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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30047号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1989489号商標(以下、「本件商標」という。)は、「DRAGON」の文字を横書きしてなり、昭和57年9月27日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和62年10月27日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「電子管」については商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その登録が平成6年11月29日になされ、その後、商標権存続期間の更新登録が平成9年6月10日になされているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「民生用電気機械器具、ラジオ受信機、テレビジョン受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

(1)請求の理由

請求人が調査した結果では、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品中「民生用電気機械器具、ラジオ受信機、テレビジョン受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」について使用されている事実を見出すことができないものである。

したがって、本件商標の登録は指定商品中「民生用電気

機械器具、ラジオ受信機、テレビジョン受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、乙第1号証乃至同第8号証における「納品書」「物品受領書」及び「請求書」をもって、本件商標が「カセットデッキ」又は「コンパクトデイスクフレーヤ」に継続して使用されてきたことは明らかであると主張している。しかしながら、これらの「納品書」、「物品受領書」及び「請求書」を精査するに、確かに各納品書、物品受領書又は請求書の商品名欄には判で押したように「DRAGON」なる表示をみることができるものではあるけれども、これらの記載をもってして、本件商標が被請求人主張に係る「カセットデッキ」又は「コンパクトディスクフレーヤ」なる商品に実際に使用された事実を立証するに足りるものとは認めることができない。

そもそも、かかる「納品書」、「物品受領書」又は「請求書」類は、例え同書面中に商標或いは商標に類するものの記載があるとしても商標の使用事実を立証するものとしては客観性に乏しく、商標登録の不使用取消審判事件においては証拠能力を備えたものとはいえないものであり、これらが証拠として採用されざるものであることは幾多の事例に照らして明白である。

さらに、被請求人は答弁理由中、販売の事実として乙第1号証乃至同第8号証を参照して、納入日、納入先、金額からなる表を記載しているが、これらは単に被請求人が何らかの商品を顧客に販売したことを表にしたに過ぎないものであって、指定商品との関係において本件商標が使用されたという事実を示すものとして何ら意味を有するものではない。

次に、被請求人は型録の頒布による事実と称して、本件商標を掲載した型録350部を平成7年以降頒布し、更に平成10年12月以降にも頒布したと述べて、乙第9号証を提出している。この乙第9号証は、被請求人会社の取引先と思われる有限会社ジャスト・ラインなる会社が被請求人会社に宛てて作成した証明書なる書面で、文中、被請求人会社の型録を受領し、該型録に示す商品を販売し、該型録を顧客に頒布したと述べているものの、この書面に添付されているものは、「New Product Information」なる文字が書されており、次に「設計者からのメッセージ」なる商品写真を示すもの2葉、商品の説明書のような書面以下スペックと思われる文書13葉から成るに過ぎないもので、確かに文中に本願商標と極めて類似する「DRAGON」なる文字を散見することができるけれども、これらは商品を示す語として使用されているというべきで、商標として明示されているものではなく、また該書面は不特定多数の需要者に向けるような体裁を備えているものではなく、いつ作成されたものなのかも不明で、自他商品の識別機能としての商標を表示してなるものではなく、単に取引者との間で作成され交付された私文書というべき性質のもので極めて信憑性に欠けるものであるから、これをもって本件商標の使用事実を立証し得るものとは言い難いものである。

被請求人は乙第10号証として株式会社ステレオサウンド発行の「Stereo Soun」なる雑誌の写本を提出し、これについて被請求人は、乙第9号証の『DRAGON」の名は、Nakamichiにとって特別な意味をもっています。』や『カセットデッキ、ターンテーブルの2つの「DRAGON」を設計してきた....』なる広告文から、「DRAGON」の表示は、何れも商品との関係がはっきりしているものであり、広告的な使用がなされていることは明らかであると思料する、と述べて「DRAGON」の表示が本件商標の使用に当たるか否か、という自らの問いに答えている。

しかるに、被請求人の商品の説明書と思しき乙第9号証の書類をみるに、その第12頁の下部に「●MusicBank、AcousticIsolationはナカミチ株式会社の商標です。」なる記載に注目すると、この記載が示唆するところは、被請求人会社は商標「MusicBank、AcousticIsolation」ついて殊更にこれらが同社に帰属する商標である旨を公言し、己の商標について防護する姿勢が窺がえるもので、このような同社の商標に対する姿勢、方策からすれば、本件商標についても、その使用に際して然るべき明確な対応がなされていて当然であると思料するところ、乙第9号証及び乙第10号証所載の「DRAGON」なる語は、同社の商標であることを示すような使用ではなく、単に商品の説明としての語の使用に外ならないもので、これが同社の商標であることを示す意図など、その片鱗すら読み取ることのできないものである。

上記を考慮するに、提出された証拠書類中に記載された「DRAGON」なる表示は、単に商品を説明するためのもので、商標法上でいう「自他商品識別の機能を有するものとしての商標」の使用とはいえないものであるから、これをもって本件商標が本件審判請求前3年間に指定商品の何れかについて使用されたという事実を認めることはできない。

被請求人は乙第11号証として商標課編集「商標審査基準」中の「登録商標の使用と認められる商標の事例」及び乙第12号証として第一法規出版株式会社「判例工業所有権法」中の審決例を挙げているが、これらは何れも本件商標とは事例を異にするものである。

以上のとおり、被請求人は本件商標は本件審判請求前3年以内に「カセットデッキ」及び「コンパクトディスクプレーヤ」について継続して使用されてきた、と主張しているものであるが、提出された証拠によっては、その事実を十分に証明しているとは認められないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第12号証を提出した。

本件商標は下記の事実によって、本件審判請求登録前3年以内に当該商標権者によって「カセットデッキ(Cassete tape deck)」又は「コンパクトディスクプレーヤ(CDプレーヤー,Compact disc player)」に継続して使用されてきたことは明らかである。

(1)販売事実

「カセットデッキ(Cassete tape deck)」又は「コンパクトディスクプレーヤ(CDプレーヤー,Compact disc player)」を平成8年1月18日に青山オフィスに販売した(乙第1号証)、同じく、同10年1月30日乃至同10年12月29日に(有)ジャストラインに販売した(乙第2号証乃至同第8号証)。

(2)型録の頒布による事実

本件商標を掲載した型録350部を平成7年以降頒布し、更に平成10年12月以降にも頒布している(乙第9号証)。

(3)雑誌広告による事実

本件商標は平成9年1月15日 株式会社ステレオサウンド発行の「Stereo Sound」に掲載広告された(乙第10号証)。

上記各乙号証においては、「DRAGON」の表示と「DRAGON」十英文字(2文字〜3文字)の表示が用いられている。

前者の『DRAGON』のみの表示は、例えば、乙第9号証の広告文の『「DRAGON」の名は、Nakamchiにとって特別な意味をもっています。』(第2頁左欄1行から2行)や『「カセットデッキ、ターンテーブルの2つの「DRAGON」を設計してきた...』(第2頁右欄1行から3行)、更には白線枠で囲まれた部分(第2頁右欄右上段)で行われている。そして、これらの表示は、何れも商品との関係がはっきりしているものであり、広告的な使用がなされていることは明らかであると思料する。

なお、乙第1号証には、「DRAGON」の文字の後に3文字空けて「DM」の文字が表示されているが、この「DM」はドメスティックの略であり、国内向けの100ボルト電源使用の製品であることを示している。この表示は、両者の文字の空き具合からしても「DRAGON」の単独表示に当たるものと思料する。

次に、後者の「DRAGOMN+「英文字」については、例えば、乙第2号証〜同第8号証の納品書や乙第9号証のカタログ(第3頁)に「DRAGON」の後に1文字空けて「CD」や「DAC」などの表示が行われている。これらの付加表示については、商品の種類を表示するのみのものであり、商標的機能(自他商品識別機能)を奏するものではないので、本件商標「DRAGON」の使用に当たるものと思料する。このことは、審査基準(発明協会平成4年3月発行)の更新登録の際の使用(改正前のもの)の判断における登録商標の使用に当たるものの例示として、登録商標「VHC」に対して「水冷VHC圧縮機」があげられている(乙第11号証)ことや商標の不使用取消審判に関する東京高裁判決(平成10年10月26日)において、登録商標「クリン」に対してクリン・エクスパンカナダ」(使用商品はタイル用ジョイント金具)の使用が、登録商標の使用に当たるとされたことからも明らかであると考える(乙第12号証)。

上記事実に鑑み、本件商標がその指定商品中「電気通信機械器具の一」について使用されていることは疑いのないものである。

4 当審の判断

被請求人が本件商標を使用している事実を証明するものとして提出した証拠をみるに、被請求人(商標権者)は、平成10年12月頃に「New Product Information」、「DRAGON」、「CD」、「MusicBank CD Player」、「DRAGON」、「DAC」「D/A Converter」、「Nakamichi」の文字を表面に印刷した商品カタログを有限会社ジャスト・ラインに譲渡し、当該カタログは、同社により頒布されたものと認め得るものである。

また、被請求人は、1997年1月15日発行雑誌「StereoSound」(株式会社ステレオサウンド)に「コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞決定」、「96−97ザ・ベストバイ・コンポーネント710選」、「季刊ステレオサウンドN0121199WINTER」と題する雑誌中に商品カタログと同一の商品と認められる「DRAGON」、「CD」、「MusicBank CD Player」及び「DORAGON」、「DAC」、「D/A Converter」が掲載されていることが認められ、さらに、「96−97特集ザ・ベストバイ・コンポーネントランキング710選」の記事中の「CDプレーヤー30〜70万円未満の10番目に「ナカミチDoragon−CD」、「450,000円」が掲載されていることが認められる。

そして、当該商品「DORAGON DAC」について、98年1月30日、同年3月5日、同年12月29日、また、当該商品「DORAGON CD」については、98年2月3日、同年2月16日、同年3月5日、同年3月23日、同年5月6日、同年5月19日、同年5月21日、同年7月6日、同年7月15日、同年7月22日、同年7月24日、同年7月27日、同年11月10日、同年12月29日に有限会社ジャスト・ラインにそれぞれ納品・受領されたことが認められる。

してみれば、被請求人は、「DORAGON」の文字を付した商品カタログに掲載されている「カセットテーププレーヤー」及び「コンパクトディスクプレーヤー」を本件審判請求の登録前3年以内である1998年(平成10年)1月30日から同年12月29日の間に有限会社ジャスト・ラインと取引を行ったものと認められる。

しかして、前記商品「カセットテーププレーヤー」及び「コンパクトディスクプレーヤー」に表示されている「DORAGON」の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきものであり、また、使用に係る商品「カセットテーププレーヤー」及び「コンパクトディスクプレーヤー」は、取消請求に係る指定商品中の「音声周波機械器具」の範疇に属するものと認められる。

してみれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「音声周波機械器具」に包含される商品について使用していたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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