結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30124(T2005−30124/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2044411号商標(以下「本件商標」という。)は、「エッチオーケー」と「HOK」の文字を上下二段に横書きした構成からなり、昭和57年4月28日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年4月26日に設定登録されたものである。その後、平成10年1月6日に、本件商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」について登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」について本件商標の使用をしていないものである。
したがって、指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」 についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)弁駁(要旨)
ア 「HOK−Boron」の文字の使用が本件商標の「HOK」の文字部分の使用であるとする被請求人の主張について
商標法第50条第1項括弧書きにおいて、登録商標が使用されているといえるための登録商標の使用の範囲が明記されている。
本件商標は、上段に片仮名文字で「エッチオーケー」と、下段に欧文字で「HOK」と記載されて構成されてなるものである。したがって、商標法第50条第1項括弧書きの規定によれば、本件商標が使用されていると認められるのは、「エッチオーケー」又は「HOK」のいずれかの文字を使用する場合、本件商標を明朝体等他の書体で表示する場合、平仮名で「えっちおーけー」等と表示する場合、等の社会通念上同一と認められる場合にのみ認められるものである。
一方、被請求人は「HOK−Boron」の文字を触媒、特殊反応試剤あるいは分析試薬などを用途とする化学品である「テトラフェニルホウ素ナトリウム(Sodium tetraphenylborate)」に使用している旨主張するとともに、当該「HOK−Boron」の文字は、ハイフン「−」により、本件商標の欧文字表記「HOK」と「Boron」に分断される旨主張する。
しかしながら、ハイフン「−」は語と語を結ぶ記号(連字符)であって(甲第1号証)、上記「HOK」と「Boron」の文字をわざわざハイフン「−」で連結している点を考慮すれば、これに接する需要者・取引者は、「HOK−Boron」の文字を全体として一体に認識し、かつ取扱うものと考えるのが妥当であり、「HOK−Boron」の文字を「HOK」の文字と「Boron」の文字とにわざわざ分断するのは妥当ではない。したがって、たとえ「Boron」の文字が元素のひとつである「ホウ素」を表す英語標記であるとしても、「HOK−Boron」の文字はハイフン「−」で結合された全体として自他商品識別力を発揮する所謂造語であるから、本件商標を構成する「エッチオーケー/HOK」と「HOK−Boron」とは社会通念上同一と認められるものではない。
イ 上述したように、被請求人は本件商標を「化学品」に使用しているとはいえないが、万一、「HOK−Boron」の文字の使用が本件商標の「HOK」の文字部分の使用であると認められた場合であっても、被請求人が提出した乙第1号証ないし同第7号証は、本件商標の使用の証拠となるものではなく、ゆえに、この点について更に述べる。
(a)乙第1号証ないし同第3号証について
乙第1号証ないし同第3号証は、被請求人の主張によれば、2004年6月(乙第1号証)、2003年11月(同第2号証)及び2002年3月(同第3号証)にそれぞれ発行された商品カタログとされているが、それは単に被請求人の主張であって、現実にそれぞれの年月に発行され、日本国内において使用された事実を証明する客観的な証拠ではない。また、これら各号証は、英語で作成されており、英語圏での使用を目的としたものであると見受けられるが、この点からもこれら各号証が日本国内で使用されていたとは到底考えられない。
以上に鑑みると、乙第1号証ないし同第3号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。
更に、乙第1号証ないし同第3号証中において「HOK−Boron」の文字は、「CHEMICAL NAME(化学名)」の欄の化学名の下に括弧書きで記載されており、当該「CHEMICAL NAME(化学名)」の欄には、その他「PK」「EMZ−K」「DBUH−K」「DBN−K」「HZ−N」「HZ−Y」「HMN−72A」の各文字(但し、各号証により、使用されていないものも含む)が化学名の下に括弧書きで記載されている。この事実に鑑みると、これらの文字は単に商品の記号、品番等を表すにすぎない文字と考えられ、自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。したがって、「HOK−Boron」の文字の使用態様の点からしても、乙第1号証ないし同第3号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。
(b)乙4号証ないし同第6号証について
被請求人は、乙第4号証ないし同第6号証が、平成9年(1997年)1月(乙第4号証)または平成6年(1994年)(同第5及び6号証)に発行された商品カタログであると共に、「10年以上前から改版を重ねて」と主張している。
これらの点から、平成17年2月の審判請求登録前8年以上前(乙第4号証)または11年以上前(同第5及び6号証)の商品カタログが、その後5年以上(乙第4号証)、または8年以上(同第5及び6号証)も使用され続けて審判請求前3年以内に使用されていたとは到底考えられず、また使用された時期も不明であり、使用を立証する証拠とはなりえない。
また、乙第4号証は、主に英語で作成されており、主に英語圏での使用を目的としたものとであると見受けられるが、この点からも乙第4号証が日本国内で使用されていたとは考えられない。
更に、乙第4号証中において「HOK−Boron」の文字は、他の化学名に記載の「PK」の文字も下に括弧書きで記載されている事実に鑑みると、これらの文字は乙第1号証ないし同第3号証と同様に自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。
以上に鑑みると、乙第4号証ないし同第6号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。
(c)乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人のインターネット・ホームページの抜粋であり、2004年6月に改訂されたもの主張とするが、これが審判請求登録前にインターネット・ホームページに掲載された客観的な時期も不明であり、使用を立証する証拠とはなりえない。
また、乙第7号証中において「HOK−Boron」の文字は、他の化学名の欄に記載の「PK」「EMZ−K」「DBN−K」の文字も化学名の下に括弧書きで記載されている事実に鑑みると、これらの文字は乙第1号証ないし同第4号証と同様に自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。
以上に鑑みると、乙第7号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。
(d)まとめ
以上述べたように、たとえ「HOK−Boron」の文字が被請求人の主張するように上記化学品に使用されているとした場合であっても、「HOK−Boron」の文字と「HOK」の文字とは社会通念上同一と認められる使用の範囲内にあるとは到底認められないため、被請求人は本件商標を「化学品」に使用しているとはいえないものであり、万一、「HOK−Boron」の文字の使用が登録商標の「HOK」の文字部分の使用であると認められた場合であっても、被請求人が提出した乙第1号証ないし同第7号証は、いずれも、審判請求登録前3年以内に日本国内において本件商標が指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に使用されている事実を客観的に立証するものではない。
(3)答弁に対する第2弁駁(要旨)
ア 被請求人の本件商標「エッチオーケー/HOK」と使用商標「HOK−Born」が社会通念上同一であるとする主張について
先に弁駁書において述べたように、本件商標を構成する「エッチオーケー/HOK」と「HOK−Boron」とは社会通念上同一と認められるものではない。
この点について、更に付言する。
イ 特に、化学品及びこれに類似する商品の分野(類似群コード[01A01])においては、元素の一つを表す文字を含んだ商標を所謂造語商標として登録・使用する例が非常に多く見受けられる。例えば、以下のような登録商標が存在する。
(a)「水素」 を意味する「HYDROGEN」又は「ハイドロゲン」の文字を含む登録商標
登録第4574187号 「JGA\FuelCell\Challenge\ForHydrogenFuture」
(b)「ホウ素」を意味する「BORON」又は「ボロン」の文字を含む登録商標
登録第1315024号 「モントボロン」他16件
(c)「炭素」を意味する「CARBON」又は「カーボン」の文字を含む登録商標
登録第735352号 「NIKKARBON\ニッカーボン」他41件
(d)「珪素」を意味する「SILICON」又は「シリコン」を含む登録商標
登録第837671号 「NUCSILICONES」他14件
(e)「酸素」を意味する「OXYGEN」又は「オキシゲン」を含む登録商標
登録第2109282号 「BIOXYGEN\バイオキシゲン」他2件
以上の(a)〜(e)は、登録例の一部であるが、上記のような登録例が多数存在する。これは、とりもなおさず、「化学品の分野」においては、元素をあらわす文字を他の文字と結合して、所謂結合商標として使用することが一般的に広く行われているものといい得るものである。そして、このような商標に日ごろから接する需要者・取引者は、全体が冗長な商標又は特異な外観をもつ商標でない限り、全体として一体に認識することが通例であると考えられる。
ウ また、ここで、使用商標の態様を検討する。
使用商標の文字は、「HOK」の欧文字と「Boron」の欧文字を連字符であるハイフン「−」で結合して構成されている。そして、両欧文字は、同書・同大・同間隔で同一の書体で記載されると共に、両欧文字はハイフン「−」を以ってバランスよく配されている。したがって、これらの点を考慮すると、該使用商標が特に全体が冗長でもなく、又は特異な外観をもつものでもないことから、該使用商標をわざわざ「HOK」と「Boron」の両欧文字に分離して認識するとするのは取引の実情に沿うものではない。
また、該使用商標を構成する「HOK」の文字部分から、「ホク」「ホック」「エッチオーケー」なる称呼が生ずると共に、「Boron」の文字
部分からは「ボロン」の称呼が生じ、該使用商標は全体として「ホクボロン」「ホックボロン」「エッチオーケーボロン」なる称呼が生ずるものである。これらの称呼は、何れも特段冗長というわけではなく、一連に称呼される非常に慣れ親しみやすい称呼であるといえる。したがって、このような称呼を生ずる該使用商標を、わざわざ「HOK」と「Boron」の両欧文字
部分とに分断して、その後「HOK」の部分のみを認識することは、現実の
取引において行われるものではなく、取引の実情に沿うものではない。
加えて、実際に、被請求人により提出された証拠も、「HOK−Boron」と使用された一態様しか存在しない。
また、被請求人は、『「PK」「EMZ−K」「DBUH−K」「DBNーK」は商品名であって、決して記号や品番ではありません。』と主張しているが、提出された各証拠における使用状況から判断すると、被請求人は該文字と同様に「HOK−Boron」の文字も商品名として使用していると判断されるのであり、そうであるならば、「HOK−Boron」を商品名、即ち全体として一体の商標として使用していると主張しているに等しいものである。
しかして、「HOK」を含んだシリーズとなった他の商標が存在せず、使
用商標「HOK−Boron」の一態様のみで使用されていること及び、上
記被請求人の主張を考慮すれば、「HOK−Boron」を全体として一の
商標として使用する意図がはっきりと伺えるものである。
エ 被請求人の挙げる審決例は、拒絶査定不服審判又は無効審判事件における「商標の類否」が判断された事案であり、両商標が「社会通念上同一」であるか否かが判断された事案ではない。したがって、これらは、本件とは全く事案を異にするものであり、本事案においてこれらを主張すること自体失当である。
更に、被請求人は、自他商品を識別する商標としての要部と、一般名称や製品番号などであって自他商品の識別標識のない部分とからなる商標の使用が、要部の商標の使用と認められた例が多数あると主張し、乙第16号証ないし同第18号証の審決例を挙げているが、これらの事案もって、直ちに本事案も同様に審理判断されるとするべき、被請求人の主張は失当である。
オ 被請求人の「使用証拠について」の主張について
(a)乙第1号証〜同第3号証及び乙第7号証について
平成17年4月20日付提出の答弁書における主張及びこれらの主張を裏付ける客観的な証拠は依然提出されていない。
(b)乙第4号証〜乙第6号証について
被請求人が述べるとおり、これらの証拠は審判請求登録前3年以内に使用さされた証拠ではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証及び同第19号証を提出した。
ここで、上記「HOK−Boron」は、ハイフンにより、本件商標の欧文表記「HOK」と「Boron」に分断されるが、「Boron」部分は、元素のひとつである「ホウ素」を表わす英語表記そのものであって、この部分に商標としての自他商品の識別機能はなく、「HOK」部分が自他商品を識別する商標としての要部となる。このため、「HOK−Boron」の使用は、本件商標の「HOK」部分の使用といえる。
本件商標の使用の事実を示す書類として、以下の証拠を提出する。
(1)ないし(6)については、10年以上前から改版を重ね、化学製品を取り扱う国内の化学業界で広く配布されてきている商品カタログであり、また、(7)のインターネット・ホームページは化学業界に限られない不特定多数の需要者が目にし得るものである。
(1)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2004年6月発行)(乙第1号証)、
(2)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2003年11月発行)(乙第2号証)、
(3)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2002年3月発行)(乙第3号証)、
(4)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCT LIST」(平成9年(1997年)1月発行)(乙第4号証)、
(5)「HOKKO ファインケミカル製品」(平成6年(1994年)発行)(乙第5号証)、
(6)「HOKKO FINE CHEMICALS」(1994年発行)(乙第6号証)、
(7)被請求人のインターネット・ホームページ(URL http://www.hokkochem.co.jp/)の「ファインケミカル部門」に掲載している「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCT LIST」(2004年6月改訂)中、「7.Boron Compounds」の表(乙第7号証)
上記した証拠は、本件商標が日本国内において10年以上に亘って継続して使用されていることを示すものである。
(1)本件商標「HOK/エッチオーケー」と「HOK」の使用の同一性について
商標法第50条第1項括弧書きの規定によれば、本件商標と「HOK」の使用は同一であると認めらる。そして、請求人も弁駁書第3頁において、その同一性を認めている。
(2)「HOK」と使用商標「HOK−Boron」の同一性について
使用商標中、「Boron」の文字部分は、下記に示すように、一般名称の表示であることが明らかであるから、出所識別機能のない部分というべきであり、その付加が社会通念上の商標の同一性を損なうものとはいえない。
すなわち、使用商標は、ハイフンにより、本件商標の欧文表記「HOK」と「Boron」に分断されるが、「Boron」部分は、元素のひとつである「ホウ素」を表わす英語表記そのものであって、この部分に商標としての自他商品の識別機能はない。「Boron」の部分が一般名称であることは、乙第8号証:『化学大辞典 第8巻 縮刷版』第631頁〜第632頁及び第814頁(1989年8月15日、共立出版(株)発行)及び乙第9号証:『14705の化学商品』第178頁(2005年1月25日、化学工業日報社発行)を参照。
過去の審決においても、ハイフンで連結された文字よりなる商標について、一体不可分のものではなく、それぞれを分離して認識するものとするとした判断が多数なされているので、以下に一部を抜粋して挙げる(乙第10号証ないし乙第14号証)。
以上より、使用商標のうち、「Boron」の部分が一般名称にあたるので、「HOK」と「Boron」に分離して認識するのはしごく当然のことである。ゆえに、使用商標については、「HOK」の部分が自他商品を識別する商標としての要部となる。このため、「HOK」と「HOK−Boron」とは社会通念上同一と認められ、「HOK−Boron」の使用は、「HOK」部分の使用といえる。
そして、このことは商標の識別性に影響を与えない範囲における登録商標の軽微な変更を許容するパリ条約第5条C(2)項にも合致する(乙第15号証:平成14年(行ケ)第334号審決取消請求事件参照)ものであり、商標法第50条第1項括弧書きの趣旨に適合するものと思料する。
(3)本件商標と使用商標との使用の同一性について
以上(1)及び(2)の理由から、本件商標と使用商標「HOK−Boron」は、商標法第50条第1項でいう「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に含まれるものと確信する。
過去の審決においても、自他商品を識別する商標としての要部と、一般名称や製品番号などであって自他商品の識別機能のない部分とからなる商標の使用が、要部の商標の使用と認められた審決例が多数あり、一部を抜粋してあげる(乙第16号証ないし同第18号証)。
(4)使用証拠について
(a)乙第1号証について
巻末の「2004.6.1000.SK」は印刷年月日、部数、印刷会社を
示すもので、「2004年6月に1000部、株式会社三幸企画により印刷された」という意味である。
株式会社三幸企画は企業PR、IR、CSR、セールスプロモーション、社内広報を作成する企業であり、株式会社三幸企画のHP(http://www.sankokikaku.co.jp/)によると、主なクライアントとして、被請求人の名も記載されている(乙第19号証)。
そして、該商品カタログの商品案内部分は欧文で作成されているが、第3頁の挨拶文においては英語と日本語を併記し、日本国内及び海外双方の顧客向けに配布している。平成17年4月20日付答弁書に添付した乙第7号証に示した当社のHPを見るとわかるとおり、日本語版・英語版の両方が用意されているが、日本語版にもこの欧文カタログが掲載されている。
また、「PK」「EMZ−K」「DBUN−K」「DBN−K」は商品名であって、決して記号や品番ではない。
このうち、「EMZ−K」は商標登録第3353706号として、「DBUN−K」は商標登録第4399908号として商標登録を受けている。「PK」は登録商標 「ホクコーPK」(商標登録第3154168号)及び登録商標「ホクコー/PK」(商標登録第4073714号)の使用の一部にあたる。また、「DBN−K」については、次回2006年5月項の商品カタログ改版時に登録商標の態様である「DBNK」(商標登録第4649562号)の商品名を記載することになっている。
したがって、乙第1号証は、本件商標が化学品に使用されていることを示すものである。
(b)乙第2号証ないし同第6号証について
乙第1号証について述べたことを援用する。
なお、印刷年月日については、巻末の「2003.11.1000.SK」は、「2003年11月に1000部、株式会社三幸企画により印刷された」(乙第2号証)という意味であり、同じく「2002.3.10」は、「2002年3月に1000部印刷された」(乙第3号証)という意味であって、この場合は、1000部の冒頭2文字をとって10と表記し、印刷会社を示すアルファベットは省略されている。
また、乙第4号証の印刷年月日については、巻末の「H9.1S」は、「平成9年1月に株式会社三幸企画により印刷された」という意味である。
この場合は、印刷部数は省略され、印刷会社を示すアルファベットは「SK」ではなく、「S」とのみ表記されている。
乙第4号証ないし乙第6号証は「HOK−Boron」の使用商標が審判請求の登録前3年以内のみならず、長年にわたって使用されてきたことの証左として提出したものである。
(c)乙第7号証について
平成17年4月20日付答弁書に添付した時点のHPのトピックス欄には平成16年11月期決算に係るものであることの記載があり、「製品についてのお知らせ」欄には「2004.12.09」の記載が最新である。
このことから、乙第7号証は、審判請求の平成17年2月3日より前3年以内の本件使用商標の使用を示すものとして有効であることは明らかである。
以上(a)ないし(c)に述べたとおり、乙第1号証ないし乙第7号証は、本件商標が、審判請求の登録前3年以内(あるいは3年以上の長きにわたって)に化学品に使用されていることを示すものである。
(1) 提出の乙各号証から、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、その末葉における「北興化学工業株式会社」「2004.6.1000.SK」等の記載からみて、2004年6月に印刷された被請求人の商品カタログと認められるところ、その22頁「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK−Boron」の文字が記載されている。
イ 乙第2号証は、ア同様に末葉の記載から、2003年11月に印刷された被請求人の商品カタログと認められるところ、その22頁に、アと同じ文字等の記載がある。
ウ 乙第3号証は、ア及びイと同様に末葉の記載から、2002年3月に印刷された被請求人の商品カタログと認められるところ、その20頁「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK−Boron」の文字が記載されている。
エ 乙第7号証は、被請求人のホームページと認められるところ、その2枚目(1/1ページ)のFINE CHEMICAL PRODUCT LISTの「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK−Boron」の文字が記載されている。
そして、この掲載日や印刷日は定かでないが、トピックス欄の記載内容は平成16年11月期決算に係るものであること、製品についてのお知らせ欄には「2004.12.09」との記載があることが認められる。
オ 乙第8号証は、「化学大辞典(共立出版株式会社発行)」と認められるところ、631頁に「ほうそ 硼素,ボロン「英boron」が記載されており、814頁にボロン「英boron」5番元素ホウ素の英語名が記載されている。
カ 乙第9号証は、「14705の化学商品(化学工業日報社発行)」と認められるところ、178頁に「ホウ素 Boron」が記載されている。
キ 乙第19号証は、株式会社三幸企画のホームページと認められるところ、2枚目の会社概要の欄に、「クライアントの企業PR、IR、CSR、・・・社内広報、採用PRなどの・・・プランに即した個々のコミニュケーションツールを制作する・・・」との記載があり、3枚目に主なクライアントとして被請求人の名が記載されている。
(2)上記における、「Boron Compounds」はホウ素化合物を、また、「Sodium tetraphenylborate」はテトラフェニルホウ素ナトリウムを、それぞれ表す文字と認められる。
しかして、上記商品カタログに記載されている「HOK−Boron」の文字は、前記ホウ素化合物の一である商品「テトラフェニルホウ素ナトリウム」について使用されている標章(以下「使用標章」という。)と認めるのが自然である。
(3)使用標章について
本件商標は、「エッチオーケー」の片仮名文字と「HOK」の欧文字を上下二段に書してなるものである。これに対して、被請求人が示した本件使用標章は、前記(1)及び(2)のとおり、「HOK−Boron」の欧文字からなるところ、「HOK」の欧文字とハイフンを介した「Boron」の欧文字とは、大文字と小文字の差異を有する上、その構成全体をもって特定の意味合いを生ずるものともいえないものであり、これを常に一体のものとして認識・把握しなければならない特段の事情も見いだせない。そして、「Boron」の文字は、元素の一つである「ホウ素」を表す英語表記(乙第8号証及び乙第9号証)であって、化学品との関係においては商品名(化学品名)として認識されるものであり、自他商品の識別機能はないものである。
したがって、本件使用標章の識別機能を有する部分は、「HOK」の文字部分にあるとみるのが相当である。
しかして、使用標章は、片仮名文字を欠くとしても、その称呼「エッチオーケー」は本件商標の片仮名文字と共通にしており、観念上異なるものともいえないから、本件使用標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と判断するのが相当であり、本件商標が使用されているものというべきである。
この点について、請求人は、使用標章がその使用形態からすれば自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられない旨主張する。
しかしながら、化学名の下に括弧書きで記載された「HOK−Boron」の文字が、単に商品の記号、品番等を表すにすぎないとすべき証拠はなく、他の括弧書き内の文字の中に記号・符号と認識されるものがあることをもって直ちに、当該「HOK−Boron」が自他商品の識別機能を果たし得ないとはいい得ず、その識別機能を果たし得るものというべきである。
(4)また、請求人は、乙第1号証ないし同第3号証の商品カタログが英語で作成されているから、日本国内で使用されたとは到底考えられない旨主張する。
しかし、本件の使用に係る商品の取引者や需要者は専門的な知識を備えた者とみるのが相当であるうえに、日本語も併せ記載されていることをみれば、日本国内での使用をも前提としているものというのが妥当であり、英語の記載を有する点のみをもって英語圏での使用に限定されたものとして、これらの日本国内での使用が否定される根拠とはなり得ないというべきである。ちなみに、乙第7号証の記載をみると、本件商標を付した商品が日本国内の取引者・需要者を対象とされていることが十分に窺われるところである。
さらに、乙第1号証ないし同第3号証の商品カタログが、現実に頒布等された具体的な年月日の提示はないが、本件商標に係る商品カタログが作成されていることからすれば、カタログ自体、広告・宣伝のために取引者、需要者に対し、展示若しくは頒布されるのが主目的であることから、当該カタログは、少なくとも乙第3号証が印刷された2002年3月以降、乙第1号証の印刷された2004年6月を過ぎて本件審判請求の登録前に至る間に、取引者、需要者に対して、頒布又は展示がされたものとみるのが商取引の通念からして相当というべきである。
(6)してみれば、本件商標は被請求人の取引書類に付されており、そして、2002年3月から2004年6月過ぎに至る間に、当該書類が頒布され、又は展示されたと推認されるものである。
以上によれば、本件商標は、取消請求に係る指定商品の一と認められる商品「テトラフェニルホウ素ナトリウム」について、本件審判請求の登録前3年以内の時期に日本国内において、商標権者によって使用されていたと認めることができる。
(7)したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものには該当しないから、商標法第50条第1項により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。