Trademark Appeal Case
称呼類似と指定商品類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90295(T2006−90295/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4944128号商標(以下「本件商標」という。)は、「エスターシー」及び「エスターC」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成17年4月20日に登録出願され、第29類「アスコルビン酸・パルミチン酸・エステル及びアスコルビン酸・カルシウムを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,植物を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,野菜を主原料とする粉末状・顆粒状・粉状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,果実を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,魚を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,海藻を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,酵素を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,乳酸菌を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,肉類を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ビタミンを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,ミネラルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,アミノ酸を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,炭水化物(デンプン質・糖質)を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,たんぱく質を主原料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品」を指定商品として、平成18年3月6日に登録査定、同年4月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立の理由を要旨以下のように述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第29号証を提出している。
(1)本件商標は、「ESTER−C」の文字を書してなり、平成13年10月31日に登録出願され、第5類「ビタミン及びミネラルを成分とする粉末状・顆粒状・錠剤状の薬剤」を指定商品として、同17年12月16日に設定登録された登録第4915114号商標(以下「引用商標」という。)とは「エスターシー」の称呼を共通にする類似の商標と認められ、その指定商品も互いに類似の商品と認められる。
(2)また、本件商標は、「ESTER−C」、「Ester−C」及び「エスターC」の文字よりなる申立人及びそのライセンシーがサプリメント(栄養補助食品)に使用する商標(以下「使用標章」という。)とは、同一又は類似の商標であり、使用標章は、本件商標の登録出願時である平成17年4月20日当時及び登録査定時に、すでにサプリメントの分野では需要者の間で広く認識されていた。そして、その事実を本件の商標権者が知らないはずはないから、本件商標の使用形態は、使用標章のフリーライドの意図を認めることができるので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものである。
(3)さらに、使用標章は、申立人が開発した特許技術に基づいて製造されたビタミンC成分を表象する商標として、前記成分が配合されたサプリメントや化粧品に使用された結果、本件商標の登録査定時にサプリメントや化粧品の分野では、需要者の間で広く認識されている。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人に係るビタミンC成分が配合されたものと認識され、本件商標は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第19号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審が通知した取消理由通知(要旨)
本件商標と引用商標との類否について検討するに、両商標は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「エスターシー」の称呼を生ずることが明らかであるから、本件商標と引用商標とは、称呼を共通にする類似する商標といわなければならない。
次に、両商標に係る指定商品について検討するに、申立人の提出に係る証拠及び申立ての全趣旨によれば、以下のように判断するのが相当である。
すなわち、本件商標に係る指定商品は、ビタミンやミネラル等を主原料とする食品であって、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品、いわゆる健康食品(栄養補助食品、健康補助食品、サプリメントともいう。)の範ちゅうに属する商品といえるものである。他方、引用商標に係る指定商品は、薬剤ではあるものの、ビタミン及びミネラルを成分とすることを積極的にうたった商品であり、いわゆるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤の範ちゅうに属する商品といえるものである。そして、健康食品もビタミン剤も、食事で不足するビタミン、ミネラル、栄養素等を補うという点では共通であり、薬事法上の規制を受けるか否かの差異を有するのみで、内容的には、ほとんど同じものも存在するなど、その原材料、目的、用途、生産者、需要者等を共通にするものといえる。
また、昨今は、病気の予防、健康の維持に対する関心の高まりと共に、健康食品に対する関心も高まり、健康食品ブームともいえる状態で健康食品の市場は、急成長し、薬局、薬店においても、医薬品のみならず健康食品を販売するようになっており、ドラッグストアでも、薬局、薬店と同様に、医薬品と健康食品を販売するようになり、その販売方法も近似したものとなっている。こうした情況を受け、食品メーカーだけでなく製薬会社も、健康食品の分野に進出し、医薬品のみならず健康食品の製造も行うようになり、しかも、両商品は、粉末状、顆粒状、錠剤状といった商品の形状をはじめ、商品のパッケージ等も近似したものとなっている。
そうとすると、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品である「ビタミン及びミネラルを成分とする粉末状・顆粒状・錠剤状の薬剤」とは、その商品の原材料、品質(内容)、用途、販売店舗、販売方法、需要者等が共通しており、互いに類似する商品というべきである。
なお、判決例においても、いわゆる健康食品と薬剤たるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤とが類似する商品である旨判示されている(例えば、東京高裁平成14年(行ケ)第555号・平成15年5月22日判決、東京高裁平成17年(行ケ)第10763号・平成18年4月27日判決参照。)。 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、商標において類似し、かつ、指定商品においても類似するものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、その登録を取り消すべきものである。
4 商標権者の意見(要旨)
商標権者は、上記3の取消理由の通知に対し、意見の理由1.として、申立人が提起した本件商標に係る民事裁判に提出した「被告準備書面(2)及び代表者の主張」を提出し、裁判所とは係わらない判断を望む旨及び意見の理由2.として、申立人と商標権者の両商標を登録した本件商標が申立人の登録商標に類似するとの取消理由の通知は、引用商標に類似することを知りながら登録したにもかかわらず、今頃になって本件商標を取り消すべきとの理由は承伏できない旨の意見を述べている。
5 当審の判断
商標権者は、平成19年2月13日付けの上記3の取消理由の通知に対し、同19年3月26日付け上記4の意見書を提出し意見を述べているので、以下検討する。
(1)登録異議の申立て制度の目的(趣旨)及び取消理由の通知について
商標権者は、意見書において本件商標と引用商標とが類似するとの取消理由の通知は、引用商標に類似することを知りながら登録したにもかかわらず、今頃になって本件商標を取り消すべきとの理由は承伏できない旨意見を述べている。
しかしながら、登録異議の申立て制度は、特許庁自ら登録処分の適否を審理し、暇庇ある場合には、その是正を図ることによって商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するものである。そして、登録異議の申立てを受けて重ねて審理した結果、登録が誤りであるとの結論に達したとき、査定と異なる決定をすべきことは制度自体が予定するところというべきである。
本件取消理由の通知は、登録の適否を審理した結果、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。
(2)指定商品の類否判断について
本件商標の指定商品は、前記1のとおりであり、引用商標の指定商品は、前記2のとおりであるところ、指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものではなく、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても、類似の商品にあたるものと解される。
これを本件事案についてみると、
(ア)生産者
本件商標の指定商品は、前記1のとおりビタミンやミネラル等を主原料とする食品であり、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品、いわゆる健康食品(健康補助食品、栄養補助食品、サプリメントともいう。)の範疇に属する商品といえるものであり、一般には健康食品・栄養補助食品のメーカーによって生産されるものではあるが、必ずしも前記メーカーに限定されるものではなく、多数の製薬会社がいわゆる健康食品の分野に進出してきており生産されている。
他方、引用商標の指定商品は、ビタミン及びミネラルを成分とすることを積極的にうたった商品であり、いわゆるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤の範疇に属する商品といえるものであり、製薬会社によって生産されるものである。
(イ)販売者
次に、販売者についてみると、本件商標の指定商品も引用商標の指定商品も、共に健康を保つ商品であり、一般的には薬店、ドラックストア、薬局等で販売されているものである。
(ウ)需要者
さらに、需要者についてみると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、病気の治療のみならず、病気の予防、健康の維持を目的とする者が需要者である。
(エ)以上の事実によれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、通常、同一の営業主によって、製造、販売され、その需要者も共通するものであるから、両商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるものと認められ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似であるというべきである。
(3)商標の類否判断について
本件商標は、「エスターシー」及び「エスターC」の文字を書してなるから、その構成文字に相応して、「エスターシー」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、「ESTER−C」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「エスターシー」の称呼を生ずるものである。
以上の事実を総合して、本件商標と引用商標とを対比すると、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合には、外観が相違し、観念においては、、共に造語であり比較することはできないとしても、称呼において共通にするものであるから、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあり、全体として類似する商標といわざるを得ない。
(4)結論
以上検討したとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは互いに類似する商品と認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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