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Trademark Appeal Case

FX称呼の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−30692(T2006−30692/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2420955号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAGNA−FX」の文字を横書きしてなり、平成2年1月26日に登録出願、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、同4年6月30日に設定登録、その後、平成14年11月20日に指定商品を第10類「医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品「医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)商標権者、専用使用権者または通常使用権者が本件商標を使用していることについて

被請求人は、被請求人の子会社であるジンマー株式会社(以下、「ジンマー株式会社」という。)が、医療機械器具に属する骨接合用スクリュー(以下、「本商品」という。)を日本国内に輸入し、国内需要者に販売している旨を述べている。

このことは、被請求人自身は、本件商標を日本国内で使用していないことを認めたものである。

ジンマー株式会社は、被請求人から本件商標を使用する権限を与えられていない。

すなわち、本件商標には専用使用権が設定された旨の登録はされていないので、ジンマー株式会社は専用使用権者ではない(甲第1号証)。

また、被請求人は、ジンマー株式会社が通常使用権者であることを証明する証拠を全く提出していない。

以上より、本件商標が商標権者、専用使用権者または通常使用権者により使用されていないことは明らかである。

(2)本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が使用されていることについて

被請求人が使用を主張する商標と本件商標は、社会通念上同一の商標とは認められない。

被請求人は、請求書(乙第5号証)記載のカタログ番号と、乙第2号証の記載又は乙第4号証の記載とを突き合せることで、取り扱われた商品種類の特定が可能である旨を述べている。

しかしながら、乙第2号証に記載されている種類名は「Ti−マグナフィックススクリュー」であり、乙第4号証に記載されている商品名は、「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」であり、いずれも本件商標「MAGNA−FX」と社会通念上同一と認められない。

以下、「Ti−マグナフィックススクリュー」と、「マグナ フィックス キャニュレイテツド スクリュー」に分けて論じる。

(ア)「Ti−マグナフィックススクリュー」(乙第2号証)と本件商標「MAGNA−FX」との社会通念上の同一性について

(a)外観について

本件商標と種類名(乙第2号証)の外観は全く異なる。

(b)称呼について

本件商標からは「マグナ エフエックス」の称呼が生じ、種類名の略称と想定される「マグナ フィックス」の称呼は決して生じない。

すなわち、本件商標中の「FX」から生じる称呼は「エフエックス」であり、「フィックス」ではない。

まず、『英辞郎 on the web』において「FX」の発音を確認したところ、「フィックス」という発音は確認できなかった(甲第2号証)。

次に、インターネット検索エンジン『Google』で、「FX」をキーワードにして検索したところ、「外国為替(Foreign Exchange)」の略語が検索結果として表示された(甲第2号証及び甲第3号証)。

甲第2号証及び甲第3号証の事実から、欧文字「FX」に接した需要者は、「FX」を「外国為替(Foreign Exchange)」の略語と認識するのが一般である。そして、「外国為替(Foreign Exchange)」の略語「FX」は、「エフエックス」と称呼されている(甲第4号証)。

以上より、欧文字「FX」から生じる称呼は「エフエックス」であることが明らかである。

次に、「エフエックス」と「フィックス」が称呼上類似するかを考えると、称呼において一番聞き取りやすい語頭音が、ア行に属する「エ」音とハ行に属する「フ」音と異なっている。また、両称呼は聞いた感じが全く異なり、需要者が聞き間違えるおそれはない。

以上より、「エフエックス」と「フィックス」が称呼上非類似であることは明らかである。

したがって、本件商標から生じる「マグナ エフエックス」と、乙第2号証に記載されている種類名は「Ti−マグナフィックススクリュー」(略称として想定される「マグナフィックス」)は称呼において非類似であることは明らかである。

(c)観念について

本件商標と乙第2号証に記載されている種類名(Ti−マグナフィックススクリュー)は、いずれも造語なので特定の観念は生じない。よって、本件商標と種類名(Ti−マグナフィックススクリュー)は観念上非類似である。

(d)以上より、本件商標と乙第2号証に記載されている種類名(Ti−マグナフィックススクリュー)とは、社会通念上同一とは認められない。

(イ)「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」(乙第4号証)と本件商標「MAGNA−FX」との社会通念上の同一性について

(a)外観について

本件商標と乙第4号証記載の「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」の外観は全く異なる。

(b)称呼について

上記で述べたとおり、本件商標中の「FX」から生じる称呼は「エフエックス」であり、「フィックス」ではない。したがって、本件商標からは「マグナ エフエックス」の称呼が生じ、カタログに記載されている「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」の略称として想定される「マグナフィックス」の称呼は決して生じない。

(c)観念について

本件商標と乙第4号証記載の「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」は、いずれも造語なので特定の観念は生じない。よって、本件商標と乙第4号証に記載の「マグナ フィックス キャニュレイテッド スクリュー」は観念上非類似である。

(d)以上より、本件商標と乙第4号証記載の「マグナ フィックス キャニュレイテツド スクリュー」とは、社会通念上同一とは認められない。

(e)なお、カタログ(乙第4号証)中には、「MAGNA−Fx」の表示もある。

しかしながら、同カタログの表紙には「マグナフィックス」の文字が大きく記載されていること、及び同カタログの各ページの商品説明に「マグナフィックス」が使用されていることから、需要者は、本商品の名称を「マグナフィックス」と認識するのが自然であり、したがってカタカナ文字「マグナフィックス」が商標としての機能を果たす。

また、カタログに記載されている「MAGNA−Fx」の文字は、「Cannulated Screw Fixation System」の文字と一体的に「MAGNA−Fx Cannulated Screw Fixation System」と表示されている。したがって、需要者は、「MAGNA−Fx Cannulated Screw Fixation System」の中から、「MAGNA−Fx」の文字だけを抽出して、同文字を認識しないので、「MAGNA−Fx」の文字は商標としての機能を果たさない。

したがって、たとえカタログ中に「MAGNA−Fx」の文字が記載されているとしても、これを以って、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることにはならない。

(3)本件商標が使用されていることについて

被請求人は、本商品と同種製品が我が国に輸入されたことを主張し、その証拠として2006年3月30日付の航空貨物輸送状(乙第6号証)及び同日付米国会社発行の納品・請求書伝票(乙第7号証1〜3)を提出している。また、輸入された商品(本商品)が国内需要者に販売された旨を主張している(乙第5号証)。

しかしながら、上記書類によっては、本件商標が使用されていることは証明されない。

(ア)乙第5号証について

被請求人は、ジンマー株式会社が本商品を国内需要者に販売している旨を主張し、その証拠として顧客に発給された請求書数葉を提出している(乙第5号証)。

しかしながら、乙第5号証から分かる事実は、商品名「TIマグナスクリュー」なる商品が販売された事実に過ぎない。つまり、販売された商品に本件商標「MAGNA−FX」が付されていることは証明されない。

また、被請求人は、請求書(乙第5号証)と、カタログ(乙第4号証)又は医療用具製造承認事項一部変更承認書(乙第2号証)との突き合せによって取り扱われた商品種類の特定が可能である旨述べている。

しかしながら、上記主張のとおり商品種類が特定できたとしても、同商品に本件商標が付されていることが証明されないことに変わりはない。

(イ)乙第6号証について

2006年3月30日付の航空貨物輸送状(乙第6号証)には、貨物の内容として「医療器具」と記載されているのみである。したがって、被請求人が答弁書で述べている「乙第6号証の航空貨物は、乙第7号証1〜3の納品・請求書伝票に示されている内容を含む貨物」であるという事実は確認できない。

(ウ)乙第7号証1〜3について

確かに、納品・請求書伝票(乙第7号証1〜3)には、「MAGNA−FX」の文字が記載されている。しかしながら、同書類によっては、被請求人が本商品と同種製品と主張する商品に、本件商標が付されていることは証明されない。したがって、乙第7号証1〜3によっては、本件商標を付した商品が輸入されたことは証明されない。

また、商品が実際に輸入されたのであれば、通関料、配達料、関税、輸入消費税及び航空運賃等の支払いを証明する書類等の提出が可能であるが、被請求人はこのような書類を提出していない。したがって、乙第7号証1〜3によっては、商品が実際に輸入されたことは証明されない。

(4)まとめ

以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、使用していることは証明されていない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)被請求人は、本件商標を医療機械器具に属する骨接合用スクリューについて、本件審判請求の登録日である平成18年6月29日前3年以内に、日本国内において使用している。

(2)前記商品は、整形外科において大腿骨頸部、顆部及び脛骨等の骨折時の観血的内固定に使用される骨接合用スクリューである(乙第2号証)。本商品の外観、骨折した骨の接合し固定する態様の使用例は乙第4号証として提出する商品カタログに図示し、説明されている。これらから、本商品が医療機械器具に属することが明白である。

(3)本商品は、商標権者である米国会社により米国で製造されたものであり、商標権者の完全子会社であるジンマー株式会社(東京都港区虎ノ門4−1−17城山MTビル7階所在)により日本国内に輸入され、国内需要者に販売されている。なお、前記ジンマー株式会社は同製品の輸入許可を受けている(乙第3号証)。

(4)本商品が、ジンマー株式会社によって国内需要者に販売されている事業の一端を示すものとして、同社により顧客に発給された請求書数葉を乙第5号証として提出する。

乙第5号証の1の請求書番号950−0141は2006年1月20日付で源川医科器械新潟商品宛発行されたもので、カタログ番号48−1146−075−00、同085−00、同090−00の商品スクリューの販売に対する請求であることが示されている。

乙第5号証の2の請求書番号113−0034は2006年1月20日付でティック株式会社宛発行されたもので、カタログ番号48−1146−070−00、同080−00、同090−00の商品スクリューの販売に対する請求であることが示されている。

乙第5号証の3の請求書番号116−0014は2006年2月20日付で株式会社イトー医科器械宛発行されたもので、カタログ番号00−1146−055−00は商品スクリューの販売に対する請求であることが示されている。

乙第5号証の4の請求書番号373−0012は2006年2月20日付で株式会社栗原医療器械店宛発行されたもので、カタログ番号00−1146−060−00、同070−00の商品スクリューの販売に対する請求であることが示されている。

前記請求書に記載のカタログ番号は乙第2号証の別紙(4−5)カタログ番号と種類名及び特定保険医療材料の分類対照表及び乙第4号証のカタログにもカタログ番号が記載されていることから、乙第5号証に記載のカタログ番号と商品の特定ができる。

したがって、請求書(乙第5号証)と、カタログ(乙第4号証)又は医療用具製造承認事項一部変更承認書(乙第2号証)との突き合せによって取り扱われた商品種類の特定が可能である。

(5)さらに、前記米国会社より前記商品と同種製品の輸入のための前記ジンマー株式会社を荷受人とする貨物輸送の事実を示す、2006年3月30日付の航空貨物輸送状(乙第6号証)及び同日付米国会社発行の納品・請求書伝票(乙第7号証1〜3)を提出する。

乙第6号証の航空貨物は、乙第7号証1〜3の納品・請求書伝票に示される内容を含む貨物であり、そこに示されるカタログ番号から貨物内容は前記スクリュー及び深度計と特定されているばかりでなく、商標MAGNA−FXと商品スクリュー又は深度計が明記されている。

上記から、本件商標を付した商品骨接合用スクリューが、少なくとも平成18年3月30日で日本国向け空輸の手続きがなされ、日本国に輸入された事実が明らかである。

(6)上記証拠物件により本件商標を付された医療用品が本件取消審判請求登録前3年内に、被請求人により日本国に輸入され、販売された事実が明らかであり、本件商標は商標法第50条第1項によってその登録を取り消すべき理由はない。

(7)よって、本件商標の登録は、その全指定商品について維持されるべきものである。

第4 当審の判断

被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出し、本件商標を付した商品「骨接合用スクリュー」が、本件審判請求登録前3年内に、被請求人により日本国に輸入され、販売された事実が明らかである旨主張している。

請求人は、「ジンマー株式会社は、被請求人から本件商標を使用する権限を与えられていない。すなわち、本件商標には専用使用権が設定された旨の登録はされていないので、ジンマー株式会社は専用使用権者ではない。また、被請求人は、ジンマー株式会社が通常使用権者であることを証明する証拠を全く提出していない。以上より、本件商標が商標権者、専用使用権者または通常使用権者により使用されていないことは明らかである。」旨主張しているので、まずこの点について検討するに、通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について使用の許諾をすることにより発生するものであり、例えば、商標登録原簿に登録されることが効力を生ずる要件とはなっていない。そして、被請求人は、「使用商品は、商標権者である米国会社により米国で製造されたものであり、商標権者の完全子会社であるジンマー株式会社(東京都港区在)により日本国内に輸入され、国内需要者に販売されている。」旨主張しており、しかも、被請求人の名称が「ジンマー インコーポレーテッド」であり、子会社の名称又はその名称の一部として親会社の名称の一部等を使用することが一般に行われているといえるものであるから、被請求人の名称の一部を使用したものと認められるジンマー株式会社(以下「通常使用権者」という。)は、本件商標に関する通常使用権者でないとまではいい得ない。

次に、被請求人の提出に係る上記証拠についてみるに、乙第4号証によれば、商品「骨接合用スクリュー」(以下「使用商品」という。)が、整形外科において大腿骨頸部、顆部及び脛骨等の骨折時の観血的内固定に使用されるものであるから、使用商品は、本件商標の指定商品「医療用機械器具」の範疇に属するものと認められる。

乙第7号証の1ないし乙第7号証の3の2006年3月30日付の納品・請求書伝票には、いずれも「MAGNA−FX」の文字が記載されており、該納品・請求書伝票に記載されているカタログ番号00114604032、同00114605032、同00114609032は、乙第4号証に記載されているカタログ番号1146−040−32、同1146−050−32及び同1146−090−32と同一のものと推認し得るものであるから、該納品・請求書伝票によれば、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した使用商品に、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたものと認めざるを得ない。

してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、使用商品について使用していたものといわなければならない。

なお、請求人は、「被請求人が使用を主張する商標と本件商標は、社会通念上同一の商標とは認められない」旨主張しているが、本件については、上記認定のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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