Trademark Appeal Case
記述的商標と品質誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90659(T2006−90659/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録4989528号商標(以下「本件商標」という。)は、「ローマンガルム」の文字を書してなり、平成18年2月15日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月5日に登録査定され、同年9月22日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立の理由の要旨
本件商標は、「ローマンガルム」の文字を普通に用いられる方法で表示したものにすぎないから、指定商品中「古代ローマ風の魚の塩漬けを濃縮して発行させた醤」に用いるときには「ローマ産または古代ローマ風に調理された魚醤」であるということを表示するものにすぎず、また、「その他の魚醤」及び「その他の調味料」に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、同法第15条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成19年4月24日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
登録異議申立人の提出に係る甲各号証によれば、本件商標の構成中前段部の「ローマン」の語が「ローマの、ローマ人」の意味を有する「Roman」を片仮名で表したこと(甲第6号証)、また本件商標の構成中後段部の「ガルム」の語がその指定商品中の商品「調味料」との関係よりすると、「古代ローマにおいて、魚の塩漬けを濃縮して発酵させた醤(ひしお)」を意味する「Garum」を片仮名で表した語であって、甲第4号証の2によれば、イタリアではカタクチイワシを原料として魚醤「ガルム」が製造されている。同第4号証の8によれば、ポンペイのどの家庭でも魚醤「ガルム」を常備している。同第4号証の11によれば、石川県のメーカーに委託してカタクチイワシを原料に「ガルム」を生産する記事を見出すことができる。同第5号証の2によれば、イタリアでは、ガルムが魚醤としてポピュラーである。
以上に記載したように、近年、これを再現する試みがなされていて、食品業界の専門誌ばかりでなく、新聞、テレビ又はいわゆるインターネット・ホームページ情報でも紹介され、或いは「ガルム」又は「Garum」を使用した料理を提供するレストラン等も紹介されている事実を認めることができる。
さらに、職権をもって調査するに、株式会社研究社が発行した「LEXICON LATINO−JAPONICUM 羅和辞典」によれば、「garum」の文字は「魚汁」の意味を有すること、日仏料理教会が編集し株式会社白水社が発行した「山本直文フランス料理用語辞典」によれば、「garum」の文字が「ギリシャ、ローマ時代に多用された魚醤」の意味を有し、例えば、「油を加えた魚醤」を「oleogarum(eの文字の上にはアクサン記号が付されている。)」、「酢を加えた魚醤」を「oxygarum」と称している。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中の「古代ローマ風(ローマ産)の魚の塩漬けを濃縮して発酵させた醤(ひしお)」について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に商品の品質(産地、販売地)を表したものと理解・認識させるにすぎないものであり、また、上記商品以外の「調味料」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中「調味料」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由通知に対して、指定した期間内に意見書を提出していない。
第5 当審の判断
本件商標は、上記第3で述べたとおりの取消理由があるものと認められるので、本件商標の指定商品中「調味料」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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