Trademark Appeal Case
機能誇示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−19077(T2006−19077/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「花粉知ラズ。」の文字を横書きしてなり、第24類「農業用のトンネル栽培・ハウス栽培・育苗用不織布,農業用不織布,その他の不織布,織物,メリヤス生地,フェルト,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成17年6月15日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、花粉が吸着しづらかったり、花粉が付着しても落としやすい加工を施した商品が多数取引・販売されていることから、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、花粉を寄せつけない商品であることを表現した一種の宣伝文句と理解するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1に示すとおり「花粉知ラズ。」の文字を普通に書してなるところ、その構成中の「ラズ」を片仮名で書し、最後に「。」を付けているとしても、これに接する取引者又は需要者は、単に「花粉知らず」と認識するにすぎず、当該商品の機能を誇示したものと理解するとみるのが自然である。そして、「知らず」の文字は、「見当がつかない、問題として取りあげない意を表す。」(広辞苑第五版 株式会社岩波書店)の意味を有するから、本願商標は、全体として「花粉を問題にしない」等の意味合いを容易に理解させるものとみるのが相当である。
ところで、昨今、宣伝・広告において、商品が有する機能、性能等を端的に表現し、その商品が優良なものであるとの印象を取引者又は需要者に強く与えるために、商品を誇示、強調した数々の宣伝文句を採択使用していることは、一般の商取引の場において広くみられるところである。
そして、本願指定商品中には、「不織布,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,被服,運動用特殊衣服」等が含まれているところ、これらの商品を取り扱う業界においては、近年、花粉症対策が需要者の関心を強く引きつける重要な要素となっているものであり、花粉を排除、若しくは寄せ付けないように、各社さまざまな工夫を凝らした機能を付けて販売している取引の実情があることは、以下の新聞記事情報及びインターネットの情報からも窺い知ることができる。
(1)2007年1月12日付け日本経済新聞朝刊の35頁には、「春物コートが花粉をガード、紳士服、価格帯も広く。」の見出しの下に「花粉を付着しにくくするなど花粉対策を施した紳士の春用コートが相次いで登場している。・・・オンワード樫山のハーフコートは、ダイワボウの特殊加工技術『ヒノガード』を使った。繊維表面にナノテク粒子で膜を作り、花粉が付きにくくした。・・・AOKIホールディングスも昨年十二月から、全国の『AOKI』で東レの機能素材『アンチポランNT』を使ったコートの扱いを始めた。繊維の一本一本をナノテク技術で特殊加工し、花粉の付着を抑える。」との記載がある。
(2)2007年1月12日付け日本経済新聞朝刊の35頁には、「西川産業、花粉対策寝具も。」の見出しの下に「西川産業は二月一日から、花粉対策寝具シリーズ『日本の早春』を百貨店などで販売する。掛け布団や綿毛布など七品目。寝具は外に干したときなどに花粉が付着するケースが多い。表面に花粉が付きにくく、付いても落としやすいよう加工した。」との記載がある。
(3)2007年2月24日付け日本経済新聞朝刊の35頁には、「ユニ・チャーム『超立体マスク』―花粉が侵入するすき間少なく(ヒットの舞台裏)」の見出しの下に「ユニ・チャームが一月に発売した『超立体マスク 花粉用スーパー』は、基本性能に加え、かけ心地の良さに工夫を凝らした点が消費者から評価されている。『超立体マスク』は顔面のふくらみに合わせ立体的な造りになっている。従来のガーゼ製などの平面構造のマスクと比べると、花粉の侵入量が少ないほか、呼吸がしやすい。」との記載がある。
(4)2007年2月28日付け日本経済新聞朝刊の35頁には、「花粉付きにくいウエア―ヨネックス(ニューフェース)」の見出しの下に「ヨネックスの花粉が付きにくいゴルフウエア『アンチポランNTゴルフウェア』。密度が高く平たんな生地を使い、撥水(はっすい)性が高い樹脂を加工して花粉が付きにくくした。」との記載がある。
(5)マスク 花粉症対策グッズのホームページでは、「花粉症 徹底解剖 花粉症特集2007」の見出しの下に「花粉症対策グッズ Vol.1 あなたのマスク何タイプ?イーグル派?プリーツ派? Vol.2 花粉対策グッズ」との記載がある。(http://health.goo.ne.jp/kafun/goods0001又は0002.html)
(6)花粉症対策カーテン‐激安オーダーカーテン・オーダーカーペットの通販!!のホームページでは、「花粉対策カーテン5040 アレルギー原因になる花粉、ダニのアレルゲンの働きをセーブします。・・・花粉キャッチレース58631 カーテンに付いた花粉やホコリなどの吸着性に優れたレースです。」との記載がある。(http://shop.yumetenpo.jp/goods/goodsList.jsp?st=curtainshopun.com&category=1)
(7)岡山ビルサッシ工業株式会社のホームページでは、「クロスキャビン(帝人ネステックス株式会社)」の見出しの下に「クロスキャビンは、花粉粒子の侵入を80%以上阻止することで、このような状況を改善することが期待できるフィルター網戸ネットです。」との記載がある。
(http://www.obs-sash.co.jp/orijin/cloth/index.html)
以上のことを総合的に勘案すれば、花粉症対策の商品に「花粉知ラズ。」の文字を付した場合には、これに接する取引者又は需要者は、「花粉とは無縁」、すなわち「花粉症対策が施されているもの」と認識、把握し得るにすぎず、端的に誇示的表示として、当該商品の販売促進を図るための一種の宣伝文句を表したものとみるのが相当である。
そうとすれば、「花粉知らず」に通じる「花粉知ラズ。」の文字からなる本願商標を、その指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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