Trademark Appeal Case
「じんわり」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−14267(T2006−14267/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「じんわり」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月9日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同18年4月19日付け手続補正書により「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は「本願商標は、『じんわり』の文字を標準文字により書してなるところ、株式会社岩波書店が発行した『広辞苑(第5版)』によれば『じんわり』の語は『おだやかにじっくりと進行または圧迫するさま』を意味するものでるから、指定商品との関係においては『薬の効果がおだやかにじっくりと進行する』程度の意味合いを容易に看取させるものであり、これを指定商品中上記文字に照応する商品、例えば『パップ剤』に使用するときは、単に、商品の品質、効能を表示したものと理解されるにとどまり、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨を認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「じんわり」の文字よりなるところ、該文字は、「おだやかにじっくりと進行または圧迫するさま。じわり。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)又「ゆっくり少しずつ確実に、物事が進んだり、現象が表れたりする様子。『じわり』のように圧迫感はなく進み方がゆっくりでやわらかい感じを伴う。」(暮らしのことば 擬音・擬態語辞典)の意味を有する語として理解され、一般に広く使用されているものである。
そして、本願の指定商品中、薬剤との関係においても、「じんわり」の語は、その効果がゆっくり発揮する様子を表すものとして使用されているものであり、このことは、例えば、以下のインターネットのホームページ及び商品の宣伝広告等の記載により首肯することができるものである。
(1)「山村内科 糖尿病のページ7」の見出しのもと「糖尿病の薬について・・・上記などのくすりは,一般的には一回服用すると半日から1日のあいだじんわりと効果を発揮します」(http://www2.ocn.ne.jp/~naika/dmdrug.htm)の記載。
(2)「大正製薬株式会社」のホームぺージにおいて「『メンフラハップ〈IM〉』・・・じんわりと患部をあたためる『温感』をプラスすることにより、肩のこりや痛み、腰痛などに優れた効果を発揮する」(http://www.taisho.co.jp/company/release/2001/101801p-j.htm)の記載。
(3)「ケンコーコム」のホームページにおいて「トクホンエース ホット 20枚・・・血行を促進するビタミンEを配合した、じんわり温かい貼り心地の外用消炎鎮痛プラスターです。薬効成分がすみやかに浸透するSIS基剤を採用。」(http://www.kenko.com/product/item/itm_8451182072.html)の記載。
(4)「シマズ薬局」のホームページにおいて「双参・・・おすすめポイント じんわりと2つのニンジンエキスが効く!」(http://www.shimazu-pharmacy.com/cgi-bin/shimazu/sitemaker.cgi?mode=page&page=page5&category=3)の記載。
(5)「小林製薬株式会社」のホームページに「アイボン トローリ目薬クール・・・ほどよい爽快感がじんわり持続」(http://www.kobayashi.co.jp/seihin/abn_tm/)の記載。
(6)「和漢薬 平井常榮堂薬房」の見出しのもと「体の芯から温まりながら、薬草成分がじんわりと効いてきます。」(http://www.shinise.ne.jp/options/shinise/pa_goods.asp?temp_id=190&shp=16)の記載。
(7)「ケンコーコム」のホームページにおいて「ゲルマ風呂を楽しめる入浴剤です。じんわりとあたたかくなり、しっかりと汗をかけます。」(http://www.kenko.com/product/item/itm_8818993072.html)の記載。
(8)「【楽天市場】疲れ目・充血・くすりのヨシハシ」の見出しのもと「ロート養潤水・・・瞳をじっくりやさしく治療したい方に最適です。また、穏やかな清涼感タイプの目薬で、じんわり疲れを癒します。」(http://www.rakuten.co.jp/yoshihashi/431693/430187/430189/)の記載。
これらの事実を総合的に勘案すれば、本願商標「じんわり」の文字は、薬剤がその温熱や浸透性により、おだやかにじっくりと効果、効能を発揮すること程の意味合いを端的に表すものとして普通に使用されている実情にあることが認められる。
してみれば、本願商標を指定商品中の「薬剤」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、効果、効能を表したものとして認識、理解するに止まるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たす商標とは把握し得ないものといわなければならない。
また、本願商標をその指定商品中、おだやかにじっくりと効果が発揮される薬剤以外の薬剤について使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、漠然としたイメージを想起させるにすぎないものであって、特段の意味合いを直ちに想起させるものではない。」と述べるとともに、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきであり、本願商標は、前記認定のとおり、商品の品質、効能等を記述したものとして理解されるものである。そして、同号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の登録例に拘束される理由はないものであるから、上記、請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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