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Trademark Appeal Case

一字違い商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−67002(T2003−67002/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第757595号商標(以下「本件商標」という。)は、「EPILAST」の欧文字を横書きしてなり、2001年(平成13年)11月22日を事後指定の日とし、第8類「Manual hair−removal apparatus and instruments;electric hair−removal apparatus and instruments;electric and non−electric nail clippers;hair−removing tweezers;razor cases;razor blades;nail files;shaving cases;electric and non−electric razors.」を指定商品として、平成15年1月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、との審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。

(1)引用商標

請求人の引用する商標は、以下の5件である。

(a)登録第3269195号商標(以下「引用商標1」という。)は、「エピラット」の片仮名文字と「EPILAT」の欧文字を二段に併記してなり、平成6年8月25日に登録出願、第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)」を指定商品として、同9年3月12日に設定登録、同18年11月28日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(b)登録第3314253号商標(以下「引用商標2」という。)は、「エピラット」の片仮名文字と「EPILAT」の欧文字を二段に併記してなり、平成5年10月15日に登録出願、第21類「脱毛テープ」を指定商品として、同9年5月30日に設定登録、同19年2月6日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(c)登録第3318501号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおり、「epilat」の欧文字をやや図案化し横書きしてなり、平成6年1月27日に登録出願、第21類「脱毛テープ」を指定商品として、同9年6月6日に設定登録されたものである。

(d)登録第1915721号商標(以下「引用商標4」という。)は、「エピラット」の片仮名文字と「EPILAT」の欧文字を二段に併記してなり、昭和59年5月11日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同61年11月27日に設定登録されたものである。その後、平成9年4月25日、同18年8月1日に商標権存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同18年8月23日付けで第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」に書換登録されたものである。

(e)登録第3214654号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲のとおり、「epilat」の欧文字をやや図案化し横書きしてなり、平成6年1月27日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同8年10月31日に設定登録、同18年8月29日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

以下、上記の商標をまとめていう場合、「引用商標」という。

(2)理由の要点

(ア)第4条第1項第11号該当について

本件商標と引用商標1ないし3の外観について比較すると、本件商標は、欧文字で「EPILAST」と表示してなるものである。これに対して、引用商標1及び2の欧文字部分と引用商標3は、「EPILAT」又は「epilat」と表示してなるものである。両者の違いは、本件商標の6文字目の「S」の文字の有無のみである。したがって、本件商標と引用商標1ないし3は、外観において類似する。

つぎに、称呼について比較するに、本件商標からは「エピラスト」の称呼が生じる。これに対して、引用商標1ないし3からは「エピラット」の称呼が生じる。両称呼は、第1音から第3音の「エピラ」と語尾音の「ト」を共通にし、異なるのは第4音の「ス」と促音「ッ」のみである。

互いに類似のものと判断されている例として、以下のものを挙げる。(甲第7号証ないし甲第10号証)

「エベレスト」=「エベレット」(第24類)

「ユーキャスト」=「U−CAT/ユーキャット」(第1類)

「Sunkist」=「サンキット」(第1類)

「ヒストミン」=「HITMIN/ヒットミン」(第1類)

したがって、本件商標と引用商標1ないし3は、称呼においても類似する。また、本件商標と引用商標1ないし3は、指定商品も類似するものである。

(イ)第4条第1項第15号該当について

引用商標は、本件商標出願時点において我が国の需要者の間で極めて周知度の高い商標となっていたものである。

すなわち、請求人は、引用商標を1983年、脱毛ゼリー及び脱毛テープに付して販売を開始した。以後、消費者の人気を得るにつれ、1984年脱毛ワックス、1985年むだ毛脱色剤、1986年除毛クリーム、1989年除毛フォーム、1998年にはシェービングジェル及びスキンケアローションの販売を開始し拡大してきた。(甲第11号証ないし甲第18号証)

これら商品は、簡単で長持ちする利便性、手が汚れない商品構造、やさしい心地で処理後の腕や脚の毛がナチュラルな感じとなる、買いやすい価格等が消費者に受け入れられ瞬く間にヒット商品となった。ニールセンの調査による近年の売れ筋商品のヒットチャートのむだ毛処理剤の分野において、引用商標を付した商品の販売金額のシェアは、1999年から2002年の間いずれも50%前後を占め、常に第1位である。

したがって、引用商標を付した商品は、むだ毛処理剤分野で需要者、取引者に圧倒的な認知性を有するものである。

(ウ)よって、本件商標は、商標法第4条第1第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を無効とされるべきものである。

(3)弁駁の理由

(ア)本件商標と引用商標は、称呼における識別上最も重要な要素を占める語頭音から第3音までと、語尾音である第5音をも同一にするものであるから、一連に称呼した場合、5音中、「工」「ピ」「ラ」「ト」の4音を共通にする相紛らわしい類似の商標である。特に、語頭音に続く「ピ」「ラ」は、共に強く明瞭に発音する音であり、本件商標及び引用商標に接する者は、第1音から第3音に強い印象を受け、第4音の差異を有するにせよ、両商標を聴別できないものと思料する。

被請求人は、本件商標は、「エピラスト」と平板かつ滑らかに発音されるのに対して、引用商標は、第3音節の「ラッ」にアクセントが掛かり、強く発音されるものであるから、両者の称呼は別個のものである旨主張している。しかし、この主張が誤ったものであることは、先に挙げた審決例からも明らかである。

これら審決例を踏まえて、本件商標と引用商標の関係をみると、それぞれの称呼上の差異である「ス」と促音(ッ)は、その前者である強者の「ラ」に吸収されることは明らかである。したがって、両称呼を一連に称呼した場合、アクセントが強く掛かる音は、共に、「ラ」であり、引用商標の「ラッ」に殊更アクセントが掛かるとの被請求人の主張は誤りであり、本件商標と引用商標は、称呼上、相紛らわしい関係にあるといえる。

(イ)称呼上の差異が「ス」と促音(ッ)のみであって、類似と判断された審決例を追加として挙げる。(甲第25号証ないし甲第30号証)

「whisper/ウィスパー」=「ウイッパー」(第21類)

さらに、称呼上の差異が弱音と促音(ッ)のみであって、類似と判断された審決例を挙げる。

「ベルミンク/BELLMINK」=「ベルミツク」(第17類)

「フルメント/FURUMENT」=「フルメット」(第1類)

「アースライト」=「アースラット」(第1類)

「DOMINX」=「Domix」(第16類)

「FRANCHE/フランシュ」=「フラッシュ」(第17類)

(ウ)したがって、本件商標は引用商標と類似するものであり、併存使用されれば、請求人が引用商標を付して販売する周知商品と出所の混同を生ずることは明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

先ず、商標の外観については、その構成に係る全体をもって、比較検討をしなければならないところ、本件商標が、「EPILAST」のローマ字のみを一連に横書きしてなるのに対して、引用商標1、引用商標2及び引用商標4は、いずれも「エピラット」の片仮名文字と「EPILAT」のローマ字とを、上下二段に、それぞれ横書きしてなり、また、引用商標3及び引用商標5は、共に、「epilat」のローマ字を、やや特殊な構成態様をもって、横書きしてなるものであるから、両者は、一見直ちに区別し得る相当顕著なる差異を有していること明らかである。そうすると、対比観察においてはもとよりのこと、たとえ、これらを時と処とを異にして、離隔的に観察したとしても、これらに接する看者をして、決して彼此の外観を互いに見誤らせるおそれの全くない、別異の商標である。

つぎに、称呼についてみるに、本件商標は、その構成より「エピラスト」の称呼を生ずるのに対して、引用商標は、それらの構成より「エピラット」の称呼を生ずること明らかである。

しかして、「エピラスト」と「エピラット」の称呼とは、5音構成対4音節構成という差異があり、その差異音は、第4音の「ス」と第3音節の「ラッ」の促音にあるところ、前者は、「エピラスト」と平板かつ滑らかに発音されるのに対して、後者は、促音を伴う関係上、第3音節の「ラッ」にアクセントが掛かり、強く発音されるものであるから、かかる比較的短い構成中の上記差異が、全体の称呼に及ばす影響は極めて大きく、両者を全体として一連に称呼したときにおける、語調、語感を相異ならしめ、これらに接する聴者をして、決して彼此の称呼を互いに聞き誤らせるおそれの全くない、別個の商標であるといわなければならない。

上記主張理由の正当性を立証すべく、審決例を次に挙げる。(乙第1号証ないし乙第4号証)

「PINKIT」×「ピンキスト」(第3類)

「ZEST」×「ZETT」(第24類)

「PASCARD/パスカード」×「パッカード/PACKARD」(第17類)

「シッカビオン/SICCABION」×「ス力ビオン/Scabion」(第1類)

更に、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の語義、観念を想起することのない、造語よりなる商標であるから、両者の観念上の類否については、比較すべくもないところである。

してみれば、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、決して相紛れるおそれのない、互いに非類似の商標であるといわなければならないから、引用商標の周知度について言及するまでもなく、本件商標をその指定商品について使用をするも、その商品の出所につき誤認、混同を生じさせるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものではなく、その登録は無効とされるべきものではない。

4 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、上記のとおり、「EPILAST」の文字を書してなるものであるから、これよりは「エピラスト」の称呼を生じ特定の意味合いを生ずることのない造語よりなるものと認められる。

他方、引用商標は、上記のとおり、「エピラット」と「EPILAT」又はやや図案化した「epilat」の文字よりなるものであるから、これよりは「エピラット」の称呼を生じ特定の意味合いを生ずることのない造語よりなるものと認められる。

そこで、まず、上記「エピラスト」と「エピラット」の両称呼を比較するに、両者は中間部において「ラス」と「ラッ」の音に相違があるが、前者は「ラ」「ス」と1音ずつ区切って発音されるのに対し、後者は「ラッ」と1音で発音されるから、かかる音自体の印象に明らかな相違があるばかりでなく、前者は「ラス」の音を含め全体が平板に発音され、後者は「ラッ」の音にアクセントが置かれ全体が弾むように発音されるから、上記差異音の全体の称呼に与える影響は大なるものがあるといわなければならない。

したがって、両者は、それぞれを一連に称呼するときには、その語調、語感が相違し、称呼において十分に区別することのできるものというのが相当である。

つぎに、外観についてみるに、本件商標は、「EPILAST」の欧文字よりなるのに対し、引用商標1、2及び4は、いずれも「エピラット」と「EPILAT」の片仮名文字と欧文字よりなるものであるから、両者の外観における相違は明らかであるばかりでなく、本件商標と引用商標1、2及び4の欧文字部分並びに引用商標3及び5とを比較しても、本件商標の構成中には6文字目に「S」の1字を多く有するから、両者が7文字と6文字の決して冗長とはいえない文字数により構成されてなるものであることを勘案すれば、上記「S」の文字の有無により外観上十分区別し得るものと認められ、しかも、引用商標3及び5はやや図案化した小文字の「epilat」による文字構成であってみれば、その相違は明確であり、本件商標と引用商標とは、外観においても相紛れるものではないといわなければならない。

そして、両者は、観念においては比較し得ないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても十分区別することのできる非類似の商標と認められる。

(2)商標法第4条第1項第11号該当について

上記のとおり、本件商標と引用商標1ないし3は、商標において互いに非類似のものと認められるから、指定商品の類否について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当について

請求人より提出された甲第11号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)によれば、仮に、引用商標が、むだ毛処理剤の商品分野で需要者、取引者間に相当程度知られていたものであるとしても、本件商標は、引用商標とは上記(1)で認定、判断したとおり十分に区別し得る別異の商標といえるものであり、他に、両商標を関連づけてみるべき理由は見当たらないから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者、取引者が引用商標を連想、想起することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。

(4)結び

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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