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Trademark Appeal Case

餅とあんころもちの区別

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−9154(T2006−9154/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本件商標権

商標登録第465294号に係る商標権(以下「本件商標権」という。)は、昭和28年10月24日に登録出願、第43類「餅」を指定商品として、昭和30年5月7日に設定登録され、その後、同51年1月13日、同60年7月16日、平成7年7月28日及び同17年5月24日の四回にわたり、存続期間の更新登録がされたものである。

2 本件申請

本件商標権の指定商品の書換の登録の申請(以下「本件申請」という。)は、「書換登録を受けようとする指定商品並びに商品及び役務の区分」 を「第30類 あんころもち,その他のもち」と表示して、平成17年5月9日にされたものである。

3 原査定の理由

本件申請に記載された、書換登録を受けようとする指定商品のうち「あんころもち」の表示は、本件申請に係る商標権の指定商品に含まれていなかった商品であるから、本件商標権の指定商品の範囲を実質的に超える表示と認める。したがって、本件申請は、商標法附則第4条第1項の要件を具備しない。

4 請求人への審尋

平成19年3月14日付審尋書をもって通知した理由は、次のとおりである。

本件商標権は、上記1のとおり、昭和28年10月24日に登録出願されたものであり、商標法(大正10年4月30日、法律第九十九号)による出願である。そして、同法第5条では、「商標登録出願者は命令の定むる類別内に於て其の商標を使用すべき商品を指定すべし」(漢字及びかなづかいについては、読みやすいように一部変更。)と規定し、商標法施行規則(大正10年12月17日、農商務省令第三十六号)第15条では、「商標登録出願者は左の類別に従い商標を使用すべき商品を指定すべし」(同上)と規定し、同条中「第43類 菓子及麺麭の類」には、その類別に属する商品の例として、「干菓子、蒸菓子、掛ケ物、ビスケツト、カステーラ、ドロツプス、アイスクリーム、飴、餅、砂糖漬、炒豆等」(同上)を列挙しているものである。

そうすると、本件商標権が出願された昭和28年当時有効であった上記法令によれば、出願人は、出願するに際し、その商標を使用すべき商品を類別毎に指定することとされており、どの類別にどのような商品が属するかについては、商標法施行規則に例示されている商品の例を参考にして、出願人が使用すべき商品をその類別に従って指定するように規定されていたものである。

つまり、商標法施行規則の「第43類 菓子及麺麭の類」に明記されている商品「餅」は、その類別に属する商品の一つの例に過ぎないものと解釈できるものである。

さらに、「商標類似商品例集」(帝日通信社発行、昭和6年6月20日)によれば、同書の「序言」には、「商標権の獲得には、各商品相互の区別を明確に指定するを要し商品相互の区別は類似商品例集によるを最も便なりとす。当社は(中略)類似商品例集を編纂し、(中略)発行していささかなりとも当業者各位を稗益することを得ば幸甚の次第なり。」とあり、第43類「菓子及麺麭の類 二 蒸菓子類 ホ」の見出しの項に「餅、あんころ、団子、チマキ」が列挙されている。

つまり、この「商標類似商品例集」を商標出願する者にその利便のために発行するものであり、これによれば、「餅」と「あんころ」は、別異の商品であり、互いに類似する商品であるとされていたことが、理解できるものである。

そして、「商品類別集」(社団法人発明協会発行、1997年(平成9年)3月24日)には、昭和7年3月調「類似商品例集」、昭和28年4月改訂「類似商品例集(改訂版)」が収録されているが、いずれにおいても、「第43類 菓子及麺麭の類」には、前記「商標類似商品例集」の記載内容と同様に、「蒸菓子類」の見出しの下に、「餅」と「あんころ」が、例示商品として列挙されているものである。

また、「餅」について、廣辞林(新訂版)(株式会社三省堂発行、昭和17年1月20日)によれば、「もち〔餅〕」の見出しで「普通糯米を蒸し、これを搗(ツ)きつぶしたる食品、煮又は焼きて食ふ。」、さらに「あんころ〔餡転〕」の見出しで、「あんころもち」と解説しており、これによっても、「餅」と「あんころ(あんころもち)」とは、別異の商品であると認められるものである

以上の事実を総合勘案すると、本件商標権が出願された昭和28年当時において、「餅」と「あんころ(もち)」は、別異の商品であったと認められるものである。

そうすると、本件商標権の指定商品「餅」に、書換登録を受けようとする指定商品「あんころもち」は含まれていなかったといわざるを得ないものであり、よって、本件申請は、その申請に係る商標権の指定商品の範囲を実質的に超えるものといわざるを得ない。

5 審尋に対する請求人の回答の要旨

上記判断は、「餅」と「あんころ」が「商品類別集」に別記されていて、原登録の指定商品に含まれないということかと思われるが、この認定の基礎とされる「商品類別集」なるものは、「商品類別集」(昭和42年版)の「はしがき」に明示されるとおり、ご指摘の「四版の中、第一のものは未公開であり、第二から第四までは、発行部数もわずかであり絶版となっていた」ものを、昭和40年6月に「今回、これを一冊にまとめ」「商標法施行(明治十七年、一八八四年)以来、新法にいたるまでの商品類別の変遷を明らかにしたものである」とあるとおり、出願人は昭和40年6月にはじめて知ったもので、原登録時には、知ることもできず、審査上そのような指摘もなかったものであって、「餅」には、旧43類に属する「餅」が含まれると理解していたものに相違なく、したがって、原登録の指定商品は、本件登録時に認定の商品が「餅」であるとの認定の下に登録されたものと理解しており、昭和60年更新時の使用の証明にあっても「当該餅」は「あんころ餅」の表示で使用を認められた。

6 当審の判断

本件申請について検討するに、前記4請求人への審尋において述べたとおり、本件商標権の指定商品「餅」に、書換登録を受けようとする指定商品「あんころもち」は含まれていなかったといわざるを得ないものであり、よって、本件申請は、その申請に係る商標権の指定商品の範囲を実質的に超えるものといわざるを得ない。

したがって、本件申請が、商標法附則第4条第1項に規定する要件を満たしていないとして、本件商標を拒絶した原査定は妥当であって取り消すべき限りでない。

なお、請求人(申請者)は、前記4のとおり、回答書において種々意見を述べているが、本件商標権が登録出願された当時の取引の実情、商標法及び各種出版物によっても、商品「餅」と「あんころもち」が別異の商品であることは、上記のとおり判断するのが妥当であるから、請求人の意見は採用できない。また、更新時の使用の証明と書換登録とは、事案を異にするから、請求人の意見は同じく採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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