Trademark Appeal Case
著名商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90632(T2006−90632/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4985800号商標(以下「本件商標」という。)は、「WinDVD」の文字と「Vista」の文字とを半角程度の間隔を開けて「WinDVD Vista」と一連に横書きしてなり、平成17年8月4日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年7月31日に登録査定、同年9月8日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由の要点
1 引用商標
登録異議申立人マイクロソフト コーポレーション(以下「申立人」という。)が本件商標についての取消理由に引用する登録第4934341号商標(以下「引用商標」という。)は、「WINDOWS VISTA」の欧文字を標準文字で表してなり、ドイツ連邦共和国において2005年3月22日に行った出願の優先権を主張して平成17年7月27日に登録出願、第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年3月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標の著名性について
申立人は、1975年に設立された、アメリカ合衆国に本社を置く世界最大手のコンピュータソフトウェア会社である。申立人の提供するOS(オペレーティングシステム)である「Windows」シリーズは、1986年に最初のバージョンが発売されて以来、様々な改良が加えられ、現在では企業や一般家庭まで幅広い層のユーザーに利用しやすい製品として高い人気を誇り、同市場で9割以上のシェアを占めるに至っている。申立人は長年にわたりOSの開発を続けており、2005年7月22日に、次世代OSを「WINDOWS VISTA」とすることを発表した。このニュースは瞬く間に世界中に広まり、わが国においても即時、各メディアに取り上げられ(甲第3号証〜甲第4号証)、本件商標が出願される2005年8月4日の時点では既に「WINDOWS VISTA」の名前は広く需要者に知られるに至っていた。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「WinDVD Vista」のアルファベット11字からなるのに対し、引用商標は、「WINDOWS VISTA」の12字からなるところ、両商標は、いずれも2つの単語で構成され、そのうち一方の単語は同一であり、残る一方の単語のうち前半4文字までを共通にしており、これらを一体として観察すると、両商標からは極めて近似した印象を受けるものであるというべきである。さらに、その最新版であり世界的に注目を集めているOSの名称である「WINDOWS VISTA」は、広く知れわたっているといえる。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者・需要者が思い込みから本件商標を引用商標と誤認する可能性は極めて高いといわざるを得ない。
なお、台湾、EU及びアメリカ合衆国においては、「WinDVD Vista」商標に係る出願は、申立人の商標「WINDOWS VISTA」と類似するとして、取消し決定、出願取り下げ、あるいは近日中に拒絶される見通しにある(甲第5号証及び甲第6号証)。
したがって、本件商標と引用商標は極めて相紛らわしい類似の商標であるといえる。
4 商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号について
上述したように、本件商標と引用商標とは外観上類似することは明らかであり、両商標の指定商品も互いに抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
また、引用商標は、アメリカ合衆国はもとより、我が国においても周知著名の商標であり、申立人と無関係の者が本件商標を使用することにより、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
更に、本件商標権者は、申立人が引用商標「WINDOWS VISTA」の採用を公式にアナウンスしてからわずか数週間のうちに、本件商標の出願を世界各国を対象に行っており、本件商標権者が引用商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的をもって出願されたことは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
5 よって、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記のとおり「WinDVD Vista」の文字よりなるところ、構成各文字は同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されており、「WinDVD」と「Vista」の文字との間に特に軽重の差はなく、これより生ずると認められる「ウィンディーブイディービスタ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、「WinDVD」の文字と「Vista」の文字の間に半角程度の間隔があるとしても、これらを分断して把握しなければならない特段の事由も見出せないものであるから、かかる構成においては、本件商標は、構成文字全体より「ウィンディーブイディービスタ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標は、前記したとおり、「WINDOWS VISTA」の欧文字を書してなるところ、構成各文字は同じ書体、同じ大きさで等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されており、構成文字全体より生ずると認められる「ウィンドウズビスタ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるから、引用商標は、構成文字全体より生ずると認められる「ウィンドウズビスタ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標から生ずる「ウィンディーブイディービスタ」の称呼と引用商標から生ずる「ウィンドウズビスタ」を比較すると、両者は、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはないとみるのが相当である。
次に、本件商標と引用商標の外観についてみるに、両者は、後半の「Vista」と「VISTA」の文字部分が綴り字を共通にするとはいえ、前半の文字部分において、本件商標は大文字と小文字からなる「Win」の文字の後に大文字で「DVD」の文字を配した構成からなるのに対し、引用商標は全ての文字を大文字で表した「WINDOWS」の文字からなるものであるから、両商標は全体として外観上判然と区別し得る差異を有し、互いに見誤るおそれはないとみるのが相当である。
また、本件商標と引用商標は、いずれも構成文字全体で一種の造語を表したものとみるのが相当であるから、観念において比較することはできないものである。
その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。
なお、申立人は、「その最新版であり世界的に注目を集めているOSの名称である『WINDOWS VISTA』は、広く知れわたっているといえるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者・需要者が思い込みから本件商標を引用商標と誤認する可能性は極めて高いといわざるを得ない。」旨主張している。
たしかに、引用商標を構成する「WINDOWS VISTA」の文字は、申立人の提出に係る甲3号証及び同第4号証によれば、申立人によって、2005年7月にOS(オペレーティングシステム)製品の名称として発表され、新聞、雑誌、インターネット上で申立人の業務に係る商品を表示するものとして紹介されていることからみて、申立人の業務に係る商品について使用する商標として我が国の取引者、需要者間に広く認識されていると認められるものである。
しかし、一方の本件商標についてみると、例えば、NNAが配信する日刊紙「The Daily NNA」の記事データベース中の2005年4月15日付け「NNAアジア経済情報 台湾経済」には、「米インタービデオ、友立を買収[IT]」の見出しのもと、「同社開発のDVD(デジタル多用途ディスク)再生ソフト『WinDVD』は、世界累計販売数が8,000万セットを超える。」の記載があることや2006年7月14日付け「京都新聞朝刊」には、「音楽・映像配信 米大手と提携 フェイス」の見出しのもと「インタービデオは、DVD再生ソフト『WinDVD』を中心にパソコン向けDVD関連ソフトの世界シェアは七割に上る。」の記載があることからすると、本件商標の構成中の「WinDVD」も、商標権者の商標として取引者・需要者に知られていることが窺われる。このことを考慮すれば、本件商標は、その構成中に商標権者の商標として知られている「WinDVD」の文字を見やすく、印象に残りやすい語頭部に配置していることから、申立人の引用商標「WINDOWS VISTA」と誤認することはないというべきである。
また、申立人は、「台湾、EU及びアメリカ合衆国における審査例を挙げて本件商標と引用商標が類似の商標である」旨主張しているが、外国と我が国とでは、英語に対する発音・聴取の能力や認識の程度も異なることから、これらの外国における審査例がそのまま我が国における商標の類否判断に影響を及ぼすことにはならないものであり、本件商標については、前記のとおり判断するのが相当であって、申立人の主張を認めることはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 本件商標の第4条第1項第15号及び同第19号該当性について
(1)本件商標と引用商標の類似性について
申立人は、引用商標を引用して本件商標が商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当する旨主張しているが、本件商標と引用商標とは、前記1のとおり、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(2)引用商標の著名性について
引用商標は、前記のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として我が国の取引者、需要者間に広く認識されていると認められるとしても、上記のとおり本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、これに接する取引者・需要者が、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれもないものといわなければならない。
また、本件商標と引用商標との関係は、上記のとおりに解されるものであるから、本件商標は、直ちに、不正の目的をもって使用をするものとはいえず、不正の目的を持って使用をするものであることを認めるに足る証拠も提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に
該当しないものである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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