Trademark Appeal Case
称呼類似と語頭共通
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900016(T2007−900016/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4994696号商標(以下「本件商標」という。)は、「BAYON」の文字を書してなり、平成17年6月1日に登録出願、第9類、第10類及び第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同18年10月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の5件である。
ア 登録第579540号商標
「BAYER」「ルエイバ」「るえいば」の各文字を上中下三段に横書きしてなり、昭和33年7月10日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同36年8月26日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成14年8月21日、第1類、第3類、第5類及び第30類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
イ 登録第659697号商標
「BAYER」「ルエイバ」「るえいば」の各文字を上中下三段に横書きしてなり、昭和38年4月12日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同39年11月28日に設定登録されたものであり、当該商標権は、存続期間の更新登録がされて、現に有効に存続するものである。
ウ 登録第766790号商標
別掲に示すとおりの構成からなり、昭和38年11月29日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同43年1月13日に設定登録されたものであり、当該商標権は、存続期間の更新登録がされて、現に有効に存続するものである。
エ 登録第3345346号商標
「Bayer」の文字を横書きしてなり、平成7年2月3日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同9年9月5日に設定登録されたものである。
オ 登録第3345347号商標
別掲に示すとおりの構成からなり、平成7年2月3日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同9年9月5日に設定登録されたものである。
なお、これらを一括して「引用商標」という。
(2)理由の要旨
本件商標は、以下のア及びイにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号該当
本件商標は、その構成文字全体より「バイヨン」又は「バイオン」の称呼が生じること明らかであるのに対し、引用商標は、それぞれ、その構成文字全体より「バイエル」の称呼が生じること明らかである。
そこで、「バイヨン」と「バイエル」について比較すると、両称呼は共に4音構成であり、称呼を識別する上で最も重要な要素を占める語頭部分の「バイ」の2音を全く共通にし、異なるところは、末尾部分の「ヨン」「エル」と2音の差異にすぎない。
しかも、差異音「ヨン」「エル」は、称呼するときに明瞭に発音され、明確に聴取され難い語尾部分に存するものであって、前者は摩擦音と弱音である撥音であり、後者は半開き母音と弱音である摩擦音であるため、これらは、一層不明瞭に発音され、不明確に聴取しがちな音である上に、アクセントの有する語頭部分の「バイ」に続いているため若干弱く発音聴取されることも相侯って、極めて相紛らわしく聞き取られる程度のものである。
しかして、本件商標と引用商標における各差異音は微差にすぎないものであるから、それぞれを一連に称呼した場合、語幹を同じくする全体の語感語調が極めて近似したものとなり、称呼上相紛れる恐れがあるものと言わざるを得ない。
つぎに、「バイオン」と「バイエル」について比較すると、両称呼は共に4音構成であり、称呼を識別する上で最も重要な要素を占める語頭部分の「バイ」の2音を全く共通にし、異なるところは、末尾部分の「オン」「エル」と2音の差異にすぎない。
しかも、差異音「オン」「エル」は、称呼するときに明瞭に発音され、明確に聴取され難い語尾部分に存するものであって、前者は半開き母音と弱音である撥音であり、後者は半開き母音と弱音である摩擦音であるため、これらは、一層不明瞭に発音され、不明確に聴取しがちな音である上に、アクセントの有する語頭部分の「バイ」に続いているため若干弱く発音聴取されることも相侯って、極めて相紛らわしく聞き取られるのである。
しかして、本件商標と引用商標における各差異音は前記のとおり微差にすぎないものであるから、両者はそれぞれを一連に称呼した場合、語幹を同じくするその全体の音調、音感が相似たものとなり、聴者をして、互いに聞き誤らせる恐れが充分と言える。
本件商標は、引用商標と称呼において類似するものであり、また、その指定商品も類似するものである。
イ 商標法第4条第1項第15号該当
申立人製品の代表的出所標識たる「BAYER(Bayer)」は、国際間に通用する「バイエル」の称呼と共に日本の当業者・需要者間に広く知られ著名となっていることは、庁においても顕著な事実と確信する。そして、引用商標は、本件商標の査定時はもとより出願時においても、すでに申立人製の商標として周知著名に至っていた。
上記事実を踏まえ、本件商標につき一言すると、「BAYON」の語頭部「BAY−」も、申立人商号の略称兼代表的出所標識たる「BAYER(Bayer)」の冠頭部「BAY−(Bay−)」を採択したものと認識せしめられるものである。ちなみに、上記事実は、申立人が「BAYER(Bayer)」又は「バイエル」を基本商標とする「BAY−(Bay−)」又はその仮名訳「バイ−」から始まる派生シリーズ登録商標を260件以上有していることからも一応推測可能かと思料する。
かかる構成の商標は、一般に企業が自社の商品又は役務を最も効率良く取引者・需要者に理解せしめる手段としで慣用的に採用されているものである。
すなわち、本件商標は、その指定商品との関係では、全体として「BAYER(Bayer)」(バイエル)社のシリーズ商標若しくは姉妹商品の如き称呼・観念を想起せしめるものである。
したがって、本件商標がその指定商品に使用されれば、その出願時及び登録査定時には著名な引用商標との類似性から、申立人の商品との関連において出所につき混同を生じる虞れは明らかなところである。
あるいは、仮に商標自体が非類似であったとしても、「BAY−(Bay−)」の文字を基幹部とした商標の構成やアイデア等から容易に著名な引用商標を連想させるから、これをその指定商品に使用する場合においては、申立人の業務に係る商品と出所につき混同を生じる虞れは明白なところである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「BAYON」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「ベイヨン」、「ベイオン」、「バイヨン」及び「バイオン」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせない造語からなるものというのが相当である。
一方、引用商標は、前記2(1)のとおりの構成よりなるところ、引用商標中の「BAYER」の欧文字に仮名文字を併記した引用商標よりは、当該仮名文字に相応して「バイエル」の称呼を、また、仮名文字を併記していない「BAYER」及び「Bayer」の欧文字からなる引用商標においても、「BAYER」及び「Bayer」の欧文字が「バイエル」と称呼されて需要者に広く認識されていることから「バイエル」の称呼を生ずるものである。
しかして、本願商標から生ずる「ベイヨン」、「ベイオン」の称呼と引用商標から生ずる「バイエル」の称呼とは、4音中、僅かに1音(「イ」)を共通にするのみで、他の3音を異にするものであるから、明らかに聴別し得るものである。
また、本願商標から生ずる「バイヨン」あるいは「バイオン」と引用商標から生ずる「バイエル」の称呼とは、前半で「バイ」の音を共通にするものの、後半で「ヨン」あるいは「オン」と「エル」との差異を有するものである。そして、各差異音(「ヨン」と「エル」、または「オン」と「エル」)は、それぞれ音質上明らかな相違があり、互いに明確に聞き分け得る音であるというべきであるから、いずれも比較的短い4音構成の称呼においてその半数に亘る前記の差異が、称呼の全体に与える影響は決して小さいものではなく、それぞれ一連に称呼するときには、判然と聴別し得るものであり、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしいものとはいえない。
なお、アクセントの位置については必ずしも定かであるとはいえないが、申立人主張の如く、アクセントが「バイ」に置かれると仮にした場合であっても、同様に判断されるものである。
また、外観や観念において、本件商標が引用商標と相紛れるおそれがあるとすべき点はみいだせない。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標と判断することはできないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
引用商標が申立人の業務に係る商品(薬剤等)を表示する商標として、本件商標の登録出願前において需要者の間に広く認識されるに至っていたものであることは、優に認め得るところである。
しかしながら、本件商標と引用商標とが類似する商標と認められないことは、前記(1)のとおりである。そして、本件商標の構成中の語頭部には「BAY」の文字列があるけれども、これと後続の「ON」とは同じ書体、同じ大きさで一体的に表されているうえ、申立人提出の証拠を総合してみても、この「BAY」をもって、本件商標を引用商標あるいは申立人と関連づけるのが自然であるとすべき格別の理由はみいだせない。
してみれば、本件商標は、引用商標とは別異の出所を表示する標章として看取されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標をその出願時あるいは登録時に指定商品について使用したとしても、需要者がこれより引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品と誤信し、その出所を混同するおそれがあったと判断することはできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。