Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−23525(T2005−23525/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「うるおいアップ」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成16年12月17日に登録出願されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『うるおいアップ』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、『うるおい』の文字は、『水気を帯びること。しめり。』の意味を有し、『アップ』の文字は、『高くすること、高くなること、【複合語】アップ〔up〕 上へ、高くする、・・・してしまう、完了する』の意を有するから(株式会社三省堂発行『コンサイスカタカナ語辞典』参照)、全体として、『うるおい効果(しめり効果)をアップ(高く)させたもの』程の意を容易に理解させるものと認められる。そして、指定商品に係る業界においては、皮膚や目にうるおいを与える商品等が市場を流通している事実が認められる。よって、本願商標を、指定商品中『前記文字に照応した商品(例えば、眼科用剤,外皮用薬剤 等)』について使用するときは、単に、前記商品が、皮膚や目等にうるおい(しめり)を与える効果の高い商品であるということ、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、上記1のとおり、「うるおいアップ」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、その構成中前半の「うるおい」の文字は、「水気を帯びること。しめり。」(「広辞苑 第五版」、1998年11月11日、株式会社岩波書店発行)等を意味する文字(語)として、広く親しまれており、日常、普通に採択、使用されているものである。
また、構成中後半の「アップ」の文字は、「高くすること,高くなること.」(「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」、2005年10月20日、株式会社三省堂発行)等を意味する文字(語)として、広く親しまれており、日常、普通に採択、使用されているものであり、かつ、該語は、「上へ;高くする;あげる」等の意味で、例えば、「イメージ〜,コスト〜,パワー〜」等のように、語尾に付加して複合語を作るものとしても知られているものである(前出の「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」)。
2 そして、本願指定商品中には、「入浴剤」及び「目薬」が含まれているところ、これらの商品を取扱う業界においては、皮膚及び目の乾燥を解消するために、うるおいを与えたり保たせたりする効能を有する商品が多数取引きされている実情にあることが、以下の(1)ないし(15)に示した新聞記事情報及びインターネットのホームページにおける記載においても認められるところである。
さらに、上記商品について、「うるおい(潤い)」と「アップ(UP)」の文字(語)を一緒に用いる場合には、「皮膚又は目に対するうるおい効果を高める(増す)もの」の旨を表すことが、以下の(16)ないし(20)に示した新聞記事情報及びインターネットのホームページにおける記載においても認められるところである。
(1)1991年1月21日付け、日本経済新聞朝刊53頁
「白濁タイプ入浴剤−肌にうるおい実感(比較商品学)」の見出しの下、「肌にうるおいを与える入浴剤が出てきた。」と記載がある。
(2)2003年10月24日付け、日本経済新聞朝刊35頁
「入浴剤で湯〜ったり−小林製薬、ムースの花の形に、ツムラ、症状別使い分け。」の見出しの下、「・・・使い続けることでうるおいのある肌になるという。」と記載がある。
(3)2002年1月11日付け、日経産業新聞20頁
「入浴剤、香り・効能多彩に−スキンケアなど女性に照準。」の見出しの下、「乾燥肌に悩む20−30代の女性を主なターゲットに『うるおい効果』を前面に出した。」と記載がある。
(4)http://www.bidders.co.jp/dap/sv/nor1?id=37478986&p=y#body
「乾燥して荒れたお肌にうるおいを与える入浴剤『バスロマンスキンケアミルクプロテイン650g』」の見出しの下、「・・・乾燥して荒れたお肌にうるおいを与える入浴剤です。保湿成分ミルクプロテインの働きで、しっしん、荒れ性などのカサカサしたお肌にうるおいを与えます。」と記載がある。
(5)http://www.collage.ne.jp/products/01_19.html
「コラージュD入浴剤」の見出しの下、「皮脂に近い油性成分が、肌をやさしく包みうるおいを守ります。」と記載がある。
(6)http://store.yahoo.co.jp/goldmagic/el-15lv.html
「エルファーププル ラベンダー『足浴剤』」の見出しの下、「キチンキトサン・アロエエキス・ラベンダーエキス (各うるおい成分)配合で素肌にうるおいを与えます。」と記載がある。
(7)http://tenant.depart.livedoor.com/t/verymbeautyspa/item2754162.html
「スキンケアバス 25g×4包」の見出しの下、「コラーゲン配合でうるおい補給」及び「乾燥し、かさついたお肌に、潤滑剤・コラーゲンとアロエエキスが作用し、うるおいのある肌にします。」と記載がある。
(8)2006年8月16日付け、日経産業新聞6頁
「ファイザー、うるおい続く目薬発売(情報プラス)」の見出しの下、「・・・目がうるおった感じが持続し、充血をとる目薬・・・」と記載がある。
(9)1997年12月13日付け、日経流通新聞6頁
「売れ行き好調、携帯型商品−コンタクトレンズ用目薬(販売前線小売店主アンケート)」の見出しの下、「購入時には、『うるおいを与える効果』(六八%)、『レンズを傷めないこと』(五八%)などが重視されるという。」と記載がある。
(10)1995年3月9日付け、日経流通新聞16頁
「目薬−年齢層絞り消費に潤い、コンタクト用使い切りも(売れ筋)」の見出しの下、「角膜細胞の再生作用と目のうるおいを保つ作用を持つといわれるビタミンAを配合することで、疲れ目の回復効果を高めた。」と記載がある。
(11)http://www.eyebon.jp/products/eyelotion_1.html
「アイボン トローリ目薬 ドライアイ ドライアイでお悩みの方に」と商品画像の下、「特徴 『とろみ』のある薬液が瞳にじんわりと広がり、コンタクトレンズによる目の乾きにじっくりとうるおいを与えます。」と記載がある。
(12)http://www.citywave.com/marugoto/pdf/20070202/0202-12-03.pdf#search='%E4%B9%BE%E7%87%A5%20%E3%81%86%E3%82%8B%E3%81%8A%E3%81%84%20%E7%9B%AE%E8%96%AC'
「涙液型目薬『ティファーレf』発売中 瞳の乾きや疲れに”うるおい”を オフテクス」の見出しの下、「目の乾きや目の疲れ、かすみに”うるおい”を与えてくれる涙液型目薬です。」、「いつも”うるおい”のある快適な瞳で過ごしたいね。」及び商品の外箱の画像上に「乾いた瞳にうるおい補給」の記載がある。
(13)http://www.tanabe.co.jp/smarteye/smarteyepetit.shtml
「特長」の見出しの下、「充血を緩和して、瞳にうるおいを与えるうるおいタイプの目薬です。・・・コンドロイチン硫酸ナトリウムが、乾燥から角膜を保護することで、瞳のうるおいを保ちます。」の記載がある。
(14)http://www.lion.co.jp/press/2002037.htm
「大切な瞳をいたわる高機能のコンタクト用目薬『新スマイルコンタクト』を新発売」の見出しの下、「3.商品特長」の項目に、「(2)コンタクトレンズのうるおい効果に優れた『涙液補助成分』配合 うるおい効果に優れた『涙液補助成分』が、目やコンタクトレンズにうるおいを与え、角結膜表面の乾燥を防ぎ、異物感をやわらげるので、心地よい装着感が長続きします。」の記載がある。
(15)http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2006080704161n1
「ライオン、クールタイプのコンタクト用目薬『スマイルコンタクト クールフレッシュ』を発売」の見出しの下、「・・・水溶性高分子『ポビドン』がうるおいを保つ・・・(2)水溶性高分子『ポピドン』配合。瞳の表面にとどまり『うるおい』感が続く 快適な装用感を得るには、レンズと瞳に『うるおい』を保つことが大切です。」と記載がある。
(16)2005年9月1日付け、化学工業日報5頁
「花王、保湿力向上の薬用入浴剤『エモリカ』を発売」の見出しの下、「・・・うるおい効果をさらにアップさせて十七日に発売する。・・・保湿成分の『セラミドAP+』『ユーカリエキス』『オーツ麦エキス』が肌の角質層まで浸透しさらにうるおい力がアップ。かさつく肌もしっとりする。」と記載がある。
(17)2001年8月13日付け、Pharmaweek12頁
「〈新製品〉【コンタクトレンズケア】」の見出しの下、「・・・新たに保湿成分を配合したことで従来品よりもレンズのうるおい感がアップし・・・」と記載がある。
(18)2002年8月22日付け、朝日新聞東京夕刊5頁
「プレゼント マリオン」の見出しの下、「●ソフトコンタクトレンズ用消毒剤・・・洗浄、消毒効果はそのままで、レンズの乾燥を防ぎ、うるおい効果がアップした・・・」と記載がある。
(19)2003年8月6日付け、読売新聞中部朝刊5頁
「”うるおい感”アップします ソフトコンタクト用消毒・保存液発売/メニコン」の見出しの下、「・・・従来製品より涙に近い性質とし、レンズ使用時の”うるおい感”をアップした。」と記載がある。
(20)http://www3.ocn.ne.jp/~plazanet/net-monokea.html
「New!ハード・O2専用コンタクトケア用品 オフテクス モノケア Extra」の見出しの下、「■うるおいがさらにアップ!〈オフテクス従来品比〉 バイオクレンモノケアには保湿成分が配合されており、レンズに高いうるおい感を与えます。・・・[うるおいUP効果]・・・水滴が盛り上がらず、表面全体に広がるほどうるおい感が高いことをあらわしています。・・・すなわちモノケアはとてもうるおい感が高いということです。」と記載がある。
(21)http://www.seed.co.jp/present_campaign/purety.html
「ヒアルロン酸の2倍の保湿力 〜MPCポリマー配合〜 『ピュアティ ワンボトルタイプ』」の見出しの下、「かんたんケアでうるおいアップ・・・うるおいUPで目ヂカラUP・・・つけた瞬間の潤い感にびっくり・・・以前に比べて潤っている時間が長く・・・」と記載がある。
(22)http://www.rakuten.co.jp/kenko-mark/317551/1840542/
「コンプリートモイストプラス 120ml」の見出しの下、「乾かない1本ケア・・・さらなるうるおい効果がアップしました。レンズの乾きを防ぎ・・・より涙液に近い性状になりました。」と記載がある。
3 以上のことからすると、本願商標をその指定商品中、「入浴剤,目薬」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「皮膚又は目に対するうるおい効果を高める(増す)もの」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品識別標識としては認識しないものというべきである。
なお、請求人(出願人)は、本願商標は全体でひとつの造語的なものとして印象付けられ、取引に資されると考えるのが自然であり、ここから何ら特定の意味合いは生じないものであり、仮に、意味合いが生じるとしても、原審説示の意味合いが一義的に導き出される訳ではなく、それ以外に、「うるおいができあがる」、「うるおいが終わる」及び「うるおいの話題を特に大きく採り上げる」等の意味合いをも看取させ得る旨及び他の登録例を挙げて、本願商標の登録適格性を主張している。
しかし、本願商標からは、その構成中の「うるおい」及び「アップ」の文字(語)が上記1の意味を有し、上記(1)ないし(22)に記載のとおり、「入浴剤,目薬」との関係では、うるおい効果が宣伝、広告されており、うるおい効果を高める(増す)商品が多数存在していることよりすれば、実際の商取引の場において、これに接する取引者、需要者は、ごく自然に、「皮膚又は目に対するうるおい効果を高める(増す)もの」程の意味合いを認識するというべきであって、請求人(出願人)が挙げた他の登録例も、本願商標とは商標の態様等を異にするものであり、それをもって本願商標における判断の基準とすることは適当でないから、請求人(出願人)の上記主張は採用することができない。
してみれば、本願商標は、その指定商品中、「皮膚に対するうるおい効果を高める(増す)入浴剤,目に対するうるおい効果を高める(増す)目薬」との関係においては、商品の品質を表示するにすぎないものであり、かつ、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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