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Trademark Appeal Case

同一商標・商品類似の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−90179(T2006−90179/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4925516号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4925516号商標(以下「本件商標」という。)は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなり、平成16年6月6日に登録出願され、第29類「アスコルビン酸パルミチン酸エステルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,植物を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,野菜を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,果実を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,魚を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,海藻を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,酵素を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,乳酸菌を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,肉類を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ビタミンを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ミネラルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,アミノ酸を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,炭水化物(デンプン質・糖質)を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,たんぱく質を主原料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品」を指定商品として、平成17年12月26日に登録査定、同18年2月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立の理由を要旨以下のように述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第24号証を提出している。

(1)本件商標と、「ESTER−C」の文字を横書きしてなり、平成13年10月31日に登録出願、第5類「ビタミン及びミネラルを成分とする粉末状・顆粒状・錠剤状の薬剤」を指定商品として、同17年12月16日に設定登録された登録第4915114号商標(以下「引用商標」という。)とは、共に「ESTER−C」の英文字からなり、「エスターシー」の称呼を生ずるから、両商標は外観及び称呼を共通にする同一の商標である。また、本件商標の指定商品中「アスコルビン酸パルミチン酸エステルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ビタミンを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ミネラルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品」と、引用商標の指定商品とは、生産者・販売者・原材料・用途・需要者等を共通にする点が多く、互いに類似する商品である。

(2)申立人及びそのライセンシーが使用中の商標(以下「使用標章」という。)は、「ESTER−C」又は「Ester−C」の英文字あるいは「エスターC」のカタカナ及び英文字からなり、「エスターシー」の称呼を生ずるものであり、サプリメント(栄養補助食品)に使用されているから、本件商標と使用標章とは、同一又は類似の商標である。また、本件商標の指定商品は、使用標章が使用されている商品と同一又は類似の商品であり、使用標章は、本件商標の登録出願時である平成16年6月6日当時及び登録査定時に、すでにサブリメントの分野では需要者の間で広く認識されていた。そして、その事実を本件商標の商標権者が知らないはずはないから、本件商標の使用形態は、使用標章のフリーライドの意図を認めることができる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審が通知した取消理由通知(要旨)

本件商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、前記1及び2のとおり「ESTER−C」の構成からなるところ、両者は、それぞれの文字の書体がやや異なるのみで、ほぼ同一の商標といえるものであるから、本件商標と引用商標とは、外観及び「エスターシー」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。

次に、両商標の指定商品について検討するに、登録異議申立人の提出に係る証拠及び申立の全趣旨によれば、以下のように判断するのが相当である。

すなわち、本件商標の指定商品は、前記1の表示から明らかなように、ビタミンやミネラル等を主原料とする食品であって、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品、いわゆる健康食品(健康補助食品、栄養補助食品、サプリメントともいう。)の範疇に属する商品といえるものである。他方、引用商標の指定商品は、薬剤ではあるものの、ビタミン及びミネラルを成分とすることを積極的に謳った商品であり、いわゆるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤の範疇に属する商品といえるものである。そして、健康食品もビタミン剤も、食事で不足するビタミン、ミネラル、栄養素等を補うという点では共通であり、薬事法上の規制を受けるか否かの差異を有するのみで内容的にほとんど同じものも存在するなど、その原材料、目的、用途、生産者、需要者等を共通にするものといえる。

また、昨今は、病気の予防、健康の維持に対する関心の高まりと共に、健康食品に対する関心も高まり、健康食品ブームともいえる状態で健康食品の市場は急成長し、薬局、薬店においても医薬品のみならず健康食品を販売するようになっているし、ドラッグストアでも薬局、薬店と同様に、医薬品と健康食品を販売するようになり、その販売方法も近似したものとなっている。こうした情況を受け、食品メーカーだけでなく製薬会社も、健康食品の分野に進出し、医薬品のみならず健康食品の製造も行うようになり、しかも、両商品は粉末状、顆粒状、錠剤状といった商品の形状をはじめ、商品のパッケージ等も近似したものとなっている。

このように、本件商標の指定商品、つまり健康食品と引用商標の指定商品であるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤とは、その商品の原材料、品質(内容)、用途、販売店舗、販売方法、需要者等が共通しており、互いに類似する商品というべきである。

なお、判決例においても、いわゆる健康食品と薬剤たるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤とが類似する商品である旨判示されている(例えば、東京高裁平成14年(行ケ)第555号・平成15年5月22日判決、東京高裁平成17年(行ケ)第10763号・平成18年4月27日判決参照。)。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)

商標権者は、上記3の取消理由の通知に対し、意見の理由1.として、申立人が提起した本件商標に係る民事裁判に提出した「最終陳述書(被告準備書面(2))及び代表者の主張」を提出し、裁判所とは係わらない判断を望む旨及び意見の理由2.として、申立人と商標権者の両商標を一旦登録したにもかかわらず、申立人の引用商標と類似するとの取消理由の通知は、本件商標と分類が異なる申立人の引用商標とが類似することを承知のうえのことであり、今頃になって本件商標を取り消すべきとの理由は承伏できない旨意見を述べている。

5 当審の判断

商標権者は、平成19年2月15日付けの上記3の取消理由の通知に対し、同年3月26日付け上記4の意見書を提出し意見を述べているので、以下検討する。

(1)登録異議の申立て制度の目的(趣旨)及び取消理由の通知について

商標権者は、意見書において、申立人と商標権者の両商標を一旦登録したにもかかわらず、今頃になって本件商標を取り消すべきとの理由は承伏できない旨の意見を述べている。

しかしながら、登録異議の申立て制度の目的は、登録の適否を重ねて審理し、暇庇のある登録商標を排除することによって商標登録に対する信頼を維持することを目的とするものである。そして、登録異議の申立を受けて重ねて審理した結果、登録が誤りであるとの結論に達したとき、査定と異なる決定をすべきことは制度自体が予定するところというべきである。

本件取消理由の通知は、登録の適否を重ねた結果、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

(2)指定商品の類否判断について

本件商標の指定商品は、前記1のとおりであり、引用商標の指定商品は、前記2のとおりであるところ、指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても、類似の商品にあたるものと解される。

これを本件事案についてみると、

(ア)生産者

本件商標の指定商品は、前記1のとおりビタミンやミネラル等を主原料とする食品であり、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品、いわゆる健康食品(健康補助食品、栄養補助食品、サプリメントともいう。)の範疇に属する商品といえるものであり、一般には健康食品・栄養補助食品のメーカーによって生産されるものではあるが、必ずしも前記メーカーに限定されるものではなく、薬品メーカー(製薬会社)がいわゆる健康食品又は栄養補助食品の分野に進出し生産しているメーカーも存在する。他方、引用商標は、ビタミン及びミネラルを成分とすることを積極的に謳った商品であり、いわゆるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤の範疇に属する商品といえるものであり、薬品メーカーによって生産されるものである。

(イ)販売者

次に、販売者についてみると、本件商標の指定商品も引用商標の指定商品も、共に健康を保つ商品であり、一般的には薬品店、ドラックストア、薬局等で販売されているものである。

(ウ)需要者

さらに、需要者についてみると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も老若男女を含む人を需要者とする者である。

(エ)以上の事実によれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、通常同一の営業主によって製造・販売され、その需要者も共通するものであるから、両商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるものと認められ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似であるというべきである。

(3)商標の類否判断について

(ア)称呼

本件商標は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「エスターシー」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「エスターシー」の称呼を生ずる。

(イ)観念

本件商標と引用商標とは、共に特定の観念を有しない造語と認められる。

(ウ)外観

本件商標は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなるものであり、引用商標は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなるものであるところ、やや書体が異なるものとはいえ、両商標は共に同じ綴りの欧文字より構成されているから、外観において類似するものといえる。

(エ)両商標の類否についての検討

上記の事実を総合して、本件商標と引用商標とを対比すると、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合には、観念においては、共に造語であり比較することはできないが、両者は外観及び称呼を共通にするものであるから、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあり、全体として類似する商標といわざるを得ない。

(4)結論

以上検討したとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは互いに類似する商品と認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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