結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89153(T2006−89153/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4943261号商標(以下「本件商標」という。)は、「nuevo」の文字を標準文字により表してなり、平成17年8月16日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として平成18年4月7日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録第4618161号商標(以下「引用商標」という。)は、「ウエーボ」及び「uevo」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成14年1月7日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として平成14年11月1日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第66号証を提出している。
ア 請求の理由
(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する点について
(ア)本件商標と引用商標が類似する点について
本件商標からは「ヌェーボ」の称呼が生じるものであり、また引用商標からは「ウェーボ」の称呼が生じる。
本件商標の称呼と引用商標の称呼を対比するに、それぞれ3音から構成され、その称呼上の差異は語頭の「ヌ」と「ウ」のみである。「ヌ」と「ウ」はともに母音「u」を共通にするものであることから、そもそも近似した音である。しかも、「n」は通鼻音であって響きの弱い音であることから、本件商標の場合は、「ヌ」に続く「ェ」の音に吸収されて明確な一音としては認識できないものであり、また引用商標の「ウ」も弱音であることから、それに続く「ェ」の音に吸収され、明確な一音としては聴取し難い音である。そのため、本件商標と引用商標の唯一の差異音である「ヌ」と「ウ」はいずれも聴取しづらい音であり、その差異は不明瞭である。
また、本件商標も引用商標も、第1音が弱音であることから、いずれも第2音にアクセントが置かれる。そのため、本件商標と引用商標はその語調語感が極めて相近似し、彼此聞き誤る場合が少なくないものといえる。
上記主張を裏付ける証拠として、「NUBAIN」と「UBAIN/ウバイン」を類似すると判断した昭和55年審判第9848号審決(甲第3号証)を挙げる。
さらに、本件商標と引用商標の外観を比較するに、その差異は「n」の有無のみであり、その他の構成文字は、その順番も含め、全く同一である。そのため、その綴り字から受ける印象が共通する。
(イ)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類似について
本件商標の指定商品「せっけん類、化粧品」が、引用商標の指定商品に含まれていることは明らかである。
(ウ)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼上・外観上類似するものであり、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する点について
本件商標は、仮に商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、同第15号に該当するものである。
(ア)請求人及び「uevo」ブランドについて
請求人は、化粧品などの製造販売を行う化学メーカーであり(甲第4号証)、「uevo」を美容室向けパーマ液及びヘアスタイリング剤のブランドとして使用している(甲第5ないし第10号証)。
請求人は2002年より「uevo」ブランドにてパーマ液の販売を始め、各種新聞にも取り上げられている(甲第11ないし第16号証)。
請求人の製造・販売する「uevo」ブランドの2005年度のパーマネントウェーブ剤の売り上げは3億円以上あり、ヘアスタイリング剤の売り上げも3億円以上であり、この売り上げは業界第10位である(甲第17号証)。
さらに、請求人の製造・販売する「uevo」ブランド商品は多数の雑誌に取り上げられており(甲第18ないし第38号証)、株式会社富士経済作成の「業務用化粧品市場の戦略分析2005年度版」(甲第39号証)においても、「uevo」ブランド商品は注目商品として取り上げられている。
また、インターネットにおいて「uevo」「ウェーボ」と検索すると、請求人の製造・販売にかかる「uevo」ブランドの紹介記事のみが多数表示される(甲第40及び第41号証)。このことは、「uevo」「ウェーボ」との言葉は請求人のブランドを表示する言葉として、一般的に認識されていることの一証左である。
(イ)「uevo」シリーズ商品について
請求人は、「uevo」ブランドを多数の商品に展開しており(甲第42号証)、それぞれの商品についても、商標「UEVO AIR/ウェーボエアー」(登録第4721090号)ほか多数登録及び出願している(甲第43ないし第54号証)。
これらの登録・出願例からも、請求人が「uevo」ブランドを大規模に展開し、また守るために十分な努力を払っていることが分かる。
以上の事実から、請求人の「uevo」ブランドは指定商品の取引業界において十分に著名であるといえる。
(ウ)商品の関連性について
上述のとおり、請求人の「uevo」ブランドは、頭髪用化粧品やパーマネント用剤について著名である。
一方、本件商標の指定商品中「化粧品」は、「uevo」が著名である「頭髪用化粧品」を含む同一商品であり、「せっけん類」は「頭髪用化粧品」と関連の深い「シャンプー」を含む商品である。
そのため、本件商標の指定商品と、請求人ブランド「uevo」が著名である商品とは同一又は関連が非常に深い商品である。
(エ)取引業界の実情について
化粧品業界においても、他の業界と違わず、商品の発注を電話にて行うことは一般的に行われている。電話ではもちろん称呼のみによって取引が行われるわけであるが、この場合、本件商標の称呼「ヌェーボ」と引用商標の称呼「ウェーボ」とは非常に聞き間違えられやすいものである。
すなわち、上記(1)(ア)で述べたとおり、本件商標の称呼も引用商標の称呼も第2音にアクセントがあるため、第1音は第2音「ェ」に吸収されやすくなる。そのため、唯一の差異音である「ヌ」と「ウ」を聴別することは非常に困難であり、本件商標を使用することは、頭髪用化粧品などについて著名である請求人ブランド「uevo」と混同を生じさせることは明らかである。
また、実際に商品を見比べる場合においても、本件商標と引用商標の綴り字は語頭の「n」の有無の差異のみであるため、一見してそれぞれを見誤る可能性が十分にある。
特に上述のとおり、頭髪用化粧品業界においては、請求人の「uevo」ブランドは著名であることから、「nuevo」の文字に接した取引者・需要者が、この商標から「uevo」部分を強く認識し、請求人の「uevo」ブランドと混同する、又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係があるものが提供する「uevo」シリーズの一ブランドであるかのごとく、その出所について誤認混同するおそれが多分にある。
(オ)まとめ
したがって、本件商標は、引用商標と混同するおそれのあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであり、同法第46条第1項に基づき、その登録を無効にされるべきものである。
イ 弁駁の理由
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(ア)被請求人は、「本件商標はスペイン語であり、その称呼は『ヌエボ』、アクセントは『ヌ』の部分である。」と主張している。
しかしながら、日本においてスペイン語が浸透しているとは到底いえず、本件商標からスペイン語の「nuevo」に該当する称呼「ヌエボ」のみが生じるとはいえず、「ヌェーボ」の称呼をも生じると考えるのが自然である。
また、本件商標からスペイン語の称呼「ヌエボ」が生じるとしても、そのアクセント位置は、辞書からも明らかなとおり、真ん中の「エ」の箇所である(甲第55号証)。
被請求人は、本件商標をスペイン語であるといいながら、そのアクセント位置を「ヌ」と主張することは矛盾している。
そして、3文字から構成される言葉の中間音にアクセントがある場合、日本においては、その中間音は伸ばして発音されることが一般的である。例えば、日本語としても認識されている「バナナ」は日本語としては語頭の「バ」の位置にアクセントを置くが、英語の場合は、中間の「ナ」の位置にアクセントを置き、「バナァナ」というようにアクセント語を伸ばし気味に発音することが日本においても一般的である。
これらのことを勘案すると、本件商標からは、被請求人が主張するように「ヌエボ」の称呼が生じるとしても、アクセントが中間「エ」の位置に存在することから、実際には「ヌエーボ」のように称呼されると考えることが自然である。
したがって、本件商標と引用商標とは、「ヌエーボ」と「ウエーボ」とをも比較検討するべきであり、これらの称呼は既に述べたとおり、類似するものである。
(イ)被請求人は「語頭の『ヌ』と『ウエ』が、ナ行とア行の相違から聴覚上も識別できる」と主張している。
しかしながら、「ヌ」、「ウ」ともにそれに続く「エ」の音に吸収され、ともに弱い音であるため、その差異は不明瞭である。
被請求人は綴り字が一字違いの商標の併存例を挙げているが、これは事案を異にするため、本件の参考とはならない。
(ウ)また、被請求人は「本件商標は『新規』を意味する」と主張している。しかし、本件商標はスペイン語であるとしても、上述のとおり、一般的な日本人にはスペイン語が浸透しているとは到底考えられず、また指定商品との関係においても、特にスペイン語が好んで使用される事実もない。そのため、本件商標に接する取引者・需要者が本件商標から「新規」との意味合いを認識するとは到底考えられず、単に、引用商標と同様に、造語と判断することは明らかである。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(ア)被請求人は、引用商標に係る商品と本件商標に係る商品とが異なる旨を主張している。しかし、「頭髪用化粧品」と「皮膚用化粧品」は、いずれもその需要者層、売り場を共通にしており、いずれも「化粧品」 に属するものであることは明らかである。
(イ)また、被請求人は本件商標と引用商標が非類似であるから商標法第4条第1項第15号には該当しない旨主張するが、本号は商標の類否を問題とするものではなく、混同の有無を問題とするものであることから、被請求人の主張は全くもって失当である。
そして、引用商標は頭髪用化粧品などにおいては周知な商標であることから、本件商標をその指定商品について使用すると、取引者・需要者が、その商品が請求人の業務に係る商品と混同するおそれがあるものである。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第5号証を提出している。
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
請求人は、本件商標は「ヌェーボ」の称呼が生じるものとしているが、本件商標はスペイン語の「nuevo」(「NWEH−voh」)である。すなわち、「ヌエボ」のアクセント又は強調される部分は「ヌ」である。特許庁のIPDLでも、本件商標の称呼は「ヌエボ」となっており、決して「ヌェーボ」ではない。したがって、本件商標と引用商標とを称呼上比較すると、本件商標の「ヌエボ」と引用商標の「ウェーボ」となる。
本件商標の語頭部は、強調的「ヌ」であり、引用商標の語頭部は「ウェ」であるので、ナ行とア行の相違等から聴覚上も容易に識別できる。
さらに、外観上も本件商標と引用商標は、「nuevo」と「ウエーボ\uevo」であり、一見して容易にその差が認識できるので、彼此誤認混同されることはない。
なお、本件商標と引用商標のように商標の綴りが一字違いで登録されている例として、引用商標の「ウエーボ\uevo」に対し「EVO\イーボ」、また、本件商標の「nuevo」に対し「NUEVA\ヌエバ」がある(乙第3及び第4号証)。
一方、観念的にも本件商標は英語の「new」であり、新規の意味を有するのに対し、引用商標は造語と思われ、英仏独伊西語には見当たらず、特別な観念を生じるものではない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念上何ら類似するものではなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は主に頭髪用化粧品やパーマネント用剤に使用されているようであるが、本件商標は皮膚に係る商品について使用されており(乙第5号証)、不正競争行為等にも該当するものではない。
そもそも、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるので、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成文字に相応して「ヌエボ」又は「ヌエーボ」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。
この点に関し、被請求人は、本件商標は英語の「new」に相当するスペイン語を表したものであり、該語は「ヌエボ」と発音され冒頭の「ヌ」の部分にアクセントがあって、「ヌェーボ」と発音されることはない旨主張するが、スペイン語辞典(甲第55号証)によれば、該語のアクセントは、「ヌ」ではなく、これに続く「エ」の部分にあるものと認められる。そして、3音構成の語で中間音にアクセントがある場合には、しばしばそのアクセントのある中間音を伸ばすように発音されることがあるので、本件商標は、「ヌエボ」の称呼のほか、長音を伴った「ヌエーボ」の称呼をも生ずるというべきである。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「ウエーボ」の称呼を生ずること明らかである。
しかして、本件商標から生ずる「ヌエーボ」の称呼と引用商標から生ずる「ウエーボ」の称呼とは、同音数からなり、第1音が「ヌ」と「ウ」と相違するのみで、他の配列構成音を同じくするものである。しかも、相違する「ヌ」と「ウ」の音は、母音(u)を共通にする近似した音であって、これに続く「エ」の音が長音を伴い強く響くために「エ」の音に吸収されやすく、その差異が全体称呼に及ぼす影響はわずかなものとなり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感音調が近似し、彼此相紛らわしいものである。
さらに、本件商標から生ずる「ヌエボ」の称呼と引用商標から生ずる「ウエーボ」の称呼とを比較したとしても、いずれも第2音「エ」にアクセントがあり強く響くことから、「ヌ」と「ウ」の音の差異及び長音の有無の差異が全体に及ぼす影響はわずかであり、それぞれを一連に称呼するときは、やはり、全体の音感音調が近似し、彼此相紛らわしいものというべきである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、前者が「新しい」の意味を有するスペイン語を表してなるのに対し、後者が親しまれた既成の観念を有しない仮名文字と欧文字を二段に表してなるという外観上及び観念上の差異があることを考慮したとしても、上記称呼において相紛らわしい類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、請求人の他の申立理由について検討するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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