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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31154号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2253048号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和62年11月20日に登録出願され、別紙に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。

(1)本件商標は、指定商品について3年以上継続して日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていない。

したがって、本件商標の登録は商標法第50条の規定により取消を免れないものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、「グランサッソ」ブランド商品の販売実績を示す表、商標「Gran Sasso」が付された写真、製品買付属注文書写、商品明細売上伝票写及び取引先データ写等の証拠を提出し、本件商標「グラン サッソ/Gran Sasso」をその指定商品のうち、セーター及びコートに平成2年8月中旬から現在に至るまで使用し続けている旨主張している。

▲1▼ しかしながら、被請求人が提出した証拠は、いずれも被請求人自身により作成されたものであって、幾多の疑問を抱かせるものであり、本件商標について使用の事実を証明するに足るものでないから、被請求人の主張は認められるべきではない。

すなわち、被請求人は、乙第1号証として「グランサッソ」ブランド商品の販売実績を示す表を提出しているが、この表は被請求人自身が作成したものであり、その記載事実を裏付けるものは何も添付されていないから、証拠力が疑わしい。その上、「グランサッソ」ブランド商品が具体的にどのような商品を指すのか、乙第1号証の記載からは全く不明である。

しかも、乙第1号証に平成10年2月〜4月の集計が記載されていないのは、大阪支店から注文書や売上伝票が平成10年11月まで未着であったことによると説明しているが、このようなことは一般の企業ではあり得ないことであり、にわかに信じ難い。

▲2▼ 被請求人は、登録商標の使用説明書(1)において、商標「Gran Sasso」を付した織りネーム及びタッグを取り付けたセーターの写真(乙第2号証)を提出しているが、この乙第2号証は、このセーターが平成10年12月16日以前に存在していたことを証明できるものではない。

また、被請求人は、同使用説明書において、製品買付属注文書(乙第3号証)及びLF1部(50)ブランド・コード対照明細(乙第4号証)を提出し、本件商標を付したセーターを’98年4月に開催した展示会に出品するため、被請求人が尾崎マーク(株)に、商標を付した織りネーム及びタッグをセーターに取り付けるよう指示を出したと説明している。そして、乙第3号証において、登録展示会欄の年月の「’98年4月」の次に記載の数字「9」は、乙第4号証に記載されているように、「現物商品の展示会」を表している旨述べている。そこで、乙第3号証と乙第4号証とを対比すると、確かに、乙第4号証には、ブランドコード「31(G.Sasso)」の行の「区別」の欄に「現物商品」という記載がある。しかしながら、同行の「例」の欄には「1998年3月9回」と表示されているように、乙第4号証に示された展示会は「1998年3月」に開催されたものであり、乙第3号証に表示された展示会(’98年4月9回)とは異なっている。

したがって、乙第3号証と乙第4号証との関連が不明である。

また、被請求人は、同使用説明書において、被請求人が取引先に宛てた売上伝票写(乙第5号証)及び前記取引先のデータ写(乙第6号証)を提出し、売上伝票写に表示された取引先名「KNITSHOP イトウ 津名」と取引先データ写に表示された取引先正式名称「レディースファッシヨンイトウ」とは名称が異なるものの、得意先コード(取引先コード)が同一であるから、両者は同一であると述べている。

しかしながら、名称「KNITSHOPイトウ 津名」と名称「レディースファッシヨン イトウ」とは著しく異なっているし、乙第6号証の取引先略称の欄には「イトウ ツナグン」となっているから、被請求人の説明は、にわかに信じ難い。

このように、多くの疑問点を内包した乙第2〜6号証では、被請求人の主張が証明されているとは認められない。

▲3▼ 次に、被請求人は、商標「GranSasso」を付した織りネーム及びタッグを取り付けたセーターの写真(乙第7号証)を提出しているが、乙第7号証は、このセーターが平成10年12月16日以前に存在していたことを証明できるものではない。

また、被請求人は、製品買付属注文書(乙第8号証)及びその修正版(乙第9号証)を提出しているが、これら乙第8号証と乙第9号証との関連が不明である。

確かに、被請求人が述べているように、乙第9号証では登録上代欄が「7,900」から「6,900」に訂正されている。乙第8号証と乙第9号証を重ね合わせて、透かして見ると、両証拠の手書き文字は完全に一致しており、乙第9号証は乙第8号証を複写したものを用いて、登録上代が修正されたものと認められる。ところが、訂正が必要でない部分、すなわち添付の資料1中の赤枠で示した部分も何故か訂正されている。したがって、乙第8号証と乙第9号証との関連が不明である。

このような疑問点を内包した乙第8号証や乙第9号証に基づいては、被請求人の主張が証明されているとは認められない。

▲4▼ 最後に、被請求人は、被請求人が取引先に宛てた売上伝票写(乙第14号証)を提出しているが、この乙第14号証の内容についても疑問を禁じ得ない。

この売上伝票はコンピュータで管理されているはずなのに、「伝票NO.」に矛盾がある。このことをわかりやすく説明するため、乙第5号証、乙第10号証及び乙第14号証に添付の「売上伝票(営業)」を対比したものを資料2として提出する。これらの伝票が同一シリーズのものであることは、「データ区分01」、「課コード52」及び「処理区分1」がいずれも一致していることから明らかである。

しかるに、伝票の発行年月日と伝票NO.を見ると、次のようになっている。

98年10月16日......521531(乙第10号証)

98年11月02日......187961(乙第14号証)

98年11月24日......537151(乙第5号証)

常識的に考えれば、98年11月2日に発行された伝票のNo.は、その半月ほど前に発行された伝票の「NO.521531」と、その約20日後に発行された伝票の「NO.537151」との間に位置する筈である。

このような疑問点を内包した乙第14号証に基づいては、被請求人の主張が証明されているとは認められない。

▲5▼ 以上に述べたところがら明らかなように、被請求人は乙第1〜14号証に基づいて、本件商標の使用の事実を証明しようとしているが、これら乙第1〜14号証はすべて被請求人自身によって作成されたものであり、しかもその内容に辻棲の合わない点とか疑問点が少なからず含まれている。

このような証拠は、証拠能力を疑われても止むを得ないものである。

したがって、このような証拠に基づいては、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって、請求にかかる指定商品について使用されていたことを証明できていると認められない。

よって、本件審判請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

3 被請求人の答弁

被請求人は、 「本件審判は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第20号証を提出している。

(1)本件商標「グラン サッソ/Gran Sasso」は、被請求人が日本国内で、本件商標が登録された直後の平成2年8月中旬頃から現在まで、主として商品「コート、ジャケット、セーター、ブラウス」に継続して使用しているが、乙第1号証(「グラン サッソ」ブランド商品の販売実績・被請求人作成)の平成9年3月〜平成10年1月及び平成10年5月〜平成10年11月の集計からも明らかなように、年間約6千着程度の販売量であり、かつ、売れ行き好調であることから、本件審判の予告登録の平成10年12月16日以前の商品の手持ち在庫がなく、また、市中在庫も極めて少ない商品である。

このため、商標「Gran Sasso」及びこの商標を付した商品の品番を記載した上記商品の被請求人から製造メーカーへの注文書や、この注文書に記載されている品番を記載した上記商品の売上伝票は多数存在するが、本件審判の予告登録日以前に販売した商品の残数が極めて少ないのが現状である。なお、乙第1号証に平成10年2月〜4月の集計が記載されていない理由は、商標「グラン サッソ」を使用している商品を主として管理している被請求人の大阪支店から注文書や売上伝票が未着であったことによる。

(2)乙第2号証は、本件商標を使用している商品「セーター」の写真、乙第3号証は、被請求人が乙第2号証に示す「セーター」に織りネーム及びタッグを取り付けて貰うために、尾崎マーク(株)へ発注した「Gran Sasso」ブランド商品専用の製品買付属注文書写、乙第4号証は、被請求人作成によるLF1部(50)ブランド・コード対照明細、乙第5号証は、被請求人の大阪支店が乙第2号証に示す「セーター」を小売店「KNITSHOP イトウ 津名」へ販売した売上伝票(営業)写、乙第6号証は、「KNITSHOP イトウ 津名」が、日本国内で営業している小売店であることを示す取引先データ写である。

▲1▼ 乙第2号証に示される「セーター」は、平成10年11月26日から小売店「KNITSHOP イトウ 津名」に販売目的で陳列していた商品であるが、これを平成11年1月18日に引き上げて、被請求人の社員である窪田満が被請求人の社内にて撮影したものである。

この「セーター」には、写真から明らかなように、襟裏に「Gran Sasso」の文字を表した織りネームが縫い付けられている。また、前に取付けられたタッグの表面には、大きな文字の「Gran Sasso」と小さな文字の「GUNZE SANGYO INC.」が上下二段に併記され、裏面には、上から順に「Gran Sasso」、「NO.315−5507」、「SIZE 09」、「COL.60」、「MK.997」、「QUALITYQ アクリル50%、毛45%、綿5%」、「16900」等の文字が記載されている。

そして、衣料品における商標表示手段は、襟裏に付した織りネームや、商品に取付けられたタッグ表面に商標を記載することが、世界的に慣用されている共通事項であるから、織りネーム及びタッグ表面の「GranSasso」の文字が、乙第2号証の「セーター」の商標である。

▲2▼ 乙第3号証は、平成10年(’98年)4月に被請求人が開催した展示会にて顧客からの注文数を勘案して、カレッジ(COLLEGE)社から仕入れて株式会社三和倉庫(城東営業所)(大阪市鶴見区浜2丁目2番2号)に保管していた製品に、商標「Gran Sasso」を付した織りネームやタッグを取り付けて、平成10年9月末日までに、被請求人の大阪支店OMMビル6Fに納入するよう、被請求人のレディスファッション第1部が、平成10年6月8日に尾崎マーク(株)へ指示した注文書である。

この乙第3号証には、ブランド記載欄に「Gran Sasso」の文字が印字され、また、品番欄に「315−5507」、登録上代欄に「16,900」、表地欄に「アクリル50%、毛45%、綿5%」が記載され、Co/サイズ欄に「9号及び13号サイズのカラーNO.60及び70についての数量」が記載されている。

してみると、乙第3号証のブランド欄の「Gran Sasso」、品番欄の「315−5507」、登録上代欄の「16,900」、表地欄の「アクリル50%、毛45%、綿5%」、Co/サイズ欄の「9号及び60」は、乙第2号証の商標「Gran Sasso」、「NO.’315−5507」、「16900」、「QUALITY アクリル50%、毛45%、綿5%」、「SIZE 09」、「COL.60」と一致しているから、乙第3号証は、乙第2号証に示す「セーター」に関する製品買付属注文書写である。

なお、乙第3号証において、登録展示会欄の年月の「98年4月」の次に記載の数字「9」は、乙第4号証に記載されているように、「現物商品の展示会」を表しており、また、「登録6月10日」は、乙第3号証をファイルに綴じた日付である。

▲3▼ 乙第5号証は、平成10年(98)11月24日に被請求人の大阪支店のLF第1部(レディスファッション第1部)大阪販売1課が、小売店「KNITSHOP イトウ 津名」に、品番「315−5507」、サイズ「09」、品名「(ゲン)セーター」2点等を販売した売上伝票の写しである。なお、品名「(ゲン)セーター」についてさらに詳細に述べれば、カラー「60及び70」,の各1点で、参考上代単価「16900円」、納入単価「3380円」である。

してみると、乙第5号証の品番「315−5507」、サイズ「09」、参考上代単価「16900円」は、乙第2号証のタッグに記載の「NO.315−5507」、「SIZE 09」、「16900」及び乙第3号証の品番欄の「315−5507」、サイズ欄の「9」、登録上代欄の「16,900」に一致し、乙第5号証の品名「(ゲン)セーター」及びカラー「60」は、乙第2号証の商品及びタッグの「COL.60」と一致し、乙第5号証のカラー「60及び70」は、乙第3号証の「カラーNO.60及び70」と一致しており、乙第5号証は、乙第2号証に示す「セーター」及び乙第3号証に関する売上伝票である。

▲4▼ 乙第6号証には、「LADES FASHION イトウ(レディス ファッショウン イトウ)」が、「兵庫県津名郡北淡町富島396−5(ヒョウゴケン ツナグンホクタンチョウトミジマ 396−5)」に存在していることが記載されている。

ここで、乙第6号証に記載の取引先正式名称「LADIES FASHION イトウ」が、乙第5号証に記載の得意先「KNITSHOP イトウ 津名」と相違しているが、これは被請求人の営業担当者が、取引先正式名称の代わりに、略称「KNITSHOP イトウ津名」を売上伝票に記載したもので、乙第6号証の取引先コードと乙第5号証の得意先コードは、「02262−0」であり一致しているから、乙第5号証に記載の「KNITSHOP イトウ津名」は、日本国内における店舗である。

したがって、登録商標の使用説明書(1)によれば、被請求人は、本件審判の予告登録日である平成10年12月16日以前に、日本国内において商品「セーター」に、商標「Gran Sasso」を使用していることが立証されている。

▲5▼ 乙第7号証は、本件商標を使用している商品「セーター」の写真、乙第8号証は、被請求人が乙第7号証に示す「セーター」に織りネーム及びタッグを取り付けて貰うために、尾崎マーク(株)へ発注した「Gran Sasso」ブランド商品専用の製品買付属注文書写、乙第9号証は、乙第8号証を訂正した「Gran Sasso」ブランド商品専用の製品買付属注文書写、乙第10号証は、被請求人の大阪支店が乙第7号証に示す「セーター」を小売店「(有)ヒツジ屋倉敷」へ販売した売上伝票(営業)写、乙第11号証は、小売店「(有)ヒツジ屋倉敷」が、日本国内で営業している小売店であることを示す取引先データ写である。

▲6▼ 乙第7号証に示される「セーター」は、平成10年10月17日から小売店「(有)ヒツジ屋倉敷」に販売目的で陳列していた商品であるが、これを平成11年1月22日に引き上げて、被請求人の社員である窪田満が被請求人の社内にて撮影したものである。

この「セーター」には、写真から明らかなように、襟裏に織りネームが、また、織りネームにタッグが吊り下げられている。そして、乙第7号証には、乙第2号証と同様に、織りネームに「Gran Sasso」の文字が、タッグの表面には、大きな文字の「Gran Sasso」と小さな文字の「GUNZE SANGYO INC.」が上下二段に併記され、裏面には、「Gran Sasso」、「NO.315−5513」、「SIZE F」、「COL.10」、「MK.997」、「QUALITY毛100%」、「6900」等の文字が記載されている。

したがって、織りネーム及びタッグ表面の「Gran Sass」の文字は、乙第7号証の「セーター」の商標である。

▲7▼ 乙第8号証は、乙第3号証に記載される展示会と同じ展示会にて顧客からの注文数を勘案して、珠海市振威服装有限公司(ZHUHAI ZHENWEI GARMENTS CO,LTD)から仕入れて三和倉庫城東に保管していた製品に、商標「Gran Sasso」を付した織りネームやタッグを取り付けて、平成10年10月7日までに、被請求人の大阪支店の大阪物流センターに納入するよう、被請求人のレディスファッション第1部が、平成10年8月25日に尾崎マーク(株)へ指示した注文書である。

この乙第8号証には、ブランド記載欄に「Gran Sasso」の文字が印字され、また、品番欄に「315−5513」、登録上代欄に「7,900」、表地欄に「毛100%」が記載され、Co/サイズ欄に「F(フリー)サイズのカラーNO.10,20,40,50,60,70,90及び92についての数量」が記載されている。

そして、乙第8号証の訂正製品買付属注文書である、平成10年8月26日付けの乙第9号証によって、登録上代欄を「6,900」に訂正している。

してみると、乙第8号証(乙第9号証を含む、以下この項において同じ)のブランド欄の「Gran Sasso」、品番欄の「315−5513」、登録上代欄の「6,900」、表地欄の「毛100%」、Co/サイズ欄の「F及び10」は、乙第7号証の商標「Gran Sasso」、「NO.315−5513」、「6900」、「QUALITY毛100%」、 「SIZE F」、「COL.10」と一致しているから、乙第8号証は、乙第7号証に示す「セーター」に関する製品買付属注文書写である。

▲8▼ 乙第10号証は、平成10年(98)10月16日に、被請求人の大阪市店のLF第1部(レディスフフッション第1部)大阪販売1課が、小売店「(有)ヒツジ屋 倉敷」に、品番「315−5513」、サイズ「11」、品名「(ゲン)セーター」8点等販売した売上伝票の写しである。

なお、品名「(ゲン)セーター」についてさらに詳細に述べれば、カラー「10,20,40,50,60,70,90及び92」の各1点で、参考上代単価「6900円」、納入単価「3795円」である。

してみると、乙第10号証の品番「315−5513」、参考上代単価「6900円」は、乙第7号証のタッグの「NO.315−5513」、「6900」及び乙第8号証の品番欄の「315−5513」、登録上代欄の「6,900」に一致し、乙第10号証の品名「(ゲン)セーター」及びカラー「10」は、乙第7号証の商品及びタッグの「COL.10」と一致し、乙第10号証のカラー「10,20,40,50,60,70,90及び92」は、乙第8号証の全てのカラーNO.と一致している。

したがって、乙第10号証のサイズ表記「11」と、乙第7号証及び乙第8号証のサイズ表記「F」とに相違があるものの、売上伝票のサイズ欄にコンピューターソフトの関係上「F」と刻印できないことから、売上伝票に中間的サイズである「11」と表現しただけのことであり、品名やその他数値が乙第7号証に示す「セーター」及び乙第8号証と一致する乙第10号証は、乙第7号証及び乙第8号証に関する売上伝票である。

▲9▼ 乙第11号証には、 「有限会社ヒツジ屋(ユウゲンガイシャヒツジヤ)」が、 「岡山県倉敷市児島駅前1−54−31(BLDひつじや)(オカヤマケンクラシキシ コジマエキマエ1−54−31BLDヒツジヤ)」に存在していることが記載されている。

ここで、乙第11号証に記載の取引先正式名称「有限会社ヒツジ屋」が、乙第10号証に記載の得意先「(有)ヒツジ屋倉敷」と相違しているが、これは被請求人の営業担当者が、取引先正式名称の代わりに、略称「(有)ヒツジ屋倉敷」を売上伝票に記載したもので、乙第11号証の取引先コードと乙第10号証の得意先コードは、「27045−0」であり一致しているから、乙第10号証に記載の「(有)ヒツジ屋倉敷」は、日本国内における店舗である。

したがって、被請求人は、本件審判の予告登録日である平成10年12月16日以前に、日本国内において商品「セーター」に、商標「Gran Sasso」を使用していることが立証されている。

▲10▼ 乙第12号証及び乙第13号証は、それぞれ、商品「コート」に本件商標を記載した織りネーム及びタッグを取り付けて貰うために、尾崎マーク(株)へ発注した「Gran Sasso」ブランド商品専用の製品買付属注文書写、乙第14号証は、被請求人の大阪支店が乙第12号証及び乙第13号証に記載の「コート」を小売店「江綿(株)キリンド城東店」へ販売した売上伝票(営業)写である。

乙第14号証及び乙第15号証は、平成10年(1998)4月に被請求人が開催した展示会にて顧客からの注文に応じて、(株)セビアンに製造させた製品に、商標「Gran Sasso」を付した織りネームやタッグを取り付けて、平成10年9月20日までに、被請求人の東京本社の立川物流センターと大阪支店の大阪物流センターに納入するよう、被請求人のレディスファッション第1部が、平成10年5月15日に尾崎マーク(株)へ指示した注文書である。

▲11▼ 乙第12号証には、ブランド記載欄に「Gran Sasso」の文字が印字され、また、品番欄に「315−6501」、登録上代欄に「59,000」、Co/サイズ欄に「FサイズのカラーNO.20,70及び90についての数量」が記載されている。さらに、乙第13号証には、ブランド記載欄に「Gran Sasso」の文字が印字され、また、品番欄に「315−6502」、登録上代欄に「69,000」、Co/サイズ欄に「FサイズのカラーNO.20,70及び90についての数量」が記載されれている。

なお、乙第12号証及び乙第13号証における登録展示会欄の年月の「1998年4月」の次に記載の数字「1」は、乙第4号証に記載されているように、「展示会における受注」を表している。

▲12▼ 乙第14号証は、平成10年(98)11月02日に被請求人の大阪支店のLF第1部(レディスファッション第1部)大阪販売1課が、小売店「江綿(株) キリンド城東店」に、品名「(ゲン)コート」の品番「315−6501」のカラー「90及び70」の各1点と、品番「315−6502」のカラー「70」の1点等を販売した売上伝票の写しである。

なお、品番「315−6501」の参考上代単価は「59000円」、納入単価は「20650円」であり、品番「315−6502」の参考上代単価は「69000円」、納入単価は「24150円」である。また「江錦(株) キリンド城東店」との店名から、大阪市に所在する小売店であることは明らかである。

してみると、乙第14号証の品番「315−6501」、参考上代単価「59000円」、「カラー90及び70」は、乙第12号証の品番欄「315−5401」、登録上代欄「59,000」、「カラーNO.70及び90」と一致し、乙第14号証の品番「315−6502」、参考上代単価「69000円」、「カラー70」は、乙第13号証の品番欄「315−6502」、登録上代欄「69,000」、「カラーNO.70」と一致している。

したがって、乙第14号証のサイズ表記「11」と、乙第12号証及び乙第13号証のサイズ表記「F」との相違は、前述の乙第10号証についての理由と同様であることから、品番やその他数値等が乙第12号証及び乙第13号証と一致する乙第14号証は、乙第12号証及び乙第13号証に関する売上伝票である。

▲13▼ これら乙第12号証乃至乙第14号証に記載される品番「315−6501」及び「315−6502」のコートは、すでに一般需要者に完売されて市中在庫がないため、写真撮影をすることができない。

しかしながら、乙第12号証及び乙第13号証に、ブランド名「GranSasso」が記載されていること、並びに品番等が一致していることから、乙第12号証及び乙第13号証の売上伝票である乙第14号証に、商品名「コート」が記載されていることに鑑みれば、商品「コート」についての写真がなくても、乙第2号証、乙第3号証及び乙第5号証、並びに乙第7号証、乙第8号証及び乙第10号証との関係から、被請求人は、本件審判の予告登録日である平成10年12月16日以前に、日本国内において商品「コート」に、商標「GranSasso」を使用していることが立証されている。

▲14▼ 以上のように、被請求人は、本件審判の予告登録日である平成10年12月16日以前に、日本国内において商品「セーター」及び「コート」に、商標「Gran Sasso」を使用していることは疑いのない事実である。しかも、本件商標は、片仮名の「グランサッソ」の下段にアルファベットの「Gran Sasso」を併記したものであって、しかも両者の称呼が同一であるから、「グランサッソ」又は「Gran Sasso」の単独使用も、社会通念上本件商標の使用と認められている範囲のものである。

したがって、被請求人は、本件商標をその指定商品に、平成2年8月中旬頃から使用を開始し現在も使用中であり、平成10年4月に開催した展示会から使用していることが立証されているので本件取消審判の予告登録前3年以内に本件商標をその指定商品に使用中であることは明らかである。

よって、答弁の趣旨の通りの審決を求めるものである。

4 当審の判断

そこで、本件審判において被請求人より提出された乙第2号証、同第5号証、同第7号証及び同第10号証についてみるに、乙第2号証は、婦人向けのセーターの写真(四葉)と認められるところ、このセーターの襟裏及び商品に取り付けられたタッグの表裏の両面に、本件商標と社会通念上同一と認められる「Gran Sasso」の文字よりなる商標が表示されており、そして、該タッグの裏面には品番、サイズ、カラー等が数字で、素材の割合がそれぞれ「%」で表されているものである。

また、乙第5号証は、‘98年11月24日に「KNITSHOP イトウ 津名」に対して、乙第2号証の「セーター」2着を売り上げた伝票の(写)と認められるものである。

同じく、乙第7号証のセーター(NO 315−5513)には、「Gran Sasso」の文字が付されており、該商品は、乙第10号証(売上伝票)によれば、‘98年10月16日に付で「(有)ヒツジ屋 倉敷」へ売られたものであることが認められる。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件商標の指定商品中の「被服」に属する「セーター類」について、使用されていたものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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