Trademark Appeal Case
効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−14266(T2006−14266/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「しみこむしみこむ」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成17年8月9日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は「本願商標は、『薬効成分がしみ込む』ことを単に強調しているとしか認識し得ない『しみこむしみこむ』の文字を標準文字により書してなるものであるから、これをその指定商品中、上記効能を有する商品(例えば、軟膏等の化粧品)に使用するときは、単に商品の品質、効能を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 」旨を認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「しみこむしみこむ」の文字よりなるところ、その構成中「しみこむ」の文字は、「色・味・匂いなどが中まで染まる。また、深く感ずる。しみとおる。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有する語として、一般に理解されているものであり、また、本願商標は、かかる意味を有する「しみこむ」の語を反復して表したものと理解されるものである。
そして、本願の指定商品中、皮膚に塗布して使用する商品、例えば、塗り薬等には、商品の「浸透力(性)」を謳った商品が各種販売されており、当該商品の宣伝広告、商品説明等において、「しみこむ」の語が使用されているところであって、それらの商品は、その成分が皮膚にしみこむことにより症状の緩和、改善等の効果が発揮されるものであるといえる。
これらのことは、以下に示す新聞記事、インターネットのホームページにおける商品の宣伝広告等における「しみこむ(しみ込む)」及び「浸透」の語の使用例からも首肯することができるものである。
(1)「小林製薬グループ 爽快ドラッグ」の見出しのもと「ムヒS18g かゆみや炎症を抑える成分がよく皮膚に浸みこみ、すぐれた効き目」(http://www.soukai.com/P5166/p.html)の記載。
(2)「【楽天市場】スパトック液1.0%80m「医薬品」:あっとまーくKENKOUDO」の見出しのもと「スパトック液1.0%80ml 『医薬品』 深くしみ込み”痛み”を取る」の記載。
(3)「株式会社創快ドラッグ 」のホームぺージにおいて「生葉液薬 20g ・・・【商品詳細】●塗って治す歯槽膿漏薬●綿棒で塗る●歯と歯茎のすきまにもすばやくしみ込む液体タイプ」(http://www.soukai.com/P8010184/p.html)の記載。
(4)「株式会社薬事日報社」のホームページにおいて「かゆみ止め『ユースキンI』にローションを追加、9月から発売 ユースキン製薬」の見出しのもと「素早く肌に浸透する乳状水『ユースキンIローション』」(http://www.yakuji.co.jp/entry1033.html?PHPSESSID=dcd3195a19bd7437dc58a342aade3812)の記載。
(5)「【楽天市場】乾燥:健康薬問屋スマイル楽天市場支店」の見出しのもと「レチノール誘導体入り!医薬品尿素クリーム メンソレータム レチノハンド40g」の「商品特長」の項に「肌に有効成分が浸透して、本来のなめらかでつややかな美しい肌へと改善します。」(http://www.rakuten.co.jp/kenko-smile/471482/545967/545968/)の記載。
(6)「小林製薬株式会社」のホームページにおいて「ニュースリリース 2001年」に「『カゼピタハップ』は、有効成分が浸透・発散し、貼るだけで効く風邪薬です。喉や胸の痛みに対しては、発散した抗炎症成分や鎮痛成分、鎮咳成分などが呼吸器から吸入され患部に作用する一方で、皮膚からも浸透し、炎症などを緩和します。」(http://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/0113/index.html)の記載。
(7)「興和株式会社」のホームページにおいて「バンテリンコーワ1.0%ゲル・・・塗った患部にゲル剤の膜が作られインドメタシンの浸透を促進し痛みと炎症を鎮めます。」(http://www.kowa.co.jp/g/products/vantelin/lineup/gel.htm)の記載。
(8)「ケンコーコム株式会社 」のホームページにおいて「スコルバ24 クリーム 15g・・・硝酸オキシコナゾールが、みずむし菌(白癬菌)の寄生している皮膚角質層へよく浸透し、1日1回で効きます。」(http://www.kenko.com/product/item/itm_8803507072.html)の記載。
一方、言葉の意味を強調したり正確を期したりするために語句を反復する(日本語百科大事典 発行所 大修館書店)用法は、広く一般に行われているところであって、本願商標は、「しみこむ」の語を繰り返して表示したものと把握されるものであるから、その「しみこむしみこむ」の文字よりは、「よくしみとおる、たっぷり(十分に)浸透する」程の意味合いを容易に看取させるものである。
してみれば、含有成分が皮膚に浸透して効果が発揮されるような商品、例えば、かゆみ止めなどの塗り薬、経皮吸収型の薬剤等との関係において、「しみこむしみこむ」の文字は、「その成分等が浸透する」ことを強調的に記述したものと認識、理解されるとみるのが相当である。
そうすると、「しみこむしみこむ」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標は、これをその指定商品中、例えば、塗り薬等のように、塗布した成分が浸透して効果を発揮する各種商品に使用しても、これに接する需要者は、単に「よくしみとおる、よく浸透する」という程の商品の品質、効能等を表したものとして理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たす商標とは、把握し得ないものといわざるを得ない。
また、本願商標をその指定商品中、塗布した成分が浸透して効果を発揮する商品以外の商品について使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、具体的な意味合いを想起できない動詞であって、漠然としたイメージのみを想起するに止まるものであり、一連の造語として認識される。」と述べるとともに、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきであり、本願商標は、前記認定のとおり、商品の品質、効能等を記述したものとして理解されるものである。そして、同号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の登録例に拘束される理由はないものであるから、上記、請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。