Trademark Appeal Case
称呼・観念・外観の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90602(T2005−90602/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4893478号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOON」及び「ムーン」の文字をゴシック体で上下二段に横書きしてなり、平成17年3月7日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同17年9月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その指定商品中「日本酒、洋酒、果実酒」についての登録は取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)同法第4条第1項第11号について
本件商標は、申立人の引用に係る「プチムーン」及び「Petitmoon」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年11月5日に登録出願、第33類「日本酒」を指定商品として、同12年10月20日に設定登録された登録第4425316号商標(以下「引用商標1」という。)、別掲のとおり、「月」の文字を毛筆体風で書してなり、平成14年12月18日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同15年8月1日に設定登録された登録第4696571号商標(以下「引用商標2」という。)及び「つき」の文字(標準文字)よりなり、平成14年12月26日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同16年1月23日に設定登録された登録第4742467号商標(以下「引用商標3」という。)と類似する。
(2)同法第4条第1項第10号及び第15号について
本件商標は、その出願以前より、商品日本酒に使用して知られた申立人の「ムーン」、「プチムーン」、「MOONDRINK」、「月」及び「つき」からなる商標として消費者に誤認を与えるおそれがあるから、同法第4条第1項第10号に該当する。
また、本件商標は、その出願以前より、商品日本酒に使用して著名な申立人の月桂冠「月」(月は若干のデザインを施している)並びに「プチムーン」及び「Petitmoon」からなる商標とその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第15号に該当する。
なお、前記した申立人の「ムーン」、「プチムーン」、「MOONDRINK」、「月」及び「つき」からなる商標、月桂冠「月」(月は若干のデザインを施している)並びに「プチムーン」及び「Petitmoon」からなる商標をまとめて「申立人使用標章」といい、個別にいうときは「申立人使用標章ムーン」のように表す。以下同じ。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、前記1のとおりの構成よりなり、当該文字に相応して「ムーン」の称呼及び「月」の観念を生ずるものと認められる。
イ 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「プチムーン」及び「Petitmoon」の文字とも、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、さらに当該文字全体から生ずる「プチムーン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、構成中「Petit」の文字が「小さい」等を意味する仏語であるものの、これが、その指定商品の分野において商品の品質等を表示するものとして普通に使用されている事実を見いだし得ないものであり、むしろ、結合した引用商標1よりは「小さい月」の意味合いを容易に想起させ、構成文字全体をもって一体不可分の語と把握し認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「プチムーン」の称呼のみを、また「小さい月」の観念が生ずるものと認められる。
してみれば、両商標は、それぞれ生ずる「ムーン」の称呼と「プチムーン」の称呼とは、「プチ」の音の有無に明らかな差異を有するものであるから、称呼上明らかに聴別し得るものであり、また、観念においても「小さい」の意味の有無により紛れるおそれはない。さらに、両商標は、前記したそれぞれの構成よりして、外観上も容易に区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれがなく、類似する商標ではない。
ウ 引用商標2は、別掲のとおり、「月」の文字を毛筆体風で書してなるところ、これより「ツキ」の称呼及び「月」の観念を生ずるものと認められる。
しかして、本件商標は、欧文字と片仮名文字をゴシック体で表したものであり、引用商標2は、上部がかすれ、また、第3画及び第4画の「=」が縦の線に接することなく書された特徴ある書体であり、外観において著しく相違すること、称呼において、本件商標より生ずる「ムーン」、引用商標2より生ずる「ツキ」の称呼は僅か2音(前者は長音を含む。)と簡潔であり、かつ、明確に相違することからすれば、たとえ本件商標と引用商標2とが観念において共通にするとしても、本件商標は、これに接した需要者が直ちに「月」を想起するというよりその外観、称呼をもって印象、記憶、連想することが多いというべきであるから、両商標の外観、称呼及び観念が与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、両商標を同一又は類似する商品に使用しても、商品の出所について誤認混同するおそれはなく、互いに類似する商標とはいえないと判断するのが相当である。
エ 引用商標3は、「つき」の文字よりなるところ、これより「ツキ」の称呼を生ずるものの、「つき」に対応する語が、月、付き、尽き、突き、槻、憑き等多数に及ぶこと、それらの語のうち特定の語のみが特に親しまれているとは認めがたいものであるから、これより特定の観念を生ずるものとは認められない。
そうとすれば、両商標は、観念において比較すべくもなく、また、外観、称呼において紛れるおそれがないこと明らかである。
したがって、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれがなく、類似する商標ではない。
オ してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び第15号について
申立人提出の甲各号証によれば、申立人が日本酒について、申立人使用標章を使用していることを窺い知ることができる(ただし、申立人使用標章ムーンについては、甲各号証によっては使用していることが窺えない。)。前記証拠によっては、申立人使用標章が、本件商標の出願時に、その需要者の間で広く認識されるに至っていたと認め得るには足りないといわなければならない。
なお、申立人使用標章月桂冠「月」については、使用されている商品のパッケージに「月桂冠」の文字と共に「月」が表示され、単独で「月」が表示されているものではなく、かつ、新聞等の広告においても「定番酒つき」の文字が、当該パッケージの写真と共に掲載されている。そうすると、「月桂冠」の商標が申立人の代表的な出所標識として需要者の間に広く認識されていることは認められるものの、「月」の文字のみで本件商標の出願時に、その需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めることは困難である。
加えて、本件商標が、申立人使用標章に類似する商標といえないことは、前記(1)と同様であり(なお、申立人使用標章「MOONDRINK」についても、構成文字全体をもって一体不可分の語と把握し認識されるとみるのが相当であるから、本件商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれがなく、類似する商標ではないというべきである。)、本件商標を更に申立人使用標章と関連付けてみなければならない格別の理由は見いだせないから、結局、両者は、別異の出所を表すものとして看取されるというのが相当である。
してみると、本件商標の出願時において、本件商標を指定商品に使用しても、需要者が申立人使用標章を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、商品の出所を混同するおそれがあると判断することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3) 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標は、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。