sokuhyo

Trademark Appeal Case

結合商標の称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89110(T2004−89110/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4339966号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年10月14日に登録出願、第1類ないし第31類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品並びに第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同11年12月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第618764号商標(以下「引用商標」という。)は、「よさこい」の平仮名文字を縦書きしてなり、昭和37年3月31日に登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、同38年6月26日に設定登録され、その後、4回にわたる商標権存続期間の更新登録がなされているものである。また、指定商品については、平成16年10月13日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 」とする書換の登録がされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中の第32類『ビール』及び第33類『日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、別掲のとおり、「Yosakoi」の文字と「ソーラン」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、「Yosakoi」の文字部分は、土佐の民謡である「よさこい節」又は「夜さり来い(今夜おいでなさい。)」を意味する「よさこい」の語をローマ字で表示したものであり、また、「ソーラン」の文字部分は、北海道の民謡である「ソーラン節」又はその「ソーラン節の中での囃子言葉」の観念を有する「ソーラン」を片仮名で表示したものと認められる(甲第3号証、甲第4号証)。「Yosakoi」の文字と「ソーラン」の文字は、同じ文字で一連に書されたものではなく、二段に書され、その文字の種類もローマ字と片仮名という全く別種の文字で書されており、上記意味を有する両文字との間には、観念的に何のつながりもない。

したがって、本件商標は、「Yosakoi」の文字と「ソーラン」の文字を一連に称呼、観念すべき特段の理由は存在しないから、「Yosakoi」の文字部分から、「ヨサコイ」の称呼を生じ、「よさこい節」又は「今夜おいでなさい」の観念を生ずる。

他方、引用商標は、「ヨサコイ」の称呼のみを生じ、「よさこい節」又は「今夜おいでなさい」の観念を生ずる。

したがって、本件商標と引用商標は、互いに外観が相違するとしても、「ヨサコイ」の称呼、及び「よさこい節」又は「今夜おいでなさい」の観念を共通にし、両商標を同一又は類似の商品に使用するときは、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるから、類似の商標というべきである。そして、本件商標に係る指定商品中、第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 」は、引用商標の指定商品と同一の商品である。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標の指定商品中、第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。

4 被請求人の答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、答弁書において、原審時において提出した意見書に添付の乙第1号証ないし乙第59号証を援用し、その提出を省略している。無効審判請求の如き当事者系の審判にあっては、その提出を省略することはできない。したがって、本件答弁書で援用された乙第1号証ないし乙第59号証の書証はなかったものとみなすべきである。

(2)「YOSAKOI ソーラン祭り」という祭りが実際に行なわれているか否か、そのロゴマークの使用を被請求人が、使用許諾を受けているか否かと、本件商標と引用商標が互いに類似し、商品の取引場裡において、相紛れ、その商品の出所の混同を生ずる虞があるか否かとは、全く関係がない。例え、被請求人が、「YOSAKOI ソーラン祭り」の組織委員会から「YOSAKOI ソーラン」のロゴマークの使用許諾を受けていたとしても、そのロゴマークが、引用商標と類似する以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する。

(3)被請求人は、乙第60号証ないし乙第63号証を提出し、本件商標の最近の使用状況、広告宣伝状況の一例を示し本件商標の周知性ないしは著名性を主張しているが、乙第60号証ないし乙第63号証はいずれも本件商標の登録日、平成11年(1999年)12月3日以後の刊行物であり、商標登録の無効の判断は、登録査定時の判断が正当であったか否かにより決せられるのであり、その後本件商標が周知性ないしは著名性を獲得したか否かにより、無効の判断が左右されるものでないことは、いうまでもない。

5 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、原審時において提出した意見書に添付の乙第1号証ないし乙第59号証及び「札幌商工会議所会頭の証明書」を援用し、本件審判において乙第60号証ないし乙第63号証を提出した。

(1)本件商標と引用商標の類否について

(ア)本件商標を構成する「Yosakoi」の文字と「ソーラン」の文字は、独特の毛書体で、それぞれ軽重の差なく一体的に表され、これより生ずると認められる称呼も「ヨサコイソーラン」とよどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標は、1992年(平成4年)から北海道札幌市を中心として開催されている「YOSAKOIソーラン祭り」のロゴマークとして、YOSAKOIソーラン祭り組織委員会が法的な商標使用権者となって使用してきており、平成10年時点において、北海道内における参加地域数は137市町村、北海道以外における参加地域数は11都道府県に広がり、会場数は26箇所、参加踊り子数29,000人、観客動員数は180万人という大規模に至っている。「YOSAKOIソーラン祭り」に関連して、「YOSAKOIソーラン」のロゴがあらゆる商品及び役務について使用許諾のもとに使用され、今日では、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるほど知られているものである。

したがって、本件商標は、これを「YOSAKOI」と「ソーラン」とに分離して観察すべきではなく、「ヨサコイソーラン」の一連の称呼のみ生ずるものである。

また、観念上も、「高知のよさこい祭りと北海道の民謡・ソーラン節とが融合した新しい祭り文化」の観念を生ずるものである。

さらに、本件商標を制作するにあたり、その著作者は、本件商標中の上部と下部は、一体のものとして制作した意図があることが明らかである(乙第5号証)。

以上のように、本件商標は、「Yosakoi」の文字と「ソーラン」の文字を一連に称呼、観念すべき特段の理由がある。

前記のとおり、本件商標は、その指定商品について継続的に使用された結果、需要者に広く認識されている(乙第1号証ないし乙第6号証、乙第11号証ないし乙第56号証、乙第60号証ないし乙第63号証等)。また、本件審判において、請求人が無効と主張する第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 」のうち、ビール、ワインは、広告した事実がある(乙第13号証、乙第54号証、「札幌商工会議所会頭の証明書」)。

(イ)引用商標は、その構成文字より、「ヨサコイ」の称呼を生ずるものである。

(ウ)したがって、本件商標は、引用商標とは、比較し得ないほどに非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものではない。

6 請求人の弁駁に対する答弁

原審時において提出した意見書に添付の乙第1号証ないし乙第59号証の謄本を提出する。また、本件商標は、「YOSAKOIソーラン祭り」のロゴマークとして、第32類「ビール」および第33類「日本酒」についても使用され、需要者、取引者の間に広く認識されたものであって、その称呼は「ヨサコイソーラン」とよどみなく一連に称呼されるとして、乙第64号証ないし乙第76号証を新たに提出する。

7 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について検討する。

(ア)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、「Yosakoi」の文字とその下段の「ソーラン」の文字は、いずれも一見してどのような文字を書したのか判読しがたい程度にきわめて独創性のある書体で表されているものであり、それ故に、外観上の一体性はきわめて強いものということができる。そして、本件商標を構成する文字全体から生ずると認められる「ヨサコイソーラン」の称呼は、冗長という程のものではなく、よどみなく称呼し得るものである。

さらに、乙各号証を総合すれば、本件商標は、平成4年から北海道札幌市を中心として開催されている「YOSAKOIソーラン祭り」のロゴマークとして、ビールをはじめ各種商品に使用されていることが認められる。

そうすると、本件商標は、構成全体の外観上の一体不可分性・特異性及び称呼上の面並びに取引の実情からみて、全体として一つの造語を表したと理解されるというのが相当である。他に本件商標中の「Yosakoi」の文字部分のみを分離、抽出して、称呼、観念しなければならない特段の理由は見出せない。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「ヨサコイソーラン」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。

(イ)引用商標は、前記のとおり、「よさこい」の文字を書してなるものであるから、これより「ヨサコイ」の称呼を生ずるものであって、「よさこい節の略」(甲第3号証)の観念を有するものと認められる。

(ウ)本件商標より生ずる「ヨサコイソーラン」の称呼と引用商標より生ずる「ヨサコイ」の称呼は、後半部分において、「ソーラン」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、明瞭に聴別し得るものである。また、本件商標は、前記のとおり、構成全体をもって造語と理解されるものであるから、観念において、引用商標とは比較することはできない。さらに、両商標は、それぞれの構成よりみて、外観上顕著な差異を有するものである。

してみれば、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。