Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900015(T2007−900015/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4994278号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハラクリア」及び「haraclear」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成18年3月7日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、同年10月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4319936号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ハダクリーン」の文字を標準文字で表してなり、平成10年9月22日に登録出願、第5類「寄生動物に対する薬剤,動物用薬剤」を指定商品として、同11年10月1日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4454852号商標(以下「引用商標2」という。)は、「HADACLEAN」の文字を標準文字で表してなり、平成12年1月26日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同13年2月23日に設定登録されたものである。
(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)
(2)理由の要点
本件商標は、指定商品中「薬剤」について、以下のア及びイにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の欧文字部分と引用商標2の欧文字とを比較した場合、両者は共にアルファベット9文字を左横書きした構成であり、そのうち7文字を共通にするものであり、僅かに中間における「r」と「d」及び語末における「r」と「n」の2文字の差異のみにすぎない。それ故、迅速繁忙な取引の実際において離隔的に観察した場合、両商標は全体として互いを錯覚しやすい視覚的な紛らわしさがあり、外観上類似する商標である。
また、本件商標は、構成中の「クリア」 「clear」の文字部分は、一般に「きれいな、明るい、澄んだ」等を意味する平易な外来語であり、かつ指定商品との関係では、その品質、用途又は機能、効能を表示するものとして容易に理解され、かつ自他商品識別力の極めて稀釈化されたものと認められるから、本件商標は、その構成文字全体より「ハラクリア」の称呼を生じるほか、単に「ハラ」の略称をも生じること明らかである。
これに対し、引用商標1及び2は、構成中の「クリーン」「CLEAN」が一般に「清潔な、きれいな、よごれのない」等を意味する平易な外来語であり、指定商品との関係では、その品質、用途又は機能、効能を表示するものとして容易に理解され、自他商品識別力の極めて稀釈化されたものと認められるから、引用商標は、「ハダクリーン」の称呼を生じるほか、単に「ハダ」の略称をも生じること明らかである。
そこで、「ハラクリア」と「ハダクリーン」の称呼について比較すると、両者は称呼を識別する上で最も重要な要素を占める語頭音「ハ」、第3音「ク」、第4音「リ」の3音を共通にし、異なるところは、中間音の「ラ」と「ダ」、後者の長音の有無及び末尾音「ア」と「ン」との差異にすぎない。しかして、両称呼における各差異音は微差にすぎないから、両者はそれぞれを一連に称呼した場合、全体の語感語調が極めて近似したものとなり、称呼上相紛れるおそれがある。
つぎに、「ハラ」と「ハダ」の称呼について比較すると、共に2音構成であり、称呼を識別する上で最も重要な要素を占める語頭音「ハ」を共通にし、第2音の「ラ」と「ダ」とのわずかな差異にすぎないものである。両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、その全体の音調、音感が相似たものとなり、聴者をして、互いに聞き誤らせるおそれがある。
本件商標は、引用商標と外観及び称呼において類似するものであり、また、その指定商品「薬剤」を共通にするものである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、本件商標の査定時はもとより出願時においても、すでに申立人製「魚類の寄生虫駆除剤」の商標として周知著名に至っていた。
したがって、仮に商標法第4条第1項第11号にいう類似の商標とまで言えないとしても、著名な引用商標と視覚及び聴覚上近似するものであり、本件商標をその指定商品「薬剤」、殊に「寄生虫駆除剤」等に使用するときは、その商品があたかも申立人が取り扱う商品の姉妹品か、またはこれと出所を同じくする何らかの関連ある商品であるように誤られ、その出所について混同を生じせしめるおそれを免れ得ない。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「ハラクリア」と「haraclear」の文字からなるところ、その片仮名文字及び欧文字の構成各文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一連に表されており、「ハラ」あるいは「hara」の部分に限定して当該部分から生ずる称呼にて取引に資されるとすべき格別の理由はないうえ、構成文字全体に相応した称呼も一気一連に称呼し得るものであるから、本件商標からは、「ハラクリア」のみの称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
また、引用商標1及び2も、構成各文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一連に表されており、「ハダ」あるいは「HADA」の部分に限定して当該部分から生ずる称呼にて取引に資されるとすべき格別の理由はないうえ、構成文字全体に相応した称呼も一気一連に称呼し得るものであるから、引用商標1及び2からは、「ハダクリーン」のみの称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
しかして、「ハラクリア」の称呼と「ハダクリーン」の称呼について比較すると、両者は、第1音「ハ」、第3及び第4音「クリ」を共通にするが、第2音で「ラ」と「ダ」の差異、語尾で「ア」と「ン」の差異、さらに「リ」に長音を伴うか否かの差異を有するものである。そして、5音(長音を含めても6音)の比較的簡素な称呼において、いずれも明確に聞き分けられる前記差異音が、称呼全体の音感に与える影響は決して小さいとは言い難く、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、全体の音感が異なり、互いに相紛れることなく判然と区別し得るものである。
してみると、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼において類似するものとは認められない。
さらに、本件商標と引用商標1及び2との外観構成は明らかに相違するものであり、外観において紛れるおそれはない。そして、本件商標と引用商標2とをその欧文字において比較してみても、その構成文字に明らかな差異があり、それぞれ全体から受ける印象が全く異なり、相紛らわしいものとは認められない。また、両商標が観念上、相紛れる余地はない。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1及び2に類似する商標であると判断することはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
申立人提出の証拠によれば、引用商標が商品「魚類の寄生虫駆除剤」について相当に使用されていることを認め得るところであるが、本件商標と引用商標とが類似するものでないことは前記(1)のとおりであり、本件商標と引用商標とを更に関連づけてみなければならない特段の理由は見いだせないから、結局、両商標は、別異の出所を表すものとして看取されるというべきである。
してみると、本件商標をその出願時及び登録時において指定商品中薬剤に使用しても、これより引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品と誤信し、需要者が商品の出所を混同するおそれがあったとは認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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