Trademark Appeal Case
地名商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−16370(T2006−16370/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「八ヶ岳」の文字を標準文字で書してなり、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成17年10月13日に登録出願されたものであるが、指定商品については、原審における同18年6月22日付け提出の手続補正書により、第29類「納豆」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『長野・山梨2県にまたがる大開析火山』を表すものとして広く知られているものであるから、これを本願指定商品に使用しても、『八ヶ岳周辺の地域で生産・販売されている商品』程を認識させるにとどまり、単に商品の産地もしくは販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、前記第1のとおり、「八ヶ岳」の文字よりなるところ、本願商標を構成する「八ヶ岳」の文字が、「長野県と山梨県にまたがった、広大な裾野を有する火山群であり、観光地、避暑地として広く知られているばかりでなく、高冷地農業や牧畜が盛んなことでも知られている地名」を表すものであることは、例えば、別掲(1)に挙げる事実を総合的にみれば、容易に窺い知ることができる。
2 そして、一般に、観光地(その周辺地域を含む。)においては、みやげもの等の各種商品の包装箱、包装袋等に、当該観光地の名称を、その商品の生産地、販売地として表示することが普通に行われているのが実情であるところ、著名な観光地である「八ヶ岳」についても、当該地で生産、販売されている各種商品について、「八ヶ岳」の名称を付して使用している例が、例えば、別掲(2)のように存在する。
3 さらに、本願指定商品である「納豆」が「八ヶ岳又は八ヶ岳周辺」で製造、販売されていることも、別掲(3)に挙げるような事実から窺えるところである。
4 前記1ないし3を総合的に考慮すれば、本願指定商品である「納豆」について、「八ヶ岳」の文字よりなる本願商標を使用しても、これに接する需要者等は、該商品が「八ヶ岳及びその周辺で製造、販売された商品」であると認識し、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないものというのが相当である。
5 なお、請求人(出願人)は、次の(1)ないし(3)のように述べ、本願商標は登録されるべきであると主張している。
(1)本願商標「八ヶ岳」の文字は、赤岳を最高峰として、硫黄岳、横岳、権現岳など八峰が連なる山そのものを意味し、「八ヶ岳周辺の地域」までを含むものではないから、本願商標を指定商品「納豆」に使用したとしても、その取引者、需要者は、単に山としての「八ヶ岳」を観念するに止まり、該商品の産地、販売地を表示したものと認識、理解するものではない。
(2)本願指定商品「納豆」を取り扱う業界においても、「八ヶ岳」の文字が、商品の産地、販売地を表示するものとして取引上普通に用いられている事実はない。
(3)本願商標「八ヶ岳」と同様な、「谷川岳」、「仙丈岳」、「赤岳」、「八ヶ岳」等が過去において登録されている。
6 しかしながら、「商標法第3条第1項第3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」(昭和60年(行ツ)第68号 昭和61年1月23日最高裁判所判決言渡)と判示されているところ、「八ヶ岳」の語が、一般に、山そのものを表すものとして認識されているというよりは、むしろ、複数の市町村を含む広大な八ヶ岳周辺の裾野を合わせて、我が国有数の観光地として認識されているものというべきであり、また、観光地において、生産、販売される商品に当該地名を付すことも普通に行われていることからすれば、結局、本願指定商品である「納豆」について、「八ヶ岳」の文字よりなる本願商標を使用しても、これに接する需要者等は、該商品が「八ヶ岳及びその周辺で製造、販売された商品」であると認識し、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないというべきであることは、さきに述べたとおりである。
また、過去になされた審査例は、個別的、具体的に判断が示されているものであるところ、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有してないことは、上に述べたとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。
7 したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき理由がない。
よって、結論のとおり審決する。
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