すのが乙第3号証(納品書控)である。

被請求人は、竹井機器工業東日本販売株式会社に対して、平成10年3月19日に上記商品「三脚」を販売しており、その一例を示すのが乙第4号証(納品書控)である。

これによれば、商標と商品が明示されているほか、取引の日付が本件審判の請求前3年以内であることが明らかである。

以上被請求人の主張及び立証から明らかなように、本件商標「cutie」は、その指定商品(「三脚」)について、本件審判の請求の登録以前3年の期間内において使用されているものであることは明白である。

(2)平成11年6月30日付けの審判弁駁書に対して次のとおり答弁する。

請求人は、その弁駁書において要約すれば次の2点を根拠に被請求人において「cutie」なる商標を使用していないとするものである。

その第1点は、三脚本体に商標が付されず、本件商標を包装箱に小さくシール表示している等の点について被請求人の商標の使用形態が、商標法に定める使用に該当しないとするものである。

その第2点は、被請求人と審判外竹井機器工業東日本販売株式会社とは、代表者を共通するなど、本件商標の使用は商品の流通を前提とするものではないとするものである。

そこで、以下においては上記2点について被請求人は、反論する。

▲1▼ 被請求人の商標の使用形態について

商標法第2条第3項第1号は、商標の使用を「商品又は商品の包装に標章を付する行為」と定義している。法律自体、商品本体に標章を付さず、その包装にのみ標章を付することを前提としていることは明らかである。にもかかわらず、何故請求人は、被請求人が包装箱のみに標章を付している行為を常識にかなわないと主張されるのか、また請求人の述べる常識とは何かまったく明らかにされておらず不明であり、請求人の主張は独善的主張と評する以外の何物でもない。

次に、請求人は被請求人が他社製品の包装箱に、大きな他社製品の標章と共に小さい標章を付している事を云々しているが、「小さい」と主張される法律上の意味は、まったく不明である。「cutie」なる商標が、付されているとは言い難い使用形態でないことは、一般人の常識からして論ずるまでもないことだからである。

更に、請求人は、他社製造にかかる包装箱に新たに被請求人の商標シールを付する必然性は無いと主張するが、審判外竹井機器工業東日本販売株式会社は、心理学実験機などの被請求人のいわゆる自社製品を販売する際に三脚を付随して販売し、被請求人の商標を商品に付する付加価値を認めているものであり、それがゆえに乙第2号証の商標利用契約を被請求人と締結し、審判外竹井機器東日本販売株式会社は被請求人に対して、その小売価格の4パーセントの使用料を支払っているものである。また、商品単価が低額なことから、他社製造にかかる包装箱にシールを貼付することは、被請求人の経済合理性にかなうものであり、被請求人としては、常識的でないとか、必然性がないとかの中傷を受ける必要を認めない。

▲2▼ 取引形態について

請求人の主張は、法人格否認の法理の適用があるかの如くであるが、仮にそうであるとすれば、要件事実を欠いた主張であり主張自体失当である。

請求人の主張を善解し、いわゆる自社流通であり、商標の使用が認められないものとの主張と理解して、以下にその反論を述べる。

被請求人は、心理学実験機、運転適性検査器などの製造業社であり、これら製品並びにこれら製品に付随する他社製品を独自に販売すると共に、竹井機器工業東日本販売に卸している者である。

竹井機器工業東日本販売株式会社は、これを買い受け一般消費者に販売しているものであり、相互に独立採算の会社である。一部役員が共通するとして、また東日本販売の本社と被請求人の東京支店が住所を同じくすることのみで、何故に、東日本販売を被請求人の販売部門と評されるのか全く理解しがたい。平成11年6月29日言渡しの東京高等裁判所平成11年(行ケ)ばんどう太郎商標事件を参照されたい。

▲3▼ 最後に、請求人は、「cutie」の商標に対して、納品書の記載が「キューティ」となっている点を指摘するが、両者は称呼及び観念を共通するものであり、商標法第50条は「登録商標」に「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」が含まれることを明示しているものである。

また、請求人は、損害賠償請求事件の口頭弁論において乙号証以外に使用を示す証拠は無いことも明らかとなっていると主張するが、これは全くの虚偽である。右損害賠償請求事件においては、被請求人は原告として、使用の事実を証明する必要は無いが、敢えて使用に関する乙号証を提出したものであり、これ以上の証拠提出の必要は無いと弁論したものであることを付言する。

4 当審の判断

被請求人の提出に係る乙検第2号証の商品「三脚」の現物によれば、その外箱にシールが貼られ、シール上には「Cutie」の文字が表示されている。その「Cutie」の文字は、本件商標を構成する文字とその綴りを共通にするものであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。また、乙第3号証の納品書によれば、その品名欄には、「キューティ」の片仮名文字が表示されている。そして、本件商標を構成する「Cutie」の文字は、きれいな娘を意味する成語であって、上記片仮名文字「キューテイ」と同一の称呼のみを生ずるとみるのが相当であるから、乙第3号証の品名欄に表示されている「キューティ」の片仮名文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわざるを得ない。

また、乙検第2号証の商品「三脚」の現物、乙第3号証及び乙第4号証の納品書(平成10年3月19日付及び98年2月20日付)によれば、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品の範疇に属するものとみられる商品「三脚」について使用していたものと認めることができる。

なお、請求人は、三脚自体は第三者の製品であり、外箱には製造者の商標が大きく記載されており、その上から単に「Cutie」と書かれた小さなシールを貼っただけのものであるから、乙検第2号証(商品「三脚」の現物)に示された使用態様は、本件商標の使用を示したものとは評価し得ない旨主張しているが、製造者の商標とみられる「Velbon」等の文字の上に「Cutie」と表示されたシールが貼ってあるとしても、その「Cutie」の表示は、被請求人の販売標と認められるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

また、請求人は、甲第1号証及び甲第2号証を提出し、実質的に被請求人の販売部門に過ぎない会社への納品書しか示し得ないこと、しかも、乙第4号証に示す仕入れ金額と納品金額が全く同一であることから、乙各号証をもって商の使用とは評価し得ない旨主張しているが、被請求人の主張及び乙第1号証の契約書より、被請求人と竹井機器工業東日本販売株式会社は、それぞれ独立した会社であるとみるのが相当であるから、乙第3号証及び乙第4号証の納品書に記載されている商品の単価が同一であるとしても、竹井機器工業東日本販売株式会社が単に被請求人の販売部門にすぎないものとはいい得ない。

してみれば、本件商標は、被請求人により、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中「三脚」について使用されていたものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品について、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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