Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900021(T2007−900021/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4995742号商標(以下「本件商標」という。)は、「力水未生御流」の文字を標準文字で書してなり、平成17年12月26日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成18年10月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その要部である「未生御流」の文字部分において、以下(ア)ないし(ウ)に示す登録商標(いずれも現に有効に存続しているものである。)と共通するものであるから、称呼、観念及び外観において類似する商標であり、その指定役務も同一又は類似のものである。
(ア)登録第3051845号商標は、「未生御流」の文字を横書きしてなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月28日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成7年6月30日に設定登録されたものである。
(イ)登録第3145611号商標は、「未生御流」の文字を縦書きしてなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月28日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成8年4月30日に設定登録されたものである。
(ウ)登録第4928803号商標は、「未生御流」の文字を標準文字で書してなり、平成17年5月20日に登録出願、第16類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成18年2月17日に設定登録されたものである。
(上記(ア)ないし(ウ)の登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、その構成中に、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の主宰する華道の流派である「未生御流」の文字を含むものであり、かつ、申立人の承諾を得ていない。
(3)商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号について
本件商標は、申立人の役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標であって、同一又は類似の役務について使用するものである。
また、本件商標をその指定役務について使用するときは、申立人の業務に係る役務とその出所の混同を生ずるおそれがある。
さらに、本件商標は、他人の著名商標を盗用し、不正の目的をもって使用されるものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、華道の一流派と認識されるところ、該流派と関係を有しない出願人がこれを自己の商標として採択、使用することは、穏当ではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある。
(5)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり、「力水未生御流」の文字を書してなるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさで同一の間隔で書され、外観上一体的に表されているばかりでなく、後記のとおり、華道の教授等の業界においては、書された文字全体をもって、特定の流派名称を表したと認識されている実情からすれば、本件商標は、構成全体として、「力水未生御流」なる名称の流派を表したと理解されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであるから、その構成文字に相応して、「リキスイミショウオンリュウ」の一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、前記2(1)のとおり、「未生御流」の文字を書してなるものであるから、これより、「ミショウオンリュウ」の称呼を生ずるものであって、構成全体として、「未生御流」なる名称の流派を表すものと認められる。
してみれば、本件商標より生ずる「リキスイミショウオンリュウ」の称呼と引用商標より生ずる「ミショウオンリュウ」の称呼とは、語頭部分において、「リキスイ」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、互いに聞き誤るおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標は、上記のとおりの名称の流派を表したと理解されるものであるから、観念上相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標と引用商標は、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
本件商標と引用商標の類否に関し、申立人は、引用商標が華道界において広く認識されているから、本件商標をその指定役務について使用するときは、「未生御流」と関連のあるものと誤認され、混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかし、本件商標の登録出願前に発行ないし頒布されたと認め得る甲第8号証ないし甲第12号証、甲第19号証ないし甲第28号証、甲第37号証及び甲第39号証をもってしては、「未生御流」の文字が、申立人の業務に係る役務「華道の教授」を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないのみならず、甲第8号証には、「現在、関西を中心として百流をこえる未生系のいけばな流派が存在するが、例外を除いてすべての流派が初代未生斎一甫あるいは二代未生斎広甫を流祖としている。」との記載があり、さらに、甲第12号証ないし甲第16号証及び甲第26号証ないし甲第32号証には、「未生御流」のほかに、「藤院未生流」、「光風未生流」、「浄心未生流」、「泉槇未生流」、「未生真養流」、「未生流」、「未生流(庵家)」、「未生流黄檗」、「未生流大阪」、「未生流景山」、「未生流笹岡」、「未生流松法会」、「未生流(総家)」、「未生流(宗家)」、「未生流中山文甫会」、「東洋未生流」、「祥院未生流」、「彩鳳未生流」、「静心未生流」、「国風未生流」、「未生流一宗会」、「未生正流」、「京都未生流」、「未生流真山」、「未生流清風会」、「都未生流」、「石水未生流」、「未生真流」、「大和未生流」、「正風未生流」、「泉山未生流」、「誠光未生流」、「月輪未生流」、「水無瀬未生流」、「本化未生流」、「千風未生流」、「汎愛未生流」など「未生流」の文字を含む華道の流派の名が記載されており、かつ、これらの流派は、それぞれ名称の異なる別の流派として需要者の間に認識され、区別されていることが容易に推認することができる。上記実情からすれば、本件商標は、前記認定のとおり、構成全体をもって特定の流派の名称を表したと認識されるものであるから、申立人の上記主張は採用することができない。
(2)商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号について
本件商標は、前記認定のとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであるから、その構成中の「未生御流」の文字部分のみが独立して認識されるものではない。
したがって、本件商標より「未生御流」の文字部分のみを分離、抽出し、本件商標が申立人の主宰する華道の流派名を含む商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきである。
また、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号に該当するとの申立人の主張は、引用商標が著名であり、本件商標の「未生御流」の文字部分が単独で識別標識として機能し、本件商標より引用商標を想起又は認識することを前提とするものである。
しかしながら、引用商標が申立人の業務に係る役務「華道の教授」を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前より、著名性を獲得していなかったこと及び本件商標中の「未生御流」の文字部分が単独で識別標識として機能しないことは、前記認定のとおりであるから、申立人の主張は、前提において誤りがあり、失当である。
さらに、本件商標の商標権者が「力水未生御流」と何らの関係を有しない者と認めるに足る的確な証拠は見出せないし、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定役務について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念・国際信義に反するものとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
(3)むすび
以上によれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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