結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35215号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4082079号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおり、「サクセスマネジメント・アンド・セルフモティヴェーション・プログラム」の文字と「SUCCESS MANAGEMENT AND SELF MOTIVATION PROGRAM」の文字を上下に横書きしてなり、平成7年12月25日登録出願、第16類「印刷物,紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、平成9年11月14日登録されたものである。
請求人は、「登録第4082079号商標については、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を概要次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項に規定する商標登録を許されるべきでない事由を含むものであり、同法第46条第1項の規定により、無効審判請求に及んだものである。
請求人は、人間教育・教化に関する各種のプログラム、人生に対する取り組み方・考え方を教示するソフトウエアの製造販売をその事業の主目的にしている。請求人の創立者であるポール・ジェイ・マイヤー氏は、“成功の鍵となる人間の心の持ち様”をソフトウエア化して販売する事業を他に先んじて始めており、同氏及び請求人は、当業界の草分け的存在として知られている。請求人の名称の核となっている言葉、「サクセス・モティベーション」即ち「成功への動機づけ」という造語は、マイヤー氏の創造に係るもので、その事業を推し進める請求人の名称にその思想の中心となる当該造語を冠してその事業の特性を明示しているものである。当然この言葉は、出願人の商標として、その事業に関する分野において登録を受けている。
ところで、本件商標は、請求人の名称及び事業、並びに請求人の事業グループが製造販売するマイヤー氏の創造に基づく各種のソフトウエア(プログラム)を識別する表示として用いられる一連の商標の中から、要部となる単語を拾い集めて結合させただけのネーミングであると認められ、本件商標をもって、請求人の業務に係るものではないかと混同して認識する可能性は高いというべきであろう。その意味で、本件商標は、長年継続して販売される請求人の人気ある印刷物(プログラム)の商標と非常に近似するものである。以下、請求人の先登録商標を引用して、主張する。
▲1▼登録 第706462号
商標 「SUCCESS MOTIVATION」
日本分類第26類「書籍、小冊子、雑誌を含む印刷物、及び本類に属する商品、ただし商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」
(上記引用商標の登録原簿及び商標公報の写しを甲第1号証の1及び2として提出する。)
▲2▼登録 第2001527号
商標 「サクセス モティベーション」
日本分類第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの付属品」
(上記引用商標の登録原簿及び商標公報の写しを甲第2号証の1及び2として提出する。)
▲3▼登録 第3076263号
商標 「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」
国際分類第16類「印刷物、文房具類(昆虫採集用具を除く)」
(上記引用商標の登録原簿及び商標公報の写しを甲第3号証の1及び2として提出する。)
▲4▼登録 第2001526号
商標 「セルフモティベーション
MANAGEMENT」
日本分類第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの付属品」
(上記引用商標の登録原簿及び商標公報の写しを甲第3号証の1及び2として提出する。)
本件商標の指定商品が、これら引用商標の指定商品と相互に抵触する部分があることは疑いない。
しかして、本件商標が、請求人の上記先登録商標の要部を抽出して結合させたものであることは明白である。
商標の使用状態に言及すれば、現在人気のプログラムである、「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」が、販売される際には、同じ客体に常に請求人の商号商標である「SUCCESS MOTIVATION」が表示されている。一方、本件商標は、これらを一体化して「サクセスマネジメント・アンド・セルフモティヴェーション・プログラム」と構成したものであり、要部部分は、「成功するマネジメント及びその自己による動機付け」という請求人の主たる商標の要部を合体させて構成されたものにすぎないと認められる観念が自然に理解される。
本件商標のような語句で成り立っている商標の場合、商標は単なる音韻の響きのみで認識・認容されず、当業者・需要者がこれらを認識・理解するにあっては、その語句から抽出される観念に影響されるところが非常に大きい。この事情に鑑みれば、通常の当業者・需要者が、観念及び言葉の並びから理解して、本件商標を請求人の先登録商標に類するものと理解してしまう蓋然性は高いというべきであろう。
以上のところから、本件商標は、引用商標とその意味観念において類似する商標であり、よって、商標法第4条第1項第11号に該当するものであると確信する。
また、請求人の事業については、上述したとおりであるが、何より業界で顕著な地位を確立している請求人の「サクセス・モティベーション」に関するグッドウイルと相俟って、標記の請求人の先登録商標は業界でも周知のものとなっている。また、先述したポール・ジェイ・マイヤー氏も、「サクセス・モティベーション」「サクセスフルマネジメント」等のテーマで、講演や著述を行っており、その事実を示す資料は後日提出する予定である。ともあれ、本件商標は当業界で周知の商標と紛れやすい類似の商標である故に、法第4条第1項第10号にも該当するものと考える。
さらに、当業界における請求人の事業の発展性、請求人の名称及びその「プログラム/印刷物」の著名性に鑑みれば、請求人の商標の要部を合体させたと認められる本件商標「サクセスマネジメント・アンド・プログラム・セルフモティヴェーション」が使用されると、これが請求人の業務に係る商標ではないかと誤認・混同される蓋然性は、極めて高いというべきであろう。この理由により、本件商標は、万一上記各法条に該当しないとしても商標法第4条第1項第15号に該当することが明白なものと考える。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由の概要を次のように主張し、証拠方法として乙第1号証を提出した。
請求人は、本件商標は請求人の商標の要部となる単語を拾い集めて結合させただけのネーミングであり、結合させることによって、観念の上で非常に近似した商標となるから、両者は類似の商標であると主張している。
この主張は、商標の類否判断の基本的準則を全く無視した暴論であり、失当というべきである。しかも、どのように結合させても「アンド」がないので、本件商標と類似の商標になるわけでもない。本件商標中の「プログラム」が記述的であるという理由でこれを省略したとしても、「サクセスマネジメント・アンド・セルフモティヴェーション」が、引用商標「サクセス モティベーション」、「セルフモティベーション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」と相紛れるおそれのない非類似の商標であることは明らかである。請求人の商標を合体させることによって、本件商標と同じような観念を生じるわけでもない。また、「成功するマネジメント及びその自己による動機付け」というのはどういう意味であるか理解できる本件指定商品の取引者・需要者もほとんどいないはずである。本件商標と引用商標は、共に造語というべきであるし、同一の観念が生ずるはずがないから、観念が類似しないことは明らかである。
請求人は、前記請求人の先登録商標は請求人の「サクセス・モティベーション」に関するグッドウイルと相俟って業界でも周知のものとなっていると主張しているが、全くの誤りである。「サクセス モティベーション」、「セルフモティベーション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」の先登録商標自体、我が国の業界で知ってる人はほとんどいないと思われる。仮に特定の人間でこの商標を知っている人がいたとしても、それだけで周知商標ということができないのは当然のことである。
請求人は、「サクセス・モティベーション」及び「サクセスフルマネジメント」等のテーマで講演や著述を行ったことで、前記先登録商標が周知であると主張するようであるが、仮にこのことが立証されたとしても、これだけで周知商標であることが立証されるわけでない。
また、前記したように本件商標と請求人の登録商標とは、明らかに非類似の商標であるから、周知商標であるかどうかを問題とするまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しないことは明らかである。
請求人が、引用登録商標をどのような商品にどのように使用しているのかも明らかでない。
「サククセス モティベーション」、「セルフモティベーション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」なる商標は、前記したように本件商標とは非類似の商標であるばかりでなく、少なくとも日本国内において、請求人の商標であると取引者・需要者に広く認識されている事実は全くないものであるから、出所の混同を生ずるはずがない。しかも、請求人が引用登録商標をどのような商品にどのように使用しているのかも明らかでない。
以上のごとく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、第11号及び第15号のいずれにも該当しないことは明らかである。
甲第1号証ないし甲第4号証よれば、請求人は、登録第706462号、第2001527号、第3076263号及び登録第2001526号商標(以下、「引用登録商標」という。)の商標権者であり、また、引用登録商標は、それぞれ別紙(2)ないし(5)に表示したとおりの構成のものであって、登録第2001526号商標が、「セルフモティベーション」の片仮名文字を横書きした構成のものと甲第4号証により認められる以外は、請求人の主張の構成のものと認められる。
しかし、請求人は、「本件商標は、長年継続して販売される請求人の人気ある印刷物(プログラム)の商標と非常に近似する」、「当業界における請求人の事業の発展性、請求人の名称及びその『プログラム/印刷物』の著名性に鑑みれば」、「業界で顕著な地位を確立している請求人の『サクセス・モティベーション』に関するグッドウイルと相俟って、標記の請求人の先登録商標は業界でも周知のものとなっている」と主張するが、このように主張するのみで、請求人が印刷物(プログラム)に商標を使用している事実、請求人の名称及びその取り扱いに係る「プログラム/印刷物」が著名である事実、引用登録商標が業界で周知となっている事実について立証する証拠を何ら提出していないから、これら事実を認めることはできない。
そして、本件商標は、前記した構成のものであって、その構成中には、引用登録商標を構成する語と同じ「サクセス」、「SUCCESS」、「マネジメント」、「MANAGEMENT」、「セルフ」、「SELF」、「モティヴェーション」、「MOTIVATION」の語が含まれている(ただし、「モティヴェーション」については、引用登録商標では「モティベーション」となっており、表記に違いがある。)。しかし、本件商標の「プログラム」、「PROGRAM」の文字部分を除外して引用登録商標と比較しても、本件商標を構成している全ての語を含んでいる引用登録商標はなく、本件商標と引用登録商標は、構成する語の組み合わせや配列順が明らかに異なっているものであるら、商標を構成する一部の語が同じであるとしても、特段の事由がない限り、観念において紛らわしいものと認めることはできず、また、その外観、称呼において紛らわしいものとも認められない。
そして、前記のとおり請求人の名称及びその取り扱いに係る「プログラム/印刷物」が著名である事実、引用登録商標が業界で周知となっている事実は認められないから、本件商標をその指定商品について使用した場合に、引用登録商標を使用の商品と出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき特段の事由はないものである。
そうすると、本件商標は、引用登録商標と非類似の商標といわなければならず、また、請求人など他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるとすべき格別の根拠もないものといわざるをえない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号、第11号及び第15号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により無効とすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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