Trademark Appeal Case
食感表示と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−17810(T2005−17810/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「ふわふわ」のひらがな文字と「せんべい」のひらがな文字とを上下二段に書してなり、第30類「せんべい」を指定商品として、平成16年10月5日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『ふわふわ』及び『せんべい』の文字を普通に用いられる方法で書してなるが、その構成中の下段部の『せんべい』の文字部分がその指定商品の普通名称であり、また、上段部の『ふわふわ』の文字部分も、多量の空気を含んで柔らかくふくらんでいる状態を意味し、食品関係の分野においては、例えば、2003年2月14日付け日本食糧新聞に『「焼えびマヨネーズ」発売(亀田製菓)』の見出しの下に『亀田製菓(新潟県亀田町〜)は、米菓「焼えびマヨネーズ」』を2月下旬から東日本・関東・中部・関西地区で地域限定新発売する。▽「焼えびマヨネーズ」は、つきたての餅をすぐにのばして乾燥し、こんがり焼き上げることでふわふわした食感を味わえるおかき。表面はサクッとしているのに中はふわふわ。』と記載されていることからも窺えるとおり、食品の食感を表す語として用いられているものであるから、全体としては、ふわふわとした食感のせんべいである旨を表示するものとして認識されるにとどまるといえるから、これを、その指定商品に使用しても、その商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審において通知した審尋
当審において、本願商標についての証拠調べを行ったところ、商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする証拠を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋書の内容は以下のとおりである。
1 以下の証拠及び原審において示した証拠により、構成中の「ふわふわ」の文字が「ふっくら焼き上げた、ふわふわ軽くて、心地よい食感と歯ざわり(のせんべい)」を表すものと容易に理解・把握されることから、「ふわふわ」及び「せんべい」の文字からなる本願商標は、その指定商品「せんべい」に使用するときには、ふわふわとした食感を有する商品(せんべい)であることを表示するにとどまり、単に商品の品質などを表示してなるにすぎないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の拒絶の理由は、免れ得ないものである。
(1)東洋米菓株式会社(つつじや本店)のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/tutujiya/663788/672058/)、「〜・ふわふわ・〜」の見出しの下、
「お米の超軽スナックせんべいの登場です!」「ふわふわ3種セット 、ふわふわ《マヨネーズ》、ふわふわ《青じそ》 、ふわふわ《ベーコン》」 の記載と商品の掲載がされている。
(2)かねこやのホームページ(http://www.e-kanekoya.com/s_wf_akatyans.htm)、「あかちゃんせんべい:ふわふわの米せんべい(よもぎ入り)、小さい赤ちゃんに」の見出しの下、
商品説明の欄に「小さい赤ちゃんでも手に持ちやすい長細い形の、ふわふわ口溶けの良いおせんべいです。」の記載がある。
(3)浅草のお茶屋さん片山園(浅草銘茶 片山園)のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/katayamaen/498693/502374/)、「ふわふわ生地のはちみつ揚げせんべい」の見出しの下、
商品説明の欄に「『はちみつ揚げせんべい』はふんわりと揚げたせんべいに醤油とはちつみを塗ったせんべいですので堅くなくお年寄りからお子様まで安心して美味しくいただけます。サクサクと食感も良く、醤油の味とほどよいはちみつのほのかな甘さが特徴で後をひく美味しさです。」の記載がある。
(4)銚電オンラインショップ(銚子電気鉄道株式会社)のホームページ(http://chodenshop.com/fuwafuwa/index.html)、「軽〜い食感が心地よい ふわふわのあげせん」の見出しの下、
「サクッとした心地よい食感と歯ざわりの揚げせんべいです。上質のうるち米を主材料に、素材の味わいを生かす米油のみで揚げました。」、「銚電のふわふわあげせん」の記載と商品の掲載がされている。
(5)京都せんべいおかき専門店 小倉山荘のホームページ(http://store.yahoo.co.jp/ogurasansou/800.html)、「数量限定ふんわりあられ 京のわたぼうし」の見出しの下、
「【数量限定】黒胡椒・海老・サラダ・醤油。ふわふわおかき4種詰め合わせ」の記載と商品の掲載がされている。
(6)東京新聞、Chunichi Web Pressのホームページ(http://www.tokyo-np.co.jp/00/yum/20060914/ftu_____yum_____002.shtml)、「取り寄せ便 ごちそうさま」の見出しの下、
「らぷる ふわふわアップルせんべい」、「・・・苦心して『せんべい』の言葉から『せんべい布団』に思い至り、『せんべい布団は固い』が、ふわふわのせんべいを作れないかと、たどりついたのが、真ん中に津軽特産のリンゴを入れた『らぷる』の生産。・・・」の記載がある。
(7)【格子家の“昔なつ菓子”たち】のホームページ(http://www.koushiya.com/okashi/fuwa_fuwa.htm)、「ふわふわ菓子」の見出しの下、
「浮あられ」、「たまりせんべい」、「ねじフライ」、「京ほまれ」等の商品(せんべい)が掲載されている。
(8)NETSHOP246のホームページ(http://chiyoda.ntabezerox.com/P47082/)、「サクサク玄米!ローカロリー♪玄米お煎餅すっぴん煎6種セット」の見出しの下、
「●香ばしくて軽〜い!ふわふわ玄米のおせんべい。」、「小さいお子様からお年寄りまで、家族みんなで美味しく食べられる♪素朴さがたまらない魅力の、玄米のおせんべいが登場です。ふわふわ軽くて、歯ざわりはサックサク!・・・」の記載と商品の掲載がされている。
(9)みなとや 和風プチギフト館のホームページ(http://www.wafu-gift.com/shohin/gentei/hina.html)、「ふわふわひな風船」の見出しの下、
「関東風のヒナあられでもち米を細かく刻んでふっくら焼き上げた風船あられに砂糖をからめて甘いお味に仕上がっております。」の記載と商品の掲載がされている。
(10)信州 有喜堂のホームページ(http://www.yukido.co.jp/y143.asp)、「味噌えびせんべい」の見出しの下、
「ふわふわ、さくさくのえびせんべいに、当店自慢のオリジナル味噌を塗りこみ仕上げさらにザラメをまぶした、おすすめの味噌えびせんべいです。」の記載がある。
(11)株式会社 げんぶ堂のホームページ(http://www.genbudo.co.jp/katei/514/order.html)、「ご家庭用 おかきの栞(しおり)」の見出しの下、
「海老せんべい えびの姿そのままが入った、ふわふわのおせんべいです。」の記載がある。
(12)おせんべい・おかき・お茶処 小藤屋のホームページ(http://www.kofujiya.com/03senbei.htm)、「特選商品」の見出しの下、
「『黒胡椒煎餅』(10枚入り) ぴりりと辛い黒胡椒。サクサク・ふわふわのお煎餅に粒の黒胡椒をたっぷりまぶしました。・・・」の記載と商品の掲載がされている。
(13)「『ならんちゅぬツブヤキ。。』海のない街から、日々と沖縄をつぶやいて。。 育てっ!島らっきょ!」のサイト(http://sperry.ti-da.net/e489270.html)、「2005年09月09日 せんべいも色々。」の見出しの下、
「ミルクせんべい。10枚くらい入ってるけど、1枚はペラッペラで、口に入れると溶けてなくなるようなもろいせんべい。イッキ食いしたり、色々挟んだりソース塗ったりして食べたり(笑)けっこう好きでした。この画像のは今のパッケージなんでしょうけど、『パンダ』が書いてあるというのが自分の中では印象に残っています。『ふわふわせんべい』と呼んでた人も多いかも。また食べたいなぁ〜」の記載と商品の掲載がされている。
2 請求人は、平成17年6月15日付け上申書の「上申の内容」において、「なお、上申書に記載の理由によってもなお本願商標を拒絶すべきとのご心証を持たれる場合は、商標法第3条第2項の規定の適用を受けるに十分な証拠をさらに提出したく存じます。」と述べているが、提出された甲各号証によっては、本願商標が使用により識別力を有するに至ったか明らかでないので、商標法第3条第2項の適用に必要な証拠方法(使用開始時期、使用期間、使用地域、生産数、販売実績(注文伝票、請求書、領収書等)、広告宣伝(新聞、雑誌、カタログ等)の回数等を示すもの)を追加して提出されたい。
第4 審尋に対する請求人の回答
1 平成19年3月13日に発送された審尋において、商標法第3条第2項の適用に必要な証拠方法を追加して提出すべき旨の通知を頂いたが、出願人は、中小企業基本法に定義された中小企業者であって、近年の景気低迷による人員削減等に起因して伝票類の整理がなされておらず、また、出願人が本願商標を使用している商品はいわゆる駄菓子に属する商品であり、中小企業者であることも相俟って特段宣伝・広告を行った実績がなく、市場において好評を博し認知されてきた商品であるので、現時点で提出できる証拠としては、コンピュータ入力されたデータの統計などとして既に提出している甲号証しかないものである。
2 審尋書に記載の他社の使用事例には、本願商標と同様に「ふわふわ」の文字と「せんべい」の文字とを一体的に結合されてなる標章を商標として使用しているものは存在しないものと思われる。即ち、
(1)においては「ふわふわ」の文字のみからなる商標が使用されていると認められるが、「ふわふわせんべい」との商標は使用されていない。
(2)ないし(8)、並びに(10)ないし(12)においては品質を表す言葉としてのみ使用されており、商標として使用されてはいない。
(9)においては「ふわふわひな風船」との商標が使用されていると認められるが、「ふわふわせんべい」との商標は使用されていない。
3 「ふわふわ\せんべい」との本願商標は、永年にわたり出願人のみによって薄いせんべいについて継続的に使用され、いわゆる駄菓子屋やスーパーなどで一般需要者に永年にわたり広く親しまれており、そのことは既に提出した甲第1号証に記載の販売数量等からも明かであると思われる。
たしかに、「ふわふわ」との言葉は、せんべいの食感を表す語として菓子業界において使用されている事例があることは認識したが、「ふわふわ」の語と「せんべい」の語を一体的に結合してなる「ふわふわ\せんべい」との標章を、甲第2ないし第4号証として提出したカタログに表れているようなロゴの態様で商標として使用してきたのは出願人のみであり、過去の使用実績に鑑みれば、本願商標のロゴの態様で「ふわふわ\せんべい」との商標が使用された商品は、出願人が製造販売するものであると広く認識されていると言えるのではないかと思料する。
第5 当審の判断
本願商標について、当審においてした証拠調べ結果に基づく上記審尋は妥当なものであって、その認定の不当性を述べる請求人の主張は以下の理由により、いずれも採用の限りでなく、さきの認定を覆すに足りない。
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲に示したとおり、「ふわふわ」及び「せんべい」の文字を普通に用いられる範囲の方法で書してなる構成のものであるところ、該構成中上段の「ふわふわ」の文字が、下段の商品名を表示したものと認められる「せんべい」の文字に比して、大きく顕著に表されているものであって、該「ふわふわ」の文字は、その指定商品である「せんべい」との関係においては、「ふっくら焼き上げた、ふわふわ軽くて、心地よい食感と歯ざわり(のせんべい)」を表すものと容易に理解・把握されるとみるのが相当である。
そして、例えば、上記第3の審尋で示したインターネットのホームページ掲載情報に、「ふわふわ」の文字が「・・・ふわふわ口溶けの良いおせんべいです。」、「軽〜い食感が心地よい ふわふわのあげせん」、「●香ばしくて軽〜い!ふわふわ玄米のおせんべい。」、「玄米のおせんべいが登場です。ふわふわ軽くて、歯ざわりはサックサク!・・・」、「ふわふわ、さくさくのえびせんべいに、・・・」、「海老せんべい えびの姿そのままが入った、ふわふわのおせんべいです。」、「サクサク・ふわふわのお煎餅に粒の黒胡椒をたっぷりまぶしました。・・・」のように使用されているものであることから、せんべいを取り扱うこの種業界においては、「ふわふわ」の文字が「ふわふわとした心地よい食感と歯ざわり」ほどの意味合いで商品の品質等を表すものとして認識、理解されているとみるのが自然なものである。
そうすると、「ふわふわ」及び「せんべい」の文字よりなる本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、該商品が、単にふわふわとした食感を有する商品(せんべい)であること、すなわち、その品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。
したがって、本願については、これを登録すべきものとする特段の事情、すなわち、商標法第3条第2項所定の要件を具備するに至った事情が存しない限り、同法条の規定によりその拒絶を免れないものといわなければならない。
2 商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標は、「薄いせんべい」について、永年にわたり出願人のみによって継続的に使用され、いわゆる駄菓子屋やスーパーなどで一般需要者に広く親しまれたものであるから、商標法第3条第2項に該当し、登録されるべきであると主張し、証拠方法として、審査時に提出した甲第1ないし第11号証を当審において援用するとともに、新たに当審において甲第12号証(審決注:平成18年10月27日付け手続補足書において甲第10号証と記載しているが、甲第12号証として取り扱うものとする。)を提出している。
これを本願商標についてみるに、請求人提出の各証拠によれば、請求人は、1997年1月頃から現在にいたるまでの間、主として関西圏を中心に自己の業務に係る商品として、卸業商社又は卸業商社を介して全国のスーパーや菓子小売業者に相当量のものを販売していたことは窺い知れるものである。
しかるに、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用を開始した時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して判断しなければならないところ、請求人が中小企業者であることを理由として広告・宣伝を行った実績がなく、加えて、販売数量については、請求人本人が作成したコンピュータに入力されたデータの統計等の資料があるが、例えば、注文伝票、納入伝票、請求書又は領収書等、具体的な根拠となる証拠に乏しいといわざるを得ない。
また、甲第5ないし第9号証は、いずれも請求人が予め用意した「証明願」用紙を用いて、請求人の求めに応じて証明者が用意された文面に署名捺印したにすぎないものと認められ、証明者が如何なる事実に基づき、書面に記載された内容を証明しているのか、その客観的事実を示す根拠や判断の過程は何ら明らかにされていないものであるから、結局、証拠力に乏しい書面といわざるを得ないものであり、その書面の事実評価を直ちに採用することはできない。
ところで、商標法第3条第2項は、同法第3条第1項各号に該当する、本来的には自他商品又は役務の識別力のない商標について特定の者が永年独占的にその業務に係る商品又は役務について使用した結果、当該使用者の商品又は役務を表示するものとして認識されるに至った場合に初めて登録を認めることとする規定と解される。したがって、特定の者以外の者もまた前記のような商標を使用している場合は、当該業務に係る者を特定し得ないから、自他商品又は役務の識別機能を果たさない商標であり、その商標登録は認められない。
そうすると、前記第3の審尋において示したように、「ふわふわ」及び「せんべい」の文字(標章)は、請求人以外の少なくとも当該記載に係る複数の者により「せんべい」の品質を表わす語として取引上普通に使用されている事情(状況)を勘案すると、請求人提出の全証拠をもってしても、本願商標が、商品「せんべい」に使用された結果、需要者が唯一請求人の業務に係る商品として認識するに至ったものとはいい難い。
したがって、本願商標を商標法第3条第2項該当のものとして登録することはできない。
3 結語
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は妥当なものであって、かつ、請求人が提出した全証拠及びその主張の全趣旨を総合勘案しても、本願商標が請求人により永年使用された結果、その業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者に広く認識せられるに至ったものとはいえないから、結局、本願商標は、商標法第3条第2項所定の要件を具備するに至ったものということはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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